インターネットとスマートフォンの普及により、顧客は検索をして情報収集をするようになりました。
Letro「生活者の購買行動におけるUGC影響度調査 2022」によると、実に購入前の情報収集で「検索エンジン」が最も多いと明らかになりました。つまり、顧客が自社にとって重要なキーワードで検索したとき、自社コンテンツが表示されなければ、大きなビジネスチャンスを逃してしまい、最悪の場合は競合に流れてしまうのです。
そこで注目されるのがSEO(検索エンジン最適化)対策です。SEOとは、Googleやヤフーなどの検索結果で自社サイトの上位表示を狙う施策が含まれます。適切にSEO対策を行えば、潜在顧客を確実に自社に引き寄せることができるのです。
しかし、SEO対策は単にコンテンツ制作をするだけでは不十分です。検索順位を決める仕組みや、効果的なSEO施策の種類など、SEOに関する知識を理解する必要があります。
そこで本記事では、SEO対策に取り組もうとしている方に向けて、必要不可欠なSEOの知識を徹底解説します。SEOの本質を理解し、自社のウェブサイトを検索上位に押し上げる施策を立案していただければ幸いです。
SEO(検索エンジン最適化)とは、自社サイトやページが検索エンジンの結果でより高いランキングを獲得し、より多くの訪問者を引き寄せることを目的とした施策です。まずはSEOの本質や種類、歴史などについて見ていきましょう。
SEOとは、GoogleやYahooなどの検索エンジンで、自社サイトの上位表示を狙い、多くの訪問者を集める施策のことです。
たとえば、「ウェブマーケティング」とGoogleで検索したとき、上記画像の青枠部分がSEOで狙う位置です。このサイトは検索結果ランキング1位であり、多くのユーザーがこのサイトに訪問することが考えられます。
SEO施策はさまざまありますが、その核心はシンプルで、ユーザーのニーズに応えるサイトを構築することです。ユーザーが求める情報を提供するコンテンツ制作は当然ながら、ユーザーにとって利便性の高いサイト構築、すなわちウェブページが素早く表示され、ナビゲーションが簡単で理解しやすく、モバイルフレンドリーなサイトも構築しなければいけません。
SEOはユーザーファーストを徹底した施策ともいえるでしょう。
SEOは単に質の高いコンテンツを制作するだけの施策ではありません。SEOは多岐にわたる技術と戦略を含む複雑な施策であり、そのアプローチは大きく分けて「内部SEO」、「外部SEO」、「コンテンツSEO」という三つの主要なカテゴリーに分類されます。
これら3つの施策にバランスよく取り組むことで、ユーザーと検索エンジンに評価され、自社サイトを上位表示できるようになるのです。各施策の詳細については、後ほど解説いたします。
検索エンジンと一口に言っても、GoogleやYahoo、Bingなどさまざまな種類があるため、どの検索エンジンに向けてSEO対策をすればよいのかと悩む方はいるでしょう。下記画像は、statcounterによる日本の検索エンジンのシェアをまとめたチャートです。
出典:statcounter
このチャートが示すように、日本の検索エンジン市場では、Googleが圧倒的なシェアを持ち、市場の約80%を占めています。残りのシェアは主にYahoo! Japanが占め、3番目に多いのがBingです。
この現状を踏まえると、GoogleとYahoo!を対象にしたSEO対策をするのがよいでしょう。なおGoogleとYahooは同じ検索アルゴリズムを使用しているため、GoogleとYahoo! JAPANの対策は同時に可能です。
Bingのシェアは日本では非常に低く、全体の約8%です。しかし、Bingは独自のアルゴリズムを持ち、時にはGoogleとは異なる検索結果を表示することもあります。
日本市場では、SEO戦略を立てる際にGoogleを中心に考えることが一般的ですが、重要なのは自社の顧客が活用する検索エンジンの対策をすることです。顧客がGoogleを使うならばGoogle中心のSEO対策、Bingを使うならばBing中心のSEO対策をしましょう。
SEO対策を考える上で、Googleのビジネスモデルを理解することは非常に重要です。
Googleは、YouTubeやPlayストア、スマートフォンなど多岐にわたる事業を展開していますが、最大の収益源は検索結果画面に表示される広告です。つまり、Googleは多くのユーザーに検索エンジンとして活用されなければ、大きな収益を上げることはできません。
