ウェブサイトの新規開設・改修や、記事の更新・管理を行う際に、CMS(コンテンツ管理システム)は欠かせないものとなっています。
実際に、W3Techsの「コンテンツ管理システムの使用統計と市場シェア」に関する調査によると、2024年7月時点で、全ウェブサイトの69.3%がCMSを利用していることが分かっています。
しかし、はじめてCMSを導入する場合、「CMSにはどんな機能があるのか?」「CMSでどこまでできるのか?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、CMSの代表的な機能について、「コンテンツの制作・編集」「管理」「公開」「コンテンツを届ける」の4つの観点から詳しく解説します。
まずは、CMSの基礎を確認しておきましょう。ここでは、CMSの概要と、これまでの歴史と意義について解説します。
CMS(Contents Management System/コンテンツ・マネジメント・システム)とは、ウェブサイトの作成や更新を行うためのシステムです。
通常、ウェブサイトの作成や更新にはHTMLなどの専門的な知識が必要ですが、CMSを使えばSNSやブログのような感覚でウェブサイトの記事を作成できます。
ウェブサイトには静的サイトと動的サイトがあり、基本的にCMSで作られるのは動的サイトです。
動的サイトとは、データベースにテキストや画像などのウェブサイトのパーツが保存されており、ユーザーがアクセスするたびにページが生成・表示される仕組みをもつサイトです。
動的CMSのメリットは、情報やコンテンツをユーザーにあわせて表示できることや、リアルタイムに更新できることです。ただし、動的要素を利用できる反面、サーバーへの負荷が大きいというデメリットもあります。
一方、静的サイトでは完成されたページをそのまま表示します。通常はHTMLなどを使ってページをゼロから構築し、各ページが独立しているため、ページの追加や変更を行う際には、ヘッダーやメニュー、リンクなどの他の部分も個別に修正する必要があります。入力フォームのような動的要素がない分、サーバーへの負荷が少ないことが利点です。
CMSの例)Content Hub|HubSpot
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CMSのはじまりは、1995年に開発された企業向けの「Webコンテンツ管理システム」であり、これが現在のCMSの原型とされています。
当初のCMSは、企業やメディア組織が自社のニーズに合わせてカスタマイズし、専門のITスタッフが管理を担当していました。そのため、高度な技術的知識が求められ、一般ユーザーには利用が難しいものでした。
しかし、2005年頃から手軽にホームページを開設できるブログサービスが登場し、ウェブサイト作成経験のない個人ユーザーからの需要が高まりました。さらに、無料で簡単に導入できるオープンソースCMSが多くリリースされました。現在、市場の4割以上を占めるWordPressがリリースされたのもこの頃です。
この時期に注目されたCMSは、日本語対応やトラックバック機能、予約投稿機能など、ブログに必要な基本機能を網羅しており、充実したプラグインが利用できる点も人気を急速に高める要因となりました。
しかし、初期の段階ではユーザー権限やセキュリティーの問題が顕著化し、これらの課題に対処する必要がありました。この時期がCMSの発展と企業利用のスタートとなり、その後の発展へとつながったと考えられます。
個人サイトのブログブームに乗じて、企業サイトでもブログ形式でページ作成ができるCMSが次々と導入されるようになりました。これにより、膨大なドキュメントを一括管理するニーズが高まり、国内でも企業サイト向けの「商用CMS」が登場します。
これにより、CMSの機能も進化し、ユーザー権限の設定や公開の承認フロー、バージョン管理など、企業のサイト運用に役立つ機能が次々に追加されました。
2010年頃になると、スマートフォンの普及に伴い、さまざまなデバイスに適用できる「レスポンシブデザイン」の需要が高まりました。レイアウトを崩さないためには、HTML・CSS・JavaScriptを正しく記載しなければならないため、デザインテンプレート管理ができるCMSのニーズが高まりました。
2012年以降、CMSは単なるウェブサイト管理ツールから進化し、マーケティングツールとしても活用されるようになりました。これは、CMSがコンテンツ公開だけでなく、ユーザー行動の追跡や分析、ターゲティングなど、マーケティング活動に直結する機能を備えるようになったためです。
