オープンソースCMSは、自由に使用・改変・再配布が可能なCMSです。高い柔軟性と拡張性を備えており、ウェブサイト・ECサイト・ランディングページ(LP)などの構築に活用できます。
CMSの提供形式は、大きく「オープンソース型」「商用パッケージ型」「フルスクラッチ型」に分類されます。株式会社ソフトフロントホールディングスが実施した「CMSリプレイスに関する実態調査」によると、利用されているCMSの中では「オープンソース型」のCMSが64.0%と、半数以上を占めていることが明らかになりました。
オープンソースCMSは、無料で始められることやカスタマイズしやすいなど多くのメリットがある一方で、デメリットもあるため、その特徴を理解して適切に活用することが大切です。
本記事では、オープンソースCMSの基礎知識とメリット・デメリット、商用CMSとの違い、効果的な活用方法について解説します。また、代表的なオープンソースCMSや、今後の展望についてもご紹介します。
オープンソースCMSを効果的に利用するためには、まず基本的な仕組みや他のCMSとの違いを理解することが重要です。ここでは、CMSの基礎知識とオープンソースCMSの概要、商用CMSとの違いについて詳しく解説します。
CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)とは、ウェブサイトのコンテンツを簡単に管理・更新できるシステムです。
従来、ウェブサイトの作成や更新には、HTMLやCSS、JavaScriptなどのプログラミングスキルが必要でしたが、CMSを利用することで、専門知識がなくても直感的な操作でコンテンツの追加や編集が可能になります。これにより、テキストの変更や画像の追加、ページの作成といった作業を、ソースコードを編集することなく行えます。
CMSには、コーポレートサイト、ブログ(オウンドメディア)やニュースサイト、ECサイトなど、さまざまなタイプのウェブサイトを効率よく運営するための機能が豊富にそろっています。
例えば、ブログでは記事の投稿・編集・タグ付け・コメント管理などを簡単に行うことができます。ECサイトでは商品管理や在庫管理、決済システムとの連携などが可能で、運営者が手軽にビジネスを拡大できる仕組みが整っています。
また、複数のユーザーが同時にコンテンツを管理できる機能や、スケジュールに沿って公開する機能もあり、チームでの運営にも対応可能です。
CMSを導入することで、ウェブサイトの運営や更新にかかる手間やコストを大幅に削減できることから、多くの企業に導入されています。
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CMSにはさまざまなサービスがありますが、システムやサービスの提供形式によって、大きく「オープンソース型」「商用パッケージ型」「フルスクラッチ型」に分類できます。
オープンソースCMSとは、ソースコードが公開されており、誰でも自由に利用・改変・再配布できるCMSです。コミュニティー主導の開発やユーザーの積極的な参加が特徴的であり、柔軟性と拡張性の高さが支持されています。対して、商用パッケージ型CMSは商品として販売されているCMSであり、フルスクラッチ型は一から独自に開発されたCMSです。
代表的なオープンソースCMSとして、WordPress、Drupal、Joomla! などが挙げられます。
プラグインやテーマを使用することで容易に機能を追加でき、企業の公式サイトや個人のブログ、ポートフォリオサイト、ECサイト、LPなど、多様なウェブサイトやウェブページの構築に対応可能です。
オープンソースCMSの例)WordPress
引用:WordPress
オープンソースCMSで利用できる主な機能は、以下の通りです。
オープンソースCMSでは、このような機能を簡単な操作で使用でき、さまざまなデザインを実現できます。
ソースコードが公開されているオープンソースCMSに対して、商用パッケージ型CMSは商品として有料で提供されているCMSです。「プロプライエタリCMS」とも呼ばれます。
商用CMSのソースコードは一般に公開されておらず、サブスクリプションを購入することで、ソフトウェアを利用できるようになります。多くのサービスでは、無料プラン・有料プランのほか、トライアル版が用意されています。
株式会社ソフトフロントホールディングスの同調査では、「現在使用しているCMSシステムは?(複数回答)」という質問に対し、「オープンソースCMS」が64.0%、「商用CMS」が60.4%という結果となっており、オープンソースCMSと商用CMSの利用率がほぼ同等であることが示されています。
引用:CMSリプレイスの進め方を調査 | 株式会社ソフトフロントホールディングスのプレスリリース|PR TIMES