では、Googleがどのようにしてユーザーを惹きつけ続けているのでしょうか。その答えは、ユーザーのニーズに合った高品質なコンテンツを提供し続けることにあります。ユーザーが求める情報を的確に提供できれば、ユーザーはGoogleを繰り返し使用するようになります。そして、Googleはそのユーザー集客力を武器に広告収益を最大化していくのです。
つまり、SEO対策の本質とは、Googleのビジネスモデルと密接に関係しているのです。ユーザーにとって価値のある情報を発信し、Googleの評価を高めることで、自社サイトの検索上位表示を目指すことができるのです。
SEOの歴史は、インターネットの発展と密接に関連しています。SEOは1990年代の初期インターネット時代から始まりました。当時の検索エンジンのアルゴリズムは単純で、キーワードの詰め込みやメタタグの不適切な使用など、比較的簡単な手法を使って、上位ランキング表示を達成していました。
しかし、ユーザーの検索体験を向上させるため、Googleをはじめとする主要な検索エンジンはその後、検索アルゴリズムを徐々に進化させてきたのです。2000年代に入ると、Googleはページランクアルゴリズムを導入しました。これにより、ウェブサイトのリンクの量だけでなく、そのリンクの質(信頼性や権威性)も検索順位に大きな影響を及ぼすようになったのです。
2010年代になると、コンテンツの質とユーザー体験がさらに重要視されるようになりました。モバイル端末への対応やウェブサイトの読み込み速度など、技術的な側面もSEOの重要な要素として認識されるようになりました。
近年では、Googleが機械学習技術を活用してアルゴリズムをさらに進化させ、ユーザーの検索意図をより深く理解し、それに最適な検索結果を提供できるようになってきています。
歴史を見てもわかるように、ユーザーに最適な体験を届けるために、SEOは常に変化し続けているのです。
検索順位が決まる仕組みを知ることで、アルゴリズムの変更や巷にあふれる信頼性の低い情報に惑わされることなく、本質的なSEO対策を行えるようになります。ここからは、検索順位が決まる仕組みを詳細に解説します。
Googleは「Google検索の基本事項」というドキュメントを通じて、ウェブサイトを最適化するためのガイドラインを提供しています。このガイドラインでは、主に技術的要件、スパムに関するポリシー、ベストプラクティスが記載されています。
たとえば、SEO入門者の方はURLを設定しないことが多いですが、このドキュメントではユーザーにとって役に立つ、すなわちコンテンツ内容を表すURLの作成が推奨されているのです。有益なコンテンツ作成のポイントや、サイトのSEO対策などSEO対策の基本が丁寧にまとめられています。
「Google検索の基本事項」を読んでからSEO対策をするかどうかで、効率性は大きく変わってくるといっても過言ではありません。まずは「Google検索の基本事項」を読み込み、SEO対策の基礎を理解しましょう。クオリティの高いコンテンツを作成することの重要性が強調されており、ウェブサイトが検索エンジンの目から見ても「価値あるリソース」と見なされるための基準が示されています。
Googleが特に重視するのは、ユーザーにとって有益なコンテンツを制作することです。このため、Googleは「E-E-A-T(専門性、エクスペリエンス、権威性、信頼性)」という概念を導入しています。これは、特に健康、金融、法律といった「Your Money or Your Life(YMYL)」と呼ばれるトピックにおいて、情報の正確性が極めて重要とされる領域で強く求められる品質の指標です。
これらの要素は、Googleがコンテンツの品質を判断する際に重要な役割を果たします。高いE-E-A-Tを示すコンテンツは、Googleによって高く評価され、検索結果の上位に表示される可能性が高まるのです。
Googleはコンテンツ制作の際、以下の要素を考えることを推奨しています。
これらを意識することで、E-E-A-Tに沿った有益なコンテンツを作成できるのです。
ウェブサイトのコンテンツに独自性があるかどうかは、Googleが検索結果のランキングを決定する上で重要な要素です。独自性とは、単にオリジナルなテキストを書くだけではなく、ユーザーに対して新しい価値やインサイトを提供することを意味します。具体的には以下のようなことが考えられます。
たとえば、サイト分析ツールを提供するWACUL社は、定期的に自社の調査データを公開しています。これにより、ユーザーにとって有益な情報を発信するとともに、自社の専門性や権威性を示すことができるのです。