企業はCMSを利用してユーザーの行動データを収集し、それをもとにターゲティング広告を行うことが可能になりました。現在では、CMSは企業のマーケティング戦略において欠かせない存在となり、その進化が続いています。
CMSは、その利便性と多機能性により、企業や個人のウェブサイト運営を大きく変革してきました。
ここでは、CMSが持つ4つの意義について詳しく解説し、それぞれがウェブサイト運営にもたらすベネフィットを説明します。
コンテンツの制作と編集は、CMSの主要な機能です。
従来のウェブサイトのコンテンツ制作では、HTMLやCSSなどの専門的な知識が必要でしたが、CMSを利用することで、誰でも簡単に記事や画像を追加・編集することが可能になりました。
具体的には、直感的なエディターを使用し、文字の装飾や画像の挿入、リンクの設定などを行えます。
例えば、マーケティング部門や広報部門が独自にコンテンツを制作・更新することもでき、企業内での情報発信が迅速に行えるようになります。これにより、タイムリーな情報提供につながり、常に新鮮で魅力的なコンテンツを提供することで訪問者の関心を引き続けることができます。
CMSの重要な機能として、コンテンツの管理があげられます。多くのCMSには、コンテンツのバージョン管理、ユーザー権限の設定、タグ付け、カテゴリー分けなど、組織的にコンテンツを整理・管理するための機能がそなわっています。
バージョン管理機能では、変更履歴の確認や過去のコンテンツに戻すことなどができます。
ユーザー権限の設定では、異なる役割のユーザーに適切な権限を与えられるため、誤った編集や削除の防止に役立ちます。例えば、編集者は記事の作成・編集まででき、公開は管理者のみが行えるといった設定が可能です。
また、タグ付けやカテゴリー分けを活用することで、訪問者が必要な情報を迅速に見つけられるようにすることも可能です。特に大量のコンテンツを集約するサイトでは、タグ付けやカテゴリー分けによって、訪問者の利便性の向上を図れます。結果として、ユーザーエクスペリエンスが向上し、再訪率の向上や滞在時間の延長が期待できます。
CMSの役割として、コンテンツの公開も重要な意義を持ちます。
コンテンツの公開日の指定や、下書き保存を活用することで、計画的なコンテンツ公開が容易になります。この機能により、マーケティングキャンペーンや重要な発表のタイミングを正確に管理することができます。
タイムリーな情報提供は、訪問者の関心を引きつけることにもつながります。例えば、新製品のリリース日に合わせて関連コンテンツを自動的に公開することが可能です。
また、公開前のプレビュー機能によって、実際に公開される前にコンテンツの最終確認を行うことで、ミスを減らすことにもつながります。
ウェブサイトのコンテンツは制作しただけで完結するわけではなく、ユーザーに届けて初めてその価値が発揮されます。多くのCMSには、コンテンツを効果的にユーザーに届けるための機能がそなわっています。
例えば、RSSフィードの生成やソーシャルメディアとの連携、メールマーケティングツールとの統合、SEO対策などです。
RSSフィードの生成により、訪問者は新しいコンテンツが公開されたときに自動的に通知を受け取ることができます。また、ソーシャルメディアとの連携機能を使用することで、記事の公開と同時にFacebookやX(旧:Twitter)などのプラットフォームにも自動的に投稿することが可能です。これにより、SNS経由でのトラフィック増加が期待できます。
メールマーケティングツールとの統合も重要です。CMSから直接メールを送信することや、ニュースレターを発行することができるため、ターゲットとなる顧客に対して効果的に情報を届けられます。
さらに、SEO(検索エンジン最適化)の観点からも、コンテンツの公開機能は重要です。CMSはSEOに配慮したURL構造やメタタグの設定が容易に行えるため、検索エンジンでの表示順位の向上を目指すことが可能です。これにより、自然検索からのトラフィックを増加させ、サイトの訪問者数を効果的に拡大できます。
このようにCMSを活用することで、コンテンツを広範囲に届け、訪問者とのエンゲージメント強化を図れます。
CMSにはさまざまな機能がありますが、特にコンテンツ制作・編集機能はCMSの中核となるものであり、ウェブサイトの品質向上や運営のしやすさに大きく影響します。
ここでは、「コンテンツ制作・編集」に関する機能について詳しく説明し、それぞれの活用方法をご紹介します。
なお、機能を搭載・非搭載についてはCMSによって異なるため、選定する際に、自身が必要としている機能が搭載されているかを必ず確認するようにしましょう。
