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不動産業のHubSpot活用とは?ポータル反響を自社資産に変える顧客データ設計

作成者: 田村 慶|2026/11/04

国土交通省の令和6年度 宅地建物取引業法の施行状況調査によれば、令和6年度末時点の宅地建物取引業者数は132,291業者で、前年度から1,708業者(1.3%)増え、11年連続の増加となりました。内訳は大臣免許が3,158業者、知事免許が129,133業者です。

同調査の推移表を見ると、業者数は平成25年度末の122,127業者を底に増加へ転じ、令和6年度末の132,291業者は過去20年で最も多い水準にあります。市場に参加する事業者は増え続けている一方、同じ物件情報がポータルサイト上に並び、どの会社も同じ画面の中で比較されています。差がつくのは物件そのものではなく、問い合わせを受けた後に何が起きるかです。

私たちが不動産業の企業からご相談をいただくとき、最も多い実情は「反響は取れているが、成約に至らなかった人のデータが残っていない」というものです。ポータルサイトへの広告費は、顧客リストを買っているのではなく、1件の問い合わせを借りているにすぎません。この記事では、売買仲介・賃貸・管理・開発という業態ごとに、HubSpotで何をどう持つべきかを整理します。日本国内の公開事例は当社にまだないため、事例の部分はHubSpotが公開している海外の不動産企業の取り組みを扱います。

この記事のポイント

  • ポータル経由の反響は、問い合わせの権利を都度購入している状態。成約しなかった相手を自社のデータとして持てているかが、2年目以降の獲得コストを分ける
  • 物件を在庫として、顧客を追客対象として別々に持ち、関連付けで結ぶ。物件に顧客情報を紐づける設計にすると、物件が成約した瞬間に顧客データが行き場を失う
  • 売買仲介の検討期間は長く、接触の頻度ではなく検討段階に合った情報提供が成否を決める。海外では問い合わせ対応の自動化で処理量を3〜4倍にした事例がある

目次

  1. なぜ不動産業の反響は、追客が終わると消えてしまうのか?
  2. 売買・賃貸・管理・開発で、CRMの設計はどう変わるのか?
  3. 物件情報と顧客情報は、どちらを軸に持つべきか?
  4. 数か月から数年におよぶ追客は、どう仕組みにするのか?
  5. ポータル依存から抜けるには、何を自社に蓄積すればよいのか?
  6. 管理業務とオーナー対応は、CRMで何が変わるのか?
  7. 海外の不動産企業はHubSpotをどう使っているのか?
  8. 宅建業の法令対応で、CRM運用上どこに注意すべきか?
  9. 最初の90日は、どこから着手すべきか?
  10. よくある質問

なぜ不動産業の反響は、追客が終わると消えてしまうのか?

不動産業の営業現場には、独特の時間感覚があります。問い合わせが来た瞬間が勝負であり、初動の速さが成約を左右する。この感覚自体は正しいのですが、裏返すと「今すぐ動かない人」の優先度が極端に下がることを意味します。

結果として起きるのが、反響の大半が数週間で放置され、半年後には誰も覚えていない状態です。問い合わせをくれた時点では購入時期が未定だった人が、半年後に本格的に動き始めたとき、連絡が来るのは別の会社からです。

追客リストが担当者の端末にある限り、会社には何も残らない

多くの不動産会社で、追客中の顧客は営業担当個人のスプレッドシートや携帯電話の中にあります。この状態では、担当者が退職した時点で全員が消えます。組織としてデータを持てない状態がどう事業に効いてくるかは、データサイロの影響で整理しています。132,291業者が競合する市場で、唯一の差別化要素になりうる顧客との関係が、個人の持ち物になっている状況です。

私たちがCRMの設計に入るとき、最初に確認するのは「問い合わせから成約までに至らなかった人の記録が、会社として何件あるか」です。この問いに数字で答えられる会社は多くありません。

反響の質ではなく、反響の寿命を問題にする

広告費の議論は「反響の質が悪い」という方向に流れがちです。しかし質が悪いのではなく、検討時期が来ていないだけという場合がかなりあります。今月成約しない人を失注として扱うか、半年後の見込み客として扱うかで、同じ広告費から得られる成果は変わります。

HubSpotではライフサイクルステージで検討段階を管理し、今は動かない相手を「長期検討」として保持したまま、定期的な情報提供の対象にできます。失注として閉じるのは、他社で成約した、あるいは購入自体を取りやめたことが確認できた相手だけに限定してください。

売買・賃貸・管理・開発で、CRMの設計はどう変わるのか?