検索エンジンはこうした独自性の高いコンテンツを高く評価し、上位表示につなげる傾向にあります。一方ユーザー側からも、新しい発見や学びがあるコンテンツは、より共有されたり再訪問されやすくなります。
つまり、ウェブサイトの価値を高めるためには、単なる量的な情報提供ではなく、ユーザーにとって意味のある独自性のあるコンテンツを作ることが重要なのです。
GoogleはSEOに取り組む方が従うべき明確な基本原則を設けています。これには、ユーザーを第一に考える、ユーザーをだますコンテンツを作成しない、検索エンジンではなく人間を対象にコンテンツを作成するなどが含まれます。
また、Googleはスパム行為を厳しく禁じており、キーワードの過剰な使用、隠しテキストやリンク、リンクスパムなど、ユーザーの検索体験を損なう行為はペナルティの対象となるのです。これらの原則を遵守することで、サイトはGoogleによって信頼され、ランキングが改善される可能性が高まります。
Googleが内容を把握しやすいウェブサイト設計もSEOにおいては重要です。なぜなら、コンテンツを公開したからといって、必ずしも検索結果画面に反映されるとは限らないためです。まずはGoogleに自社コンテンツを理解してもらう必要があります。
まずは、コンテンツが検索結果画面に表示される流れを見てみましょう。
つまり、まずはクローラーに自社コンテンツを見つけ、理解してもらい、インデックスしてもらわなければいけません。
かつては無条件でインデックスされていましたが、コンテンツの数が無数に増えた現代においては、無条件でインデックスされることはありません。クローラーが理解しやすいサイト構造を構築することで、効率よくインデックスしてもらえ、早く検索結果に表示されるようになります。
Googleは定期的にアルゴリズムを更新し、検索エンジンの精度を向上させています。ここからは、4つの主要アップデートを見ていきましょう。各アップデートの目的や特徴を理解することで、今後の対策を講じられるようになります。
2011年に実施されたパンダアップデートでは、コンテンツ品質が重要視されるようになりました。このアップデートの主な目的は、低品質なコンテンツを持つサイトをペナルティ対象にし、高品質なコンテンツを提供するサイトを高く評価することです。
パンダアップデートにより、重複コンテンツ、内容の薄いコンテンツ、またはユーザーにとってあまり価値がないコンテンツを多く含むウェブサイトはランキングが下がるようになりました。
2011年に行われたフレッシュネスアップデートでは、最新の情報を含むコンテンツが高く評価されるようになりました。
このアップデートにより、ニュース、イベント、定期的に更新されるべきトピック(たとえば、製品レビューや最新の市場データなど)に関連する検索語句では、新しく公開されたり、最近更新されたコンテンツが検索結果で高く評価されるようになったのです。
フレッシュネスアップデートにより、SEO担当者はコンテンツを公開して終わりではなく、定期的にリライトをして情報の鮮度を保つことが求められるようになりました。
ペンギンアップデートは2012年に実施されました。主な目的は、ウェブサイトが検索エンジンランキングを操作するために行っていた、過剰なリンク構築活動に対処することです。
ペンギンアップデート以前は、多くのウェブサイトが質より量を優先して、関連性の低いサイトから大量の被リンクを購入または獲得していました。そのため、被リンクを多く持つ価値のないサイトが上位表示されていたのです。
ペンギンアップデートは、これらの行為を検出し、スパムと見なされるリンクを持つサイトにペナルティを適用しました。このアップデートにより、SEO業界はより透明性を持ち、倫理的なリンク構築の実践に重きを置くようになりました。
健康アップデートは2018年に導入され、特に医療、健康、金融などの「Your Money or Your Life」カテゴリのウェブサイトに大きな影響を与えました。このアップデートは、YMYLカテゴリのサイトが高い専門性、権威性、信頼性(E-A-T)を示すことを要求します。
背景としては、医療や金融など人々の健康や幸福に直接的な影響を与えながらも、根拠のない情報を提供するサイトが上位表示されていたことにあります。健康アップデート以降、医療や健康に関する情報を提供するウェブサイトは、より信頼できる情報源からの引用や、資格を持つ専門家によるコンテンツ提供が求められるようになりました。
SEOの戦略は主に、内部対策(オンページSEO)、外部対策(オフページSEO)、コンテンツ施策の3つに分けられます。1つの施策に偏るのではなく、各施策をバランスよく進めることで、上位表示を達成できます。ここからは、各対策の詳細を見ていきましょう。