CMSのコンテンツ制作・編集のメイン機能は、コンテンツの生成です。この機能は、専門的なプログラミング知識を持たないユーザーでも、簡単に新しいコンテンツを作成できるように設計されています。
具体的な活用例としては、企業のニュース記事や商品説明ページの制作に利用できます。マーケティング担当者が新商品の情報を公開したい場合に、CMSのコンテンツの生成機能を用いて記事を作成し、公開できます。
また、イベントの告知やキャンペーン情報の発信も簡単に行えるため、タイムリーな情報提供が可能になります。
近年では、AIが搭載されたコンテンツ生成機能を提供するCMSも登場しており、簡単な質問に答えるだけで、魅力的な記事を短時間で作成できます。
コンテンツの編集機能もCMSの重要な要素です。この機能により、既存のコンテンツを簡単に修正・更新することができます。
編集ツールはユーザーフレンドリーなタイプが多く、見たまま編集できる「WYSIWYGエディター」が採用されていることが一般的です。テキストの変更や画像の差し替え、リンクの修正などを直感的に行えます。
例えば、企業の製品ページに新しい情報を追加する際、CMSのコンテンツの編集機能を使用することで、エンジニア以外の担当者でも迅速に更新を行うことができます。これにより、情報の正確性を保ちつつ、訪問者に最新の情報を提供することが可能になります。
また、誤字脱字の修正やレイアウトの調整も簡単に行えるため、ウェブサイトの品質を維持することができます。
ページ複製機能は、既存のページをもとに新しいページを作成する際に便利な機能です。一からページを作成する手間を省き、効率的に新しいコンテンツを追加できます。
特に、デザインやレイアウトが同じページを複数作成する必要がある場合に有用です。
例えば、企業が製品紹介ページを作成する際、同じフォーマットで複数の製品ページを作る必要がある場合には、この機能が役立ちます。一度作成したテンプレートを複製し、新しい製品情報を追加するだけで、新しいページが完成します。
これにより、デザインの統一感を保ちながら、迅速に多くのページを作成することが可能です。
また、キャンペーンページやランディングページの作成にも役立ちます。同じレイアウトを使用して、異なる内容のページを短時間で複製・作成できるため、マーケティング活動を効率的に進めることができます。
具体的には、季節ごとのセール情報を発信する際に、前回のセールページを複製して新しい情報を追加するだけで、新しいページを簡単に公開するといった活用方法があります。
CMSにはブログ機能が標準で搭載されていることが多く、これにより、定期的な情報発信が容易になります。ブログ機能を活用することで、企業や個人が最新情報やニュース、専門的な知識を共有し、訪問者とのエンゲージメントを高められます。
具体的な活用例として、新製品の開発ストーリーや使用方法の解説記事を作成することや、業界の最新トレンドなどをブログ記事として発信することがあげられます。これにより、訪問者に対して価値ある情報を提供し、企業の信頼性や専門性をアピールすることができます。
また、特定のカテゴリーに特化した良質なブログ記事を定期的に公開することで、SEO効果も期待でき、検索エンジンからのトラフィックを増やすことにもつながります。
ドラック&ドロップ機能は、コンテンツの配置やレイアウト変更を直感的に行える機能です。専門的なコーディングスキルがなくても、簡単にウェブページのデザインをカスタマイズすることができ、特にビジュアルが重要なページを作成する際に役立ちます。
例えば、企業のホームページで新しい製品の特集ページを作成する場合、画像やテキストブロックをドラッグ&ドロップ機能によって、自由にレイアウトを調整することができます。これにより、デザインの自由度が高まり、クリエイティブなページを短時間で作成しやすくなります。
また、同機能はEコマースサイトでも役立ちます。製品ページのレイアウトをドラッグ&ドロップで簡単に変更できるため、季節ごとの特集やプロモーションに合わせてページを素早く更新することが可能です。これにより、サイト全体のデザイン統一を保ちながら、柔軟にコンテンツを更新し、ユーザーエクスペリエンスの向上を図れます。
CMSのコンテンツ管理機能を活用することで、サイト運営者はコンテンツの整理・検索・デザイン管理・履歴の保存・バージョン管理などをスムーズに行うことができます。
ここでは、CMSの代表的なコンテンツ管理機能について詳しく説明し、それぞれの活用方法をご紹介します。
