SaaS契約やオンボーディング情報を、今もスプレッドシートなどの外部ツールとカレンダーでリマインドで管理をしていませんか?
HubSpotの「サービスオブジェクト」は、カスタマーサクセス(CS)活動をデータドリブンに変革し、LTV(顧客生涯価値)を最大化するための鍵となります。
本記事では、標準オブジェクトである「サービスオブジェクト」と、Service Hubで使用できる「カスタマーサクセスワークスペース」を使用し、取引成立後のオンボーディング、CSMの効率、そして解約リスクの早期特定に役立つのかをご紹介します。
HubSpotにはこれまで、コンタクト(個人)、会社(法人)、取引(商談)といった標準オブジェクトがありました。サービスオブジェクトはこれらに加わる新しいデータの「箱」であり、その名の通り、顧客に提供している「サービス」そのものを記録・管理するために設計されています。
具体的には、以下のような情報をHubSpot内に一元管理できます。
従来のCRMでは、「一つの会社に一つの取引」という管理が基本でした。しかし、サービスオブジェクトは、複雑な利用形態にも対応します。例えば、「A社がメインのSaaS契約」と、「別のコンサルティング契約」の二つを同時に利用している場合や、一人の担当者が複数プロジェクトに関わっている場合も、複数の契約やサービスを、会社やコンタクトと正確に紐づけて管理することを可能にします。これにより、スプレッドシートを使うことなく、顧客の全体像を把握できます。
これらの情報は、コンタクトや会社オブジェクトに紐づけて管理します。これにより、「どの会社の誰が、どのサービスを、いつからいつまで、どのような条件で利用しているのか」という、これまでスプレッドシートや別ツールに散在しがちだった重要情報をHubSpot上で一目瞭然に把握できるようになります。
サービスオブジェクトを使うことで、取引成立後に営業からカスタマーサクセスへスムーズで正確な引き継ぎができます。
具体的には、取引が「成約」したことをワークフローのトリガーに、サービスレコードを自動生成します。その際、商談時に取得していたオンボーディングの開始日や終了日、その他重要事項をコピーします。
こうすることで、手動で設定する手間が減り、顧客とのオンボーディングでも情報の齟齬がないように進められます。
チーム内での引き継ぎには、HubSpotのAIエージェントやカスタムアシスタントを組み合わせることで、プロジェクトの状況を要約したり、次に必要なアクションを提示させたりといった、より有効的な活用ができるでしょう。
作成されたサービスレコードは、CRMのビュー一覧でも確認できますが、CSMが主に使用するカスタマーワークスペースと連携することで、カスタマーサクセスマネージャー(CSM)が担当顧客の状況を把握し、アクションをとるための重要なコア機能となります。
このビューでは、自分が担当する顧客のリスト、各顧客のサービス契約状況、ヘルススコア、直近のアクティビティ、残タスクなどを複数の画面を行き来することなく一覧で確認でき、効率的に日々の業務に取り組むことができます。
ここに加えて、「健全性スコア(ヘルススコア)」を活用すれば、サービスオブジェクトに記録されたサービスの利用状況や、関連付けられたチケット(問い合わせ)の数など、様々なデータソースを基に、顧客の健全性を示してくれます。
このスコアによって、スコアが低下した顧客(=解約リスクが高い顧客)をデータに基づいて早期に特定し、手遅れになる前に対策を講じることが可能になります。
さらに、スコア低下をトリガーに、自動で担当CSMに通知を送信したり、特定のアクティビティ(例:顧客へのチェックインメール)をタスクとして自動生成したりすることが可能になり、プロアクティブな支援体制を構築できます。
※「カスタマー サクセス ワークスペース」、「健全性スコア」の利用は、Service Hub Enterprise以上の利用が前提となります。
HubSpotのサービスオブジェクトとカスタマーサクセスワークスペースの組み合わせは、CSMの業務を「リアクティブ(受動的)」な対応から「プロアクティブ(能動的)」な支援へと変革します。
サービスオブジェクトは、単なるデータ管理の箱ではありません。それは、顧客の成功を能動的に支援し、LTVを向上させるための強力な基盤です。
これまでスプレッドシートや別ツールで管理していた契約情報やサービス利用状況をHubSpotに集約し、顧客の真の利用状況を把握することで、データに基づいた「攻めのカスタマーサクセス」活動へと変革を促します。
貴社のカスタマーサクセス活動を、データに基づいた次のレベルへと引き上げてみませんか。