HubSpotのパートナー認定はGold・Platinum・Diamond・Eliteの4段階。Eliteは招待制・世界上位1%で最低100の認定資格と顧客維持率85%以上が条件。ただし「ティアが高い=自社に最適」ではなく、プロジェクト規模・業種適合性・PMO機能の有無が選定の本質です。
「HubSpotの導入支援を依頼したい。でも、エリートパートナーとプラチナパートナーで実際に何が違うのか分からない」──そうした声を頻繁に聞きます。
HubSpotの認定パートナープログラムには、Gold・Platinum・Diamond・Eliteという4段階のティアが存在します。HubSpotの公式マーケットプレイスを見ると、日本国内だけで多数のパートナーが登録されており、ティアバッジが並んでいます。しかし、そのバッジが自社のプロジェクト成功にどう関係するのか、多くの検討者には不透明なままです。
本稿では、HubSpotが公開している認定プログラムの公式データをもとに、各ティアの認定基準・HubSpot社との連携の深さ・実質的な支援品質の差を客観的に整理します。さらに、ティア以外に見るべき選定基準と、日本国内でパートナーを比較するときの具体的な判断フレームを提供します。
目次
HubSpot Solutions Partner Program(ソリューションパートナープログラム)は、HubSpotを活用したコンサルティング・実装・定着支援を行う代理店・SIer向けの認定制度です。2024年時点で世界6,000社以上のパートナーが参加しています。(参考:HubSpot Partners)
HubSpotがパートナーをティアで区分する理由は、顧客保護と品質保証にあります。HubSpotの導入プロジェクトは数百万円〜数千万円規模になることも多く、パートナーの実力の差が導入成否を大きく左右します。ティア制度はHubSpotが「このパートナーは一定以上の実績と品質基準を満たしている」を公式に保証するシグナルです。
また、パートナー側の視点では、ティアが上がるほどHubSpot社からの優先サポート・先行情報・リード紹介機会が増えるため、上位ティア維持が事業上の競争優位になります。
パートナーのティアは「ティアポイント」という指標で決定されます。ポイントは以下の3種類の実績に基づいて付与されます。(参考:How do Tiers and Tier Points work? | HubSpot)
ポイントの有効期限は取得から12ヶ月(直近12ヶ月のローリング集計)で管理されます。なお、2026年1月15日の制度改定により、Managed Pointsの最低保有要件はすべてのティアで廃止されました。(参考:HubSpot Partner Tiering Changes)
HubSpotが公式に定める各ティアの必要ポイント数は以下の通りです(2026年1月時点・公式データに基づく)。
| ティア | 合計ポイント | Sold Points最低 | 追加要件 |
|---|---|---|---|
| Gold | 243pt以上 | 113pt以上 | なし |
| Platinum | 645pt以上 | 270pt以上 | なし |
| Diamond | 2,020pt以上 | 570pt以上 | GRR(売上維持率)75%以上 |
| Elite | 5,950pt以上 | 1,950pt以上 | 招待制・GRR80%以上・認定資格100以上・顧客維持率スコア85%以上・手動審査あり |
ポイントを$100 MRRあたり1ptに換算すると、EliteのSold Points最低1,950ptは約$195,000 MRR(年換算で約$2.3M USD ≒ 約3.5億円規模)の新規販売実績を意味します。これがEliteが世界上位1%に留まる理由です。(参考:HubSpot Solutions Partner Program Benefits 2026)
Goldティアは、パートナープログラムへの参加を開始した比較的新しいパートナーや、特定の業種・規模に特化して支援実績を積んでいるパートナーが多く該当します。
Goldパートナーの特徴:
中小企業でHubSpotを初めて導入する場合、Goldパートナーでも十分な支援を受けられるケースはあります。ただし、複数部門をまたぐ大規模導入・Salesforce等からの移行・AI/自動化の高度実装を求める場合は、Goldパートナーでは実績・ノウハウが不足するリスクがあります。
Platinumティアは、Goldの約2.7倍のポイント(645pt以上)が必要であり、一定規模の実績を持つパートナーが集まります。
Platinumパートナーの特徴:
国内でも一定数のPlatinumパートナーが存在し、特定業種(例:SaaS・Web系企業)への深い専門性を持つパートナーが多い印象です。ただし、Platinumの認定基準はポイントのみであり、顧客維持率(GRR)の最低要件は課されていません。顧客定着の品質担保という観点では、上位ティアのほうが客観的な保証が厚いといえます。
