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【Google AI MAX for Search】AIが変えるCRM戦略と検索広告の未来

【Google AI MAX for Search】AIが変えるCRM戦略と検索広告の未来
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【Google AI MAX for Search】AIが変えるCRM戦略と検索広告の未来

本記事では、Googleが発表した「AI MAX for Search」について深掘りし、これが単なる広告ツールのアップデートではなく、私たちの顧客理解の方法を根本から変える可能性を秘めていると感じています。

この新技術がもたらす変化と、私たちのCRM戦略にどう影響するかをお話しさせていただきます。

Google AI MAX for Searchとは?

ワンクリックで追加できる「意図理解AI」

はじめに、AI MAX for Searchについてご説明します。

「AI MAX for Search」は、既存のGoogle検索広告キャンペーンに「ワンクリックで追加できる」AI機能です。現在、世界中でベータ版として提供されています。

従来の検索広告では、マーケターが事前に「このキーワードで検索する人に広告を出そう」と設定していました。しかし、AI MAX for Searchは全く異なるアプローチを取ります。

【AI MAXの主な特徴とメリット】

  • 意図の理解: ユーザーが入力した文字だけでなく、その背後にある「意味」や「意図」を正確に理解
  • 動的な広告生成:検索意図に応じて、リアルタイムで最適な広告見出しを自動生成
  • ランディングページの最適化:検索内容に最も適したページへ誘導
  • 新しい検索機会の発見:手動で設定していないキーワードからも、関連性の高い検索を自動で見つけ出す

【技術的な核心】

AI MAXは、既存のキーワードを基に、「キーワードレス技術」を組み合わせて広告の配信を拡張します。これにより、広告主が想定していなかった、関連性の高い新規の検索クエリにも自動でリーチできるようになります。

【参考ページ】

日本語:https://support.google.com/google-ads/answer/15910366
英語:https://blog.google/products/ads-commerce/google-ai-max-for-search-campaigns/

複雑化する検索行動への対応力

50文字以上の長文、写真だけの検索にも対応

特に注目すべきは、現代の複雑な検索行動への対応力です。

今や人々は50文字以上の長文で質問したり、写真一枚だけで検索したりします。

例えば、「小型犬を飛行機に乗せる方法」という検索に対し、AIは「この人は航空会社承認のペットキャリーを探しているかもしれない」と推測し、適切なタイミングで関連商品の広告を表示します。これは、単純なキーワードマッチングでは決して実現できなかった精度です。

Volvoの成功事例とマーケターが得る「学習」

広告費用対効果を維持しつつコンバージョン27%向上

実際の成果も驚異的です。

Volvoは「大家族向け電気SUV」という、マーケターが事前に設定していなかった検索クエリに対しても、AI MAXが自動的に「7人乗り電気SUV」という見出しを生成して広告を配信。結果として、同等の広告費用対効果を維持しながら27%のコンバージョン向上を達成しました。

さらに重要なのは、AI MAXが「どんな検索で広告が表示されたか」「どんな見出しが生成されたか」を全て透明にレポートしてくれる点です。これにより、マーケターは顧客の新しいニーズや検索パターンを継続的に学習できます。

【ブランドセーフティとコントロール機能】

AI MAXは高度な自動化を提供しますが、広告主の制御性も確保されています。除外キーワードの設定は引き続き尊重されるほか、広告を表示したい・避けたいブランドを指定する「ブランドコントロール機能」も利用可能です。これにより、ブランドイメージを保護しながら運用できます。

AI OverviewsとP-MAXとの連携

GoogleはすでにAI Overviews(AI生成の要約)を200以上の国と地域で月間20億人以上のユーザーに提供しています。また、複雑な質問に詳細に答えるAI Modeも展開中です。

AI MAX for Searchを有効にすることで、これらの新しい検索結果表示にもあなたの広告を最適な形で表示できるようになります。この連携により、検索の未来に対応した広告戦略を構築できます。

【詳細なレポートの進化】

レポート機能が強化されており、検索語句レポートには、その際に表示された広告の見出しや最終URLが併記されます。これにより、どのAI生成パターンが成果に貢献したかを詳細に分析できます。

CRM戦略への示唆:「設定」から「学習」への転換

P-MAX(Performance Max)との違い

AI MAXは「既存の検索キャンペーンの最適化(深化)」に特化した機能です。これに対し、P-MAXは検索、ディスプレイ、YouTube、Gmailなど「チャネルを横断したコンバージョン最大化(拡大)」を目指す、キャンペーンタイプそのものです。検索広告に絞って効率を高めたい場合はAI MAXが適しています。

従来と未来のアプローチ比較

従来のアプローチ これからのアプローチ
顧客セグメントを事前に固定的に定義 AIが顧客の真の意図を動的に理解
キーワードリストを手動で管理 予想外の顧客ニーズを自動発見
固定的なメッセージング 文脈に応じたメッセージの自動最適化

このAI MAXが示す変化は、私たちのCRM活用方法にも大きな影響を与えます。

HubSpotのようなCRMツールでも、この「意図理解」の考え方を取り入れることで、より深い顧客インサイトが得られるはずです。例えば、顧客の行動履歴から「次に何を求めているか」を予測し、パーソナライズされたプロアクティブな提案につなげることができます。

AI時代の顧客理解に活かす3つの実践ポイント

「顧客の意図を深く理解する」というAI MAXの視点を、日々の業務に取り入れるため、以下の点を実践してみてください。

  1. 長文の問い合わせを分析する
    お客様からの長い質問や相談メールを見直し、その中に隠れている複数の意図を洗い出してみましょう。
  2. 「想定外」の顧客接点を探す
    自社が想定していなかった検索キーワードや質問から、新しい顧客ニーズを発見できるかもしれません。
  3. AIツールとCRMの連携を検討
    AI MAXのような意図理解の仕組みを、自社のCRM運用にどう活かせるか、チームで議論してみてください。

まとめ:AIが示す顧客理解の新次元

AI MAX for Searchが示す最も重要な示唆は、「顧客が何を求めているか」という表面的な情報から一歩踏み込み、「なぜそれを求めているか」という顧客の真の意図へ視点を転換させる必要性です。

この「意図理解」の考え方は、検索広告のパフォーマンスを向上させるだけでなく、営業やカスタマーサクセスなど、あらゆる顧客接点で応用できる、未来のCRM戦略の核となります。

技術は進化し続けますが、その本質は常に「顧客をより深く理解し、より良い価値を提供する」ことにあります。

新しいテクノロジーを恐れることなく、AI MAXが提供するインサイトを活用し、顧客との関係をどう深められるか、戦略的な視点から考えていきましょう。

田村 慶

2005年に札幌で株式会社24-7をWeb制作会社として創業、2012年からHubSpotの販売を開始。2016年にAPAC初となるダイヤモンドパートナーに昇格し、翌年にはHubSpotパートナー・オブ・ザ・イヤー(アジア地区)を受賞。2018年に24-7社の代表取締役を退任し、新たに株式会社100を創業。2019年6月からHubSpot認定パートナーに登録し、HubSpotビジネスを再開。現在は、HubSpotダイヤモンドパートナーやHubSpotユーザーグループの主催者として、HubSpotパートナー複数社へのコンサルティングと実行支援、HubSpotの導入企業のビジネス促進を中心に『HubSpot好き』を増やすための活動をしています。 2020年:HubSpot ルーキー・オブ・ザ・イヤー受賞(APAC地区) 2021年:HubSpot パートナー・オブ・ザ・イヤー受賞(日本) 2023年:アジアで初めてHubSpot「Elite Partner(当時)」として認定

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