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OpenAIのDevDay:ChatGPTが「ビジネスのOS」になった日

OpenAIのDevDay:ChatGPTが「ビジネスのOS」になった日
8:10

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ChatGPTは単なる会話ツールから「ビジネスのOS(オペレーティングシステム)」へと変貌しました。

このプラットフォームシフトは、あなたのビジネスの在り方を根本から変える可能性を秘めています。

本記事では、OpenAIの「DevDay」イベントで何が起きたのかを解説し、特に日本でビジネスを営む私たちが、この変化をどう捉え、何を考えるべきかを考察します。AI時代を勝ち抜くための「早期参入の機会」がどこにあるのか、一緒に考えていきましょう。

全てを一箇所で完結する変革

ChatGPTは「プラットフォーム」へ

HubSpotの共同創業者であるDharmesh Shah氏が、DevDay後に「ChatGPTはチャット画面から、完全なオペレーティングシステムへと変貌した」と表現しています。

この表現が的確であると気づいたのは、OpenAIが発表した「Apps SDK」という仕組みを見たときです。開発者は、このSDKによってChatGPTの画面内でアプリケーションを動かせるようになりました。

実際のデモでは、ChatGPTと会話しながら、Courseraの動画を見たり、Canvaでプレゼン資料を作ったり、Zillowで物件を探したりできる様子が紹介されていました。すべてがChatGPTの画面の中で、会話をしながら完結するのです。

歴史的な視点

かつてiPhoneが登場してApp Storeが生まれたときの変化に似ています。スマートフォンが単なる電話から「様々なアプリが動くプラットフォーム」になったように、ChatGPTも単なる会話ツールから「様々なサービスが動くプラットフォーム」になろうとしているのです。

最新の名称と進化

記事内で触れている「Apps SDK」は、現在、「GPTs(カスタムGPT機能)」や「Assistants API」といった、より具体的かつ強力な機能群として展開されています。これにより、外部サービスとの連携はさらに強化されました。

「AgentKit」による自律AIの民主化

個人的に最も興味深かったのは「AgentKit」という発表でした。

これは、AIエージェント(自律的に動くAI)を誰でも簡単に作って、すぐに使えるようにする仕組みです。イベントでは、エンジニアの方がステージ上でライブデモを行い、なんと8分足らずでエージェントを作って公開してしまいました。

もちろん、実際の業務で使うにはもっと時間がかかるでしょう。でも、これまで数週間かかっていたAI開発が、数分から数時間でできるようになる。これは、AI開発の民主化を意味する大きな変化です。

HubSpot連携が示すビジネスAIの未来

そして、このデモの中で、HubSpotとOpenAIの連携も紹介されました。これは単なる技術的な連携以上の意味を持ちます。

CRMのデータやマーケティングツールのデータにAIエージェントがアクセスできるようになると、単なる会話AIではなく、実際のビジネスデータを理解して、顧客への提案や業務を自律的に動かせるAIになる。その可能性を垣間見た瞬間でした。

【AIエージェントの具体的な活用例】
例えば、このAgentKit(≒Assistants API)を活用すれば、「顧客からの問い合わせチケットを分析し、緊急度に応じて最適な営業担当者に自動でタスクを割り振る」など、従来の自動化では難しかった、より高度な業務代行が可能になります。

我々は何を考えるべきか:AIプラットフォーム時代の早期参入

こうした技術の進化を知ったとき、私たちはどう考え、どう動くべきなのでしょうか。

まず、認識しておくべきは「配信チャネルの圧倒的な規模」です。ChatGPTの週間アクティブユーザーは8億人を超えています。つまり、このプラットフォーム上でサービスを提供できれば、初日から巨大な市場にアクセスできる可能性があるということです。

かつて、HubSpotが創業した頃、同社はブログやSEOという新しいチャネルをいち早く活用することで成長しました。今、同じような「早期参入の機会」が、ChatGPTというプラットフォーム上に生まれようとしているのかもしれません。

