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HubSpot パートナーが陥りやすいポイントを解説

作成者: 田村 慶|2019/12/15

昨今、日本でもHubSpotのパートナーが増えてきました。特にWeb制作会社のHubSpotパートナーの皆さんがHubSpotパートナーとして活動をしていく上で陥りやすいポイントを、私の経験からいくつか解説します。

(1)HubSpotが売れない。どのように買ってもらうか?

パートナーの皆さんが一番最初につまづくポイントは、HubSpotの売り方がわからないということではないでしょうか。これまで、HubSpotの提案する商談をたくさん経験してきましたが、どのような商談がうまくいったか?ということを振り返ってみて、今では一つ強く意識してることがあります。

それは、「HubSpotの機能を訴求するのではなく、お客様の課題をどのように解決できるかを提示すること」です。

「こんなことか」とか「営業のあたりまえ」と思う方も多いと思いますが、実際の営業の場では、お客様からの「機能説明をしてほしい」という魔の言葉にそのまま乗って、課題の解決ではなく機能説明や他社のツールとの機能比較のみをして「HubSpotはすごいでしょう」という話になってしまうということが多いのではないでしょうか。

HubSpotには、「デジタルマーケティングはこれ一つで全てできます」といっても過言ではないような豊富な機能があり、皆さんの中にもそれに惹かれてパートナーになった方もいるのではないでしょうか。機能が豊富なことが特徴ではありますが、個々の機能を一つずつ説明してもお客様は結局は何ができるのかがわからなくなってしまいます。

機能を提案するのではなく、お客様の課題の解決方法を提案する「課題ファースト」を意識した提案をすることがとても重要です。課題を知ることができれば、それに対して「どのように解決をするのか」を提示できます。そして、課題解決を効率化するためのシステムとして、HubSpotの紹介をするとお客様に採用していただくことができるでしょう。

簡単な例えを用いて解説をします。

新規受注に課題があるケース

新規受注の課題には、見込客の管理をしていないことによる機会損失があります。

「見込客との関係性を見える化して、温度感に応じた営業活動をしましょう。そのために、オンラインからも見込客を獲得するできるインバウンドマーケティングやコンテンツマーケティングを実施しましょう」という提案がよいでしょう。

そのうえで、「見込客管理やコンテンツマーケティングを行うには、HubSpotが最適です。」とHubSpotも合わせて提案をする流れをつくります。

営業管理に課題があるケース

  • 案件管理はどうやっているか
  • パイプラインは管理しているか
  • 社内共有はできているか

を実現するためのツールとしてHubSpotの販売につながることが多いです。

いろいろな機能紹介していくと、お客様が「機能がありすぎて何をしてくれるツールなのか」が分からなくなってしまいます。そこで先ほど申し上げたように「お客様の課題を解決するツール」としてHubSpotを使うことを提案するとよいでしょう。

(2)HubSpotを販売する上で自社の体制はどうしたらよい?

HubSpotを販売すること自体をどのように捉えるかが重要です。単にツールを売るということではなく、HubSpotを売ることを一つの事業として捉えています。自社のマーケティングについては、最低1名のマーケティングの担当者が必要です。

なぜ、担当者が最低1名必要かといいますと、以下のような社内業務を推進していくことが必要です。オンラインマーケティングの他、イベントやセミナー開催など開催、社内でHubSpotをどのように活用していくのかを社内で推進する役割、コンテンツマーケティングや、マーケティングオートメーションでメールを配信するときにも必要になるコンテンツの制作が必要となります。
社内で制作おこなう場合も、アウトソーシングの場合も、コンテンツ企画や制作、編集業務が発生します。

また、案件を受注するために営業に同行することもパートナーになりたてのことはよくあります。その際には、HubSpotをどのように使うのか、課題ごとにどのような機能があるかを説明する役割を担います。

その他にも、HubSpotは、新機能のリリースや機能改善のスピードが速いツールですので、新機能のキャッチアップも非常に重要な仕事になります。そういったところを業務としてやっていく上では、最低一人は専任でつけていく必要があると 思っています。

担当者の役割の一部

担当者に新卒の方を1名つけるいうこともあるのですが、決して新卒が駄目だということではありませんが、できるだけ経験のあるスタッフの方をつけていただくいうほうが、事業の推進としては良いかと考えています。上述しているように、業務の範囲が多岐にわたり、各業務のバランスを取って進める必要があるため、経験のある方に責任を持って回してもらうことが望ましいのではないかと思います。

まだ売れていない製品を新たに販売することは、担当者を割り当て業務をさせることは、経営者にとってはそこそこ大きな投資になるので、経営者のコミットが何よりも必要になります。

(3)担当者の教育はどうする?

