自社に合う最適なMAツールを徹底比較したいと考える中で、HubSpotとMarketoの比較は欠かすことのできないMAツールです。どちらかの導入を検討しているが機能のメリットとデメリットを知ってから決定したいという方もいるでしょう。
そこで今回は、HubSpotとMarketoの機能や性能を徹底比較します。読むことでHubSpotとMarketoの違いを理解し、明確にした上で自社に合ったツール選びの一助になれば幸いです。
HubSpotとMarketoとは
まずはHubSpotとMarketoそれぞれのツールについて理解しましょう。
HubSpotとは
出典:HubSpot Japan
HubSpotは、2006年に開発され全120ヶ国で世界中の企業に利用されているCRMツールです。活用することで、顧客に合わせた商品やサービスの提供を目的とする顧客情報やデータを管理できます。
HubSpotは、マーケティングだけではなく、CRMやセールスなど機能別に5種類の製品に分けられており、それぞれを一元管理できることが特徴です。
この記事では、Marketoと比較をする上でMarketing Hubの機能を中心にまとめていきます。
≪関連記事≫
・HubSpot Marketing Hubとは?インバウンドマーケティングを実現するMarketing Hubの機能や価格、事例について解説!
Adobe Marketoとは
出典:Adobe
Marketoは、10個のアプリケーションを揃えた新規顧客獲得の一連のマーケティング施策を管理・自動化・効率化するMAツールです。もともと2006年にCRM大手のエピファニーの社員であったフィル・フェルナンデス氏らが設立しました。
特に操作性を重視し、機能をシンプルに設計・開発されたツールです。
2018年10月米国でAdobe SystemsがMarketoを買収したことに伴い、それぞれの日本法人であるAdobe Systems(アドビシステムズ)とMarketoも経営を連携しました。Marketoの社員も2019年よりAdobeの社員となっています。
Marketoを利用しているビジネスや会社の特徴は、MAツールとして規模の大きなマーケティング活動を行う会社が多いことです。HubSpotには備わっている営業活動の進捗管理機能がないため、一元管理を目的とせずにあくまでMAツールとして利用している企業が多くなっています。
HubSpot Marketing Hubの特徴
HubSpot Marketing HubはHubSpot社が提供している製品の中でもマーケティング分野にて活用することのできるツールになります。こちらではMarketing Hubの特徴を解説していきます。
HubSpot Marketing HubとHubSpot製品群
出典:HubSpot Japan
HubSpotは5つのツールから構成されており、見込み客獲得から顧客の満足度向上までのインバウンドマーケティングの流れを一括管理できます。
HubSpotで利用できる5つのツールは以下の通りです。
1.Marketing Hub
2.CMS Hub
3.Sales Hub
4.Servise Hub
5.Operations Hub
それぞれの機能を一括管理できると、チーム間での情報共有をスムーズに行えます。
マーケティングや営業、顧客管理などを別々のツールで行う場合、データの共有や分析に手間がかかってしまいます。ひとつのツールで包括的に管理できれば、一貫したサービスを円滑に遂行可能です。
CRM・SFAとの簡単な統合
HubSpotはCRM(顧客管理システム)とSFA(営業管理システム)を連携できます。統合ツールを利用し、新規開拓と既存顧客両方の満足度向上を目指すことで、営業からCRMまでトータルでシステム化が可能です。
例えば、Marketing HubをCRMやSFAを統合させることで、マーケティングから営業、カスタマーサービスまで顧客の情報を一元管理を行うことが可能です。情報が一元的に管理されることによって、顧客の過去の情報から、ニーズに合わせた適切な内容のメール配信や追加提案が可能です。
また、HubSpotでは、見込み客の獲得(リードジェネレーション)や、見込み顧客の育成(リードナーチーチャリング)、購買や契約に繋がる可能性の高い見込み客の選別(リードクオリフィケーション)まで包括的に行えます。
特に、リードジェネレーションはマーケティング活動の入口として、自社の商品やサービスに興味を持ってもらい顧客情報を得て見込み客を集める方法です。
リードナーチャリングとリードクオリフィケーションは、契約に至るまで一連の流れをサポートしてくれます。