SEOの内部対策は、ウェブサイトの内容や構造を最適化する施策のことです。主な施策は以下の通りになります。
内部対策をすることで、Googleがコンテンツを理解できるだけではなく、ユーザーのサイト体験も向上し、結果的にランキング上位へとつながります。たとえば、Googleの調査ではモバイルページの読み込み速度が3秒以上かかると53%の訪問者が離脱すると判明しており、ページ読み込み速度を改善するだけで、ユーザーの滞在率が大幅に上がることを期待できます。
どれだけ優れたコンテンツを制作しても、表示時間が遅かったり、適切に構造化されていなかったりすれば、Googleとユーザーには適切に評価されません。内部対策は、コンテンツを適切に評価してもらうための、土台作りともいえるでしょう。
SEOの外部対策は、外部サイトより自社サイトを評価してもらい、自社サイトの信頼性と権威性を高める施策のことです。主に他サイトに自社コンテンツのリンクを張ってもらう被リンクの獲得がメインとなります。
なぜ被リンクが重要かといえば、被リンクはサイトの信頼性の証明となるためです。Googleの公式サイトでも、被リンクの重要性が明記されています。
(信頼性の)判定を支援するために使用している要因の 1 つに、そのコンテンツへのリンクまたは言及が他の著名なウェブサイトに含まれているか把握するということがあります。含まれていれば、多くの場合、その情報の信頼性が高いことを示す十分なしるしとなります。
被リンク獲得のためには、独自性があり、有益なコンテンツ制作が必要です。それを大前提として、コンテンツの露出を増やす施策や関連するサイトへの被リンク提案などを行わなければいけません。
SEO コンテンツ施策は、検索エンジンのランキングを向上させるため、ユーザーニーズに合ったコンテンツの計画、制作、配信、分析と改善をする一連の取り組みです。コンテンツ施策はSEOの内部対策の一環として位置づけられます。コンテンツ施策の主な要素は以下の通りです。
コンテンツ施策はSEO対策の根幹を担うもので、ここに大きな時間と労力をかけるようにしましょう。
ドメインパワーとは、ウェブサイトの信頼性と権威性を示す数値で、検索エンジンがウェブサイトをどの程度信頼しているかを測る指標です。ここからは、ドメインパワーの特徴や重要性を見ていきましょう。
そもそもドメインパワーを提唱したのはGoogleではなく、世界的に有名なSEOツールを提供するMozです。Mozによれば、ドメインパワーとはウェブサイトが検索結果ページにランクインする可能性を予測する数値であり、サイトの歴史や被リンクの数と質など複数要因で決まります。
ドメインパワーを理解する上で重要なポイントは、MozとGoogleが明言するように、ドメインパワーが検索ランキングに直接的な影響を与えることはないということ。
「ドメインパワーがランキングに直接的な影響を与えないのなら、それほど重要ではないのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし、ドメインパワーは効果的なSEO戦略を立案するうえで重要な指標なのです。
ドメインパワーは相対的な指標であり、競合サイトとの比較分析に活用できます。たとえば、自社サイトよりもドメインパワーの低いサイトが上位表示できているキーワードがあれば、そのキーワードでコンテンツ制作をすることで、自社サイトも上位表示できる可能性が高まります。
また、どのようなサイトから被リンクを得ているかを分析することで、自社に興味関心を持つサイトの特徴を把握でき、効果的な被リンク戦略の立案につなげられます。
出典:ahrefs
さらに、ahrefsの調査結果では、ドメインパワーとランキングに明確な比例関係があることが判明しています。コンテンツやサイトの質が同等の場合、ドメインパワーがランキングを左右する大きな要因となるのです。したがって、定期的にドメインパワーを確認し、その推移を把握しておくことが重要です。
ドメインパワーを高めるには、信頼性の高いサイトからの被リンク獲得が有効となります。そのためには、引用されやすい良質で独自性のあるコンテンツ制作が不可欠です。
ただし、SEO初期段階では、優れたコンテンツを制作しても自然とたくさんの人に見てもらえるわけではありません。そこで、SNSでの拡散やプレスリリース、メルマガなど、積極的にコンテンツを届ける取り組みも重要になります。
つまり、ドメインパワーは単なる数値以上の意味を持つ指標なのです。SEO担当者は、ドメインパワーの重要性を理解し、競合分析や被リンク戦略、コンテンツ施策などに活用していくべきでしょう。
