「この画面があれば、もっと営業が動きやすいのに」——HubSpotを使っていると、こうした"あったらいいのに"アイデアは自然と生まれます。しかしエンジニアの工数不足や外注コストの壁に阻まれ、多くのアイデアは実現されないまま消えていきます。本記事では、日本語の指示だけでHubSpotのデータと連動した業務アプリを作れるツール「Lovable(ラバブル)」の活用方法を、実例とともに解説します。
社内で「こんな画面が欲しい」というアイデアは意外と多く生まれます。それでも実現しないのは、構造的な問題があるからです。
「作る手段を持つ人」と「欲しい画面を知っている人」が別々である限り、現場はExcelと標準レポートの間を行き来し続けることになります。
HubSpotの標準レポートは強力ですが、現場が「毎日見たい」形とは必ずしも一致しません。商談ステータスの件数をカード形式で並べたい、問い合わせをカテゴリ別にグラフで把握したい——こうした細かなニーズに応えるには、別のSaaSツールを追加導入するか、カスタム開発を依頼するしか選択肢がありませんでした。
Lovable(ラバブル)は、スウェーデン発のAIアプリ開発ツールです。チャット欄に日本語で「作りたいもの」を伝えるだけで、画面・データ処理・データベース・本番公開までを一括で生成できます。世界累計800万人超が利用しており、コードの知識は一切不要です。
従来のノーコードツールと異なるのは、作った画面をそのままエンジニアに渡して本格システムとして育てられる点です。「試して価値を確かめてから本格化する」という地続きの開発フローが、従来の簡易ツールとの大きな違いです。
実際にHubSpotのコンタクト(顧客リスト)を見やすく表示する画面を作成しました。チャットに入力したのは次の一文だけです。
「顧客リストを一覧で表示するダッシュボードを作って。会社名・担当者・最終接触日で絞り込めるようにして」
依頼から約1分で、検索・絞り込み機能付きの一覧画面が完成しました。LovableはAPIを通じて外部サービスとデータをやり取りできるため、HubSpotに蓄積された情報とシームレスに連携できます。
さらに「営業がアプローチに必要な情報を画面上部に追加して」と指示すると、パイプライン総額・今週の対応件数・優先アクション一覧を含む営業ダッシュボードへと進化しました。
Lovableは万能ではありません。得意な領域と苦手な領域を理解した上で活用することが重要です。
作りたいものを言葉で整理する作業は引き続き人が担います。「方向を決めるのは人、形にするのはAI」という距離感が、ちょうどよい付き合い方です。
Lovableがもたらす本質的な変化は、ツールの性能よりも仕事の順番が変わることにあります。
「欲しい画面を知っている人」が最初から動く画面を見ながら考えられる——この変化が、「形にならない構造」を根本から崩し始めています。HubSpotのデータを眺めて「もっとこう見たい」と思ったとき、それはもう試作の出発点です。
HubSpotに蓄積されたデータを活かし切れていないと感じるとき、Lovableは「外注するほどでもないが、標準機能では物足りない」というギャップを埋める第三の選択肢です。コードを書かずに日本語の指示だけで業務アプリを試作できる時代が、すでに始まっています。