一方で、MarketoはCRMを搭載していないため、顧客情報管理はセールスフォースなどの他のCRMと連携が必要です。
また、Marketing HubはCMSの一部の機能も搭載している点も大きな特徴です。CMSとは、初心者でも簡単にホームページを作成・更新できるシステムを指します。CMSを利用すれば、専門知識がなくとも簡単にWebページの設定や管理が可能です。
CMSが一部無料で使えるのがMarketing Hubの特徴で、他の製品の場合は別途CMSを準備する必要があります。
包括的なマーケティング機能
Marketing Hubはマーケティング活動の一括管理を実現できます。
活用することで、見込み客を惹きつけるブログの運用やSEO対策、広告運用、SNS管理、LP作成、メルマガ配信などの多種多様な機能をひとつツールで利用し、さまざまな施策を実行可能です。
MA世界シェアNo.1
米HubSpot社のHubSpotは、datanyze社調べでは海外シェアNo.1のMAツールです。
MAツールとは、新規顧客獲得における一連の複雑な作業などを管理、自動化、効率的に行うためのツールの総称をいいます。
インバウンドマーケティングを重視したMAツールとして世界中で評価されていることからも、信頼できるツールだといえるでしょう。
顧客が求めるコンテンツを公開して、新規顧客を開拓したいという方に向いています。
Marketoの特徴
Marketoは、世界最大級のMAツールです。特徴は、自動処理、コンテンツ、リード開発、アカウントベースドマーケティングの力を結集して課題解決につなげられる点です。
これにより、顧客とのつながりやリピーターの増加ができ、チームの時間や手間、リソースを節約できます。
カスタマイズ性が高い
Marketoは、ほかのMAツールと比較してもカスタマイズ性が高いことが特徴です。
開発により自社のニーズを最適化させることができるため、自社にとって使い勝手のいいMAツールに仕上げられます。
AIを活用した予測コンテンツ
Adobe senseiのAIツール(人工知能)を利用すれば、あらゆる顧客に対して常に最も適切なコンテンツを提供できます。
インターネット上に掲載した情報は、時間が過ぎると情報が更新され、古い情報になってしまう場合があります。
その対策としてAIを活用すれば、ユーザーの購買履歴や属性情報などに基づいて適切なサービスを推奨し、訪問者に応じて特定のニーズに最適なコンテンツを提示することが可能です。
予測コンテンツをWEBなどに組み込むことで、あらゆる顧客に対して常に最適なコンテンツを提供できます。
機能が豊富
Marketoは、機能が豊富で以下10個のアプリケーションを使用可能です。
- MA(マーケティングオートメーション)
- メールマーケティング
- モバイルマーケティング
- ソーシャルマーケティング
- デジタル広告
- Webパーソナライゼーション
- ABM(アカウントベースドマーケティング)
- マーケティングアナリティクス
- プレディクティブコンテンツ
- 予測オーディエンス
上記の機能を利用できれば、マーケティング活動はもちろん営業やメールや電話でのコミュニケーションも効率化でき、パフォーマンスを最大化させられるでしょう。
HubSpotとMarketoの評判・口コミ比較
HubSpotとMarketoのそれぞれの特徴を解説したところで、実際に企業が使ってみた感想や評判が気になるという方もいるでしょう。
ここでは、それぞれの口コミでの評価をまとめていきます。
G2によるHubSpotとMarketo総合スコア比較
G2とは、世界最大級のITソフトウェアレビューツールです。実際に製品を使用したユーザーが評価しており、その評価が適切かどうかをチェックする仕組みも取り入れているため、信頼性の高いサイトです。
世界中の10万点以上の製品の中からベストソフトウェアが選出されます。2024年4月現在だと、5点満点中HubSpot Marketing Hubが10,828個のレビューがあり「4.5点」、Marketoが2,477個のレビューがあり「4.1点」となっています。スコアだけ比較するとHubSpotの方がユーザーからより高い評価を得ていると言えますが、それぞれの製品には強みと弱みがあります。スコアだけを指標にするのではなく、自社のビジネスに適切なのはどちらなのか客観的に考えることが非常に重要です。
出典:G2
以下はHubSpotとMarketoの詳細な比較を記した表です。類似点や相違点もあるため決定に迷ってしまう企業も多いのではないでしょうか。
ぜひ表を参考にしながら自社のニーズに最適なのか参考にしてください。※情報は2024年4月時点になります。
リード管理
出典:G2
