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HubSpotとGmailの連携とは?連携するメリット、連携方法、連携時の注意点などわかりやすく解説

作成者: 渋谷 真生子|2024/06/27

毎日の膨大なメールの送受信作業に、時間とストレスを奪われていませんか。

一般社団法人日本ビジネスメール協会によれば、ビジネスパーソンが1日に送信する平均メール数は15.24通、メールを1通書くのにかかる平均時間は約6分と判明しています。つまり、メール作業だけで1日に約83分も費やしているのです。

メールは営業活動に不可欠ですが、生産性を著しく低下させる一因ともなっています。しかし、HubSpotとGmailを連携させれば、この非効率な状況から一気に解放されます。連携により、メールのやり取りが自動でCRMに記録され、HubSpotのテンプレートや商談調整機能などをGmail上で使えるようになるのです。

本記事では、HubSpotとGmailを連携するメリットや連携方法、注意点などを解説します。

HubSpotとGmail連携とは

HubSpotは、マーケティング、セールス、マーケティングなどを支援するCRM(顧客関係管理)プラットフォームであり、Gmailは世界で最も広く使われているWebメールサービスの1つです。

まずは、HubSpotとGmailの特徴、および連携について詳しく見ていきましょう。

HubSpotとは

HubSpotとは、CRMを軸にしたプラットフォームです。最大の強みは、Marketing HubやSales Hubなどの各ソフトウェアがCRMと連携している点でしょう。

従来は、マーケティング部門がMAツール、セールス部門がSFAツールというように、部門ごとに別々のツールを導入するのが一般的でした。しかしそうすると、部門間でデータの共有が困難になり、顧客に一貫したサービス体験を提供することが難しくなってしまいます。

出典:HubSpot

HubSpotの場合、各ソフトウェアがCRMに連携しているため、部門間のデータ連携が円滑に行えます。マーケティングからセールス、カスタマーサポートに至るまで、全ての顧客データとアクティビティがCRMに一元的に集約され、組織全体で顧客情報を共有できるのです。

これにより、顧客の行動履歴に基づいて各部門が連携を取りながら、シームレスできめ細かい顧客対応を実現することが可能となります。たとえば、セールス部門はマーケティング部門が蓄積したリードの行動をもとに、パーソナライズ化したアプローチの実施が可能です。

さらにHubSpotは、HTMLやプログラミングの知識がなくてもドラッグ&ドロップ操作で直感的に使えるよう設計されています。製造業などの伝統的な業界でも、簡単に使いこなせるでしょう。

Gmailとは

出典:Google

 

Gmailとは、Googleが提供するメールソフトウェアであり、全世界で10億人以上のユーザーが利用しています。一般社団法人日本ビジネスメール協会の「ビジネスメール実態調査2023」によれば、ビジネスでGmailを利用しているのは全体の37.82%とのことです。

Gmailのメリットは、高いセキュリティでしょう。迷惑メールやマルウェアを含む危険なメールの99.9%を受信トレイに到達する前に排除します。また、Googleアカウントへのログインにはパスワードと電話番号などの複数要素を組み合わせた二段認証が採用されているため、不正アクセスのリスクも低いです。

また、Googleは有料のビジネスメールサービスも提供しています。ビジネス用Gmailでは、会社のドメイン名を入れたカスタムメールアドレスの取得、99.9%の稼働率保証、無制限のグループメールアドレスなどの機能を利用できるようになります。

HubSpotとGmail連携とは

HubSpotとGmailを連携させると、Gmailのコンタクト情報を自動的にCRMに蓄積したり、Gmailの画面上からHubSpotの高度なセールス支援機能が利用できたりします。

出典:HubSpot Japan

従来は有料のビジネス用Gmailに加入することで、Gmail上でタスクの作成やカレンダーから招待状を送信するなどの機能が使えるようになりますが、HubSpotとの連携により以下の機能をGmailから無料で活用できるようになるのです。

  • リードに合わせたフォローアップメールの自動化(シーケンス)
  • 事前に登録したメールテンプレートの直接利用
  • メールの開封状況やリンククリックのリアルタイムトラッキング 
  • Googleカレンダーと連動した効率的な商談日程調整