不動産業という括りの中には、商売の仕組みが根本的に違う4つの事業が入っています。設計を始める前に、自社がどれを主軸にしているかを決めないと、どの事業にも合わない中途半端な構成になります。

特に、売買仲介と賃貸仲介を同じパイプラインで管理するのは避けてください。検討期間が数か月から数年の売買と、数週間で決まる賃貸では、滞留日数の意味がまったく違います。混ぜると平均値が無意味になります。

事業 顧客との関係 CRMで重視する機能
売買仲介 検討期間が長く、再訪が少ない 長期の追客、検討段階の管理、条件に合う物件が出たときの通知
賃貸仲介 短期決戦、2〜4年後に再び動く 初動の速さ、契約更新期の再アプローチ
管理 オーナーと入居者の二者に対応 問い合わせ対応の記録、対応履歴のオーナー報告
開発・分譲 案件ごとに顧客を集める 物件単位のキャンペーン管理、資料請求から来場・成約までの歩留まり

全社で1つのCRMに統一する際につまずく論点は、CRM全社導入で失敗する企業と成功する企業にまとめています。この4つを1つのポータルで扱うこと自体は問題ありません。パイプラインを事業ごとに分けて、顧客データは共通で持つのが推奨される構成です。売買で接点を持った相手が数年後に賃貸や管理の顧客になることもあるため、顧客データ自体を分断しないでください。

仲介手数料の計上タイミングをどう持つか

取引の金額欄に何を入れるかは、事業ごとに決めておく必要があります。物件価格を入れるのか、受け取る仲介手数料を入れるのか。両方を見たい場合は、物件価格と手数料を別のプロパティとして持ち、計算プロパティで手数料率を自動算出する構成にします。

全社の売上を集計する際は、手数料側を使います。物件価格で集計すると、取り扱い総額という別の指標になり、損益計算とつながりません。

両手・片手の区別を記録する

同じ成約でも、売主・買主の双方から手数料を受け取る場合と片方のみの場合では、収益が倍違います。取引のプロパティとして取引態様を持たせておけば、担当者別の実績を手数料ベースで正確に比較できます。件数だけで評価すると、片手の案件を多く扱う担当者が過大評価されます。

物件情報と顧客情報は、どちらを軸に持つべきか?

不動産業のシステムは、ほぼ例外なく物件を中心に組まれています。物件があり、その物件に対する問い合わせがぶら下がる構造です。業務の実感に合っているため自然に見えますが、この構造には弱点があります。物件が成約または掲載終了になった瞬間、そこにぶら下がっていた顧客の行き場がなくなることです。

CRMでは逆にしてください。顧客を軸に置き、興味を持った物件を関連付けとして持ちます。こうすると、ある顧客が過去に3件の物件に問い合わせていたことが1画面で見え、条件の変遷も追えます。物件が消えても顧客は残ります。

物件をカスタムオブジェクトとして持つ場合の設計

設計の考え方はHubSpotカスタムオブジェクトの設計で扱っています。自社で売主物件や管理物件を抱えている場合は、物件をカスタムオブジェクトとして持つ価値があります。所在地・種別・価格帯・面積・築年・ステータスを属性に持たせ、コンタクトと取引の両方に関連付けます。

注意点は、物件情報の正をどこに置くかです。既存の物件管理システムやポータル入稿ツールがある場合、HubSpot側は参照用として読み取り専用にし、二重編集を防ぎます。同期の実装はプライベートアプリ経由のAPI連携で行うのが一般的です。

希望条件を構造化して持つ

追客を仕組みにするうえで要になるのが、顧客の希望条件です。エリア・予算上限・間取り・駅徒歩・入居希望時期を自由記述のメモではなく、選択式や数値のプロパティとして持ちます。構造化されていれば、新着物件が出たときに「この条件に合致する顧客」をリストとして抽出できます。メモに書かれた文章は検索できません。

条件は変わるものなので、更新のたびに上書きします。変遷を追いたい場合は、問い合わせ時点の条件を取引側に、現在の条件をコンタクト側に持たせる二段構えにします。

数か月から数年におよぶ追客は、どう仕組みにするのか?