コンテンツのカテゴライズ機能は、ウェブサイト内の情報を整理するために重要な機能です。この機能を使うことで、コンテンツをテーマ別やトピック別に分類し、訪問者が目的の情報にアクセスしやすくなります。
また、サイト運営者にとっても、コンテンツの管理が容易になります。具体的な活用例として、ニュースサイトやブログでのカテゴリー分けがあります。
例えば、ニュースサイトでは「政治」「経済」「スポーツ」「マーケット」「エンターテインメント」などのカテゴリーを設定し、それぞれの記事を適切なカテゴリーに分類することで、読者が興味のある記事をすぐに見つけられるよう工夫できます。
引用:日本経済新聞
ブログでも同様に、「旅行記」「レシピ」「ライフスタイル」などのカテゴリーを設けることで、読者が関心のある投稿を簡単に探しやすくなります。
さらに、Eコマースサイトでもコンテンツのカテゴライズ機能は有用です。商品をカテゴリーごとに整理することで、訪問者が目的の商品を迅速に見つけやすくなり、購買意欲の醸成が期待できます。
コンテンツ検索機能は、ウェブサイト内の情報を効率的に探すための機能です。訪問者は、キーワードを入力するだけで目的の情報にアクセスすることができます。これにより、ユーザーエクスペリエンスが向上し、サイトの利用価値を高められます。
具体的な活用例として、オンラインマニュアルやFAQサイトでの利用があります。
例えば、技術サポートを提供するフォーラムサイトでは、ユーザーが特定の問題に関する情報を検索する際に、この機能が役立ちます。
キーワードを入力するだけで関連するマニュアルやFAQ記事が表示されるため、ユーザーは迅速に解決策を見つけることができます。
また、ニュースサイトやブログでもコンテンツ検索機能は有効です。訪問者が特定のトピックや記事を探す際に、検索ボックスにキーワードを入力するだけで関連する記事が表示されるため、目的の情報に迅速にアクセスできます。これにより、サイトの訪問者はストレスなく情報を探し出せるため、ユーザー体験の向上が期待できます。
デザインテンプレートの管理機能は、ウェブサイト全体のデザインを統一し、効率的に更新するために欠かせない機能です。この機能を使うことで、サイト運営者は一貫性のあるデザインを維持しつつ、新しいコンテンツを追加することができます。
具体的な活用例として、企業の公式サイトやブランドサイトでの利用があります。企業サイトでは、各ページが統一されたデザインを持つことが重要です。デザインテンプレートを使用することで、新しいページを追加する際にも一貫性を保つことができ、サイト全体のプロフェッショナルな印象を維持できます。
例えば、新製品の特集ページを追加する際に、既存のテンプレートを使用することで、デザインの整合性を保ちつつ迅速にページを作成できます。
また、ブログやニュースサイトでもテンプレート管理機能は役立ちます。統一されたデザインテンプレートを使用することで、投稿ごとに異なるデザインを適用する手間を省き、一貫したスタイルを保つことができます。これにより、サイトの訪問者に対して統一感のある印象を与えることができ、ブランドイメージの向上にもつながります。
更新履歴の保存機能は、ウェブサイトのコンテンツ変更履歴を記録し、いつでも以前の状態に戻せるようにするためのバックアップ機能です。誤った変更や意図しない編集があった場合にも簡単に修正でき、安心してコンテンツを管理することができます。
具体的な活用例として、企業サイトでのプレスリリースの更新や修正があげられます。プレスリリースの内容を変更する際に、誤りが発生しても、更新履歴を確認して以前のバージョンに戻すことができるため、正確な情報を提供し続けることが可能です。
また、大規模なサイトリニューアルの際にも、万が一の問題が発生した場合に迅速に元の状態に戻せるため、サイト運営のリスクを軽減できます。
さらに、複数の編集者が関わるプロジェクトでもこの機能は有用です。各編集者が行った変更履歴を確認することで、誰がどの部分を修正したかを把握でき、編集ミスや重複作業を防ぐことができます。これにより、チーム全体の効率を向上させ、スムーズなコンテンツ管理を実現できます。
バージョン管理機能は上書き保存とは異なり、その時点での内容を保存し、必要に応じて以前のバージョンに戻すことができる仕組みです。これにより、過去の変更履歴の保存や、同一URLで将来表示するコンテンツをあらかじめ作成しておくことが可能になります。
この機能を利用することで、サイト運営者は安心してコンテンツの変更や更新を行うことができ、コンテンツの品質を維持することができます。
