CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)は、単なるコンテンツの管理や更新を効率化するだけではなく、マーケティングの強化、SEOの最適化、さらにはECサイトの構築まで、幅広い業務に対応する強力なツールです。
しかし、多くの方にとって、CMSの活用法や具体的な効果はまだ漠然としているかもしれません。
そこで本記事では、Wix、Shopify、HubSpotといった代表的なCMSの事例を通して、企業がどのようにこれらのシステムを活用し、実際にどのようなメリットを享受しているのかを詳しくご紹介します。
CMSは、Webサイトのコンテンツを効率的に管理・更新するためのツールです。専門的なプログラミング知識がなくても、テキストや画像、動画などのコンテンツを簡単に編集・公開できるため、個人ブログから企業の大規模サイトまで幅広い用途で活用されています。
まずは、CMSの基本的な定義や種類、国内外でのシェアについてみていきましょう。
CMSの基本的な役割は、Webサイトのコンテンツを簡単かつ効率的に管理することです。
従来、Webサイトの更新や変更はHTMLやCSSといったプログラミングの知識が必要でしたが、CMSを導入することで、プログラミング知識のない担当者でも直感的なインターフェースを使って、テキストの追加、画像の変更、ページの作成などが可能になります。また、複数の担当者が同時に作業できるため、チームでのコンテンツ管理も容易です。
主なCMSの目的には、以下のようなものがあります。
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CMSには大きく分けてクラウド型とオープンソース型の2種類があります。
クラウド型CMSは、SaaSとして提供されるタイプでWebブラウザを使ってアクセスできるため、インストールや保守管理の手間がかかりません。たとえば、ShopifyやHubSpotのようなCMSがこれに該当します。クラウド型CMSは、システムの更新やセキュリティ管理をベンダー側が行うため、自社での運用負担が少なく、初心者にも扱いやすいのが特徴です。
オープンソース型CMSは、無料でソースコードが公開されており、自由にカスタマイズが可能なタイプです。代表的なものには、WordPressやDrupalがあります。
オープンソース型の強みは、高度なカスタマイズや拡張性にあり、ニーズに合わせて機能を追加したり、デザインを大きく変更することが可能です。ただし、セキュリティ対策や保守管理は自社で行う必要があるため、ある程度の技術的な知識が求められます。
CMSの市場シェアは国や地域によって異なりますが、世界的に見ると、WordPressが圧倒的な存在感を示しています。
出典:W3Techs
W3Techsの調査によると、世界中のWebサイトの43.2%がWordPressを使用しているとのこと。これは、WordPressが無料で利用でき、プラグインやテーマが豊富であることが大きな理由だと考えられます。WordPressに次いで多いのは、Shopifyの6.5%、Wixの4.2%です。
この2つのCMSに共通するのは、クラウド型で簡単かつ手ごろな価格でWebサイトを構築できる点です。そのため、零細企業や個人事業主など幅広い層に受け入れられ、市場シェアを高めているのでしょう。
一方、国内市場に目を向けると、国内の83.3%のWebサイトがWordPressを使用しているとのこと。次いで多いのがShopifyの2.7%ですが、Wixのシェアは0.3%まで下がります。代わりにEC-CUBEやはてなブログなど、国内で開発されたCMSが一定の利用者を獲得しています。
世界と日本でCMSの利用状況が異なるのは、サポート体制やビジネス習慣の違いなどが影響しているのかもしれません。
しかし、どの地域でも、WordPressが高い人気を誇っているのは変わりありません。無料で使える上に、カスタマイズ性の高さが魅力となっているのでしょう。同時に、ShopifyやWixのようなクラウド型CMSの台頭も見逃せません。
ここでは、実際の企業がどのような課題を抱えCMSを導入し、どのようにそれを解決したのかを見ていきましょう。以下は主なCMSの導入・活用事例です。
出典:Wix
Wixは、ノーコードでWebサイトを作成できる直感的なCMSとして、小規模ビジネスや個人事業主に人気を博しています。
現在、全世界のWebサイトの4.2%がWixを採用しており、豊富なテンプレートと拡張機能が特徴です。予約システムやブログ機能など、ビジネスに役立つ機能を簡単に追加できるため、技術的な知識がなくてもプロフェッショナルなWebサイトを運営できます。
軽井沢のキャンプ場「ライジング・フィールド」では、現場スタッフ自らがWebサイトの構築・運用を行いたいという要望から、Wixを導入しました。Wixの直感的な操作性とアプリによる機能拡張により、スタッフがサイトの管理・更新を自主的に行える体制を構築。その結果、サイトの情報をリアルタイムで更新し、ビジネスの効率化と集客の向上を実現しました。