これらの機能を最大限に活用することで、リード管理から顧客アプローチ、商談に至るセールスプロセス全体が効率化されます。

たとえば、顧客の関心度合いをメール開封率から判断し、商談に結びつけやすいリードを優先的にアプローチできます。そして、Gmailカレンダーへのスケジューリングリンクをメールに添付するだけで、簡単に商談日程の調整が行えるのです。

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HubSpotとGmail連携で可能になること

HubSpotとGmailを連携すれば、以下のことが可能になります。

  • HubSpot CRMにEメールのログを残せる
  • HubSpotプラットフォームからEメールを送信できる
  • Eメールの開封とクリックをリアルタイムで追跡
  • 商談調整の効率化
  • GmailメーラーからHubSpotの機能を活用できる

ここからは、各機能の詳細をご紹介します。

HubSpot CRMにEメールのログを残せる

HubSpotとGmailの連携により、Gmail上でコミュニケーションをしている顧客データを自動でHubSpot CRMに記録できるようになります。

連携をしていない場合、セールス担当者は手動でCRMに顧客情報を入力する必要がありますが、その手間が省かれます。

また、これまでSFAやMAツールを導入したものの、情報が入力されないため、十分に活用できていないというケースを多々見かけました。この問題も、HubSpotの導入により解決可能です。GmailやOutlookとの連携はもちろん、有料プランの高度なワークフローなどを活用すれば、情報入力の大部分を自動化できます。

つまり、HubSpotとGmailの連携により、Eメールのログ入力業務の自動化やヒューマンエラーの防止などが行え、各部門が適切な顧客情報をもとに施策を推進できるようになるのです。

HubSpotプラットフォームからEメールを送信できる

両ツールの連携により、HubSpotプラットフォームからGmaiを送信できます。HubSpotには、顧客に関するあらゆる情報が記録されており、これらの情報をもとにパーソナライズ化したメールの作成が可能です。しかし、HubSpotとGmailを連携していなければ、両ツールを行き来することになり、業務効率が大幅に低下します。

上記画像の通り、HubSpotとGmailを連携すれば、Eメールアイコンをクリックすることでメールエディターを開けます。コンタクトに関する詳細情報を確認しながら、HubSpotのセールス機能を使い、効果的なメール作成が可能です。

メールエディターのインターフェースもGmailと同様に使いやすいため、Gmailに慣れている方でも容易に使いこなせるでしょう。

Eメールの開封とクリックをリアルタイムで追跡

セールス部門が重宝する機能が、Eメールの開封とクリックのリアルタイム追跡です。HubSpotとGmailを連携し、セールス拡張機能を利用すると、Eメールが開封された場合に通知が送信されます。

さらにSales Hubの有料プランの場合、Eメール内のリンクをクリックした際も通知が出されるのです。これにより、インサイドセールスやセールス担当者はリードの興味関心が高まった瞬間に、最適なアプローチを行えます。

実際にHarvard Business Reviewに掲載された研究によると、ウェブ上でリードが生成されてから5分以内にアプローチをかけると、コンバージョン率が大幅に高まり、時間の経過とともにコンバージョン率は低下すると判明しています。リードの興味関心は急速に低下する傾向にあるため、最適なタイミングで商談の提案をしなければいけません。

HubSpotとGmailの連携ならば、リード行動をリアルタイムで追跡できるため、商談率を高めるアプローチが可能です。

商談調整の効率化

HubSpotには、無料で使える日程調整ツールがあり、GoogleカレンダーやOutlook予定表などと連携できます。この機能を活用すれば、リードが直接カレンダー上から好きな日時を選ぶだけで、商談やミーティングの予約が完了します。

従来は、ミーティング調整のためにセールス担当者が何度もメールをやり取りする必要がありました。双方のスケジュールを確認し、空き時間を探して調整を重ねる作業は非常に非効率的です。しかし、HubSpotの日程調整ツールを使えば、そうした手間が一切不要になります。

メールでミーティングリンクを送るだけで、顧客はカレンダー上で自身の都合のよい時間を選択できるようになるのです。予定は自動的に組み込まれるため、セールス担当者の手間は最小限に抑えられます。

加えて、リマインダー機能も搭載されているので、ミーティングの前にリードに自動で通知が届きます。当日の無駄足や遅刻を防ぐことができ、商談の生産性が大幅に向上するでしょう。