具体的な活用例として、ブログやニュースサイトでの定期的な更新作業での活用があります。例えば、重要な記事の内容をアップデートする際に、バージョン管理機能を使用して以前のバージョンを保存しておくことで、新しい情報と古い情報を比較しながら更新作業を進めることができます。
また、過去の記事に誤りがあった場合にも、簡単に以前のバージョンに戻すことができるため、信頼性の高い情報提供が可能です。
さらに、企業のマーケティングキャンペーンやプロジェクトの進行においても、この機能は役立ちます。例えば、キャンペーンページの内容を定期的に更新し、異なるバージョンを保存することで、効果的なバージョンを後で再利用することができます。これにより、キャンペーンの効果を最大化し、マーケティング活動の効率を向上させることが可能です。
CMSはコンテンツの作成や管理だけでなく、公開プロセスを効率化するための機能も豊富にそなえています。ここでは、CMSの代表的なコンテンツ公開機能の概要と具体的な活用例について解説します。
プレビュー機能は、コンテンツを公開する前に、実際にどのように表示されるかを確認できる機能です。利用することで、公開前にデザインやレイアウトの確認ができ、誤りや不具合を事前に発見して修正することができます。
例えば、企業の公式サイトで新しい製品の紹介ページを作成する場合、プレビュー機能によって公開前にページの見た目を確認することができます。製品の画像や説明文、リンクなどが正しく表示されているか、ユーザーの視点でチェックできるため、公開後に発生する可能性のある問題を未然に防ぐことができます。
また、ブログ投稿やニュース記事でも、プレビュー機能を使って文章のレイアウトや画像の配置を確認し、読者にとって見やすいコンテンツを提供することにつながります。
引用:投稿またはページの公開を予約する|サポートガイドWordPress.com
コンテンツ公開スケジュール機能は、コンテンツの公開日時を事前に設定できる機能です。この機能を使うことで、特定の日時に合わせてコンテンツを自動的に公開でき、タイムリーな情報発信が可能になります。
例えば、マーケティングキャンペーンの開始日に合わせてキャンペーンページを公開する場合、同機能を利用して公開日時を事前に設定できます。これにより、手動での公開作業を省略でき、正確なタイミングでコンテンツを公開することが可能です。
また、定期的なブログ投稿やニュース記事の公開スケジュールを設定することで、読者に継続的に新しいコンテンツを提供し、サイトの訪問頻度を高めることができます。
承認フロー機能は、コンテンツを公開する前に複数の担当者の確認や承認を得るためのプロセスを設定できる機能です。コンテンツの確認申請から記事公開までのチェック体制を整えられるため、コンテンツの品質を保ちつつ、適切な手順を踏んで公開できます。
例えば、大規模な企業サイトでは、コンテンツの作成者・編集者・最終承認者など、複数の担当者が関与することが一般的です。承認フロー機能を活用することで、各担当者が順番にコンテンツを確認し、必要な修正を行ったうえで最終的な承認を得て公開することができます。これにより、誤りや不適切な表現のない高品質なコンテンツの提供につながります。
CMSはコンテンツの制作や管理のほか、コンテンツをターゲットオーディエンスに効率的に届けるためのさまざまな機能も提供しています。ここでは、CMSのコンテンツを届けるためのマーケティング関連の機能について見ていきましょう。
SNSとの連携機能は、CMS上で作成したコンテンツをソーシャルメディアプラットフォームに簡単にシェアできる機能です。コンテンツの拡散力を高め、多くのユーザーにリーチするために役立ちます。
例えば、新しいブログ記事を公開する際に、CMSのSNS連携機能を用いてFacebookやInstagram、X、LinkedInなどのアカウントに自動的に投稿することが可能です。
引用:ソーシャルメディアに自動で投稿する|サポートガイドWordPress.com
これにより、手間をかけずに多くのプラットフォームでコンテンツをシェアし、記事へのトラフィックを増やすことが可能です。また、イベント情報やキャンペーン告知などもSNSを通じて広く拡散できるため、集客力を高めることができます。
A/Bテスト機能は、異なるバージョンのコンテンツを同時に公開し、どちらがより効果的かを比較するための機能です。最適なコンテンツを見つけ出し、ユーザーエンゲージメントの向上を図る際に有用です。
