ブログ

Claude Haiku 5.5とOpenAI Decisions APIで、CRMの何が変わる?

作成者: 田村 慶|2026/10/19

Anthropicが2026年10月7日に発表した「Claude Haiku 5.5」。その公式発表には、HubSpotによるCRM業務の評価結果が掲載されています。OpenAIも2026年10月6日、「Decisions API」を公開ベータとして提供しました。どちらも、問い合わせの分類や記録の点検といった日々の仕事を考えるうえで、検討したい製品です。

AIに任せる仕事を細かく分けると、CRMで処理できる業務を具体的に考えられます。私は、まず「件数が多く、結果を確かめられる仕事」で使い方を検討したいと考えています。

Claude Haiku 5.5。HubSpotが評価したCRM業務の実力

Haikuは、Claudeの中でも速度と費用を重視するモデルです。Haiku 5.5は、文章の要約、分類、必要な情報の抽出など、範囲を絞った仕事に使えます。問い合わせを何百件も処理する場合には、1件ごとの応答速度と単価が運用に影響します。Haiku 5.5の公式モデル概要

HubSpotは、模擬ポータルで、商談レポートなどのCRMタスクを評価しています。Haiku 5.5は、その評価セットで3回の平均が92.8%となり、HubSpotが試したモデルの中で最も高いスコアだったと報告しています。

記録の点検でも結果が示されています。古い情報かどうかが曖昧なレコードを探すタスクで、Haiku 5.5は比較対象の中で処理が最も速く、検出率が最も高く、誤検知率が最も低かったという評価です。この92.8%は、その評価セットの成績です。自社の問い合わせ分類や全てのCRM業務で同じ精度が出ると読むことはできません。Anthropic公式発表

私がこの事例で注目するのは、「速い」という評価と一緒に、必要な記録を見つける力と、余計な確認を増やさない力を見ていることです。営業やCSで使うなら、担当者が見直す件数まで含めて性能を判断する必要があります。

OpenAI Decisions API。文章を生成する以外の使い方

Decisions APIは、文章や画像を入力し、選択肢、確率、基準に沿ったスコアを返す仕組みです。例えば「営業・サポート・採用のどこへ回すか」という選択や、「今すぐ担当者が確認する必要があるか」という判定に利用できます。公開ベータの対応モデルはGPT-6 Lunaです。OpenAIの更新履歴、公式仕様

通常の生成AIへ分類を頼む場合は、回答を文章で返したり、指定したJSON形式へ整えたりします。Decisions APIでは、用意した選択肢や評価基準に沿って結果を受け取ります。判定後の処理を決めやすい形式です。

Haiku 5.5で内容を要約し、Decisions APIで担当部署を判定する、といった組み合わせも考えられます。ただし、要約の時点で重要な条件を落とすと、その後の判定も誤ります。問い合わせ本文をそのまま判定する方法と比べ、どちらが必要な結果を返すかを確認することになります。

Decisions API自体には、CRMのレコードを更新する機能や、自由な文章を生成する機能はありません。判定結果をHubSpotへ書き込む処理は、別に組み込む必要があります。APIが判断する範囲と、CRMを操作する処理を分けて考えると、任せる仕事を整理できます。

営業・CSで検討できる3つの仕事

私なら、次の3つの使い方を検討します。

一つ目は、問い合わせの振り分けです。フォームの選択項目だけでは担当部署を決められない場合に、本文の意味を読んで候補を出します。例えば、請求書の修正と追加契約の相談が一つの問い合わせに入っていることも考えられます。この場合は、一部署だけを正解とするか、複数部署へ回すか、判定できない場合にどこへ戻すかを先に決めます。

二つ目は、更新されていないCRMレコードの点検です。最終更新日だけを見るなら、既存のワークフローでも対象を絞れます。AIを使う場合は、商談メモや次回の連絡予定を読み、「更新が必要な候補」を出す使い方が考えられます。長く連絡していなくても、次の打ち合わせ日が決まっている商談を、無条件に古い記録と扱わないようにします。