DiamondはEliteに次ぐ第2位のティアで、Platinumの約3.1倍のポイント(2,020pt以上)が必要です。2026年1月からGRR(売上維持率)75%以上の維持が追加要件となりました。
Diamondパートナーの特徴:
製造業・情報通信業など業種横断の複雑なGTM(市場参入戦略)設計が必要な場合、Diamondパートナーは有力な選択肢となります。ただし、日本国内のDiamondパートナー数は限られており、自社業種・規模に合った支援実績を個別に確認することが重要です。
(参考:HubSpot Solutions Marketplace – Japan)
Eliteは招待制・世界上位1%の最高位ティアです。単なるポイント到達では取得できず、HubSpotによる手動審査を経た上で招待を受けた場合のみ認定されます。
Elite認定の追加要件(公式データ):
Eliteパートナーが持つ特権:
(参考:What our Triple Elite HubSpot Partner status means | Huble / HubSpot Partner Credentials)
ティアは「過去の実績規模」を示しますが、「あなたのプロジェクトに最適か」を直接示すものではありません。以下のフレームで自社プロジェクトの複雑度を評価し、必要なティアレベルを判断してください。
| プロジェクト複雑度 | 典型的な条件 | 推奨ティアの目安 |
|---|---|---|
| 低 | 従業員100名以下・単一Hub導入・既存MA/SFAなし | Gold〜Platinum |
| 中 | 従業員100〜500名・複数Hub・MA/SFAからの移行あり | Platinum〜Diamond |
| 高 | 従業員500〜1,500名・Salesforce移行・複数部門展開・AI活用 | Diamond〜Elite |
| 超高 | 従業員1,500名超・グローバル展開・基幹連携・RevOps設計 | Elite推奨 |
特に「Salesforce等の既存CRMからの移行」「営業・マーケ・CSの横断的データ統合(RevOps)」「HubSpotをAI活用の基盤として位置づけたい」といったケースでは、上位ティアのパートナーが持つ実績と専門人材が不可欠です。
HubSpotの認定ティアは業種を問わない総合評価です。そのため、ティアが高くても「製造業の商流・生産財営業の特性」を理解していないパートナーが担当すると、現場にフィットしない設計になるリスクがあります。
業種適合性を確認するための具体的な質問:
事例を持たないパートナーが担当する場合、プロジェクト中に「実は前例がなかった」ことが発覚し、設計の手戻りが発生するケースが繰り返されています。
1,000名規模の導入プロジェクトでは、HubSpotの設定スキルよりも「社内の利害調整・部門間コミュニケーション設計・経営層への進捗報告」というPMO機能の有無が成否を分けます。
PMO機能の有無を判断するための確認ポイント:
これらをパートナー選定の評価軸に加えることで、ティアだけでは見えない支援品質の差が明確になります。
パートナー候補との初回面談(通常1〜1.5時間)で、以下の7点を必ず確認してください。回答のクオリティがそのまま支援品質を予測します。
口頭確認だけでなく、書面での開示を求めるべき情報は以下の通りです。
パートナーのティアはHubSpot公式マーケットプレイスで検索・確認できます。(参考:HubSpot Solutions Partner Marketplace)
HubSpot導入パートナーの比較は、以下のプロセスで進めることを推奨します。
株式会社100(ハンドレッド)は、HubSpotのEliteパートナー認定をアジアで初めて取得し、日本国内で唯一のEliteパートナーです(2026年4月時点・公開情報に基づく)。
Elite認定を維持するためには、前述の通り「ティアポイント5,950以上・GRR80%以上・チーム全体で認定資格100以上・顧客維持スコア85%以上・招待制手動審査」という複合条件をすべて継続的に満たす必要があります。これは「一度取れば維持される」性質のものではなく、毎月のローリング評価で継続的に証明し続けることが求められます。
株式会社100の支援実績は、製造業・情報通信業・金融業を中心に100社以上の導入支援から構成されています。パナソニック インダストリー様、・読売新聞様など、従業員1,000名以上の大手企業へのHubSpot導入・活用支援が代表的なプロジェクトです。(事例記事を確認する)
支援の特徴は「GTMエンジニアリング+PMO機能+AI-Readyデータ基盤」の3点セットにあります。
検討者が最も迷うのが「EliteとDiamondで実際にどう違うのか」という点です。以下で公正に整理します。
| 比較軸 | Diamondパートナー | Eliteパートナー |