SEOにおけるキーワードとは、ユーザーが検索エンジンで入力する語句のことで、ユーザーニーズの把握やコンテンツ作成の指針となります。適切なキーワード選定をしなければ、自社と関連性のあるユーザーとの接点の構築はできません。ここからは、キーワード選定の重要性と4つの検索意図をご紹介します。
SEOにおけるキーワード選定が重要な理由は、主に2つあります。
1つめが、自社のサービスや製品に関心のある潜在顧客とつながるためです。検索エンジン上位に表示されるためには、ユーザーが使用する検索キーワードを的確に把握し、それに最適化されたコンテンツを提供することが不可欠です。
たとえば、分析会社がSEO対策に取り組む場合、「アンケート調査」や「市場調査」などをキーワード選定すれば、自社サービスと関連性の高い潜在顧客にリーチできます。ターゲットユーザーが使用するキーワードを見落とすと、関心のある顧客層とつながることができません。
2つめは、ユーザーの検索ニーズを深く理解できるためです。単にキーワードの表面的な意味だけでなく、ユーザーの潜在的な意図や課題も読み取ることができます。
たとえば、「筋トレウェア 安い」というキーワードには、「ジムで着れる服を低価格で購入したい」というユーザーの潜在的なニーズが隠れています。ニーズの把握により、ユーザーにとって真に価値のあるコンテンツを提供することができるのです。
つまり、SEO施策の根幹をなすキーワード選定は、的確なターゲティングと、ユーザーニーズの深い理解を可能にするのです。
検索意図は、ユーザーが検索エンジンにキーワードを入力するときの背後にある目的です。検索意図は大きく4つのカテゴリーに分類されます。
これらの検索意図を理解し、それぞれに適したコンテンツを作成することで、検索エンジンでの効果的なパフォーマンスとユーザーエンゲージメントを実現できます。
それでは、SEOにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは、SEO対策に取り組む4つのメリットをご紹介します。
SEOのメリットの一つは、高いランキングを通じて、自社サイトへのトラフィックを増加させることができる点です。検索結果で上位に表示されるウェブサイトは、より多くのクリックと訪問を獲得します。
出典:Backlinko
Backlinkoの調査によれば、Googleの検索結果画面1位に表示されるページの平均クリック率は27.6%とのこと。たとえば、月に10万回検索されるキーワードで1位表示を達成できれば、そのキーワードだけで月に27,600の流入が見込めるわけです。
アルゴリズムの変更や競合状況などにもよりますが、一度上位にランクインできれば、大きなコストをかけることなく、数か月もしくは1年以上にわたって集客効果を見込めます。低コストで多くの潜在顧客との接点を構築できるのは、SEOの大きなメリットでしょう。
SEOは質の高い見込み客を獲得できる施策として評価されています。HubSpotの調査によれば、マーケティング担当者の60%が「SEOやブログ記事などはもっとも質の高い見込み客を生み出す」と回答しています。
その理由としては、検索ユーザーが特定のニーズや問題解決を求めて自発的に検索を行っているため、その時点で製品やサービスに対する関心が既に高い状態のためです。また、質の高いコンテンツを提供し続けることで、ユーザーの信頼や興味関心を高められることにも寄与します。
顧客に転換する可能性が低い見込み客を回避できるため、費用対効果の向上や営業の負担などへつながるのです。
良質なコンテンツは、企業にとって大きな資産となります。東海東京証券によれば、資産とは個人や企業が所有する財産であり、将来的に企業や個人に収益をもたらす可能性がある有形資産や無形資産のこと。つまり、時間とともに価値が高まるSEOコンテンツもまた企業にとっての資産になるのです。
これはSEOならではの大きな強みといえます。なぜなら、リスティング広告やSNS広告などは、費用を支払っている間だけ効果を発揮する施策ですが、SEOで制作したコンテンツは長期的に企業に収益をもたらし続けるからです。追加費用を支払わなくても、制作したブログ記事が何年経っても見込み客を獲得し続けることがあります。
さらに、SEOコンテンツは他のチャネルでも活用できます。動画コンテンツ、ホワイトペーパー、メルマガ、SNSなど、多様な媒体で再利用できるのです。
このようにコンテンツを企業の資産と捉えれば、SEOに取り組むことへのハードルは格段に低くなります。SEOは単なる支出ではなく、長期的な投資なのです。