Marketing HubとMarketoどちらのツールも堅牢なリード管理ツールを提供可能です。
スコアを比較すると、リード管理においてユーザーからはHubSpotがより高いスコアを獲得していることが分かります。HubSpotはコンテンツ開発と高度なレポート機能を重視しているため、コンテンツ作成と改善を優先する企業には良い選択肢となります。
一方、Marketoはリードスコアリングやグレーディングにおいて高い評価を得ています。Marketoではリードスコアリングなどの見込み客の関心度を示す独自の階層化されたリードスコアを作成します。見込み客の関心度が高まったタイミングで顧客を誘導できるので、インサイトを提供する企業には強力な選択肢になるでしょう。
Eメールマーケティング機能
出典:G2
Eメールマーケティングにおいては、HubSpotがMarketoと比較してより高いスコアを獲得していることがわかります。HubSpotのマーケティングメールは送信者によって自動的にパーソナライズさせることが可能であったり、またパブリックデータ版でAIによるEメール文作成機能など日々便利に進化しています。
マーケティングを成功させるためには、企業のニーズや目標がどのツールを選択すれば効果的に達成できるのかを確認することが重要です。
リードインテリジェンス
出典:G2
HubSpotとMarketoを比較すると、獲得したリードの情報を分析しインサイトを提供する部分においては、Marketoがより高い評価を得ているようです。特にリード分析においては高評価であり、MarketoはAIを活用して顧客データの管理や分析も自動化することができます。
HubSpotとMarketoを利用する企業の特徴
従業員数
出典:G2
HubSpotは50名以下の小規模企業または51名から1000名規模の小、中規模企業で利用されている傾向があることが分かります。それに対してMarketoは51名から1000名のMid-Market企業が多く利用しており、1000名以上規模の大企業からの利用も多いことが見て取れます。
Marketoは多機能であり価格も比較的高いことから、複雑なビジネスニーズを持つ大規模企業に利用されることが多いのでしょう。それに対してHubSpotは安価な価格からスタートできることが魅力であるため、中小企業がより大きなユーザーの割合を占めていると考えられます。
業種
出典:G2
利用企業の業種は、HubSpotとMarketo共に類似しているようです。Marketoの利用企業のなかで4分の1の企業の業種がComputer Softwareと言われるIT企業であり、HubSpotと比較すると多くの割合を占めていることが分かります。
HubSpotのMarketing Hubへの評判・口コミ
HubSpotへの評判と口コミをまとめました。
ポジティブな口コミ
・トライアルがあるため、初期投資を抑えて管理できる
・他HubSpotサービスと連携した状態で、同一のツールで一括管理ができる
・視覚的、直感的に操作できてUIが使いやすい
・他製品と比べて安価
ネガティブな口コミ
・無料版だと機能が制限される
・英語表記が多いため、慣れるのに時間がかかる
・分析機能が弱い
参照:G2|HubSpot Marketing Hub Reviews
上記のように、HubSpotは使いやすく、料金面で評価されている口コミが多い印象です。
一方、日本語対応はしてありますが、英語表記のままの箇所や翻訳が直訳のままで不自然な日本語となるため、使いにくさを感じる声も見つかりました。また、レポーティングなどのカスタマイズ機能に関してはまだ改善の余地がありそうです。
Marketoへの評判・口コミ
Marketoへの評判と口コミをまとめました。
ポジティブな口コミ
・自社のニーズに合わせてカスタマイズしたMAツールに仕上げられる
・セミナーやコミュニティが充実している
・電子メールと統合して通知などを確認できる
・メールに添付したリンクのクリックを追跡できる
ネガティブな口コミ
・価格が高く、中小企業には向いていない
・UIが使いづらくどこに何があるのかわかりづらい
・内容を把握して使い始めるまで苦労した
参照:G2|Marketo Sales Connect (formerly ToutApp) Reviews
Marketoの最大の特徴は、連携面・カスタマイズ性の自由度の高さです。
上記のように、Marketoの多機能面を活かしてマーケティングを効率化させている企業が多くみられます。複雑なマーケティングキャンペーンを実現させたい場合に多機能なMarketoは味方になってくれるでしょう。