さらに、Wixの予約システムを活用したことで、ライジング・フィールドは予約の9割以上をオンラインで獲得するようになりました。これにより、電話対応の手間が大幅に削減され、スタッフは現場業務に集中できるようになったといいます。
Wixの強みは、直感的な操作性と低い学習コストにより、スピーディーな運営と顧客対応の向上が実現できる点にあります。一方で、カスタマイズの自由度やセキュリティ面では、他のCMSに劣る部分もあるでしょう。しかし、小規模ビジネスや個人事業主にとって、Wixは手軽にプロフェッショナルなWebサイトを構築・運営できる、優れたツールであると言えます。
参考:Wix「予約の9割をオンラインで獲得する軽井沢のキャンプ場。ホームページを自ら制作する理由とは?」
出典:HubSpot
HubSpotのContent Hubは、企業のデジタルマーケティングを強化するための強力なツールとして、特に中小企業やBtoB分野で人気を集めています。
そのシンプルな操作性とインバウンドマーケティングに特化した機能により、SEO対策やABM(アカウントベースドマーケティング)など、マーケティング戦略を効率的に実行できる点が特徴です。
その代表的な事例として、静岡県浜松市に拠点を置く株式会社サカエが挙げられます。技術サービスを提供するサカエは、2020年にコーポレートサイトをリニューアルし、オウンドメディア「Engineer Knowledge」を立ち上げました。この際、HubSpotのContent Hubを導入し、マーケティングとセールスを効率化する戦略を展開しました。
出典:株式会社サカエ
サカエがHubSpotを活用して得た大きな成果の一つは、問い合わせ数の劇的な増加です。導入前は年に10件だった問い合わせが、わずか1年で240%増加し、24件に達しました。そのうち85%は新規顧客からの問い合わせで、さらに商談に結びつく具体的な内容が多かったことが、成功の大きな要因です。
この成果の背景には、HubSpotを活用した戦略的なコンテンツ制作とパーソナライズされたメールマーケティングがあります。
さらに、オウンドメディア「Engineer Knowledge」も着実に成長し、技術情報に特化したコンテンツがオーガニック検索でヒットし始めました。これにより、BtoB市場で重要視される質の高いリードの獲得に成功。アクセス数自体は少なくても、商談につながる確度の高い顧客を効果的に引き寄せることができたのです。
また、HubSpotによる顧客データの一元管理により、マーケティングとセールスの連携が強化され、営業活動の効率が大幅に向上しました。オウンドメディアの閲覧履歴を基にターゲットに合わせたメールを送信し、個別にパーソナライズされたアプローチを行うことで、商談機会が増加。
特に新規顧客開拓においては、ABMの手法が大きな成果を上げ、ターゲット企業に対する適切な情報提供が商談率の向上につながりました。
この成功事例は、CMSをただ導入するだけでなく、自社の課題に応じた戦略的な活用がいかに重要かを示しています。
出典:Shopify
Shopifyは、Eコマース市場で急速にシェアを拡大しており、そのシンプルなプラットフォームと豊富な分析機能は、個人事業主から中小企業、大企業まで幅広く支持されています。特に、売上や在庫管理を戦略的に行いたい企業にとって、Shopifyのダッシュボード機能は強力なツールとなります。
2020年、英国の女性Rubyがストックポートで立ち上げたジュエリーブランド「Still Life Story」は、創業当初から順調に人気を集めましたが、彼女は一人で事業全体を管理し、母親業との両立に苦労していました。そこで、業務の効率化とビジネス成長のためにShopifyを導入することを決断。データに基づく意思決定を行い、ビジネスを次のステージへと押し上げました。
Rubyは、Shopifyの分析ダッシュボードを使って売上や取引データを曜日ごとにモニタリング。ジュエリーが特に売れていることに気づき、品揃えを強化した結果、売上が増加したのです。このデータによるインサイトが、成長の鍵となりました。
また、商品バリエーション別の売上レポートを活用して、どの製品に再投資すべきかを判断します。ベストセラー商品と組み合わせたクロスプロモーションを行うことで、カートの単価を向上させました。
さらに、ShopifyのABC分析レポートを用いて、利益を生むAグレード品と売れ行きの悪いCグレード品を区別。これにより、無駄な在庫を減らし、商品配置やプロモーション戦略をより効果的に展開できるようになりました。
これらのデータ活用と戦略の結果、Still Life Storyは2020年の冬のホリデーシーズンに前年同期比で50%の売上増加を達成。Shopifyの分析機能を駆使したことで、顧客のニーズに応じた最適な商品ラインナップを提供し、持続的な成長を実現しました。
この成功は、データに基づくビジネス戦略の重要性を示す好例です。