オープンソースCMSでは初期コストを低く抑えられますが、システムの更新や改善については、ユーザーコミュニティーなどを活用して自主的に行わなければなりません。
一方、商用CMSは更新やメンテナンスが開発者やメーカーによって行われ、サポートやセキュリティーが充実していますが、費用が発生します。
オープンソースCMSと商用CMSはそれぞれ異なる特徴があるため、企業の規模やニーズに合わせた適切な選択が求められます。
オープンソースCMSを利用することで、いくつかのメリットが期待できます。ここでは、オープンソースCMSの具体的なメリットについて詳しく解説します。
オープンソースCMSを利用する最大のメリットは、無料で利用開始できる点です。
オープンソースCMSではライセンス費用が発生しないため、レンタルサーバーを活用することで、毎月の固定費用を数千円程度に抑えることが可能です。
通常の商用CMSでは、サーバーやネットワーク機器の購入は不要ですが、CMSのベンダーへライセンス費用を支払う必要があります。その点、オープンソースCMSであれば、全体的なコストを抑えられます。
特に、小規模ビジネスのウェブサイトの場合、初期費用やランニングコストなどの費用削減が大きなメリットとなるでしょう。
また、オープンソースCMSは柔軟性があり、必要な機能や容量が増えた場合でも、サブスクリプションや有料プランでの対応が可能です。これにより、独自CMSをゼロから開発するよりも、はるかに低コストで利用できます。
ウェブサイトの構築や運用、保守は基本的に自己管理が求められますが、商用CMSと比べて導入費や運用費を大幅に抑えることが可能です。
オープンソースCMSはソースコードが公開されているため、自社のニーズに合った機能やデザインに自由にカスタマイズすることができます。
各CMSのウェブディレクトリ(ウェブサイト上のファイルを整理・管理するためのフォルダ構造)から入手できるプラグイン(拡張機能)や、モジュール(ひとまとまりの機能をもったパーツ)を用いて、新しい機能やオプションを追加できます。
特に、人気のあるCMSは世界中の技術力のあるユーザーによって、便利で使いやすいプラグインが多く開発・提供されています。豊富なプラグインを無料または有料で追加でき、機能を自由に拡張することが可能です。
例えば、WordPressのプラグインとして、ウェブコンテンツ内にソーシャルメディアのアイコンを簡単に追加できる「Social アイコン」などがあります。このプラグインを利用することで、自サイトの各ページや記事に、FacebookやTwitter、Instagramなどのアイコンをワンクリックで設置できます。
プラグインの例)Social アイコン
引用:Social アイコン|WordPress プラグイン
プラグインは専門的な知識がなくても、パソコンを使いこなせる程度のITスキルがあれば簡単に利用できますが、複雑・高度なカスタマイズを行うためには、プログラミングに精通した人材の確保が必要です。
オープンソースCMSは、世界中の開発者やユーザーによって日々改善やメンテナンスが行われ、最新の状態を保っています。
優れたオープンソースCMSであるほど、活発な開発者コミュニティーによるサポートシステムが整っており、バグや問題が発生した際には、コミュニティーフォーラムで迅速な情報交換が可能です。
例えば、セキュリティー上の脆弱性が発見された場合には、即座にパッチが提供され、すぐにアップデートが行われます。
商用CMSではメンテナンスや更新はベンダーに依存しているため、対応が遅れることが多いですが、オープンソースCMSはコミュニティーが活発に監視しているため、迅速な対応が期待できます。
コミュニティーフォーラムの例)Joomla! Forum
引用:Joomla! Forum(Google翻訳)
また、シェア率の高いCMSはコミュニティーも多く、ユーザー同士の情報交換が頻繁に行われています。そのため、オープンソースCMSの使用方法を学びやすく、情報を得やすい環境が整っています。疑問や問題がある場合でも、すぐに質問・相談できる仲間がいることも大きな魅力といえます。
オープンソースCMSは大規模な開発者コミュニティーによって支えられており、頻繁なアップデートが行われているため、定期的に無料でアップデートを受けることが可能です。
これにより、新機能の追加やセキュリティー対策が強化され、手間をかけずに継続的にシステムを更新できます。
また、ユーザーからのフィードバックを反映し、使いやすさや機能性、バグ修正や脆弱性も常に改善が行われているため、CMSの停止リスクは低くなり、またユーザビリティの向上も期待できます。
オープンソースCMSは多くのメリットがありますが、デメリットもゼロではありません。デメリットを理解しておくことで、企業やプロジェクトにおけるオープンソースCMSの利用を慎重に検討することが可能です。