SEOは費用対効果の高い施策として高く評価されています。
有料広告と比べると、SEOには初期投資が必要ですが、一度上位表示されれば、追加費用なしにトラフィックを維持し続けられるのが大きな魅力です。
さらに、ターゲットとするキーワードでサイトが上位表示されれば、関心の高いユーザーに直接アプローチできます。その結果、リードの質が向上し、コンバージョン率も高まるため、長期的にはROI(費用対効果)も大きくなります。
特に、BtoBビジネスなど商材単価が高い分野では、SEOの費用対効果が非常に高くなる傾向にあります。
たとえば、ある企業が月に20万円をかけてSEO施策に取り組んだ場合を考えてみましょう。SEOで月5万人のユーザーを獲得し、そのうち2%の1,000人がメルマガ登録をします。さらに、そのメルマガ登録者の2%にあたる20人が商談に至り、そのうち3名が100万円の商材を購入したとします。
この場合、SEO費用20万円に対して、300万円の売上を得られたことになり、ROIは14倍にもなります。
つまり、わずか月20万円の投資で、14倍もの収益を上げられるのがSEOの大きな魅力なのです。ビジネスにおいて、このような費用対効果の高さは魅力的ではないでしょうか。
近年、テクノロジーの進化により商品やサービスの機能面での差別化が難しくなる中、ブランドの信頼性が購買の重要な要因となっています。
Edelmanの「2023 Trust Barometer Special Report」によると、消費者の59%が信頼できるブランドから購入すると回答しています。また、Adobeの研究では、消費者は信頼できるブランドから繰り返し購入する一方で、信頼が損なわれた場合にはそのブランドからの購入を停止するという傾向も明らかになっています。
このような状況下で、SEOを活用して自社のブランド信頼性を高めることができます。高品質なコンテンツを一貫して提供し、SEOを通じて検索結果の上位に表示されれば、ユーザーにとってそのコンテンツ(そしてブランド)が信頼できる情報源として認識されるのです。
さらに、専門的な知識や自社ノウハウなどを発信することで、自社の業界内での権威性と評判を高めることも可能です。ブランドの信頼性を確立することは、競争が激しい市場で差別化を図り、継続的な顧客獲得につなげるための重要な要素となります。
SEOは多くのメリットを生み出す施策ですが、いくつかの注意点もあります。ここからは、SEO対策時に注意するべきポイントをご紹介します。
コンテンツの文字数や長さは、そのトピックをどの程度詳細に扱っているかの目安となりますが、必ずしも「長ければ良い」というわけではありません。重要なのは、コンテンツがユーザーのニーズを満たせているかどうかです。
検索エンジンは、ユーザーに最も関連性の高い情報を提供することを目的としています。そのため、不必要に長すぎるコンテンツは逆効果になる可能性があります。
たとえば、「seo ツール 比較」というキーワードで検索すると、上位には1万文字を超える長文の記事が多数表示されます。これは、さまざまなSEOツールの特徴を詳しく比較し、検索ユーザーのニーズに応えるためです。
一方、「パレートの法則」と検索した場合、上位には1,000文字程度の用語解説ページが表示されます。これは、検索ユーザーが用語の意味や使い方を素早く確認したいというニーズに合わせた長さだと考えられます。
このように、狙うキーワードやトピックによって、最適なコンテンツの長さは異なってきます。競合他社のコンテンツを分析することで、ターゲットユーザーにとって適切な長さを見極められるでしょう。
コンテンツ制作にあたっては、単に長さを追求するのではなく、ユーザーニーズに応えられる内容と分量を見極めることが重要です。
モバイルファーストインデックスとは、Googleがウェブサイトの検索ランキングを決定する際に、スマートフォンなどのモバイルバージョンのコンテンツを優先して評価するシステムです。つまり、モバイルバージョンのウェブサイトの構造やコンテンツが検索エンジンによる評価の基準となります。
ウェブサイトはモバイルデバイスでの表示に最適化されている必要があり、ページ読み込み時間の短縮、タッチフレンドリーなデザイン、縮小表示が不要なレイアウトなどが求められます。
被リンクは他のウェブサイトから自サイトへのリンクであり、SEOにおいて重要な役割を果たします。すでにご紹介した通り、被リンクは自社サイトの信頼性を示す指標です。初期のSEO戦略ではリンクの量が強調されがちでしたが、現在ではリンクの質がより重要視されています。