例えば、ランディングページのデザインやキャッチコピーをA/Bテストすることで、どちらがより多くのコンバージョンを生み出すかを確認できます。また、自動で異なるバージョンを作成し、それをランダムにユーザーに表示させた結果を分析することで、効果的なコンテンツを検証することが可能です。
CMSのSEO機能では、主に検索エンジンでのランキングを向上させるためのコンテンツ最適化ツールや、ガイドラインを提供します。SEO機能を活用することで、自然検索(オーガニック検索)からのトラフィックを増やし、サイト訪問者数の増大を図れます。
例えば、メタタグやキーワードの最適化、内部リンクの設定、画像の代替テキストの追加などを行うことができます。
さらに、SEOレポートや分析ツールを利用することで、サイト全体のSEOパフォーマンスを把握し、改善点を見つけることも可能です。これにより、検索エンジンでのランキング向上に寄与し、より多くのユーザーにリーチしやすくなります。
フォーム機能は、ユーザーからの問い合わせや情報収集を行うためのオンラインフォームを簡単に作成・管理できる機能です。この機能を活用することで、ユーザーエンゲージメントを高め、必要なデータを効率的に収集することができます。
具体的には、コンタクトフォームやアンケートフォーム、登録フォームなどの作成が可能です。さらに、フォームのカスタマイズや回答の自動集計、データのエクスポートなどに対応しているCMSもあります。
これにより、ユーザーからのフィードバックを効率的に収集し、サービスや製品の改善に役立てられます。
CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)との連携機能は、顧客データや営業プロセスを統合し、一元管理するための機能です。これらの機能を活用することで、顧客との関係を強化し、営業効率を向上させることができます。
CMSとCRMとの連携は、ユーザーがサイト上で行ったアクションを顧客データとして自動的に記録する際に役立ちます。これにより、個々の顧客の興味や行動履歴を把握し、パーソナライズされたコンテンツやオファーを提供することが可能になります。
また、SFAとの連携により、営業チームが顧客情報をリアルタイムで共有し、効果的なフォローアップを行うことができます。
CMSのメルマガ配信機能は、ニュースレターやプロモーションメールを一斉に送信できる機能です。ユーザーとのコミュニケーション強化や、リピーターを増やすことに役立ちます。
例えば、新商品の紹介やキャンペーン情報をメルマガで配信し、顧客に最新情報を迅速に届けるといった活用方法があります。また、メルマガの開封率やクリック率を分析することで、メールの効果を測定し、次回の配信に向けた改善点を抽出できます。
パーソナライズされたメルマガを送信することで、顧客の関心を引き付け、エンゲージメントを高めることにつながります。
MA(マーケティングオートメーション)機能は、マーケティング活動を自動化し、効率的に管理するためのツールです。この機能を活用することで、マーケティングプロセスを最適化し、リードジェネレーションやナーチャリングを効果的に行うことができます。
具体的には、特定の条件に基づきメールを自動送信することや、リードスコアリングを行うことが可能です。
これにより、見込み客の興味や行動に応じたパーソナライズされたコミュニケーションを実現し、コンバージョン率を向上させることができます。また、マーケティングキャンペーンの効果をリアルタイムで分析し、迅速に戦略を修正することも可能です。
アクセス解析機能は、ウェブサイトの訪問者数や行動パターンを分析し、サイトのパフォーマンスを評価するためのツールです。ユーザー行動の把握や、サイトの改善点を見つける際に有用です。
例えば、アクセス解析ツールを使用し、「もっとも訪問されているページ」「ユーザーがサイトにアクセスした経路」「滞在時間・直帰率」などを確認することができます。
これにより、効果的なコンテンツやデザインの見直しを行い、ユーザーエクスペリエンスを向上させることが可能になります。また、SEO対策や広告キャンペーンの効果を測定することで、マーケティング戦略を最適化するためのデータも取得できます。
CMSの基本的なコンテンツ作成・管理・公開機能以外にも、多くの追加機能を提供しています。これらの機能は、特定のニーズに対応し、より高度なサイト運営を実現するためのものです。
ここでは、CMSのその他の機能について、それぞれの説明と具体的な活用例をご紹介します。
決済機能は、CMSに組み込まれたオンライン決済システムで、ユーザーがサイト内で直接商品やサービスの購入ができる機能です。この機能を利用することで、Eコマースサイトやオンラインショップの運営がスムーズになります。
