顧客の情報収集チャネルがデジタル化したことで、ウェブサイトの重要性が増しています。総務省の「令和3年 通信利用動向調査報告書」によると、自社のホームページを持つ企業は90.4%に上りますが、実際に成果を上げている企業は少ないのではないでしょうか。
ウェブサイトの運用で成果を出すためには、魅力的なデザインの制作やページ読み込み速度の最適化、ユーザーフレンドリーな階層構造などさまざまな要素を意識しなければいけません。HubSpotのCMSテンプレートとテーマを利用すれば、これらの要素を簡単に実現し、プログラミングの知識がなくとも簡単に効果的なウェブサイトを構築できます。
本記事では、HubSpotテンプレートの基礎知識やモジュールとの違い、使用方法などをわかりやすく解説します。ぜひ最後まで読んで、最低限の時間で魅力的なウェブサイトを制作してください。
HubSpotのテンプレートは、ウェブサイトやランディングページ、メールキャンペーンなどを効率的にデザインするためのツールです。テンプレートは簡単にカスタマイズできるため、ブランドイメージやマーケティング戦略に合わせてコンテンツ作成を行えます。
まずは、CMS Hubとテンプレートの基礎知識を見ていきましょう。
HubSpotのContent Hubは、CRM（顧客関係管理）と統合されたウェブサイトを含むコンテンツ管理システムであり、マーケターが顧客との接点を増やし、効果的なマーケティング活動を展開するための強力なツールです。WordPressをはじめとする多様なCMSが存在し、それぞれに特徴がありますが、Content Hubは特にその差別化点を明確にしています。
一般的なCMSでは、セキュリティの脆弱性に対応するための頻繁なアップデートや、複数のツール間でのデータ連携の複雑さに直面することがあります。これらの課題は、マーケターが本来の業務から離れ、システム管理に追われる原因となり得るでしょう。しかし、HubSpotのContent Hubはこれらの問題を解決することが可能です。
Content Hubは、マーケティング、セールス、カスタマーサービスの各機能を1つのプラットフォーム上で統合しているため、異なるツール間でのデータの受け渡しや連携に関わる課題を解決し、効率的なワークフローを実現します。また、HubSpotは世界クラスのセキュリティ基準を採用しており、マーケターはセキュリティに関する懸念から解放されます。
さらに、CMS Hubは直感的な操作性を備えているのも強みです。豊富なテンプレートやSEOアドバイス機能を通じて、サイトの作成やデザインのカスタマイズを容易に行うことができます。これにより、マーケターはウェブサイトの運営に関する技術的な詳細に煩わされることなく、マーケティング戦略の策定や顧客とのコミュニケーションにより多くの時間を割くことが可能になります。
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HubSpotのテンプレートにはさまざまな種類があり、企業の目的やニーズに応じた選択ができます。たとえば、製品紹介ページ、イベント登録ページ、ニュースレター、ホームぺージなど、特定の目的に最適化されたテンプレートが豊富に用意されています。
HubSpotのテンプレートを使用するメリットの一つは、時間とリソースの節約です。テンプレートを利用することで、担当者はゼロからデザインを始める必要がなくなります。また、HTMLやCSSの知識がなくとも、ドラッグ&ドロップ操作で簡単にカスタマイズができるのも特徴です。
たとえば、上記画像は料金ページのテンプレートですが、自社製品の特徴と料金を記入し、必要に応じて要素の追加／削除をするだけで、料金ページが完成します。このようにHubSpotのテンプレートを使えば、効率よく見栄えの良いページの作成が可能です。
HubSpotのテーマ、テンプレート、モジュールは、それぞれ異なる機能と役割を持っています。それぞれの違いを理解し、適切に活用することで、効果的なウェブサイトやマーケティングコンテンツの制作が可能になります。ここからは、各機能の違いを見ていきましょう。
ウェブサイトのデザインとスタイルを統一するためには、テーマの選定と適用が重要です。テーマはウェブサイトの全体的な印象を決定し、ブランドイメージを強化するための一貫したデザインを提供します。
たとえば、企業が青と白をブランドカラーとして選んだ場合、選択されたテーマを通じてこれらの色をウェブサイト全体にわたって一貫して使用することが可能です。これにより、ブランド認知を高めると同時に、ユーザーに対してプロフェッショナルかつ統一感のある印象を与えます。