リンクの「質」とは、リンク元のウェブサイトの権威性と関連性を意味します。たとえば、業界内で高い評価を受けている専門ブログやニュースサイト、教育機関などからの被リンクは、SEOにおいて非常に価値が高いです。
反対に、スパムを含むような低品質なサイトからのリンクは、サイトの評価を下げる原因となり得ます。実際にGoogleは、スパム行為のあるリンクや品質の低いリンクなどは削除することを推奨しています。
SEOは短期間で成果が出るものではありません。不動産や株式と同様に、時間の経過とともに徐々に価値が高まる資産です。
出典:WACUL株式会社
WACUL株式会社の調査によれば、情報提供型のSEOコンテンツは60本あたりから徐々に成果が表れ始め、100本を超えると加速的に成果が増加すると判明しています。つまり、少なくとも質の高いコンテンツを60本は公開しなければ、成果は出ません。月に4本コンテンツを公開しても、15か月はかかります。
この調査が示すように、SEOの成果が現れるまでには、通常数ヶ月から時には数年かかることもあります。これは、検索エンジンが新しいコンテンツや変更をクロールし、インデックスを更新するのに時間がかかるためです。
そのため、顧客基盤が確立していない場合は、SEOに取り組みつつ、リスティング広告などの短期間で成果を上げられる施策を組み合わせる必要があります。
生成AIを活用したコンテンツ制作は、SEO戦略において効率性と質の両方を大幅に向上させることができます。「生成AIによるコンテンツは評価されない」と誤解されることが多いですが、Googleは制作方法を問わず、有用で有益なオリジナルコンテンツを評価すると明言しています。つまり、重要なのはコンテンツの質であって、制作方法ではないのです。
生成AIを活用すれば、コンテンツ制作の効率性と品質の両面で大幅な向上が期待できます。しかし、生成AIは誤った情報の提供や不自然な文章を生成する可能性があるため、コンテンツ制作を丸投げするのは避けるべきです。
適切な活用方法としては、以下のようなプロセスが考えられます。
このように、生成AIと人間がタッグを組むことで、効率的かつ有益なコンテンツを制作できるのです。
トピッククラスターとは、1つのメイントピック(メインキーワード)と、そのサブトピック(関連キーワード)ページから構成されるコンテンツの体系化手法です。これには2つの大きなメリットがあります。
出典:HubSpot
1つ目は、ターゲットペルソナごとにコンテンツ制作が可能になる点です。たとえば、MA(マーケティングオートメーション)ツールの提供企業では、ターゲットが製造業、サイバーセキュリティ企業、IT企業など多岐にわたり、それぞれで求められるコンテンツが異なります。トピッククラスターを活用すれば、各ターゲットに最適化したきめ細かなコンテンツ制作が行えるのです。
2つ目は、検索エンジンからの評価が高まる点です。各サブトピックページがメインのトピックページにリンクされることで、サイト構造が整理され、Googleなどの検索エンジンが内容を正確に理解しやすくなります。
その結果、トピックに関連するキーワードでの検索順位が向上する可能性が高まります。また、トピッククラスター戦略はウェブサイト全体のトピック関連性を強化し、ドメインの権威構築にもつながるのです。
つまり、トピッククラスターを意識したコンテンツ管理は、ターゲットを意識したきめ細かなコンテンツ制作と、検索エンジンからの高評価の両立を可能にします。
最後に、SEO対策をする際に役立つツールをご紹介します。
Google Search Consoleは、自サイトの検索パフォーマンスを測定し、Googleの検索結果における表示を最適化するための無料ツールです。主な機能は以下の通りです。
たとえば、Google サーチコンソールでウェブサイトに流入するキーワードを分析したとします。この分析で、ターゲットとしていたキーワード以外にも多くのトラフィックを生み出しているキーワードがあると分かった場合、そのキーワードに特化したコンテンツの最適化を行えます。
サーチコンソールはSEO対策における重要ツールです。初めのうちは難しく感じるかもしれませんが、実際に操作を重ねることで使いこなせるようになりましょう。
Google Analyticsは、ウェブサイトのトラフィックを分析し、そのデータをもとにユーザー行動の理解を深めるためのツールです。