参考:Shopify「Still Life Story、Shopifyのインサイト利用で、トレンドを超越したホームウェアをお届け」
出典:Drupal
Drupalは、その柔軟なカスタマイズ性と強力なコンテンツ管理機能、そして高いセキュリティから、エンタープライズレベルのWebサイトに広く採用されています。
複雑な機能を持つサイトや多様なユーザーに対応できる点が評価され、政府機関や教育機関、大規模な空港運営などで多くの実績を持っています。特に、Drupalの高度な拡張性は、異なるユーザーグループに向けた柔軟な対応が可能である点が大きな魅力です。
アメリカのタンパ国際空港は、年間2,100万人の旅客を迎え、J.D. Powerの顧客満足度ランキングで1位に輝く評価を得ています。しかし、以前のWebサイトは旅行者だけでなく、航空会社や空港内のビジネスパートナー(レストランやショップ)など、さまざまなステークホルダーのニーズを十分に満たせていませんでした。
そこでDrupal 10を基盤に、すべてのユーザーに対応できる新しいサイト開発を決定。
出典:Tampa International Airport
Drupalが採用された理由の一つは、その高いカスタマイズ性です。タンパ国際空港の新しいサイトでは、リアルタイムで更新できるカスタム空港マップが導入され、レストランやショップの営業時間、フライトステータス情報などを表示。これにより、旅行者はスムーズに必要な情報を入手でき、今後の空港の変化にも柔軟に対応可能な設計となりました。
また、モバイル端末からのアクセスが70%以上を占める状況に合わせ、サイトはモバイルフレンドリーな設計がされています。
コンテンツ編集者向けには、直感的な操作が可能なMercury Editorを採用。マーケティング担当者は簡単にコンテンツを更新し、運用コストを削減することができるようになりました。さらに、APIを活用したカスタムアプリケーションにより、フライトステータスなどリアルタイムのデータ提供も可能になり、ユーザー体験が大幅に向上しています。
このプロジェクトの成功の鍵は、徹底した事前調査にありました。1,200人以上の旅行者や空港利用者にアンケートを行い、また40名のステークホルダーとのワークショップを実施。これにより、旅行者が求めるリアルタイム情報や空港内のビジネスパートナーのニーズを詳細に洗い出しました。
これらのデータをもとに、駐車場の予約やレストランの事前注文機能など、収益に直結する機能も統合され、サイト全体でユーザー体験の向上と収益の最大化が図られました。
参考:Drupal「Tampa International Airport」
出典:Adobe
Adobe Experience Manager(以下AEM)は、デジタルコンテンツ管理とパーソナライゼーションに特化したツールとして、グローバル企業や複雑なデータ管理が必要な企業で高いシェアを誇ります。特に、デジタルアセットの一元管理や自動化機能に優れており、多くの製品情報を扱う企業にとって理想的なソリューションです。
花王では、製品情報の収集とカタログ反映において、従来は各部門からの情報集約や編集作業に多大な時間と労力を費やしていました。このプロセスの煩雑さにより、製品カタログの更新が遅れがちになり、迅速な対応が困難な状況が続いていました。しかし、AEM Assetsを導入することで、情報収集と反映プロセスを自動化し、劇的な効率化を実現したのです。
出典:Adobe
AEM Assetsを中心に構築された新システムでは、各部門のシステムと連携し、製品カタログに必要な情報を自動的に集約。それをAEM Sitesに自動入力することで、以前は1カ月半かかっていたカタログ更新が最短数日で完了するようになりました。
この大幅な効率化により、担当者の作業負担が軽減されるだけでなく、製品情報の正確さとタイムリーな反映が可能となり、顧客にとっても有用なカタログが提供できるようになりました。
さらに、このシステム導入をきっかけに、花王社内ではデータを積極的に活用する文化が根付き始めています。各部門が保有する情報を効率的に収集・管理できるようになったことで、データに基づいた迅速な意思決定や、より効果的なマーケティング施策が可能となりました。
加えて、AEMと連携するAdobe Analyticsを活用した顧客のWeb行動データの分析により、パーソナライズされたコンテンツの提供も進み、顧客体験の向上にも大きく貢献しています。
参考:Adobe「各部門からの製品情報の収集を自動化。カタログ拡充などデータの積極活用を推進」
出典:Jimdo
Jimdoは、誰でも簡単に使えるWebサイト作成プラットフォームであり、特に中小企業や個人事業主から広く支持されています。その操作の直感性と低コストにより、専門知識がなくても短期間でホームページを立ち上げることが可能です。
鈴木整骨院では、ホームページを作成する前は、チラシやFacebookを使って宣伝を行っていましたが、認知度の向上や来院者数には限界がありました。そこで、友人の勧めでJimdoを使ってホームページを作成したところ、大きな変化が現れたのです。