売買仲介の検討期間は長く、住み替えや相続がきっかけの場合は数年にわたることもあります。この期間、営業担当が記憶だけで追客することは不可能です。かといって、全員に同じメールを毎週送れば配信停止されます。

設計の基本は、時間で追うのではなく状態の変化で追うことです。入居希望時期が3か月以内になった、希望エリアを変更した、特定の物件ページを再訪した。こうした変化を検知したときに担当者へ通知するのが、最も確度の高いタイミングになります。

行動の変化をトリガーにする

HubSpotでは、サイト上の行動をコンタクトの履歴として記録できます。過去に問い合わせた顧客が再びサイトを訪れ、物件ページを複数閲覧していれば、検討が再開した可能性があります。ワークフローでこの条件を設定し、担当者にタスクを自動作成すれば、再訪のタイミングで連絡できます。

この仕組みが機能する前提として、サイトにトラッキングコードが設置されていること、そして顧客がメール経由でサイトに戻ってくる導線があることが必要です。メールを一度も送っていない相手の再訪は、個人として特定できません。

長期検討者向けの情報は、物件情報であってはならない

半年先・1年先に動く人に物件情報を送り続けても、見られずに終わります。この層に有効なのは、意思決定の材料になる情報です。住宅ローン金利の動向、相続した不動産の税務、売却のタイミングの考え方。こうした情報は検討の初期段階から必要とされ、提供した会社が相談先の候補として記憶されます。

配信の設計では、頻度を落とすことを恐れないでください。月1回でも、読まれる内容であれば関係は維持されます。配信設定ページで顧客自身が受け取る情報の種類を選べるようにしておくと、全解除ではなく部分的な調整で済みます。

ポータル依存から抜けるには、何を自社に蓄積すればよいのか?

ポータルサイトへの出稿をやめるべきだと言うつもりはありません。集客力は圧倒的であり、特に新規開拓では不可欠です。問題は、出稿を続けても自社に何も蓄積されない構造にあります。

蓄積すべきものは2つあります。1つは、問い合わせをくれた人の連絡先と希望条件。もう1つは、自社サイトが検索から直接集客できる状態です。前者はCRMの仕事、後者はコンテンツの仕事になります。

同じ人からの複数回の問い合わせを、1人として認識する

ポータル経由の反響は、物件ごとに別々の問い合わせとして届きます。同じ人が3件の物件に問い合わせても、システム上は3件の新規反響です。メールアドレスか電話番号で名寄せしない限り、同一人物だと分かりません。

HubSpotはメールアドレスでコンタクトを一意に扱うため、同じアドレスからの問い合わせは自動的に1レコードに集約されます。すでに重複が存在する場合は重複レコードの管理で統合します。名寄せが済むと、「3件問い合わせた人」という高関心層が抽出できるようになります。

地域と物件種別に特化した情報を、自社サイトに持つ

検索から直接集客するうえで、全国を対象にしたコンテンツでポータルと競うのは現実的ではありません。自社が強い地域、扱いの多い物件種別に絞った情報であれば、上位表示の可能性があります。「○○市 中古マンション 相場」のような検索は、ポータルの一般ページより地域に根ざした情報のほうが読者の役に立つ場合があります。

記事から問い合わせを受けるには、フォームの設置が要ります。フォームの送信データはそのままコンタクトとして蓄積され、どの記事経由で来た人が成約したかまで追えます。この経路別の成約率が見えると、広告費と記事制作費の配分を数字で判断できます。

管理業務とオーナー対応は、CRMで何が変わるのか?

賃貸管理を手がける会社にとって、収益の安定源は管理戸数です。そして管理契約が切れる理由の多くは、物件の問題ではなくオーナーとのコミュニケーション不足にあります。入居者からの問い合わせにどう対応したか、空室にどんな募集をかけたかが、オーナーに伝わっていない。

この領域はCRMというより、問い合わせ管理の仕組みが効きます。入居者からの連絡をチケットとして記録し、物件とオーナーに関連付けておけば、オーナーへの報告時に「今期この物件で何件の対応があり、何日で解決したか」を実績として示せます。

入居者とオーナーを同じ顧客データベースに入れてよいか

入れて構いませんが、必ず区別できる形にしてください。コンタクトのプロパティで「関係区分(オーナー/入居者/見込み客)」を持たせ、メール配信のリストが混ざらないようにします。オーナー向けの管理受託の案内が入居者に届く事故は、実際に起こります。

配信リストの作成では、リストの条件に関係区分を必ず含める運用をルール化してください。条件の付け忘れは、送信してからでは取り消せません。

対応履歴は、担当者の記憶から仕組みへ

管理業務の問い合わせは、設備の不具合・騒音・更新手続きといった定型的なものが大半を占めます。定型の対応は、テンプレート化と自動返信で処理時間を短縮できます。次節で触れる海外事例では、この領域の自動化で処理能力を数倍にしています。

海外の不動産企業はHubSpotをどう使っているのか?

