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HubSpot AI連携のアップデート: CRMを「管理」から「実行」へ

作成者: 加藤 茉夏|2026/01/20

ビジネスにおけるAI活用は、単なる「チャットによる対話」から、CRM(顧客管理システム)のデータを直接操作し、意思決定を支援する「エージェント活用」のフェーズへと進化しています。

本記事では、HubSpotが新たに公開したClaudeおよびGeminiとの連携コネクター、そして営業戦略の鍵を握る「失注エージェント」の活用法について解説します。

1. Claudeコネクター:双方向連携による「CRM操作」の自動化

Claudeコネクターの最大の特徴は、CRMデータの「読み取り」だけでなく「書き込み(作成・更新)」にも対応している点です。

主な活用シーンとメリット

  • CRMレコードの即時更新: チャットウィンドウに「〇〇さんのコンタクトを作成し、メールアドレスを設定して」と入力するだけで、HubSpot側のデータが更新されます。
  • エンゲージメント履歴の深層分析: 過去のEメールや通話録音、ミーティングメモを基に、「成約を阻害している要因」をClaudeが特定し、次のアクション(タスク作成など)を提案します。

【利用上の注意】書き込み権限を持つため、大規模な一括変更を行う前に、まずは単一レコードでの動作確認を推奨します。Claudeが提示した変更内容が意図通りか、実行前に確認するフローを徹底してください。また、利用開始にはHubSpotアカウントの再認証が必要です。

▶︎ ClaudeとのHubSpotコネクター
https://www.hubspot.jp/ai-tools/claude-connector

2. Geminiコネクター:インサイト抽出とコンテンツ生成の加速

Geminiコネクターは、HubSpot内のデータを参照し、それを基にした高度なアウトプット生成に特化しています。

職種別・活用例

  • マーケティング: 特定のリードリストに対し、セグメントに最適化されたフォローアップメールの下書きを瞬時に作成。
  • 営業担当: 進行中の取引リストを抽出させ、優先順位に基づいたアプローチプランを策定。
  • カスタマーサポート: 会社リストから過去の履歴を要約し、次の定例会で提案すべき改善案を構成。

情報の「取得と加工」において、Googleエコシステムと親和性の高いGeminiを活用することで、事務作業の大幅な削減が期待できます。

▶︎ GeminiとのHubSpotコネクター

https://www.hubspot.jp/ai-tools/gemini-connector

3. 「失注エージェント」による客観的な勝率改善

営業組織において「なぜ失注したのか」の分析は不可欠ですが、担当者の主観(例:「価格が高かった」という定型的な報告)に頼りすぎるリスクがあります。

新機能「Deal Loss Agent(失注エージェント)」は、人間のバイアスを排除した分析を実現します。

  • 多角的な分析: 設定期間内の失注取引に関連するすべてのレコード(メール、メモ、ログ)を横断的に確認。
  • レポート生成: 一般的な失注パターンを特定し、次回以降の成約率向上のための具体的な推奨事項を含むレポートを自動生成。
  • 運用の透明化: 生成されたレポートはPDF化してチーム共有が可能。データに裏打ちされた戦略策定を支援します。

現在はHubSpotクレジットを消費せずに試行可能なため、データドリブンな営業組織への転換を図る絶好の機会です。

▶︎ 失注エージェントを使用する
https://knowledge.hubspot.com/ai-tools/use-the-deal-loss-agent

まとめ

今回のアップデートの本質は、CRMという存在の再定義にあります。HubSpotは単なる記録ツールではなく、「AIツールの性能を最大化させるためのデータ基盤」へと進化しました。

今後は、以下の2点を戦略の両輪として回すことが、競合優位性を築く鍵となるでしょう。

  • 操作の自動化: 現場を事務作業から解放し、AIによって営業の質を底上げします。
  • 客観的な分析: 属人的な判断ではなく、蓄積された事実(データ)をAIが「勝てる戦略」へと変換します。

ただし、AIを信頼しすぎるのは禁物です。最終的な実行判断は人間が行うという「セーフティネット」を維持しながら、この能動的なパートナーを使いこなすこと。それこそが、これからの営業組織に求められる最重要スキルとなります。

まずは、小規模なデータ更新や直近の失注分析から、AIの力を試してみてはいかがでしょうか。