HubSpotでウェブサイトを構築する際には、テーマの選定から始めることがおすすめです。各テーマには独自のテンプレートやモジュールが含まれており、これらを利用してウェブサイトをカスタマイズできます。テーマ選定時には、単にカラースキームやフォント、レイアウトスタイルを考慮するだけでなく、ブランドの特性や目的に合致しているかどうかを検討しましょう。
ウェブサイトを構築する際には、ブランドアイデンティティを表現し、ターゲットオーディエンスに訴求できるテーマを選択することが、効果的なウェブサイトを築く上での鍵となります
HubSpotのテンプレートは、特定のページタイプや目的に最適化されたデザインとフレームを提供することで、ユーザーが迅速かつ効率的に高品質なウェブページやマーケティングコンテンツを作成するのを支援します。これらのテンプレートは、ランディングページ、ブログ、メールキャンペーンなど、さまざまな用途に適応するようデザインされており、それぞれの目的に合わせて独自のレイアウトや機能を備えています。
たとえば、ランディングページのテンプレートは、訪問者をリードに変換することを目的としているため、CTAボタンやフォーム、製品やホワイトペーパーの特徴を紹介する要素などが事前に組み込まれています。そのため、マーケティング担当者はランディングページのデザインに時間をかけず、ターゲットオーディエンスの注意を引き、具体的なアクションを促すキャッチコピーやフォーム最適化に注力できるのです。
また、メールマーケティング用のテンプレートも、ウェルカムメールやプロモーション、ニュースメールなどの豊富なテンプレートがあります。基本的にどのメールテンプレートも、受信者に効果的にメッセージを伝えられるように最適化されており、魅力的なヘッダー、明確なメッセージ、効果的なCTAを組み合わせることで、開封率やクリック率を最大化します。
テンプレートを使用することで、マーケティング担当者は一からウェブページやメールコンテンツをデザインする必要がなく、既存のテンプレートをベースに独自のカスタマイズを加えるだけで、目的に合ったコンテンツを迅速に作成できます。
HubSpotにおけるモジュールは、テキストボックス、画像ギャラリー、フォームといったページ内で使用される小さな要素を指し、これらはテンプレートの枠組み内で自由に追加や削除を行えます。
モジュールの活用は、ウェブサイトの柔軟性と効果性を大幅に向上させます。たとえば、テキストボックスモジュールは、ウェブページ上に重要な情報や説明文を配置するために使用されます。カスタマイズオプションを通じて、フォントサイズや色、配置を変更し、ページのデザインやコンテンツの流れに合わせることが可能です。
また、ランディングページにおいては、コンバージョンを促進するためのCTAボタンやプロモーション動画などのモジュールを追加することが一般的です。これにより、訪問者の関心を引き、望ましい行動に導くことが可能になります。ブログページでは、関連記事へのリンクやソーシャルメディアの共有ボタンを追加することで、コンテンツの共有を促進し、訪問者の滞在時間を延長する効果があります。
HubSpotでは、モジュールの追加や変更は直観的で簡単な操作で行えます。クリック操作だけでモジュール内のコンテンツを変更できるため、テキストや画像、リンクなどの要素を迅速に更新することが可能です。さらに、ドラッグ＆ドロップの操作でモジュールの追加や位置の変更を容易に行えます。この操作の簡便さは、ウェブページのカスタマイズを手軽かつ迅速に行いたいマーケティング担当者にとって大きなメリットとなるでしょう。
HubSpotのテーマ・テンプレートを活用する方法は4つあります。各方法の特徴を理解したうえで、自社に適した方法を選びましょう。
HubSpot規定テーマとは、HubSpotが提供するさまざまなウェブページ用のデフォルトテーマのことです。基本的に無料で利用でき、シンプルながらもプロフェッショナルなウェブサイトやメールを作成するためのフレームワークが提供されます。
また、シンプルだからこそカスタマイズ性が高いのが特徴です。自社のブランドに合わせて色、フォント、レイアウトを簡単に調整し、ブランドや目的に合ったウェブページを簡単に制作できます。
あらゆる企業に向いていますが、特に初期段階でウェブサイトを迅速に立ち上げる必要がある企業、予算をかけずにウェブページを作成したい企業におすすめです。
