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Lovableが動かない・うまくいかないとき|詰まりどころ別の対処法

作成者: 田村 慶|2026/09/14

最初の30分は魔法のようでした。次の3時間で、その魔法は消えます。直したはずの箇所が別の変更で戻り、エラーの修正がまた別のエラーを呼び、気づけばクレジットだけが減っている——Lovableを触り始めた人の多くが、初日にこの壁に当たります。

ここで「このツールは使えない」と結論するのは早計です。詰まりどころには明確なパターンがあり、そのほとんどはツールの不具合ではなく、指示の出し方と復旧手順を知らないことに起因します。逆にいえば、対処法を知っていれば避けられます。

この記事では、2026年9月1日時点の公式ドキュメントにもとづき、症状別の原因と対処を整理します。順番は発生頻度が高いものからです。

まず、どこから切り分けるべきか?

対処を間違えると、状況が悪化します。最初にやるべきは修正ではなく、問題の種類を見分けることです。

症状は大きく4つに分かれます。生成結果が意図とずれる(指示の問題)、修正が発散する(進め方の問題)、公開できない(デプロイの問題)、そして作業自体が止まる(クレジットや権限の問題)。それぞれ対処がまったく違います。

やってはいけないのは、原因が分からないまま「直して」と繰り返すことです。実装を担うBuild modeは使用量ベースで消費するため、当てずっぽうの往復はそのまま費用になります。切り分けに1分使うほうが、結果的に速く安く済みます。

生成結果が意図とずれるのは、なぜか?

最も頻度の高い症状です。そしてほぼ例外なく、指示の情報量が足りていません。

公式のトラブルシューティングは、実装方法ではなく望む結果を記述するよう推奨しています。「この関数をこう書き換えて」ではなく「この画面でこういう操作ができる状態にしたい」と書く、ということです。実装の指定は、AIが持っている選択肢を不必要に狭めます。

もうひとつの原因が、変更範囲を書いていないことです。プロンプトのベストプラクティスは、境界を示さなければ小さな依頼がすでに動いている部分にまで波及すると警告しています。日本語では主語や対象を省略しやすいため、この事故が起きやすくなります。

対処は3つです。望む結果で書く。「◯◯のみ変更、他は現状維持」を毎回添える。そして細部の修正は文章で再指示するより、プレビュー上で対象要素を指し示すほうが正確です。書き方の型はプロンプトライブラリにまとまっています。

修正するほど壊れていくときは、どうするのか?

いわゆる発散です。3回目あたりから、直す前より状態が悪くなります。ここで最も重要なのは、修正を続けないことです。

公式ドキュメントが示す対処は段階的です。まずエラーが出ている場合は「Try to fix」でログを確認させ、自動修正を試みます。公式ドキュメントによれば、これは最初の10回まで無料とされています。それでも解決しない場合は、修正を指示するのではなく、状況を説明して調査させる形に切り替えます。

それでも収束しないなら、巻き戻します。バージョン履歴で問題が発生する前の状態に戻し、より明確なプロンプトで再実行するのが公式の推奨です。「ここまで進んだのだから戻したくない」という心理が働きますが、発散した状態から前進するコストのほうが、たいてい大きくなります。

再発を防ぐには、進め方を変える必要があります。大きな変更はPlan modeで先に計画を出させてください。Plan modeはコードを書かずにプロジェクトのファイルやデータベース、ログを調べ、確認質問を返し、編集可能な計画を提示します。メッセージあたり1クレジット固定で動くため、発散した状態で従量のBuild modeを回し続けるより、費用面でも有利です。

公開・デプロイに失敗するのは、なぜか?

作るところまでは進んだのに、公開できないという相談も多く寄せられます。原因は限られています。

公式ドキュメントによれば、公開はプロジェクトのスナップショットを共有可能なURLへデプロイする操作で、Lovableがホスティングを提供し、HTTPSも含まれます。lovable.appのURLへの公開はすべてのプランで無料です。ダイアログは完了時に公開成功を示し、失敗時は「Publishing failed」を表示します。

失敗の典型がファイルサイズです。公式のトラブルシューティングによれば、ファイルが10MBを超える場合はCDNアセットへ移行する必要があります。画像や動画を直接プロジェクトに置いている場合に起きやすい症状です。

独自ドメインを使っている場合は、別の要因が加わります。DNSの変更は反映に時間がかかるため、設定直後に見えないのは異常ではありません。詳細は独自ドメインの設定に関する解説を参照してください。

公開したのにログインできない、旧サイトが表示されるときは?