焦らず、自社にとっての「意味」を見極める

しかし、ここで焦る必要はありません。重要なのは「自社のビジネスにとって、これが本当に意味のある変化なのか」を冷静に見極めることです。

例えば、こんな問いを自分に投げかけてみてください。

  • 自社の顧客は、会話しながらサービスを利用したいと思っているだろうか。
  • 自社の業務プロセスの中に、AIエージェントに任せられる作業はあるだろうか。
  • 自社が持っているデータを、AIと連携させることで、より良いサービスを提供できるだろうか。

これらの問いに「はい」と答えられるなら、今回の発表は大きなチャンスです。もし「まだわからない」なら、それも正直な答えです。無理に飛びつく必要はありません。

プラットフォームシフトを理解する

一つ確かなのは、「プラットフォームの変化」は、ビジネスのルールそのものを変えてしまうということです。

  • Googleが検索プラットフォームを作ったとき: SEOができる企業とできない企業では、情報アクセスに大きな差が生まれました。
  • Facebookがソーシャルプラットフォームを作ったとき: コミュニティを作れる企業とそうでない企業では、顧客との関係性が変わりました。

今、AIプラットフォームという新しい層が生まれつつあります。ここで何が起きるのかは、まだ誰にもわかりません。でも、変化が起きていることは確かです。

大切なのは、変化を恐れることでも、盲目的に飛びつくことでもなく、「自社にとっての意味」を考え続けることだと思います。

【データセキュリティとプライバシーへの配慮】
こうしたAIプラットフォームを活用する上で、データセキュリティとプライバシーは日本のビジネスパーソンにとって最も重要な懸念点の一つです。OpenAIは、企業がAIに提供するビジネスデータが、デフォルトではAIモデルの学習に使用されないといった対策を打ち出しています。しかし、機密性の高いCRMデータを連携させる際は、必ず各サービスおよびOpenAIの公式ポリシーを事前に確認することが不可欠です。

【まとめ】今すぐ始めるべき「AIとの接点探し」

OpenAI DevDayの発表は、「AIをどう使うか」ではなく「AIプラットフォーム上でどうビジネスを設計するか」という新たな問いを投げかけました。

このプラットフォームシフト時代を乗りこなすために、今、できることから始めましょう。

  1. 現場でのChatGPT活用: 経営層だけでなく、現場のメンバーにもChatGPTを業務で使ってもらうこと。具体的な限界と可能性が次の戦略を考える材料になります。
  2. データ連携の整理: 自社のデータ(CRM、MAツール、ナレッジベース)が、AIとどう連携できるかを整理すること。データが活用できる状態にあるかを確認するだけでも、大きな一歩です。

技術そのものよりも、「それを使って何を実現したいのか」という問いの方が、ずっと重要です。完璧を目指す必要はありません。でも、少しずつ、自社のビジネスとAIの接点を探していく。その積み重ねが、1年後、2年後の大きな差になるのです。

変化の波は、もう始まっています。私たちも一緒に、その波をどう乗りこなすか、考え、実践していきましょう。

田村 慶

2005年に札幌で株式会社24-7をWeb制作会社として創業、2012年からHubSpotの販売を開始。2016年にAPAC初となるダイヤモンドパートナーに昇格し、翌年にはHubSpotパートナー・オブ・ザ・イヤー(アジア地区)を受賞。2018年に24-7社の代表取締役を退任し、新たに株式会社100を創業。2019年6月からHubSpot認定パートナーに登録し、HubSpotビジネスを再開。現在は、HubSpotダイヤモンドパートナーやHubSpotユーザーグループの主催者として、HubSpotパートナー複数社へのコンサルティングと実行支援、HubSpotの導入企業のビジネス促進を中心に『HubSpot好き』を増やすための活動をしています。 2020年:HubSpot ルーキー・オブ・ザ・イヤー受賞(APAC地区) 2021年:HubSpot パートナー・オブ・ザ・イヤー受賞(日本) 2023年:アジアで初めてHubSpot「Elite Partner(当時)」として認定

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