ここでは、オープンソースCMSを利用する際の具体的なデメリットについて詳しく解説します。
オープンソースCMSは、そのソースコードが公開されているため、誰でもアクセスし、改良やカスタマイズすることが可能です。その反面、悪意のある第三者にとっても同様にコードが入手しやすく、セキュリティーリスクが高まる恐れがあります。
例えば、2018年に発生した「Drupalgeddon 2(*)」と呼ばれる脆弱性の問題では、オープンソースCMSの「Drupal」を利用するサイトに対する攻撃が急増し、セキュリティーの脆弱性が悪用され、多くのサイトが攻撃を受けました。
このような脆弱性が存在すると、サイトがハッキングされたり、情報漏洩が発生したりするリスクが高まります。
オープンソースCMSを使用する場合、これらのセキュリティーリスクを十分に理解し、適切な対策を講じることが重要です。具体的には、強固なパスワードの設定や定期的なバックアップ、セキュリティープラグインの導入が必要です。
*出典:Drupalに含まれるリモートコード実行に関する脆弱性(CVE-2018-7600)についての検証レポート | NTTデータ先端技術株式会社
商用CMSであればシステムのアップデートやメンテナンスはベンダー側が行うため、運営者はそれらの作業が不要です。
しかし、オープンソースCMSは、ユーザーや開発者コミュニティーによってアップデートが行われた際には、サイト運営者自身が更新やメンテナンス作業を行う必要があります。
実際にCMSに関する調査では、現在使用しているCMSシステムの課題として、「更新に時間・手間がかかる(53.2%)」「メンテナンス負荷が高い(40.5%)」が上位に挙げられており、アップデートやメンテナンスを負担に感じている企業は多いと考えられます。
引用:CMSリプレイスの進め方を調査 | 株式会社ソフトフロントホールディングスのプレスリリース|PR TIMES
例えば、オープンソースCMSのWordPressでは、セキュリティーパッチや新機能のアップデートが頻繁にリリースされますが、これらのアップデートに適時対応しなければ、セキュリティーリスクが高まる可能性があります。
その際、アップデートによってサイトの動作が不安定になることや、プラグインとの互換性が失われることもあるため、メンテナンスには注意が必要です。
特に小規模な企業や個人事業主の場合、技術的な知識が不足しているケースが想定され、アップデートやメンテナンスに関するリソースを外部に委託する必要が生じ、コストが増加することもあります。
オープンソースCMS自体は無料で利用できますが、追加のサービスや機能、プラグイン、サポートを利用する場合には追加料金が発生することがある点は、理解しておく必要があります。
具体的には、必要な機能を実装するための有料のプラグインやテーマの購入費用や、カスタマイズを依頼するための開発費用などです。また、定期的なセキュリティーアップデートや脆弱性の検出を、外部の専門家に依頼する場合にも費用が発生します。
無償のオープンソースCMSはライセンス料が不要で導入費用や保守費用を抑えられる反面、ソフトウェアベンダーのサポートがないため、構築や運用、トラブルシューティングを担当できる人材の確保や育成に内部費用がかかる可能性があります。
他にも、ホスティングサービスやSSL証明書など、サイト運営に必要なインフラストラクチャのコストも考慮しなければなりません。これらの追加費用が積み重なることで、最終的にオープンソースCMSの導入が想定以上に高額になるケースも少なくありません。
ホスティングやプレミアムプラグイン、カスタム開発、継続的なメンテナンスに関連して、隠れたコストが発生することがあるため、オープンソースCMSの利用を検討する際には、総合的なコストを見積もることが重要です。
オープンソースCMSは多くのユーザーに利用されていますが、効果的に活用するためにはいくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、オープンソースCMSを活用する上での重要なポイントについて、具体的な手順や方法を解説します。
オープンソースCMSはセキュリティー上のリスクが伴うことから、セキュリティープラグインを導入することが重要です。セキュリティープラグインには、サイトを脅威から守るためのさまざまな機能が搭載されています。
具体的なセキュリティープラグインの導入の手順は、以下の通りです。
まずは、必要なセキュリティープラグインを選定します。例えば、WordPressの代表的なセキュリティープラグインとして、「SiteGuard WP Plugin」や「BackWPup」が挙げられます。