例えば、ECサイトを運営している企業がCMSに決済機能を組み込むことで、クレジットカード決済・電子マネー・銀行振込など、さまざまな決済方法を提供できるようになります。また、決済機能は注文処理・在庫管理・領収書の発行など、購入プロセス全体の効率化にも役立ちます。
さらに、ユーザーが定期的に料金を支払い、コンテンツにアクセスできる仕組みを簡単に構築できるため、定期購読サービスやメンバーシッププログラムを提供する際にも有用です。
引用:複数の言語でページを作成する|HubSpot ナレッジベース
CMSの多言語機能は、サイトを多言語対応にするための機能です。グローバルなオーディエンスに対してコンテンツを提供し、国際的な市場にリーチすることを目指している場合に役立ちます。
多言語機能を導入することで、各地域のユーザーが自分の言語で情報を得ることができ、より良いユーザー体験を提供することができます。
CMSのサービスによっては、翻訳ツールやローカライズ機能を備えているタイプもあり、活用することで翻訳作業の効率化も図れます。
外部サービスとの連携機能は、CMSと他の外部ツールやサービスとを統合し、データや機能を相互に活用するための機能です。
例えば、CMSとGoogle Analyticsを連携させることで、サイトのトラフィックデータやユーザー行動の分析をCMS内で直接確認することができます。
引用:Google アナリティクス | WordPress.com サポート
また、メールマーケティングツールやCRM(顧客関係管理)システムと連携することで、ユーザーの行動データを基にしたパーソナライズドなマーケティング活動が可能になります。
さらに、外部のカスタマーサポートツールやチャットボットとの連携により、ユーザーからの問い合わせやサポートリクエストを効率的に管理することができます。これらの機能を活用することで、サイトの運営をより効率的に行えるでしょう。
ユーザー管理機能は、サイトのユーザーやメンバーを管理するための機能であり、アクセス権限の設定やユーザー情報の管理、ユーザーグループの作成などが可能です。
例えば、企業の内部ネットワーク(イントラネット)や会員制サイトでは、ユーザー管理機能を利用して、役職や権限に応じたアクセス制限を設定する必要があります。
ユーザー管理機能を導入することで、特定の情報や機能に対して権限を持つユーザーのみがアクセスできるようになります。また、ユーザーのアクティビティやログイン履歴の追跡にも役立ちます。
CMSのセキュリティー機能は、セキュリティー対策を管理するための機能であり、サイトの安全性を確保するために欠かせないものです。特に金融機関や医療機関など、機密情報を取り扱うサイトにとって重要です。
セキュリティー機能が充実したCMSを利用することで、サイトの脅威から保護し、データの安全性を維持することができます。
例えば、CMSのセキュリティー機能として、SSL/TLS暗号化、二要素認証、ファイアウォール、セキュリティパッチの自動適用などがあげられます。
また、定期的なバックアップ機能やセキュリティスキャンを実施することで、データの損失やセキュリティインシデントに備えられます。
分析・レポート機能は、サイトのパフォーマンスを評価し、改善のためのデータを提供するツールです。この機能を活用することで、サイト運営の効果を測定し、戦略的な意思決定が可能になります。
例えば、CMSの分析機能を利用して、サイトの訪問者数・ページビュー・滞在時間・直帰率などのデータを収集し、可視化することができます。これにより、ユーザーの行動パターンを理解し、コンテンツやデザインの改善に役立てられます。
また、A/Bテストの結果やマーケティングキャンペーンの効果をレポートとしてまとめ、次回の戦略に反映させることができます。分析・レポート機能は、ROI(投資対効果)の測定や、サイトの改善施策の効果を検証するためにも重要です。
CMSは、現代のウェブサイト運営において欠かせないツールです。CMSを導入することで、多くの利点を得ることができ、ウェブサイトの運営をより効率的かつ効果的に行えます。
ここでは、CMS導入の主なメリットについて、具体的な理由と事例を交えて説明します。
CMSの最大のメリットは、専門知識がなくても効率的にコンテンツの公開や管理が可能になる点です。CMSを導入することで、ウェブサイトのテキスト・画像・動画などのコンテンツを中央集権的に管理し、編集作業を簡素化することができます。