HubSpotに詳しい人を採用するということは、そのスキルを持ち合わせた人が市場に多くいる現状ではないので難しいと考えたほうが良いかと思います。そのため、既存社員もしくは、新規採用した社員を育てていくことが重要になります。

HubSpotには、「HubSpot アカデミー」という学習コンテンツがたくさんあります。英語のコンテンツが多いのですが、日本語化されてる基礎的なコンテンツもいくつかあります。それを利用し、担当者を育成をしていくことがが望ましいんではないかなと思います。

私自身も、HubSpotアカデミーは、移動中に動画を閲覧し、定期的に検定を受けるようにしております。HubSpotの機能のように、時代に合わせたマーケティングや営業、顧客サポートの考え方やTIPSが更新され、とても勉強になります。

HubSpotは、マーケティングや営業を主体とした、企業の根幹を支えていくようなツールなりますので、クライントの企業の経営状況や課題、ビジネスモデルを理解して、課題に合わせた解決策と利用方法のご提案ができるようになるには、ある程度の経験が必要と考えています。
私の実感値では、新卒からだと最低でも3年ぐらいの経験と学びが必要なので、OJTをベースに実際の案件現場で経験を積ませて育ててきました。

基礎学習は『HubSpotアカデミー』
実践や応用を『実際の現場(OJT)』

上述の考え方での人材育成が必要かと考えております。

(4)どのようなサービスを提供したらよいか

パートナー各社は、それぞれ、Webサイトの構築、CMS構築のような得意分野があります。元々オフラインの電話営業を得意とされてる方は、パイプラインの作り方であったり、トークスクリプトの作り方みたいなところで営業体制の構築部分に強みあると思います。

まずは、HubSpotのやり方にすべて合わせるのではなく、各社の特徴を活かしたサービス構成にしていくと良いでしょう。

自社の特徴を中心に、運用型のサービス(ストックビジネス)をサービスの中心に考えていくとよいでしょう。クライアントへの継続的な価値提供ができるようになり、自社の経営状況も先の見通しができる状況になるということはもちろんですが、HubSpotは新機能が出たり、すべての機能を使い倒すことが、難易度が高いツールですので、伴走して継続的に支援をしてくことが、ほとんどのクライアントに必要になってくると思います。

上記はあくまでも一例ですが、コンテンツの制作、メルマガの発行業務、Web サイトやランディングページの構築代行、レポーティングと改善提案。HubSpotをどのように使っていくか、トラブルを解决するヘルプデスクを有償サービスとしてご提案することなどが考えられます。

Sales Hub、Service Hub にも様々なサービスを組み合わせていくことができます。
Web制作をメインとされているパートナーさんは、まずは、Marketing Hubを活用支援するサービスから始めることがよいでしょう。

まとめ

Web制作会社の方がHubSpotパートナーになったときには、Webサイトとの親和性の高さから、WordpressやMovable TypeなどのCMSツールの一種や、それにMA機能を加えるという観点でHubSpotを採用しようと決められた方も多いかと思いますが、実際には上述のツールの延長ではなく、全く新しい事業として捉えていく気構えが必要です。

私も過去に制作会社からマーケティング支援事業をスタートしましたが、最初はクライアント業務と兼務した担当者をつけましたが、クライアント業務が最優先されるため、全くワークすることはありませんでした。

本当は案件を担当してもらったほうが目先の売上を作ることはわかっていましたが、専属担当者をつける決断をし、社内も制作からマーケティング視点でのサービス展開に変更をしていくことで徐々に結果を出すことができるようになりました。

その間は、社員の入れ替わりなど、大変なことも多かったですが、マーケティング(営業やCSも)支援事業を絶対に立ち上げるという、ぶれない経営者の『強いコミット』が最も重要なことだったと今でも考えています。

多くの企業や担当者を幸せにすることができるHubSpotを活用する『強いコミット』を持った仲間が1人でも増えれば幸いです。