三つ目は、確認の優先順位を付ける仕事です。問い合わせに「急ぎ」と書かれているかだけでなく、締切、契約上の対応条件、過去の経緯などを入力に含めて判断します。その情報をAIへ渡していなければ、必要な優先度は判断できません。情報が足りない場合は、人へ確認を戻す結果も用意します。

いずれも、入力した情報と判定基準を決める仕事が残ります。固定の入力値だけで判断できる部分はワークフロー、文章の意味を読む部分はAIという分け方をすると、導入する理由が明確になります。

どこで使えるのか。チャットとAPIの条件を分けて確認する

Haiku 5.5は、ClaudeのWeb・iOS・Androidアプリで選択でき、Free・Pro・Max・Team・Enterpriseが対象と案内されています。まずチャットで文章の要約や分類を試す方法があります。Claude公式の提供案内

CRMで自動処理する場合は、APIの利用環境とHubSpotなどの接続設定が必要です。Haiku 5.5はClaude Platformのほか、AWS、Google Cloud、Microsoft Foundry(Azure)でも提供されています。Claude Platformで利用するAPIのモデル名は「claude-haiku-5-5」です。今回の発表だけで、HubSpotのBreezeに自動で搭載されたと解釈することはできません。

料金は100万トークン当たり、Haiku 5.5が入力0.10ドル・出力0.50ドルです。入力10万トークン以下では、Haiku 4.5に比べて入力・出力の単価が10分の1になっています。1リクエストの総入力が10万トークンを超えると、入力0.50ドル・出力2.50ドルになります。キャッシュされた入力やツールの定義も条件に関わるため、問い合わせ本文の長さだけで決めないようにします。Claudeの公式料金

Decisions APIは100万入力トークン当たり0.10ドルで、出力とキャッシュの料金はかかりません。長い入力や処理地域による割増は別に確認する必要があります。月額のChatGPTやClaudeの契約と、APIの請求条件も分けて確認します。Decisions APIの料金と制約

トークンは、AIが文章を処理する際の量を表す単位です。例えば、1万件それぞれに入力2,000トークン・出力は推論分も含めて200トークンを使うと仮定すると、上記のHaiku 5.5の単価ではモデル利用料は計3ドルです。これは短い入力の通常料金で、1件1回の処理だけを計算した例です。接続設定、再実行、人の確認にかかる費用を含めた導入費とは区別します。

公開されているHaikuの比較検証でも、仕事によっては処理の往復が増えたという報告があります。個人の検証条件での結果ですが、完了までの手間を含めて評価する参考になります。

正解を付けた50件で、AIの判定を確かめる

私は問い合わせ分類で試すなら、正解を付けた50件程度から始めます。典型的な内容に加え、複数の担当部署に関わる内容、情報が足りない内容も含めます。利用する環境と、顧客の個人情報・機密情報の扱いは、社内の条件に合わせます。

比べるのは、見逃し、誤検知、人の確認時間、処理費の4つです。記録の点検なら、更新が必要なものを落とすのが見逃し、更新不要なものまで候補に入れるのが誤検知です。問い合わせ分類では、担当部署の誤りや、人へ戻すべき内容を自動処理した件数も確認します。

APIが返す数値や、モデル全体の評価だけで導入を決めず、担当者が付けた正解と比べます。間違いの種類と見直しの時間を記録すると、どこまで任せられるかを具体的に話せます。

最初は、AIが分類や点検の候補を出し、人が確認する形が現実的です。担当者の変更、レコードの削除、顧客への返信まで行うなら、それぞれの操作条件と承認方法を決めます。

Haiku 5.5とDecisions APIを検討する際、私は「この業務を、どの情報で判断し、どの結果で確かめるか」を先に決めたいと考えています。問い合わせの振り分けや記録の点検なら、試す範囲と確認する結果を小さく決められます。その検証で、任せる仕事を少しずつ広げていく方法を提案します。

HUBSHOTでAI・CRMの実務情報を受け取る

HUBSHOTは、AI・CRMの最新情報と、営業・マーケティング・CSでの使い方をお届けするメルマガです。田村のAIコラムに加え、イベント情報なども掲載しています。

HUBSHOTの無料登録はこちら