SiteGuard WP Pluginは無料のプラグインであり、ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)によるパスワードの試行や、不正ログインを狙ったパスワードリスト攻撃からサイトを保護することが可能です。
BackWPupは、指定したスケジュールに従って、WordPressのデータを包括的にバックアップできるプラグインです。画像や記事、プラグインデータなどをワンクリックでエクスポートできます。
引用:BackWPup
プラグインを選んだら、次にインストールを行います。CMSの管理画面から「プラグイン」セクションにアクセスし、選んだプラグインを検索してインストールボタンをクリックします。インストール後は、プラグインの設定画面に移動し、推奨される初期設定を行いましょう。
セキュリティープラグインには、定期的にサイトをスキャンして脆弱性を見つける機能が搭載されています。スキャンをスケジュールに設定し、自動で実行されるように設定しておくと良いでしょう。また、サイトへの不正アクセスを監視する機能も活用し、リアルタイムで脅威を検出できるようにしておきましょう。
オープンソースCMSに導入したプラグインやモジュールは、最大限に活用することで、サイトの機能性を高め、ユーザー体験を向上させることができます。
まずは、プラグインの設定を見直し、自サイトのニーズに最適なカスタマイズを行いましょう。
例えば、SEOプラグインであれば、メタデータやキーワードの設定を適切に行い、検索エンジンでの表示を最適化します。バックアップ関連のプラグインを使用する際は、定期的なバックアップスケジュールを設定し、データの安全性を確保することが重要です。
次に、プラグイン同士の互換性を確認し、相互に干渉しないようにしましょう。これにより、予期せぬ不具合を防ぐことが可能です。
また、定期的にプラグインのアップデートを行い、新機能やセキュリティーパッチを適用しましょう。これにより、常に最新の状態でサイトを運営できます。
オープンソースCMSには動作保証が存在しないため、トラブルが発生した場合には、基本的に自己解決が求められます。
ウェブサイトの構築・運用・保守に関するサポートがないため、「脆弱性が発見された」といった情報自体も自主的に把握し、適切に対応する必要があります。
多くのCMSは公式ドキュメントを提供しており、トラブルシューティングに関する情報が載っている場合があるためで、必要に応じて確認すると良いでしょう。
引用:Documentation – WordPress.org(Google翻訳)
また、CMSの公式フォーラムやコミュニティーサイトを活用することも一つの方法です。フォーラムで質問を投稿したり、具体的な問題の内容や試した解決策を詳しく書いたりすることで、他のユーザーからのアドバイスを得やすくなります。
もし問題が解決できない場合、最終手段としてバックアップから復元することも検討しなければなりません。そのため、バックアップは定期的に行っておく必要があります。
商用CMSの場合は、問題や脆弱性が見つかるとCMSベンダーがその解決にあたりますが、オープンソースCMSではそのようなサポートが提供されていないため、自社の担当者に高いリテラシーとウェブに関する知識が求められます。
バックアップは、コンピュータシステムにおいてデータやシステムの状態を複製し、問題が発生した際に復旧できるように準備することです。
バックアップはオープンソースCMSを活用する上で欠かせない作業であり、万が一のトラブルに備えて、定期的にバックアップを行っておくことが推奨されます。
一般的なバックアップの実行方法は、以下の通りです。
サイトの更新頻度に応じて、バックアップの実行頻度を決めます。理想としては毎日、少なくとも週に一度、月に一度はバックアップを実施するようにしましょう。
オープンソースCMSでは、さまざまなバックアップ方法があります。例えば、プラグインを使用して自動バックアップを設定することができます。WordPressの場合、「UpdraftPlus」や「BackWPup」などのプラグインがあります。
バックアップデータは、ローカルのハードドライブだけでなく、Google DriveやDropboxといったクラウドストレージサービスに保存することも検討しましょう。これにより、ハードウェア障害などによるデータ損失にも備えられます。
バックアップを実行した後には、データが正常に保存されているか確認しましょう。
バックアップが正常に機能するかどうかを確認するために、定期的にバックアップからの復元テストを実施します。復元手順を実際に行うことで、問題が発生した際に慌てずに対処できます。
これらのバックアップを定期的に実行することで、サイトの安全性や機能性の向上につながります。