HubSpotのテンプレートマーケットプレイスは、ユーザーが自社のウェブサイト、ランディングページ、メールキャンペーンなどをカスタマイズし、デジタルマーケティングの効果を最大化するための豊富なテンプレートを提供します。
ここでは、さまざまなビジネスニーズやデザイン要求に合わせて、既存のテンプレートを選択することが可能です。無料のテンプレートから高度にカスタマイズされた有料テンプレートまで、幅広い選択肢が用意されており、自社のウェブサイトやマーケティング資材に最適なものを容易に見つけられるでしょう。
たとえば、無料テンプレート「Academia」は、オンラインスクール、英会話クラス、コーチングサービスなどの教育関連企業に特に適しており、モバイル端末やページ速度の最適化が施されているため、効率的にSEO対策を行うことができます。これにより、検索結果画面で上位表示される可能性が高まり、より多くの潜在顧客にリーチできるでしょう。
不動産業界に特化したテンプレート「FreeHold」は、住居用施設、商業用施設、エージェント紹介、ブログなどのコンテンツを備えており、不動産業者がウェブマーケティングを行う上で必要な要素を網羅しています。このテンプレートを活用することで、不動産業者は自社の物件やサービスを効果的に紹介し、魅力的なウェブサイトを迅速に立ち上げることができます。
このようにHubSpotのテンプレートマーケットプレイスは、幅広い業界とニーズに対応する多様なテンプレートを提供しており、企業は効率的かつ効果的にデジタルマーケティングの取り組みを進めることが可能です。
ThemeForestは、世界中のクリエイターがデザインしたテンプレートやテーマを購入できるマーケットプレイスであり、HubSpot CMS向けのテンプレートも豊富に用意されています。ThemeForestのテンプレートを活用するメリットは、マウスオーバーやクリックに反応するインタラクティブなアニメーション、動画の背景設定などの高度なデザインのテンプレートが利用できることです。
出典：envatomarket
たとえば、デジタルサービスやマーケティング企業向けのテンプレート「Linoor」の場合、マウスオーバー時にカラーが変わるインタラクティブなアニメーションや動画の埋め込み、プロフェッショナルなデザインなどの工夫が施されています。
出典：envatomarket
さらに、製造業に特化したテンプレート「Factory Hub」や屋根工事向けの「Rofalo」など、よりニッチな業界向けのテンプレートがあるのも特徴です。ThemeForestを用いることで、自社ビジネスにマッチし、競合他社と差別化できる洗練されたテンプレートを見つけられるでしょう。
デメリットとしては、有料テンプレートがほとんどのため、資金の限られた企業は使用が難しいこと。ただし、料金が高いテンプレートでも99ドル程度であり、HubSpotマーケットプレイスには100ドルを超えるテンプレートは多々あります。100ドルほどで高度なウェブサイトを迅速に構築できると考えれば、費用対効果は高いと考えられます。
ThemeForestのテンプレートをHubSpotで活用する手順は、後ほど詳しく解説するので、ぜひそちらも参考にしてください。
HubL（ハブル）は、HubSpotのCMSプラットフォーム専用のマークアップ言語で、カスタマイズされたウェブページやメールテンプレートを作成する際に使用されます。HubLを使用することで、開発者はHubSpotのデータベースに格納されている情報を利用して、動的なウェブページやコンテンツの生成ができます。
たとえば、ウェブサイト訪問者の興味や過去の行動に基づいてカスタマイズされたコンテンツを表示するランディングページを作成することが可能です。また、特定のユーザーの行動や過去の購入履歴に基づいて動的に変化するメールテンプレートの作成も、Hublで実現できます。
このようにHubLを使えば、自社の特定のニーズや要件に合わせてカスタマイズされたテンプレートや機能を作成することが可能です。
しかし、HubLの使用には一定のコーディングスキルが必要です。開発者にはHTML、CSS、JavaScriptに加えて、HubLの独自の構文や機能についての知識が求められます。自社に開発に強い人材がいないものの、HubLでゼロからテンプレートを作成したい場合、HubSpotの公式パートナーに相談してみるとよいでしょう。
ここでは、実際にマーケットプレイスからテーマ・テンプレートをダウンロードする方法をご紹介します。
まずはHubSpotにログインし、画面上のメニューより [テンプレートマーケットプレイス] をクリック。