ここでは、HubSpotが公式に公開している海外の不動産企業の事例を扱います。市場環境や商習慣は日本と異なるため、数値をそのまま自社の期待値とするのではなく、どの業務を仕組みに置き換えたのかという観点で読んでください。

3社に共通しているのは、担当者の対応力を上げたのではなく、対応しなくてよい業務を減らしている点です。

企業 規模 取り組みと公表されている成果
eXp Realty 29か国・8万2,000人以上の不動産専門家 定型的な問い合わせへの24時間対応をCustomer Agentに移行。第1四半期終了時点で解決率68%(初期の精度は45%)、追加人員なしで実現
Von Poll Immobilien 欧州350以上のオフィス・約1,500人 手作業だった初期対応を自動化。問い合わせが担当に届くまで24時間かかっていたものが数分に。同じ人数で3〜4倍の問い合わせ量を処理
Wahi カナダの不動産テック企業 2023年1月にSales Hub・Marketing Hub・Data Hubを導入。600以上のワークフローを運用し、導入後6か月と2024年上半期の比較で新規案件が月平均200%増、成約案件が400%増

Von Poll Immobilienの「24時間が数分に」という変化は、日本の不動産会社にとっても示唆があります。初動の速さが成約を左右するという前提は共通であり、その初動を人の手で維持するか仕組みで維持するかという選択の問題だからです。

海外事例を読むときに差し引くべき条件

公平に書けば、これらの事例をそのまま日本に当てはめることはできません。日本の不動産取引には、重要事項説明や宅地建物取引士による記名といった、対面と資格者を前提とする手続きがあります。問い合わせ対応の自動化が及ぶ範囲は、契約手続きの手前までです。

一方で、自動化の対象として挙げられている「ログインの問題」「書類の所在」「手続きの進め方」といった質問は、日本の不動産会社にも同じように寄せられています。契約そのものではなく、契約に至るまでの案内業務に限れば、同じ構造の問題があります。

宅建業の法令対応で、CRM運用上どこに注意すべきか?

不動産業は規制産業であり、顧客データの扱いには業法上の制約が関わります。ここでは法令解釈そのものではなく、CRMの設定として備えておくべき実務的な点を扱います。具体的な解釈は、自社の法務部門または顧問弁護士にご確認ください。

最初に押さえるべきは、誰がどのデータにアクセスできるかの設計です。宅建業者は顧客の資産状況や家族構成といった機微な情報を扱います。全社員が全顧客を閲覧できる状態は、情報管理の観点で望ましくありません。

店舗・担当者単位でアクセス範囲を分ける

HubSpotではチームを作成し、ユーザー権限で「自分のチームが担当するレコードのみ閲覧可能」と設定できます。複数店舗を展開している場合、店舗をチームとして定義するのが素直です。

導入初期に全件閲覧可能で始めて後から絞ると、現場からの反発が強くなります。最初から絞った状態で始め、必要に応じて広げるほうが運用は安定します。

広告表示の規制はメール配信にも及ぶ

不動産の広告には、不動産の表示に関する公正競争規約などのルールがあります。おとり広告の禁止や、必要な表示事項の明示といった要件は、ポータル掲載だけでなく自社から配信するメールにも関係します。

運用上の対策としては、メールのテンプレートを法務確認済みのものに限定し、担当者が自由に文面を作って一斉配信できない設定にすることです。個別のやり取りは制限せず、一斉配信のみテンプレート運用とするのが現実的な落としどころになります。

最初の90日は、どこから着手すべきか?

不動産業でCRMを導入する際、最初に手を付けるべきは新規の反響ではありません。すでに手元にある、成約に至らなかった顧客リストです。このリストは広告費を投じて獲得済みの資産であり、整理すれば追加コストなしで接触できます。

私たちが初期に設定する目標は、「過去1年の未成約リストから、1件の商談を再開させる」ことです。この1件が出ると、CRMへの投資が社内で説明しやすくなります。

最初の30日:反響の受け口を1本にする

ポータル、自社サイト、電話、来店。反響の入口が複数ある状態で、どこに記録するかが決まっていないと、データは分散します。最初の1か月は、すべての反響がHubSpotに入る状態を作ることに集中してください。