現在、来院者の約8割がホームページを見て予約をするようになり、特に治療内容や料金、女性向けの対応を詳しく掲載したことで、今までリーチできていなかった女性患者や新規来院者やの増加に成功しました。
また、Jimdoの予約フォーム機能の導入により、顧客がオンラインで簡単に予約できるようになったため、電話対応の負担も軽減。予約の手間が減ったことで、来院率が向上しました。整骨院のようなサービス業にとって、Web上で予約が完結するシステムは、顧客に大きな利便性を提供します。
さらに、Jimdoの操作性も鈴木整骨院にとって大きなメリットとなりました。他のホームページ作成サービスと比べても、Jimdoは直感的な操作が可能で、時間やコストを抑えながらも効率的にWebサイトを運営できる点が評価されています。シンプルなデザインながらも、必要な情報をしっかりと伝えられているため、患者からの信頼獲得にもつながっています。
参考:Jimdo「【活用事例 #10】来院数大幅UPの整骨院から学ぶホームページ運用術」
出典:Share With
ShareWithは、CMS、サーバー、そしてサポートが一体となった定額制のクラウドサービスで、国内の上場企業を中心に250社以上で利用されています。その操作性の良さと充実したサポート体制により、初心者でも安心してデジタルマーケティングに取り組むことが可能です。
佐藤商事は、ShareWithを活用して自社の複数サイトを一括リニューアルし、サイト運営の効率化とコミュニケーション強化を実現しました。
以前のサイトは、特にIR情報の発信や各事業部門での情報更新に手間がかかり、業務が煩雑になっていました。特に決算情報の発信に関しては、タイムリーな対応が難しく、決算日に作業が集中して混乱が生じていたのです。
リニューアル後、サイトは「見やすくなった」「明るい印象」といった好意的なフィードバックを社内外から得ました。特にリクルートサイトでは、面接を受ける学生たちからも好評で、企業のイメージアップにつながっています。
また、IR情報の発信においては、TDnetの自動連携機能が導入されたことで、更新作業が迅速かつ正確に行えるようになり、決算日に発生していた負担が大幅に軽減されました。
さらに、ShareWithの導入によって、各事業部門が自らWebサイトを更新できる仕組みが整備され、情報の更新スピードが向上しました。たとえば、柳宗理製品やカラオケ製品のサポートサイトは、担当事業部門が直接管理しており、迅速な更新が可能になっています。
また、問い合わせフォームの改善により、Web経由での問い合わせがより具体的で商談につながる件数が増加。これにより、ビジネスチャンスの創出にも貢献しています。
参考:ShareWith「コーポレートサイト、事業部運営のサイトを“まとめてリニューアル”。サイト更新の脱属人化とスピードアップを実現」
出典:six apart
Movable Typeは、国内5万以上のサイトで導入されている実績を持つ商用CMSです。特にセキュリティ面に優れ、静的なページ生成による安定性が特徴です。
株式会社ネットフォレストは、2009年からMovable Typeを活用しており、特にセキュリティ対策の強化と、安定したサイト運営を目的に同CMSを採用しています。
ネットフォレストのリニューアル前のサイトでは、データセンター、Web制作など、複数のサービスが断片的に紹介されており、顧客に全体像を伝えることが難しい状況でした。
この課題を解決するため、Movable Typeの「コンテンツタイプ」機能を活用し、全事業を統合した統一的なサイトを構築。これにより、ネットフォレストの幅広いビジネスを包括的に理解してもらえるようになりました。
出典:株式会社ネットフォレスト
Movable Typeは、静的ページ生成によりCMS自体の障害がWebサイトの表示に影響を与えないため、安定した運営が可能です。さらに、どのCMSが使用されているかが外部から見えにくく、攻撃リスクが軽減されるというセキュリティ面での優位性も評価されています。
リニューアル後、コーポレートサイトは単なる情報提供の場を超え、新たなビジネス機会を生む重要なツールへと進化しました。SEO対策が強化されたことで検索エンジンでの露出が向上し、問い合わせや商談の数が増加。具体的には、サイトの統合によって顧客がサービス全体を理解しやすくなり、商談につながるケースが増えました。
さらに、デザインの変更やブランドカラーの統一によって、サイト全体の印象が刷新され、社内の意識も向上。これにより、企業全体のブランディングが強化されました。Movable Typeの柔軟な機能を活用することで、デザインやコンテンツの変更もスムーズに行えるようになり、継続的な運用改善が可能となっています。
参考:sixapart「株式会社ネットフォレスト コーポレートサイト - Movable Type 導入事例」
出典:BlueMonkey