オープンソースCMSはそれぞれ異なる特徴・長所・短所があるため、理解した上で自社に適したものを選ぶことが重要です。
人気のオープンソースCMS6種類の特徴一覧は、以下の通りです。
ここでは、人気のあるオープンソースCMSを比較し、それぞれの特徴や長所・短所をご紹介します。
引用:WordPress
WordPressは、もっとも人気のあるオープンソースCMSであり、2024年9月時点で全世界のサイトの43.5%がWordPressで構築されています。
WordPressの前身はシンプルなブログプラットフォームとしてスタートしたことから、特にブログや企業サイトの構築において高い柔軟性がある点が特徴です。さらに現在では、複雑なウェブサイトを扱えるCMSへと成長しています。
WordPressは学習のしやすさも特徴的で、多くのウェブサイトで基本的なハウツーからテーマの説明、セキュリティーに関するヒントなどが提供されています。また、WordPress StackExchangeで質問することで、迅速な回答も得られます。
引用:Drupal
Drupalは、高度なセキュリティー機能とカスタマイズ性を備えたCMSです。複雑なデータ構造やユーザー権限の管理が可能で、企業のニーズに応じて柔軟にサイト構築ができるため、特に大規模な企業サイトやポータルサイトに適しています。
2024年9月時点では、全世界でのDrupalのシェアは6位(0.9%)です。
Drupalの使用方法は、公式ドキュメントやチュートリアルで学ぶことが可能です。
drupal.orgには豊富なリソースが揃っており、初心者向けのガイドや実践的な情報を得られます。また、学習プラットフォームのUdemyなどでは、視覚的に学べるコンテンツが多く提供されています。
引用:Joomla!
Joomla!は、柔軟性と拡張性を兼ね備えたオープンソースCMSです。
詳細な権限管理が可能であるため、多くの人が運営に関わるような中規模から大規模なサイトの構築に適しています。政府や教育機関のウェブサイトをはじめ、多くの企業や団体の公式サイトで採用されています。
2024年9月時点での、Joomla!の世界シェアは5位(1.6%)となっています。
Joomla!の学習方法として、公式サイトのトレーニングやドキュメントを活用する方法があります。また、オンラインコミュニティーのEnvatoでは、Joomla!テンプレートの使用方法などに関するチュートリアルが提供されています。
引用:Concrete5
Concrete5は、株式会社マカルーデジタルが提供している国産のオープンソースCMSです。ビジュアルエディタによって簡単にページを編集でき、異なるキャンペーンやプロモーションサイトを効率的に管理できます。
ブランドやプロダクトごとに異なるサイトを運営する際も、簡単に切り替え・管理しやすく、特にマーケティングサイトやプロモーション用サイトでの利用がおすすめです。
2024年9月時点で、Concrete5の世界シェアは、0.1%以下です。
Concrete5の公式サイトでは、インストール手順や基本的な使い方について詳しく説明しているドキュメントがあり、初心者から学習が可能です。また、公式フォーラムでは、他のユーザーとの情報共有や、質問を投稿することで実践的なアドバイスを受けることができます。
引用:Ghost
Ghostは、シンガポールのGhost Foundationによって開発・運営されている、オープンソースのヘッドレスCMSです。ヘッドレスCMSとは、従来のCMSから視覚的な部分(フロントエンド)を切り離してバックエンドの機能だけを提供する、フロントエンドを持たないCMSです。
シンプルなインターフェースと高速なパフォーマンスが特徴で、執筆に集中したいユーザーにおすすめです。Ghostのエディタでは複数人での執筆も可能で、ブログやオウンドメディアなど、記事コンテンツを中心としたウェブサイトの開発に向いています。
Ghostを学習するためには、公式ヘルプセンターでのドキュメントやユーザーマニュアルが利用できます。
引用:SOY CMS
SOY CMSは、株式会社Brassicaが提供する国産のオープンソースCMSです。
SNSボタンの設置やGoogle Analyticsとの連携など、コンテンツ配信に役立つプラグインが無料で利用できることが特徴です。また、SOY CMSの拡張機能である「SOY App」を追加することで、メルマガ配信やECサイト構築、問い合わせ管理などの機能も無料で利用可能です。
SOY CMSの使い方を学ぶためには、公式マニュアルや公式ブログを活用することが有効です。
オープンソースのCMSは、コスト削減や柔軟なカスタマイズ性から多くの企業や団体で活用されています。ここでは、特に人気の高いオープンソースCMSであるDrupal、Joomla!、Concrete5の導入・活用事例をご紹介します。