GmailメーラーからHubSpotの機能を活用できる

HubSpotとGmailを連携させると、GmailのメーラーからHubSpotのセールス機能にアクセスできるようになります。具体的には、顧客情報の参照、ミーティング予約リンクの送信、テンプレートメールの活用、シーケンス機能の実行、AI生成コンテンツの利用などが可能になります。

現場で活躍するセールス担当者は、常にHubSpotにログインしているわけではありません。マネージャーやリーダー以外は、Gmailメーラーの方が日常的に利用する機会が多いでしょう。そうした場合、顧客データの確認やテンプレート活用のためにHubSpotへアクセスするのは非効率的です。

しかし、HubSpotとGmailを連携させれば、Gmailメーラー上からHubSpotの主要機能が使え、切り替えの手間が不要になります。セールス活動の起点であるGmailの画面から、HubSpotの高度な営業支援ツールを活用することができるのです。

HubSpotとGmail連携に必要な料金プラン

実はHubSpotとGmailの連携自体は完全に無料で行えます。HubSpotやGmailのいずれも、有料プランへの加入は必要ありません。

HubSpotには無料の「HubSpot CRM」プランがあり、ここからGmailと連携できるようになっています。無料のCRMで利用できる主な機能は以下の通りです。

  • コンタクト管理
  • タスク作成
  • メールテンプレート
  • チケット(問い合わせ)管理
  • メールの追跡と通知
  • ミーティング設定
  • 見積書

このように無料プランでも、セールス部門のメール作成業務を大幅に効率化する機能を活用できます。ただし、HubSpotの上位有料プランに移行すれば、更に高度な機能を使えます。

たとえば、Sales Hubの有料プランに加入すれば、メール開封だけではなく、メール内のリンククリックの通知も活用できるため、よりリードの興味が高まった段階でのアプローチを行えます。その他のメールに関する機能でいえば、ProfessionalまたはEnterpriseで特定のリードへのメール送信を自動化する「シーケンス」やメール送信時間の最適化などを活用できます。

HubSpotとGmailの連携方法

この項では、実際にHubSpotとGmailを連携する手順を見ていきましょう。

HubSpotにログインし、画面上部メニューの 設定(アイコン) > 全般 > Eメール(タブ)> ユーザー個人のEメールに接続 の順にクリックします。

[受信トレイの自動化を有効化] にチェックをつけ、[受信トレイを接続] をクリック。なお受信トレイの自動化を有効にすることで、AI機能を利用できるようになります。

HubSpotは受信および送信されたメールの本文、メール署名、メタデータを処理し、コンタクト情報をCRMに自動的に入力したり、メールの内容に基づいてタスクを提案したりするのです。

必ずしも有効化する必要はありませんが、基本的には有効化を推奨します。

HubSpotと連携するEメールアドレスを入力し、[次へ] をクリックします。

[Gmailに接続] もしくは [Eメールプロバイダーを自分で選択します] をクリック。

その後、Googleアカウント画面に遷移するので、接続するアカウントを選択し、アクセスを許可します。

接続が完了しました。これでHubSpot上でGmailの送受信を行えます。

「HubSpot Sales」アドオンも活用しよう

HubSpotとGmailの連携方法を見てきましたが、連携するだけではGmailからHubSpotの機能は活用できません。GmailでHubSpotの機能を活用するためには、「HubSpot Sales」アドオンのインストールが必須です。ここからは、「HubSpot Sales」アドオンの特徴やインストール方法を見ていきましょう。

「HubSpot Sales」アドオンとは

「HubSpot Sales」アドオンは、HubSpotが提供する無料の拡張機能で、Gmail向けとOutlook向けの2つのバージョンが用意されています。

Gmail向けの「HubSpot Sales」アドオンは、Chromeウェブストアから入手できます。このアドオンをChromeブラウザ上のGmailにインストールすることで、メーラー画面からHubSpotの高度なセールス支援機能を利用できるようになります。利用できる主な機能は以下の通りです。

  • コンタクト情報の確認
  • Eメールの開封状況や顧客の行動のリアルタイムトラッキング
  • 送信したメールの自動記録とHubSpot CRMへの取り込み
  • 事前に登録したメールテンプレートの直接活用
  • ミーティングリンクのワンクリック挿入
  • シーケンス
  • AIによるメールの自動生成