BlueMonkeyは、日本発の国産CMSで、特にBtoB企業向けにホームページからのリード獲得を目指して開発されたツールです。簡単な操作でSEO対策やコンテンツ更新が行える点が高く評価されています。
シダックス株式会社は、指名検索以外での集客が課題となっていました。従来のWebサイトでは、特定の顧客層以外へのリーチが難しく、新しい顧客獲得に苦戦していたのです。そこで、戦略・構築・ツールをトータルでサポートできるBlueMonkeyを導入し、「社員食堂委託」「バス運行委託」などの重要キーワードで上位表示を目指してSEO対策を強化しました。
出典:シダックス株式会社
BlueMonkeyのSEO対策機能を活用した結果、主要なキーワードでの検索エンジン上位表示が実現し、Webからの問い合わせ件数が大幅に増加しました。これにより、新規顧客獲得のチャンスが広がり、営業活動が強化されました。
また、CMSの操作性が優れているため、コンテンツの更新やブログ運用が効率的に行えるようになり、社内でのWebマーケティングの実践がスムーズに進んでいます。
さらに、シダックスが展開する複数の事業を一つのサイトで「顧客目線」に立って紹介することで、クロスセルの促進にも成功。各サービスが相互に補完し合う形で顧客に伝わりやすくなり、Webを活用した総合的な営業活動が可能となりました。
このサイトリニューアルによって、社内のWebマーケティングに対する意識も大きく向上しました。特に、BlueMonkeyを活用することで、社員が自ら簡単にコンテンツを更新・運用できるようになり、Web上での営業戦略に対する理解と積極性が生まれたとのことです。
参考:BlueMonkey「問い合わせ2~3倍・重要キーワードの上位表示を実現!大規模リニューアルでブランディング・Webマーケを両立するコーポレートサイトに|シダックス株式会社様」
出典:はてなCMS
はてなCMSは、直感的な操作性を備えたオウンドメディア構築用CMSです。検索エンジンフレンドリーな設計やSNS連携機能により、集客とSEO対策に強みを持つため、効果的に流入を増やすことが可能です。
株式会社ユーザベースが運営するオウンドメディア「Agile Journey」は、エンジニア向けの技術ブランディングを強化する目的で、はてなCMSを活用して立ち上げられました。アジャイル開発に関する技術情報や開発ヒントを発信するこのメディアは、エンジニアコミュニティにおける認知度向上に貢献しています。
ユーザベースは、アジャイル開発に特化した情報提供を通じて、技術力のアピールとエンジニア層での認知度向上を狙っていました。しかし、自社でのサイト運営には運用負担が大きく、コンテンツ制作に専念できないという課題を抱えていました。
そこで、運用をはてなに委託でき、簡単な操作で高品質なコンテンツ制作に注力できる点から、SaaS型CMSであるはてなCMSを選定したのです。
導入後、ユーザベースはコンテンツ制作に集中することができ、読者であるエンジニア層に響くテーマをアンケート調査や編集会議で決定。はてなのサポートも得ながら、効果的に記事制作を進めています。
集客施策としては、X(旧Twitter)や「はてなブックマーク」を活用してエンジニア層にリーチを広げ、徐々にユーザベースの技術ブランディングが強化されました。SNS連携機能により、記事がSNSで拡散されやすく、検索エンジンでの評価向上にもつながったとのことです。
参考:はてなコンテンツマーケティング「エンジニアの認知を獲得するために、アジャイル開発をテーマにしたオウンドメディアを運営 - 株式会社ユーザベース【はてなCMS導入事例】」
CMSの導入事例を見てきましたが、CMSで解決できる悩みは多岐にわたります。そこでここからは、悩み別におすすめのCMSをご紹介します。
自社でWebサイトを更新したい場合、直感的な操作性のCMSがおすすめです。ノーコードかつユーザーインターフェースに優れたCMSならば、特別なプログラミングや技術知識を持たない担当者でも容易に運用できます。
また、自社で運営する場合はセキュリティ対策も見逃せません。外部から攻撃されにくいCMSであること、定期的なセキュリティアップデートが提供されること、または静的サイト生成によるセキュリティ強化があると安心です。
出典:Wix
これらの点を踏まえると、商用クラウド型CMSがよいでしょう。個人や小規模企業の場合は、Wixなどの直感的な操作性と豊富なテンプレートを提供するCMSやJimdoのようにシンプルな機能に特化したCMSが選択肢となります。これらのCMSは、手ごろな価格で利用でき、基本的な機能を備えているため、Webサイトの運用を始めやすいという特徴があります。
(HubSpot Content Hubの操作画面)
一方、本格的なWebサイト運用を目指す企業の場合、たとえば操作性とサポートに強みがあるHubSpot Content HubやBlueMonkeyが選択肢になるでしょう。これらのCMSは、より高度な機能を提供しつつ、ユーザーフレンドリーな操作性を実現しています。