独自ドメインを設定した直後に集中する症状です。いずれも原因が特定されています。

公式ドキュメントによれば、サインインが失敗する場合は、認証のリダイレクトURLに新しいドメインがまだ含まれていないことが原因として挙げられています。Cloudの設定でユーザーの認証設定にドメインを追加します。

旧サイトが表示される場合は、古いDNS設定が残っていることが原因です。古いA・AAAA・CNAMEレコードを削除します。またCloudflareを使っていて1001や1003のエラーが出る場合は、プロキシが有効になっていることが原因で、DNS設定を「DNS only」に変更する必要があります。検証状態が続く場合も同様です。

DNSの反映については、公式ドキュメントは最大72時間かかる可能性があるとしつつ、多くは数時間以内に反映されると記載しています。設定を何度も変更するより、待つほうが正解であることが多い領域です。

クレジットが尽きて作業が止まったときは?

作業の途中で止まるのは、残高の問題であることがあります。ここは仕様を知っていれば慌てずに済みます。

公式のトラブルシューティングによれば、作業中にクレジットが不足した場合の選択肢は2つです。クレジットを追加して作業を再開するか、現在の進行状況をまとめて中断するかです。

より重要なのは、残高がゼロになったときの挙動です。公式ドキュメントによれば、ビルドが停止するだけでなく、公開済みアプリのAI機能が動作しなくなり、組み込みバックエンドに依存するアプリは一時停止することがあります。データベース・ストレージ・認証のデータは停止中も安全に保持されますが、利用者から見ればアプリは止まっています。

業務で使うアプリであれば、上限の設定と補充の運用ルールを事前に決めておいてください。プロジェクト単位の利用状況を定期的に確認すれば、枯渇の前に気づけます。

データベースや認証まわりのエラーは、どう切り分けるのか?

画面は表示されるのに、データが保存されない。ログインはできるのに、他人のデータが見えてしまう。この種の症状は、画面側ではなくバックエンドの設定に原因があります。

切り分けの起点は、行レベルセキュリティ(RLS)の設定です。データが取得できない場合も、逆に見えてはいけないデータが見える場合も、多くはここに起因します。公式ドキュメントによれば、公開ダイアログを開くと自動実行されるBasic Scanに、RLSポリシーのリンティングとデータベースの設定確認が含まれており、一般的なRLSとデータベースアクセスの問題については、条件を満たす検出結果をLovableが自動修正できるとされています。

より深い検査が必要な場合は、Deep Scanを手動で実行します。これはエージェント型のコードレビューで、アクセス制御の欠落、シークレットの漏洩、安全でない入力処理などを対象とします。公式ドキュメントによれば、手動で実行するBasic ScanとDeep Scanはいずれも無料で、クレジットを消費しません。困ったときにまず動かすべき機能です。

ただし注意点があります。自動検査が判定できるのは既知のパターンであり、「このデータをこの立場の人に見せてよいか」という業務判断は含まれません。セキュリティの実践ガイドに沿って、認証していない訪問者に何が見えるか、他人のデータが見えないか、管理者専用の操作が一般利用者に開いていないかは、人が確認してください。

データやユーザーの状態そのものを確認したい場合は、Cloudのビューでテーブルの中身、登録済みユーザー、ストレージ上のファイル、サーバー側処理の実行状況を直接確認できます。推測で修正を指示する前に、ここで実際の状態を見るほうが確実です。

クレジットの減りが想定より速いときは、何を見ればよいのか?

「そんなに作業していないのに減っている」という相談は少なくありません。多くは、消費の種類を1つだと思い込んでいることが原因です。

公式ドキュメントによれば、消費は3種類あります。アプリを計画・生成・編集するBuild usage、アプリのホスティングと組み込みバックエンドを動かすCloud usage、そして公開済みアプリが実行時にAI機能を呼び出すAI gateway usageです。つまり手を止めていても、公開したアプリが使われていれば消費は発生します。

内訳はプロジェクト単位の利用状況で確認できます。どのプロジェクトが、どの用途で消費しているかを分けて見れば、原因の見当がつきます。作っていないのに減っているならCloudかAIの側、作業に比例して減るならBuild側です。

Build側の消費が多い場合、原因はたいてい指示の粗さです。Build modeは使用量ベースで、変更ファイル数やロジックの複雑さ、コード探索量によって消費が変動します。変更範囲を書かない指示は、AIに広くコードを探索させ、余分なファイルを書き換えさせます。範囲を1行書くことが、そのままコスト対策になります。