簡単に言えば、GmailメーラーそのものがHubSpotに連動したパワフルな営業支援ツールに変化するのです。セールスメンバーは、HubSpotを開かずとも、Gmail上で高度な機能を利用できるため、メール作成・管理業務が大幅に向上するでしょう。HubSpotとGmailを連携するならば、ぜひインストールしておきたいアドオンです。

「HubSpot Sales」拡張機能インストール方法

「HubSpot Sales」拡張機能のインストール方法をご紹介します。

HubSpotにログインし、画面上部の マーケットプレイスアイコン > アプリマーケットプレイスの順にクリックします。

もしくは 設定アイコン > 全般 > Eメールタブの順に開き、[Eメール拡張機能をダウンロード] の項にある [Gmail用HubSpot Sales拡張機能(Chrome)をインストール] をクリックする方法もあります。今回はアプリマーケットプレイスで進めていきましょう。

アプリマーケットプレイスに遷移したら、Gmailをクリック。

[アプリをインストール] をクリック。

Chromeウェブストアに遷移するので、[Chromeに追加] をクリックします。

インストールが完了したら、自動的にGmailが開かれ、セットアップへと移ります。今回は「全ての機能」を接続しましょう。

無事に接続されたら、Gmailの画面右上にHubSpotのアイコンが表示されます。これでGmail上でHubSpotのセールス機能が利用できるようになりました。実際に見てみましょう。

画面右側にはコンタクト情報が表示されるため、情報を確認しながらメールの作成が可能です。また、件名の下にはHubSpotのセールス機能が表示されます。テンプレートやミーティング、タスク、シーケンスなどをクリックすることで、各機能を利用できます。

HubSpotとGmailを連携する際の注意点

HubSpotとGmaiを連携する際には、いくつかの注意点があります。ここからは、各注意点の詳細をご紹介します。

ログを記録をオンにする

HubSpotとGmailの連携で、既存のコンタクト情報は自動的にCRMに反映されますが、新規コンタクトを自動登録する場合はログ記録をオンにしなければいけません。デフォルトではオフ設定になっているため、以下手順でオンにしましょう。

HubSpotにログインし、設定 > アクティビティー の順にクリック。[全てのユーザーの既定のログ設定を適用] にチェックをつけ、[保存] をクリックします。これで、CRMに新規コンタクトが登録されるようになりました。

ログを記録をオフにしたままだと、機会損失や管理者の負担が増えるため、必ずこの設定はしておきましょう。

ログに記録しない相手を設定する

Gmailはビジネスだけでなく、プライベート用途でも広く活用されています。HubSpotとの連携を行う際、知人友人や金融機関、新入社員など、CRMに記録したくない連絡先が出てくるはずです。そういった不要なコンタクトがデータベースに登録されると、混乱を招く恐れがあります。

そこで、事前に「ログに記録しない」連絡先のリストを設定しておきましょう。

設定 > アクティビティー の順にクリックし、下にスクロールすると [ログに記録しない] の項目を見つけられます。 [Eメールまたはドメイン] を追加をクリック。

個人のEメールアドレスを1つずつ入力するか、企業ドメイン全体を指定するかを選べます。たとえば「hubspot.com」とドメインを登録すれば、そのドメインを持つ全てのEメールがCRMに記録されなくなります。

プライバシーを保護しつつ、業務に必要な連携機能のみを活用できるよう、適切な設定を行うことが肝心です。

まとめ

HubSpotとGmailを連携させることで、以下のメリットが得られます。

  • GmailでのコミュニケーションがHubSpot CRMに自動記録される
  • GmailからHubSpotの主要セールス機能が利用可能になる
  • メールの開封やリンククリックのリアルタイム追跡が可能

つまり、GmailとHubSpotの行き来が不要になり、メール対応業務が飛躍的に効率化されます。さらに、顧客とのコミュニケーション情報が自動的に記録されるため、顧客情報を最大限活用できるようになります。

業務でGmailを利用しているのであれば、HubSpotとの連携は必須と言えるでしょう。本記事を参考に、ぜひ導入を検討していただき、メール業務の生産性向上とセールス活動の高度化を実現してください。