また、セキュリティを重視するなら、国内シェアトップクラスのMovable Typeも検討に値します。Movable Typeは、セキュリティ対策に優れ、企業のWebサイト運用に必要な機能を幅広くカバーしています。
自社でWebサイトを運用する際は、会社の規模や目的、予算などを総合的に考慮し、最適なCMSを選ぶことが重要です。操作性とセキュリティを兼ね備えた、信頼性の高いCMSを活用することで、効率的かつ安全なWebサイト運用が実現できるでしょう。
Webサイトをマーケティングに活用したい場合、CMSの選択は特に重要です。
たとえば、MAツールと連携できるCMSを使えば、リード管理やパーソナライズされたメールマーケティング、さらにはABテストによるコンバージョン率の向上を図れます。これらの機能を活用すれば、顧客との接点を増やし、効率的かつ効果的なマーケティング活動が展開できるでしょう。
加えて、マーケティング全体の成果を高めるためには、SEO(検索エンジン最適化)対策も重要です。検索エンジンからのオーガニック流入は、広告費を抑えつつターゲット層へのリーチを広げられます。そのため、CMS自体がSEOに適した構造を持っていることに加え、より細かいレベルでSEOに対応した機能を提供していることが理想です。
具体的には、コンテンツのメタタグや画像のaltテキストの編集、ページの読み込み速度の最適化、さらにはURL構造やモバイル対応の強化など、多岐にわたるSEO要素をCMS内で簡単に設定・調整できることが望まれます。
出典:WordPress
こうした条件を踏まえ、特におすすめのCMSとして挙げられるのが、WordPress、HubSpot、そしてBlueMonkeyです。WordPressはオープンソースで、豊富なプラグインやテーマが用意されているため、初心者から上級者まで幅広く利用されています。SEO対策に優れたプラグインが豊富に揃っているのも大きな強みです。
出典:HubSpot
HubSpotは、CRMとマーケティングオートメーション機能と一体化したCMSであり、リード管理やコンバージョントラッキングが一元的に行えるため、特にマーケティング重視の企業に向いています。BlueMonkeyは日本市場に特化したCMSで、国内のビジネスニーズに応じたマーケティング機能が豊富に揃っており、特に中小企業に人気があります。
出典:Adobe
一方で、大企業や複雑なカスタマージャーニーを持つ企業には、より高度な機能を提供するCMSが必要です。そのような場合、Adobe Experience Manager(AEM)が浮上してきます。Adobe Experience Managerは、Adobeの他のツール群との強力な連携を活かし、シームレスなエクスペリエンスを提供できるため、ブランドイメージや顧客体験を重視する企業にとって最適です。
導入コストがかさむこともありますが、その分、マーケティング施策を細部にまで最適化し、長期的なビジネス成長を支える強力なツールとなるでしょう。
SEOを効率的に行いたい場合、検索エンジンに最適化された構造を持ち、継続的な施策を効率よく進められるCMSを選ぶことが鍵です。ここでは、SEOにおいて重要な3つのポイントに焦点を当てて、おすすめのCMSをご紹介します。
まず、CMS自体が「SEOフレンドリー」であることが重要です。ページのメタタグ、URL構造、画像のaltタグ、スキーママークアップなど、検索エンジンがサイト内容を正確に理解できる仕組みが整っているかがポイントです。これにより、検索エンジンがコンテンツを適切にインデックスし、正しく評価されるようになります。
出典:WordPress
たとえば、WordPressは、SEOに特化したプラグイン(例:Yoast SEOやAll in One SEO Pack)を活用することで、ページのメタタグや画像のaltテキスト、構造化データの設定が簡単に行えます。また、URL構造のカスタマイズも容易で、SEOに有利なクリーンURLを設定することができます。
次に、SEOは定期的なコンテンツ更新が不可欠です。有益なコンテンツを定期的に追加・編集できるCMSを選べば、検索エンジンからの評価も向上しやすくなります。特にブログやニュースセクションなど、頻繁に更新が必要なページでは、使いやすいエディタ機能が備わっていることが重要です。
(HubSpotのSEO推奨アドバイス機能)
WordPressは、使いやすいブロックエディターを提供しており、初心者でも簡単にブログや記事を投稿できます。また、HubSpotContent Hubは、マーケティングオートメーション機能を備えており、コンテンツのパーソナライズや公開スケジュールの自動管理が可能で、SEO対策とコンテンツ運用をスムーズに進められるでしょう。
最後に、SEO施策の効果を最大化するためには、定期的な分析が欠かせません。Google AnalyticsやGoogle Search Consoleなどの分析ツールと連携し、トラフィックやコンバージョン率、検索順位の変動を把握することで、改善点を見つけ、迅速に対策を打つことができるのです。
