AIツールを導入したものの、AI活用が今どの段階にあるか、また会社全体として本当に成果につながっているか、気になったことはありませんか?
「AI導入の迷子」状態から脱却し、全社的な成果につなげるために必須なのが、AI成熟度モデル(AI Maturity Model)という考え方です。これは、AI活用において「自社がどの段階にいるのか」を客観的に把握し、次のステップを明確にするためのツールです。
先日、弊社では全社員がHubSpot AcademyのAI資格を取得いたしました。この取り組みを通じて改めて実感したのは、AI活用において「自社がどの段階にいるのか」を客観的に把握することの重要性です。
AIツールの導入は進んでいるものの、多くの企業様が「AIツールはいくつも導入したけれど、会社全体として本当に前進しているのか分からない」という共通の課題を抱えています。
AIの実証実験(PoC)は成功した。チャットボットも導入した。生成AIも使い始めた。でも、これらがバラバラに動いていて、全社的な成果につながっているか見えない。そんな「AI導入の迷子」状態から脱却するために必要なのが、AI成熟度モデルという考え方です。
AI成熟度モデルは、企業のAI活用レベルを客観的に評価し、次のステップを明確にする「羅針盤」のようなものです。登山に例えれば、今自分が何合目にいて、頂上までどんなルートがあるかを示す地図といえます。
私たち自身も、HubSpotのAI成熟度モデルを活用することで、「AIを使う」段階から「AIと共に働く」段階への道筋を明確にできました。このような成熟度モデルは、組織全体でAIに対する共通認識を持ち、リソースを戦略的に集中させるためにも極めて有効です。
世界的に認知されているAI成熟度モデルには、それぞれ異なる強みがあります。自社の抱える課題に応じて、最適なモデルを活用しましょう。
参考情報: IDC MaturityScape Benchmark: AI-Fueled Organization in Japan, 2025(有料レポート)
参考情報: Accenture レポート
参考情報: Microsoft Learn
参考情報: AWS Documentation
これらのモデルをどう活用すればよいでしょうか。私たちが推奨するAI戦略を策定するための3ステップをご紹介します。
| ステップ | 実施期間の目安 | 実施内容と目的 |
|---|---|---|
| 【ステップ1】 現在地の把握 |
1〜2週間 | IDCの5段階モデルで全社の現状を評価。経営層、事業部門、IT部門それぞれの視点で評価し、認識のズレを可視化します。 |
| 【ステップ2】 目指す姿の設定 |
2〜4週間 | Accentureの「Achievers」の特徴を参考に、1年後の到達目標をビジネス指標(売上向上、顧客満足度など)と紐づけて設定します。 |
| 【ステップ3】 ロードマップの策定 |
1〜2ヶ月 | Google Cloudの6テーマでボトルネックを特定し、四半期ごとの実行計画を立案。特に、人材育成とデータ整備は時間がかかるため、早期着手が鍵となります。 |
私たちが提唱している「AI Agent×CRM」の観点から一つ付け加えさせてください。
AI成熟度を高める際、顧客接点の改善は最も成果が見えやすい領域の一つです。例えば、HubSpotのようなCRMプラットフォームにAI Agentを組み込むことで、顧客対応の自動化から始まり、予測分析、パーソナライズされた提案まで、段階的に高度化できます。
重要なのは、一足飛びに高度な活用を目指すのではなく、成熟度モデルに沿って着実にステップアップすること。小さな成功体験を積み重ねながら、組織全体のAI活用能力を高めていくことが重要です。
今週、ぜひ試していただきたいのは、自社のAI活用状況を簡単に評価してみることです。
以下の3つの質問について、一度考えてみてください。
これらの答えから、自社がどの成熟度レベルにいるか、おぼろげながら見えてくるはずです。
AI活用の「現在地」を把握することは、AI戦略を成功させるための最初の、そして最も重要な一歩です。
今回ご紹介したAI成熟度モデルは、「AIツールの導入」で終わらず、「ビジネス成果への貢献」へと確実に道筋を描くための羅針盤となります。
AI活用の旅に「正解」はありません。しかし、「現在地」を知り、「目的地」を定め、「道筋」を描くことで、組織全体として確実に前進できます。変化を恐れるのではなく、この羅針盤を使って戦略的に一歩を踏み出しましょう。