ポータルからの反響はメールで届くことが多いため、受信トレイ連携と転送設定で自動的にコンタクトを作成できます。電話の反響は手入力になりますが、入力項目を氏名・連絡先・希望条件の3点に絞れば、通話後1分で済みます。

31〜90日:未成約リストを整理して1通送る

2か月目に過去の未成約リストをインポートします。このとき、連絡先が有効かどうかは気にせず全件入れてください。無効なアドレスは配信時に判明します。

3か月目に、このリストへ1通だけメールを送ります。内容は物件の紹介ではなく、市況や制度変更といった判断材料にしてください。反応があった相手だけを担当者が追う流れにすると、少ない工数で検討再開者を拾えます。送信前に、配信停止の意思表示をしている相手が除外されているかを必ず確認してください。

よくある質問

Q1. 既存の不動産業向け業務システムがあります。HubSpotと両方必要ですか?

業務システムは物件と契約の管理に強く、CRMは成約前の顧客との関係管理に強いという違いがあります。両方必要かどうかは、成約前の顧客を何人抱えているかで決まります。追客対象が数十人なら業務システムのメモ機能で足りますが、数百人を超えると管理しきれません。

Q2. 小規模な会社でも導入する意味はありますか?

宅建業者の大半は小規模事業者であり、知事免許が129,133業者を占めています。人数が少ない会社ほど、担当者1人の退職で顧客との関係が失われる影響は大きくなります。規模が小さいことは導入しない理由にはなりませんが、機能を絞ることは重要です。最初はコンタクト管理とメール配信の2つで十分です。

Q3. レインズや物件ポータルとHubSpotを連携できますか?

標準の連携機能としては提供されていません。物件情報の取り込みが必要な場合、APIを使った個別開発になります。ただし、多くの会社にとって優先度が高いのは物件情報の同期ではなく、顧客情報の集約です。連携の検討は、顧客管理が回り始めてからで遅くありません。

Q4. 営業担当が顧客情報を入力したがりません。

入力が担当者自身の利益になる状態を作ってください。たとえば、希望条件を登録しておけば新着物件が自動で抽出される、過去の接触履歴が残っているので引き継ぎが楽になる、といった形です。それでも進まない場合、入力項目が多すぎる可能性があります。必須項目を3つまで減らしてください。

Q5. 個人情報の扱いで、CRMに入れてはいけない情報はありますか?

法令上の線引きは自社の法務確認が必要ですが、実務的な判断基準として、「その情報が漏えいしたときに顧客が受ける不利益の大きさ」で考えてください。年収や借入状況といった与信に関わる情報は、CRMに持たず、必要な範囲で別途管理する会社が多くあります。

Q6. 複数店舗で顧客を取り合う問題は、CRMで解決できますか?

担当者の割り当てルールを明確にすれば、軽減できます。HubSpotではコンタクトに担当者を設定でき、重複した問い合わせがあった場合も既存の担当者が表示されます。ただし、ルール自体は社内で決める必要があります。先に接触した店舗が担当するのか、物件所在地の店舗が担当するのか。CRMはルールを実行する道具であり、ルールを作る道具ではありません。

Q7. 海外事例のような自動応答は、日本の不動産業でも使えますか?

契約手続きそのものには使えません。宅地建物取引業法に基づく重要事項説明は有資格者が行う必要があります。一方、内見の日程調整、必要書類の案内、住宅ローンの一般的な流れの説明といった業務は自動化の対象になります。線引きは、法令で資格者の関与が求められているかどうかです。

Q8. 導入してから成果が出るまで、どのくらいかかりますか?

賃貸仲介は検討期間が短いため、2〜3か月で変化が見えます。売買仲介は検討期間そのものが数か月あるため、半年から1年の視点で評価してください。短期で判断すると、追客が効き始める前に取り組みをやめることになります。

132,291業者が同じポータルの画面の中で比較される市場で、物件情報による差別化には限界があります。残るのは、一度接点を持った人との関係を会社として持てているかどうかです。広告費で借りた問い合わせを、自社の資産に変換する仕組みがなければ、獲得コストは毎年同じだけかかり続けます。

株式会社100は、世界上位1%・日本唯一のHubSpot認定エリートパートナーとして、不動産業における顧客データの設計と追客の仕組み化を支援しています。自社の業態に合った構成の整理を含めて、お問い合わせフォームからご相談ください。

最終更新日: 2026年10月23日(掲載している統計・製品仕様は同日時点のものです。HubSpotの機能およびエディション要件は変更される可能性があるため、導入前に最新の公式情報をご確認ください)