(HubSpotとGoogle Search Console連携後の分析画面)
HubSpot Content Hubでは、サイト内のSEOパフォーマンスをリアルタイムで可視化する機能が備わっており、Google Search Consoleと連携することで、ページごとの検索パフォーマンスを確認できます。WordPressも、SEO分析ツールとプラグインを簡単にインストールして連携できるため、トラフィックのモニタリングが可能です。
CMSを狙ったサイバー攻撃は年々増加しており、Webサイト運営においてセキュリティ対策がますます重要になっています。そのため、セキュリティに強いCMSを選定することが、サイト運営の安全性を確保するための第一歩となります。
自社で十分なセキュリティリソースが確保できない場合、クラウド型CMSは有効な選択肢です。クラウド型では、ベンダー側が定期的にセキュリティパッチやアップデートを行い、最新の脅威にも迅速に対応します。これにより、企業側でのセキュリティ管理の負担を大幅に軽減できます。
たとえば、HubSpot CMSは世界的に評価される高度なセキュリティ対策を提供しており、二要素認証、SSL対応、ユーザーアクセス権限の細かい設定、そして自動バックアップなど、包括的なセキュリティ機能を標準で備えています。また、定期的なセキュリティアップデートが提供されるため、脆弱性に対する即時対応が可能です。
出典:Movable Type
セキュリティ面で特に強みを持つのが、静的サイト生成を採用するCMSです。たとえば、Movable Typeは静的HTMLファイルを生成する仕組みを採用しており、この方式によりサーバーが直接公開されるリスクが低減されます。
動的なデータ処理が発生しないため、攻撃者がWebアプリケーションにアクセスする機会が減り、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)などの代表的なサイバー攻撃のリスクが大幅に下がります。また、パフォーマンスの向上も期待できるため、セキュリティと効率性の両面で優れたソリューションです。
出典:BBC
(Drupalで構築したBBCのサイト)
自社にITリソースが十分にあり、セキュリティ対策を自らカスタマイズしたい場合は、オープンソース型CMSも検討に値します。特に、政府機関や金融業界で広く利用されているDrupalは、高い柔軟性と拡張性を持ち、サイトに応じたセキュリティ設定が可能です。
Drupalは、複数のユーザー権限の詳細な設定、セキュリティチームによる迅速な脆弱性対応、そして多層的なアクセス管理を提供します。ただし、Drupalの運用には高度な技術スキルが求められるため、自社に専任のIT人材がいる場合、または外部の専門パートナーに運用を委託できる場合に特に向いています。
Webサイトのセキュリティ強化には、自社のリソースや目的に合ったCMSの選定が重要です。クラウド型CMSの包括的なセキュリティ対策、静的サイト生成による攻撃リスクの低減、オープンソース型CMSの柔軟なセキュリティ設定など、各CMSの特徴を理解し、自社に最適なソリューションを導入することで、安全なWebサイト運営が実現できるでしょう。
ECサイトにおける商品管理や在庫管理はもちろん、注文管理や配送管理が容易にできることが、スムーズなオンラインショップ運営の基盤となります。さらに、販売促進のためには、カート機能やクーポン発行機能など、マーケティング機能も必要です。こうした機能が一体化したCMSを選ぶことで、管理負担を軽減しながら、売上向上を図れます。
もし、グローバル市場をターゲットにする場合や外国からの顧客を迎える場合、複数の言語や通貨に対応したCMSが必要です。特に、国際的な決済手段や各国の税制、配送オプションを柔軟に設定できることが重要です。こうした機能を持つCMSであれば、国内外を問わず幅広い顧客層に対応できます。
出典:Shopify
ユーザーにとって、柔軟な支払い方法の提供も大きな利便性です。クレジットカード、銀行振込、コンビニ払い、PayPal、さらにはスマホ決済など、多様な決済オプションを用意することで、顧客が安心して購入できる環境を整えられます。したがって、選定するCMSが多くの決済ゲートウェイに対応していることが、サイト運営の成功に直結するでしょう。
これらの点を踏まえると、やはりECサイトに必要な要件がそろっており、サイト構築から更新まで容易に行えるShopifyがおすすめです。
出典:Shopify
Shopifyは、直感的なインターフェースで初心者でも簡単に操作でき、商品管理、在庫管理、注文管理、配送管理などの基本機能に加え、多言語・多通貨対応、豊富な決済オプション、SEO対策など、ECサイトに必要な機能を網羅しています。また、豊富なテンプレートやアプリが用意されているため、デザイン性の高いサイトを短期間で構築できるのも大きな利点です。
出典:EC-CUBE