Googleサーチコンソールがウェブサイト訪問「前」のデータ分析なのに対し、Google Analyticsは主にウェブサイト訪問「後」のユーザー分析をします。具体的には、訪問者がどこから来たか、サイト内でどのように行動しているか、どのページで離脱をしたのか、そしてどのページが最も効果的に目標達成に貢献しているかなどの確認が可能です。
たとえば、上位表示できていながらも離脱率が高いページは、ランキング低下につながる可能性があるため、改善の余地が十分にあります。ユーザーは有益な情報を見つけられなければ訪問から10〜20秒で離脱するとのデータを踏まえると、記事の導入文や前半をリライトするといった施策が考えられるでしょう。
Google Analyticsとサーチコンソールはウェブマーケティングの定番ツールのため、どちらも活用できるようにしましょう。
出典:Google 広告
Google キーワードプランナーは、Google広告の一環として提供されている無料のツールで、主に広告キャンペーン用のキーワードリサーチに活用されています。しかし、このツールはSEOのキーワード選定にも非有効です。
このツールのメリットは、自社サイトのターゲットキーワードに関する詳細なデータを得られることにあります。具体的には、月間の検索ボリューム、競合他社の競争状況、関連キーワードなどを確認できます。これらの情報は、効果的なキーワード戦略を立案する上で不可欠です。
ただし、Google キーワードプランナーを最大限活用するには、少額でもGoogle広告を出稿する必要があります。たとえば、無料バージョンでも大まかな検索ボリュームの把握はできますが、正確な検索ボリュームを確認するにはGoogle広告の出稿が必要です。
出典:ahrefs
Ahrefsは、世界で60万人が利用する有料のSEOツールです。サイト監査、被リンク分析、競合他社分析、キーワードリサーチなど、SEO対策に必要な機能を網羅しています。特に被リンク分析機能は高く評価されており、自サイトまたは競合他社のサイトへのリンクを詳細に調べることが可能です。
また、どのキーワードでどのページがランクインしているかを調査し、さらにはそのキーワードの検索ボリュームやクリック率、競争度まで分析します。自社サイトと競合サイトのランキング調査機能もあり、毎週決まったタイミングでレポートを自動送信することも可能。
料金プランは4つあり、最安プランの料金は月額12,500円です。便利なツールですが、使いこなすにはSEOの知識が必要なため、徐々に成果が現れ予算も獲得できたころに導入を検討するとよいでしょう。
ページスピードインサイトはGoogleが提供する無料のツールで、ウェブサイトのページ速度とパフォーマンスを分析します。デスクトップとモバイルの両方でページの読み込みを評価し、パフォーマンスのスコアを提供します。
スコアは0から100までの範囲で、高いスコアはページが良好に最適化されていることを示します。さらに、ページスピードインサイトはページの問題点を特定し、具体的な改善提案を出すため、Web知識がない方でも効率よくページ速度の改善を行えます。
ページ読み込み速度は重要なランキング要因のため、定期的にページスピードインサイトで確認をしましょう。
Website GraderはHubSpotが提供する無料ツールで、ウェブサイトのパフォーマンス、モバイル対応性、SEO、セキュリティなど、さまざまな側面からサイトを評価します。ウェブサイトのURLを入力するだけで、これらのカテゴリに関する包括的なレポートを受け取ることができ、それぞれのカテゴリでのスコアと具体的な改善点が提示されます。
上記画像はあるサイトの分析結果です。SEOは満点の評価を得ているものの、パフォーマンスとセキュリティが低いです。パフォーマンスの詳細分析を見ると、ページ速度が悪く、その要因として画像サイズが最適化されていないことがわかります。
無料ツールとしては、有益なデータを提供してくれるため、定期的にサイトを確認するのがおすすめです。
顧客がインターネット上で情報収集をする場合、自社サイトを検索結果画面の上位に表示するSEOは重要な施策となります。SEO対策には技術的な側面もありますが、その本質はユーザーにとって有益な情報を提供することです。
Googleが掲げる10の真実にもSEOの本質が反映されています。
Googleは定期的にアルゴリズムの更新を行っていますが、その目的はユーザーの生活を豊かにすることです。つまり、Googleやその他検索エンジンを攻略するのではなく、ユーザーに良質な体験を提供するという意識を持ち続け、継続的にコンテンツを発信することが重要です。そうすれば、検索エンジンとユーザーの両方に評価されるウェブサイトを構築できるでしょう。