テンプレートマーケットプレイスでは、ビジネスタイプ、ページタイプ、ページ機能などにもとづいてテンプレートを検索できます。
たとえば、eコマース向けのランディングページで検索すると15件のテンプレートがヒットします。その他、不動産業界向けのニュースレター、または特集コンテンツ機能のあるテンプレートなど具体的なニーズに合った検索が可能です。気になるテンプレートを見つけたら、[詳細を見る] をクリックしましょう。
各テンプレートには、デザインと機能性を確認できるプレビューが用意されています。また、他のユーザーからのレビューも参照できるため、実際にテンプレートを使用したユーザーのフィードバックを参考に選択できます。
[プレビュー] をクリックすれば、実際のデザインや機能の確認が可能。また、パソコンやスマートフォンなど端末ごとの見え方も確認できます。
マーケットプレイスでは、予算に応じて無料または有料のテンプレートを選ぶことが可能です。無料テンプレートは初期コストを抑えたい企業に最適であり、基本的な機能やデザインニーズに対応します。
一方、有料テンプレートはより高度なカスタマイズオプションや独特のデザイン機能を提供し、企業のブランドイメージやマーケティング戦略をより明確に打ち出すのに役立ちます。
選択したテンプレートが有料の場合は、 [テーマを購入] をクリックし、購入プロセスを経てダウンロードします。基本的にはクレジットカード払いであり、カード情報を入力するだけで手続きは完了します。
無料テンプレートの場合、[インストール] をクリックし、利用規約に同意して [無料でインストール] をクリック。
インストールが完了したら、[有効なテーマに設定してサイトの作成を開始] または [有効なテーマに設定してテーマ設定を編集] をクリックします。今回は、サイトの作成をしてみましょう。
テーマに含まれるテンプレートページが表示されるため、作成するページを選択します。
モジュールの変更、追加、削除をして自社に適したウェブページを作成しましょう。
テンプレートは一度ダウンロードすれば、何度でも利用することが可能です。これにより、一貫したブランドイメージとデザインを維持しながら、複数のマーケティングキャンペーンやウェブページで効率的に使用することができます。
この項では、ThemeForestからテーマ・テンプレートをダウンロードする方法をご紹介します。
ThemeForestの公式サイトにアクセスし、上部メニューより [CMS] > [HubSpot CMS Hub] の順にクリックします。
画面左側にあるフィルターを活用し、自社に適したテンプレートを探します。興味あるテンプレートを見つけたら、[Live Preview] をクリック。
テンプレートの詳細や顧客レビューなどが表示されます。この画面上に表示される [Live Preview] をクリックすれば、実際のデザインや機能の確認画面へ移行します。
購入をする場合は、[Add to Cart] をクリックして購入手続きをします。
出典：HubSpot
購入手続きが完了すれば、購入コードを含むEメールが届くため、それを開き購入コードをコピーしてください。
HubSpotにログインし、[マーケティング] > [ウェブサイトページ] または [マーケティング] > [ランディングページ] の順にクリックします。
[作成] > [ウェブサイトページ] または [ランディングページ] の順にクリックし、ページを作成するドメインとページ名を入力します。
既存のテーマテンプレートが表示されるため、[テーマ] > [テーマを変更] の順にクリックします。
ダウンロード済みのテンプレートが表示されます。画面右上にある [ThemeForestからテーマをインストール] をクリック。
購入コードを入力し、[テーマをインストール] をクリックすれば、ThemeForestで購入したテンプレートがインストールされます。
HubSpotのCMSは、マーケティング担当者の負担を大幅に減らす機能を豊富に搭載しています。その中でも、テンプレートとテーマはウェブサイト構築を簡単にする機能の一つです。これらのテンプレートを使用することで、プログラミングの知識がなくとも、要素の修正や追加だけで、魅力的なウェブサイトを構築できます。
HubSpotでは、規定テーマやマーケットプレイス、ThemeForestからのテンプレートの選択肢が提供されており、さらにHubLを使えば、より高度なカスタマイズや完全オリジナルのテンプレート作成が可能です。ぜひ本記事を参考に、テンプレート・テーマを活用してウェブサイト構築を効率化し、より重要な業務に注力していただければと思います。