症状と対処を、一覧で確認する

ここまでの内容を、詰まったときに開ける形にまとめます。原因の欄を先に読んでから対処に進んでください。原因を取り違えたまま対処すると、状況が悪化します。

症状 主な原因 対処
意図と違うものが生成される 実装方法を指定している/範囲を書いていない 望む結果で書き、「◯◯のみ変更」を添える
修正するほど壊れる 1メッセージに複数の変更を詰め込んでいる 1変更に分割。収束しなければ巻き戻す
エラーが繰り返す 原因が特定できていない 「Try to fix」(最初の10回は無料)→調査を依頼
公開に失敗する ファイルサイズが10MB超 大きなファイルをCDNアセットへ移行
独自ドメインでログインできない 認証のリダイレクトURLが未更新 Cloudの認証設定に新ドメインを追加
旧サイトが表示される 古いDNSレコードが残存 古いA/AAAA/CNAMEを削除
作業が途中で止まる クレジット残高の不足 追加するか、進行状況をまとめて中断

この表で対処できない症状に当たった場合は、自分で切り分けを続けるより問い合わせたほうが速くなります。公式ドキュメントによれば、有料プランを利用していてLovable側の問題と判断される場合はサポートに連絡できるとされています。

そもそも詰まりにくくするには、どう進めればよいのか?

対処法より、詰まらない進め方のほうが価値があります。4点だけ挙げます。

第一に、作業の区切りごとに状態を保存することです。巻き戻しが選択肢として使えるかどうかが、発散したときの復旧速度を決めます。第二に、1メッセージ1変更を守ることです。複数を同時に頼むと、どれが原因かを切り分けられません。

第三に、大きな判断はPlan modeで固定費のうちに済ませることです。第四に、実データで設計することです。公式の実践ガイドが推奨するとおり、プレースホルダーのままでは余白も折り返しも実態とずれ、後から作り直しになります。日本語では全角文字の影響でこの差がさらに大きくなります。

導入初期のつまずきを組織として減らしたい場合は、この4点を社内の標準手順として文書化してください。個人の習熟に任せると、同じ壁に全員が順番にぶつかります。

よくある質問(FAQ)

「Try to fix」を10回使い切ったらどうなりますか?

公式ドキュメントには最初の10回が無料と記載されています。以降も修正を続けること自体は可能ですが、無料回数を使い切った時点で自動修正を繰り返すより、巻き戻して指示を作り直すほうが結果的に速くなります。

巻き戻すと、それまでの作業はすべて消えますか?

戻した時点以降の変更は反映されなくなります。だからこそ、作業の区切りごとに状態を保存しておくことが重要です。保存点が細かいほど、失う範囲を小さくできます。

エラーメッセージが英語で意味が分かりません。

そのままLovableに貼り付けて、状況の説明と合わせて調査を依頼してください。翻訳して意訳するより、原文のまま渡すほうが正確に伝わります。

プレビューでは動くのに、公開すると動きません。

環境の違いが原因のことが多い症状です。とくに外部サービスとの連携は、プレビューでは動作せず本番へのデプロイが必要な場合があります。各連携のドキュメントで前提条件を確認してください。

複数人で同時に触ると壊れませんか?

同じ箇所を同時に変更すれば競合します。誰がどの画面を担当するかを決めるか、時間を分けて作業してください。Git同期を使っている場合は、Lovableが一度に同期できるのが1ブランチである点も踏まえて運用を設計します。

同じ指示なのに毎回結果が違います。

生成には揺らぎがあります。再現性を高めたい場合は、配色や寸法を数値で指定し、変更してはいけない範囲を明示してください。感覚語だけの指示ほど揺らぎが大きくなります。

どうしても解決しないときは、作り直すべきですか?

対象が小さければ、作り直しのほうが速いことは実際にあります。判断の目安は、切り分けに30分以上かけても原因が絞れないかどうかです。ただし作り直す前に、なぜ詰まったのかを1行で書き残してください。同じ設計で作り直せば、同じ場所で詰まります。

まとめ:詰まりどころは4種類しかない

Lovableで作業が止まる原因は、生成が意図とずれる、修正が発散する、公開に失敗する、作業自体が止まるの4種類に集約されます。それぞれ対処が異なるため、修正を始める前に、どれに当たるかを見分けることが最短経路になります。

生成のずれは、実装方法ではなく望む結果で書き、変更範囲を明示することで解消します。発散したら修正を続けず、自動修正を試し、調査させ、それでも収束しなければ巻き戻します。公開の失敗はファイルサイズとDNSが定番で、独自ドメインでのログイン不可は認証のリダイレクトURLの未更新が原因です。

そして最も効くのは、詰まってからの対処ではなく進め方の設計です。区切りごとに保存し、1メッセージ1変更を守り、大きな判断はPlan modeで済ませ、実データで設計する。この4点を社内の標準手順にすれば、同じ壁に全員がぶつかる事態を避けられます。

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