例えば、ブログ記事やニュースリリースの作成時に、HTMLやCSSの知識がなくても、リッチテキストエディターを用いて簡単に文章を装飾することや、画像を挿入することができます。このような使い勝手の良さによって、コンテンツ作成のスピード向上につながります。
また、複数人で作業を進める際のコンテンツの一元管理が可能です。複数の担当者が異なるページを編集する場合でも、CMS内で統一されたガイドラインに基づき作業を行えます。
これにより、コンテンツの整合性を保ちつつ、編集作業を効率化できます。定期的な更新や修正も、CMSのダッシュボードから簡単に管理できるため、スムーズに運用しやすくなるでしょう。
CMSは、ただのコンテンツ管理のためのツールにとどまらず、日々アップデートされています。実際に、マーケティング機能などを搭載しているCMSも増加傾向にあります。また、CMSのプラグインやモジュールを活用することで、必要な機能を追加することも可能です。
CMSの多機能性によって、さまざまなサイト運営のニーズに応えることが可能になります。多くのCMSは、基本的なコンテンツ管理機能に加え、追加機能や拡張機能を提供しており、これによりサイトの機能性を大幅に向上させられます。
例えば、ECサイトを運営する場合、CMSに商品管理・注文管理・決済機能などが組み込まれていることで、商品情報の更新や注文処理などの業務を滞りなく行えます。
また、SEO(検索エンジン最適化)に強いCMSであれば、メタタグやキーワード設定、サイトマップの生成など、検索エンジンのランキング向上に寄与する機能が提供されていることもあります。
他にも、ユーザー管理やアクセス制御の機能を活用することで、大規模な企業サイトなどでも役職ごとに異なるアクセス権限を設定し、各担当者が担当するページのみ編集できるようにすることができます。
CMSを導入することで、開発・デザインのコストやメンテナンスコストなど、長期的な運用コストの削減にも寄与します。
仮に、社内にウェブ技術やHTML・CSSなどに詳しい人材がいない場合、ウェブサイト作成を依頼していたウェブ制作会社から毎回見積もりを取得し、外注するような流れがほとんどでしょう。
CMSを利用することで、ゼロからウェブサイトを構築する場合に比べて、開発コストを大幅に抑えることができます。
また、多くのCMSにはデザインテンプレートや既成の機能がそろっており、それらをカスタマイズすることで、短期間でサイトを立ち上げることが可能です。例えば、WordPressやWixなどのCMSは、豊富なテーマやプラグインを提供しており、これらを利用することで、専門的な知識がなくても高品質なサイトを低コストで作成できます。
ウェブサイトを運用する際には、メンテナンスのためのコストも考慮する必要があります。CMSであれば定期的なアップデートが提供され、セキュリティパッチや新機能が追加されるため、サイトの保守管理が容易に行えます。
さらに、CMSの自動化機能を活用することで、バックアップの自動化や、定期的なデータベースの最適化など、手動で行う作業を自動化することも可能です。人的リソースを削減し、効率的な運用が可能になり、これにより長期的なコスト削減につながります。
CMSの機能は「コンテンツの制作・編集」「管理」「公開」「コンテンツを届ける」の4つに大別できます。特に、コンテンツの制作・編集に関する機能はCMSの中心的な役割を担い、ウェブサイトの品質向上や運営の効率化に寄与します。
ただし、コンテンツは作成するだけでは不十分であり、ユーザーに届けることが重要です。CMSの中には、コンテンツを効果的にユーザーに届けるためのマーケティング機能をそなえているものもあります。
自社のニーズに合った機能を明確にし、それに適したCMSを選ぶことが大切です。機能の有無はCMSによって異なるため、選ぶ際には、必要な機能が搭載されているかどうかを必ず確認するようにしましょう。
渋谷 真生子
株式会社100(ハンドレッド)のマーケター。新卒でグローバルヘルスケア企業で営業を経験し、セールスフォースにてBDRとして地方企業の新規開拓に携わる。コロナ渦でインバウンドマーケティングの重要性を実感し、アイルランド ダブリンにあるトリニティカレッジの大学院にてデジタルマーケティングの学位取得し現在に至る。最近はかぎ針編みにハマり中。
ビジネスの成長プラットフォームとしての魅力はもちろん、
HubSpotのインバウンドマーケティングという考え方、
顧客に対する心の寄せ方、ゆるぎなく、そしてやわらかい哲学。
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