一方、国産ならではの充実したサポート、オリジナル性の高いECサイト構築には、カスタマイズ性の高いEC-CUBEがおすすめです。EC-CUBEは機能も豊富でセキュリティ対策もしっかりされており、日本市場に特化したサポートと高いカスタマイズ性を求める企業に適しています。独自性のあるECサイトを構築するための強力なツールと言えるでしょう。
ShopifyもEC-CUBEも、ECサイト構築に必要な機能を備えた優れたCMSです。グローバル展開や使いやすさ、豊富な機能面でバランスが取れているShopifyは、特に初心者や小規模ビジネスに適しています。一方、EC-CUBEは、日本市場に特化したサポートと高いカスタマイズ性を求める企業に最適です。
最後にCMS導入時の重要なポイントをご紹介します。これらのポイントを意識していただければ、CMS選定での失敗リスクを大幅に減らせます。
CMSを導入する際、コストは確かに大切な要素ですが、値段だけで選定することは避けるべきです。
たとえば、WordPressは初期費用が安く、多くの企業や個人に利用されていますが、セキュリティ対策やメンテナンスを自社で行う必要があります。特に、セキュリティ面では、定期的なセキュリティパッチの適用や、プラグインの更新などを怠ると、脆弱性を突かれてサイバー攻撃を受けるリスクが高まります。また、プラグインやテーマの不具合により、サイトがダウンしたり、更新が困難になるケースもあるのです。
CMSにはさまざまな種類があり、クラウド型やオープンソース型など、それぞれに特徴があります。そのため、単にコスト面だけでなく、自社のニーズや運用体制に合ったCMSをしっかりと比較検討することが重要です。
長期的な視点で考え、初期費用だけでなく、運用コストや保守の手間も考慮して選定しましょう。
CMSの導入は公開がゴールではなく、その後の運用体制が鍵となります。
CMSを導入したものの、社内での更新作業が滞り、サイトが放置されるといった事態は少なくありません。そのため、CMSを公開する前に、どのように運用・更新するかの体制を整えることが重要です。
定期的にコンテンツを追加し、SEO対策を実施し続けるためのリソースを確保し、担当者やチームの役割分担を明確にしておくことが必要です。
適切な運用体制を整えないと、サイトの更新頻度が低下し、結果的に顧客の信頼やアクセス数の減少につながる可能性があります。
CMSの導入や運用を全て自社で行うと、リソースやコストの負担が大きくなりがちです。特に、カスタマイズ、セキュリティ対策といった高度な作業では、専門知識が必要なため、プロのサポートが欠かせません。
そこで、外部のエキスパートや代理店に頼ることが有効な選択肢となります。プロの力を借りることで、CMSの導入がスムーズに進み、社内リソースを他の重要な業務に振り向けることが可能です。さらに、外部専門家の知見を活かすことで、最新の技術やトレンドを反映したサイト運営が実現し、結果的にサイト品質の向上や運営の効率化につながるでしょう。
ただし、外部に依頼する際はコストやコミュニケーションの負担も考慮が必要です。予算やスケジュール、責任範囲を明確にし、適切なパートナーを選ぶことが成功のカギとなります。CMS導入の際は、自社のリソースを正確に把握し、必要に応じてプロのサポートを取り入れるかどうか、慎重に検討することが重要です。
本記事では、企業が実際にCMSを導入し、どのような課題を解決したのかを見てきました。現代のCMSは、単なるコンテンツ管理を超えて、マーケティング基盤の構築やセキュリティの強化といった多彩な役割を担っています。
CMSを選定する際は、まず自社の課題と目標を明確にし、それを解決できる機能を持ったものを選ぶことが重要です。選択肢を誤ると、運営に支障をきたし、コストや時間が無駄になるリスクも伴います。
逆に、適切なCMSを選ぶことで、効率的なサイト運営やマーケティングの強化だけでなく、セキュリティや拡張性の面でも大きなメリットを享受できます。
CMSの選定は、単なる技術的な決定にとどまらず、ビジネスの成長を左右する重要なターニングポイントです。自社のニーズをしっかりと見極め、最適なシステムを導入することで、持続的な成功への道筋を築きましょう。
渋谷 真生子
株式会社100(ハンドレッド)のマーケター。新卒でグローバルヘルスケア企業で営業を経験し、セールスフォースにてBDRとして地方企業の新規開拓に携わる。コロナ渦でインバウンドマーケティングの重要性を実感し、アイルランド ダブリンにあるトリニティカレッジの大学院にてデジタルマーケティングの学位取得し現在に至る。最近はかぎ針編みにハマり中。
ビジネスの成長プラットフォームとしての魅力はもちろん、
HubSpotのインバウンドマーケティングという考え方、
顧客に対する心の寄せ方、ゆるぎなく、そしてやわらかい哲学。
そのすべてに惹かれて、HubSpotのパートナー、
エキスパートとして取り組んでいます。
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