一方で、比較的高価である点、UIの部分で使いづらさを訴える声も多いようです。Marketoの公式コンサルティングサービスで初期導入支援を受けるなどの対応が必要となるかもしれません。
HubSpotとMarketoの料金比較
機能面の比較と同時に費用面での比較もツール選びでは重要なポイントです。どの程度の差があるのか見ていきましょう。
HubSpot Marketing Hubの料金プラン
出典:HubSpot
HubSpot Marketing Hubの無料プランでは、ソフトウェアの一部機能が無料で利用可能です。無料版でもメールメールマーケティングや広告管理、データ分析などの機能を利用できます。HubSpotの無料版は最大5名まで利用可能なので、まずは社内の5名で利用を開始してみてはいかがでしょうか。
気になる方は、無料プランに登録するだけで、実際に使用しながらHubSpotの機能や操作性を確認してみることができます。
Marketoの料金プラン
出典:Marketo Engage
Marketoの料金プランはホームページでは未公開となっており、すべてのプランに問い合わせが必要です。価格は企業の持つリード件数やメールアドレス数などのデータベース量とオプション数で変動します。
企業ごとのデータ量や利用したい機能によって価格が変動するため、価格を確認したい場合は問い合わせて確認しましょう。
HubSpotとMarketoのサポート体制
続いて、HubSpotとMarketoのサポート体制を比較していきましょう。運用や導入をしていくと、使い方がわからないなど、トラブルや不具合が多く出てくる可能性があります。
急なトラブルに困らないためにも、万全なサポート体制があるのかどうかも把握しておくことがおすすめです。
HubSpotのサポート体制
HubSpotは、導入の際や運用中のお困りの方向けにサポート体制が整っています。ただし、契約するプラン内容に応じて利用できるサポート内容が異なるため、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。
主なサポート内容は以下の通りです。
参照:HubSpot ヘルプセンター
サポートサービスを利用することで、HubSpotを使いこなして自社の目標達成に進めていけるでしょう。
Marketo のサポート体制
Marketoでは、MAを初めて使う企業でも安心して利用できるようなコミュニティやラーニング機能などを利用できます。また、有料プランに登録することで充実したサポートも利用可能です。
Marketoで利用できるサポート内容は以下の通りです。
参照:Marketo サービスとサポート
上記のプランから必要に応じてサポート内容を選択できます。
HubSpotとMarketoを連携することも可能
HubSpotとMarketoは、それぞれを連携することが可能です。
HubSpotとMarketoを連携すれば、これまでツールごとに分断されていたマーケティング情報も一括管理できます。
そこで、2つのツールを同期するメリットを以下で紹介していきます。
HubSpotとMarketoのデータ同期
手作業での入力や、時間を要するインポート作業なしで、MarketoのリードをHubSpotに同期可能です。
同期するメリットとしては以下の3つがあります。
- MarketoとHubSpotの間でデータをリアルタイムで共有できる
- フィールドマッピングが標準で準備されているため、設定が短時間でできる
- 既存データは初期同期中にアップロードされるため、その後の更新データは随時同期される
また、コンタクトの同期を行うことで、データの手入力は最初だけの作業です。
いずれかのシステム上にレコードが作成または更新されると、その情報が自動的にもう一方のシステムと共有されます。
出典:HubSpot
カスタムフィールドマッピング
カスタムフィールドマッピングは、Operations HubのStarterエディション以上で利用可能です。
カスタムマッピングを使用すれば、自由自在に独自のマッピングを作成して、既定のマッピングを変更できます。
出典:HubSpot
まとめ
この記事では、HubSpotとMarketoの特徴と機能の比較をお伝えしました。HubSpotはCRMツールとして設計されており、無料で利用できます。
すべてのツールにお試し用のソフトウェアがあるため、安価にCRMを使用したい企業におすすめです。
一方で、Marketoは世界的に有名なMAツールです。MAツールとして約10種類の豊富な機能を活用できます。しかし、CRMを搭載していないため他のCRMとの連携が必要なことが特徴です。
HubSpotとMarketoのそれぞれの特徴や料金を比較し、自社のニーズにあったツールを選びましょう。