ブログ

HubSpot分析を効率化する3つの機能|可視化からKPIづくりまで

作成者: 田嶋 知世|2025/11/07

HubSpotのデータ分析は、既に備わっている強力な機能を使うことで効率化できます。

カスタムレポート作成の手間を最小限に抑え、データ活用の質を向上させるための鍵は、HubSpotに存在する既存の分析機能を最大限に活用することです。

本記事では、レポート作成に時間をかけたくない、忙しいマーケターやアナリスト向けに、日々のデータ確認を効率化し、カスタムレポートではカバーしきれない独自の分析を可能にする3つの強力な機能をご紹介します。これらの機能を活用し、HubSpot分析のポテンシャルを最大限に引き出しましょう。

レポート効率とデータ活用の深化を実現する3つの機能

ウェブサイト/ランディングページ「分析」タブ:最速でパフォーマンスを把握

HubSpotには様々なテンプレートがあり、カスタムレポートも作成できますが、多くの人にとってレポートの作成作業に時間は費やしたくないものです。この機能は、そんな忙しい人にとって非常に有益な機能となるでしょう。

【アクセス方法】
HubSpotアカウントにて、[コンテンツ]>[ウェブサイトページ]あるいは[ランディングページ]の順に進み、「分析」タブをクリックするだけで主要な指標を確認できます。

HubSpotレポートの前提:データ統合の力

HubSpotでは、CRM(コンタクトや取引データ)と Marketing Hub(ウェブサイトやメールデータ)のデータはすべてシームレスにつながっています。そのため、Hubをまたいでデータを組み合わせた計算・分析が、後述する機能で可能になります。

ウェブサイトページ「分析」タブでわかること

指標名 内容・概要
ページビューとCTA(旧)アクション ウェブサイトページのパフォーマンス(表示回数と旧CTAアクション)の全体像
主要指標の概要 全てのウェブサイトページの表示回数や直帰率などの主要なパフォーマンス指標の概要
日別セッション数などの概要(時系列) ウェブサイト訪問、新規コンタクト、顧客の日別合計セッション数、新規コンタクト数、新規顧客数の推移
ソースを表示したセッションの指標 各トラフィックソース(参照元)ごとのセッションの直帰率、平均セッション時間、ページビュー数の計算値
ページビュー数 ウェブサイトのページビューの合計数
デバイスタイプ別セッション 異なるデバイスタイプ(PC, スマホなど)でウェブサイトページを表示している訪問者の割合
アクティビティーフィードタイムライン アクティビティーフィードに表示されるコンタクトアクティビティー(訪問者の行動)の概要

ランディングページ「分析」タブでわかること

指標名 内容・概要
ランディングページサマリー 全てのランディングページのビュー数、CTAクリック率などの主要指標の概要
ページビューからフォーム送信率(時系列) ランディングページ訪問者のうち、フォームを送信した人の割合の推移
CTA率(時系列) ランディングページ訪問者のうち、旧CTAをクリックした人の割合の推移
CTAビュー数 訪問者が表示した旧CTAの合計数
CTAクリック数(時系列) ランディングページ上の旧CTAのクリック数の推移
ページビューから顧客転換率(時系列) ランディングページ訪問者のうち、後に顧客になった人の割合の推移
フォーム送信数(時系列) ランディングページのフォーム送信の合計数の推移

【利用可能なエディション】 上記は、Marketing HubまたはContent HubのProfessional以上のエディションで利用できます。HubSpotのトラフィック分析を初めて行う方、または手軽に概要を把握したい方におすすめです。

式フィールド:カスタムレポートに独自のKPIを作成

この式エディターには、任意の整数を入力できるだけでなく、レポートで使用可能な任意の数値プロパティーで算術演算を実行することもできます。

式フィールドがレポートに与える価値

式フィールドの最大の価値は、「レポート内で計算される独自の指標(KPI)を作成できる」点にあります。この計算はCRMのプロパティー(元データ)自体を変更するわけではないため、安全かつ柔軟に分析を行えます。

【利用可能なエディション】 複雑な関数を利用するには、Data Hub Enterprise(旧Operations Hub Enterprise)を契約している必要があります。

式フィールドの基本的な活用例

式フィールドでは、レポート内の数値プロパティーを使って計算ができます。以下のような活用方法があります。

  • 利益率の計算: [売上金額]-[原価]で粗利益を算出
  • 平均単価の算出: [取引総額]÷[商品数量]で単価を計算
  • 成長率の表示: ([今月の売上] - [先月の売上])÷[先月の売上] × 100 で前月比を算出

式フィールドを使うことで、既存のプロパティーを組み合わせた独自の指標を作成でき、レポートをより実務に即したものにカスタマイズできます。レポートのデータに「意味」を与えたいマーケターやアナリストにとって必須の機能です。

条件付き書式:テーブルレポートの可視化を強化

テーブルに条件付き書式設定を適用できます。これにより、膨大なデータの中から重要な情報を瞬時に把握できるように、データを視覚的に強調表示できます。

【設定方法】
[チャート設定]をクリックして条件付き書式設定を有効にできます。

  • カラーパレットの選択: 10種類のカラーパレットの中から選択し、自動的なカラーグラデーションスケールをそのまま使用したり、独自のカスタムカラー選択を適用したりできます。

  • 適用範囲の指定: 各列に対して書式設定が行えます。「適用先の列を選択」からカラーパレットをプロパティーに適用すると、「最小値」と「最大値」として選択した色に基づいて自動的にカラースケールが適用されます。

【解除方法】
適用した書式設定を削除したい場合は、同じく「適用先の列を選択」を選択して下の「条件付き書式設定を削除」をクリックしてください。

【まとめ】レポートの効率化とデータ活用の深化

HubSpotのレポート機能は、「レポート作成の時間削減」と「データに基づいた意思決定の促進」という二つの側面から、マーケティング活動を強力に支援します。

「分析」タブで手軽に主要指標を確認し、「式フィールド」でビジネスに不可欠な独自のKPIを算出し、さらに「条件付き書式」でそのデータを瞬時に可視化する。これらを組み合わせることで、カスタムレポートを頻繁に作成する手間が大幅に削減されます。

今回ご紹介した3つの機能は、いずれもレポート作成の効率化とデータの可視化に役立つものです。まだ活用していない方はぜひ一度チェックしてみてください。