マーケティングオートメーション(MA)の運用において、新しい施策を実行する「開始トリガー」には注目が集まりがちです。しかし、顧客体験(CX)を損なわない、真に洗練された自動化を実現するためには、「適切なタイミングでワークフローを止める」設計が不可欠です。
今回は、意外と見落とされがちなワークフローの「登録解除(Unenrollment)」設定について解説します。意図しないメール配信を防ぎ、施策の効果測定を正確に行うための重要な機能ですので、ぜひ設定状況を見直してみてください。
HubSpot等のMAツールにおけるワークフローでは、開始後に特定の条件を満たしたレコード(コンタクト等)を、その時点でワークフローから離脱させる機能があります。
これは、ワークフロー開始前の「除外」としても機能し、開始後に条件を満たした場合の「途中解除」としても機能します。主に以下の3つのパターンで活用されます。
最初からワークフローの対象外にしたいレコードを除外、または途中で属性が変わった場合に排除する設定です。
ワークフローの「成功状態」を定義し、その目的が達成された時点で自動的に処理を終了させる設定です。これはコンタクトベースのワークフロー特有の機能です。
「特定の条件に合致している間だけ実行したい」という場合に用いる安全策です。トリガー条件から外れた瞬間にワークフローを停止させます。
設定自体は複雑ではありませんが、意図しない挙動を防ぐために確認が必要です。
既存のワークフローを「複製(クローン)」して新しい施策を作成する場合、元のワークフローで設定されていた除外設定や目標設定もそのまま引き継がれます。
「なぜか対象者が登録されない」「途中で止まってしまう」というトラブルの多くは、複製元の除外設定が残っていることが原因です。ワークフローを複製した際は、必ず「登録解除」の設定タブを確認する習慣をつけましょう。
基本的な設定に加え、以下のポイントを意識すると、より安全で効果的な運用が可能になります。
前述の通り、「目標」設定は単なる解除条件ではありません。ワークフローのパフォーマンス分析画面において、目標達成率は最も重要なKPI指標となります。「どのメールが開封されたか」だけでなく、「どのメールが最終的なゴール(商談化など)に結びついたか」を可視化するため、ナーチャリング施策では必ず設定することをおすすめします。
一度「登録解除」されたコンタクトが、再度条件を満たした場合の挙動も考慮が必要です。HubSpotではデフォルトで再登録がOFFになっていることが多いですが、「再登録(Re-enrollment)」を許可するかどうかは、運用設計の肝となります。
例えば、「資料請求」のような何度行われても良いアクションであれば再登録を許可し、「初回購入」のような一度きりのアクションであれば許可しない、といった使い分けを意識してください。
除外設定や解除条件を変更した際は、必ずエディター右上の「テスト」機能を使用しましょう。特定のコンタクトを選択し、「このコンタクトが今登録されたらどうなるか?」をシミュレーションすることで、意図せず除外されてしまうミスを未然に防ぐことができます。
ワークフローの「登録解除」は、単なる配信停止機能ではなく、顧客体験を守り、データの正確性を保つための戦略的な機能です。
「誰に届けるか」と同じくらい、「誰に届けないか(いつ止めるか)」を設計することで、より洗練されたマーケティングオートメーション運用が可能になります。ぜひ、現在稼働中のワークフロー設定を再確認してみてください。