|---|---|---|
| 認定の難易度 | ポイント2,020以上・GRR75%以上 | ポイント5,950以上・GRR80%以上・招待制・手動審査 |
| HubSpot本社との連携 | Partner Account Manager経由 | より上位の専任担当・製品チームへの直接パス |
| 先行情報アクセス | 一般的なパートナー情報 | ベータ機能・ロードマップ優先アクセス |
| リード紹介 | 標準的なパートナーマッチング | Enterprise案件での優先紹介 |
| 認定資格数の担保 | 要件なし(実態として多い場合が多い) | 100以上が公式要件 |
| 顧客維持スコア | GRR75%以上(売上維持) | GRR80%以上+Customer Retention Score 85%以上 |
| 世界的な希少性 | 国内でも複数社存在 | 世界上位1%・日本国内1社のみ |
Diamondパートナーも十分な実績と品質基準を備えています。「絶対にEliteでなければいけない」ということはありませんが、プロジェクトの失敗リスクを最小化したい場合や、HubSpotの最新機能・AI活用を先行して実装したい場合は、Eliteパートナーが持つHubSpot本社との連携の深さが差別化要因になります。
HubSpotの公式ソリューションパートナーマーケットプレイス(ecosystem.hubspot.com/marketplace/solutions)で検索すると、各パートナーのティアバッジが表示されます。パートナー自身のWebサイトに記載されているバッジとの一致を必ず確認してください。
従業員100名以下の中小企業で、単一のHubSpot Hub(例:Sales Hubのみ)を導入する場合は、Goldパートナーでも十分なケースがあります。ただし、Goldの認定基準には顧客維持率・定着支援品質の担保要件が含まれていないため、「導入後のフォローアップ体制」を個別に確認することが重要です。
ティアは毎月15日に昇格の機会があり、降格は年2回実施されます。実績を継続的に積み上げているパートナーは安定してティアを維持しますが、急成長中のパートナーは短期間でティアが変わる場合もあります。選定時には現在のティアだけでなく、過去1〜2年のティア変遷を確認すると安定性が判断できます。
一般的にはEliteパートナーの導入費用はDiamond以下より高い傾向があります。ただし、「上位ティアの方がコストがかかる=損」とは限りません。プロジェクトの失敗リスク・手戻りコスト・定着失敗による機会損失を含めたTCO(総所有コスト)で考えると、実績豊富なEliteパートナーへの投資が長期的に優位なケースが多いです。
最も多い失敗は「ティアと費用だけで選ぶ」ことです。自社の業種・規模に合った支援実績がない、PMO機能がない、カットオーバー後の定着支援がない──これらが揃ったパートナーを選ぶと、HubSpotの設定は完了したが現場が使わないという「仏作って魂入れず」の状態になります。
技術的には可能ですが、HubSpotの設定管理者を統一することが強く推奨されます。複数パートナーが同一のHubSpot環境を操作すると、設定の競合・責任の所在不明・ナレッジの分散が発生します。特定の機能領域(例:コンテンツ制作はA社、HubSpot設定はB社)に分けて依頼する場合は、PMO機能を一社に集約することが重要です。
2026年4月時点の公開情報によれば、日本国内でEliteティア認定を受けているパートナーは株式会社100の1社のみです。アジア全体でも初のElite認定であり、世界上位1%の位置づけです。(HubSpot公式マーケットプレイスで随時確認可能:HubSpot Solutions Marketplace Japan)
DiamondとEliteに限っては、GRR(売上維持率)の最低基準がHubSpotによって公式に課されています(Diamond:75%以上、Elite:80%以上)。これは「そのパートナーのクライアントがHubSpotの利用を継続している比率」を測る客観的指標です。Gold・Platinumにはこの要件がないため、定着品質の担保という観点では上位2ティアが客観的に優位です。
HubSpot社は製品提供・サポートが中心であり、導入コンサルティング・現場トレーニング・PMO機能は提供していません。パートナーを経由することで、設定作業だけでなく「社内の利害調整・定着化・KPI改善」まで一気通貫で支援を受けられます。また、パートナー経由でのライセンス購入は一般的にサポート体制が充実しており、費用が直接購入と変わらないか、場合によってはディスカウントが適用されます。
「同規模・同業種での定着支援実績」を最優先に確認してください。ティアは過去の総量実績を示しますが、自社への適合性を直接示すものではありません。初回面談で具体的な事例(企業規模・業種・導入前後のKPI変化)を聞き、曖昧な回答しか返ってこないパートナーはリスクが高いと判断してください。