オープンソースCMSの導入を検討している方は、効果的に運用するためにそれぞれのCMSが持つ強みや活用の具体例を参考にしてみてください。
なお、以下は弊社の事例ではございません。
Drupalの海外事例として、EUREKA networkでの導入事例をご紹介します。EUREKAは、企業の研究開発成果を革新的なプロジェクトに発展させるための国際的なネットワークです。
同サイトの導入前の課題として、関連プロジェクトであるEurostarsのウェブサイトとリソースを共有する必要があったといいます。この課題を解決するために、Drupalの「Domain Access」モジュールの活用が進められました。
もっとも重要な要件は、一つの編集画面からEUREKAとEurostarsという二つの異なるドメインに情報を発信できる機能を持たせることでした。Domain Accessモジュールを利用することで、異なるURLを持つ二つのサイトを、一つのDrupalプラットフォーム上で管理し、ユーザーやコンテンツを共有できるようになりました。
これにより、以前は手作業で両方のサイトに同じコンテンツを公開していた作業が自動化され、効率が大幅に向上したそうです。
新しいウェブサイトのデザインはユーザーエクスペリエンスにも影響を与え、直帰率が20%低下し、平均セッション時間も大幅に向上しています。
さらに、SEO対策により、訪問回数が75%以上、セッション数が2倍になるなど、サイト全体のパフォーマンスも飛躍的に向上しました。
Drupalを活用したEUREKA networkでの導入事例まとめ
引用:Educarium
Educariumは、教師や保護者に向けて教育コンテンツを提供するポーランド発のポータルサイトです。
リブランディングにあたり、Joomla!のアドオンを活用し、使いやすく視覚的に魅力的なサイトを構築しました。シンプルで整然としたデザインと、幼児教育に関連する鮮やかな色使いを採用しています。
Joomla!を活用したEducariumでの導入事例まとめ
引用:Walk Japan
Concrete5の導入事例として、株式会社マカルーデジタルが手がけたWalk Japanの事例をご紹介します。
Walk Japanを運営するWalk Japan Ltdは、日本各地でウォーキングツアーを展開する企業であり、Concrete5の導入により、CMSと予約システムの連携を実現しています。
Walk Japan社では、元々イギリスのウェブ制作会社が構築したconcrete5のウェブサイトを運用していましたが、予約システムがダウンするとウェブサイトも同時にダウンするという課題を抱えていました。
保守運用を現制作会社へ移行し、Concrete5の機能追加やサーバーの変更などを実施したことで、サイトの可用性や表示速度が向上し、顧客満足度の向上にもつながったといいます。
Concrete5を活用したWalk Japanでの導入事例まとめ
従来のオープンソースCMSの主な用途は、オウンドメディア・企業サイト・ECサイトなどの構築が中心でしたが、デジタル変革の加速に伴い、その活用範囲はさらに広がっています。
特に、クラウドやIoT(モノのインターネット)といった新しい技術との連携が進む中、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上やマルチチャネル対応が求められるようになっています。
これに伴い、従来のCMSの限界を補う新しいアプローチも登場しており、今後は「ヘッドレスCMS」や「オープンソースCMS」との連携が重要視されると考えられます。
ヘッドレスCMSは、従来のCMSとは異なり、コンテンツの管理部分(バックエンド)と表示部分(フロントエンド)を分離して運用するタイプのシステムです。
従来のCMSは、コンテンツの作成から配信まで一元的に管理するモノリシックな構造を持っており、管理画面から作成されたコンテンツは特定のテーマやテンプレートによってウェブページとして表示されるという形態が一般的でした。
しかし、デジタルデバイスやプラットフォームの多様化に伴い、単一のウェブページだけでなく、モバイルアプリ、デジタルサイネージ、音声アシスタントなど、さまざまなチャネルに向けたコンテンツ配信が求められるようになってきました。
ヘッドレスCMSの場合、API経由でコンテンツを提供し、さまざまなプラットフォームに柔軟に対応できます。API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とは、ソフトウェアやプログラム、ウェブサービス間でデータや機能をやり取りするための接続手段です。
バックエンド側でコンテンツを管理しつつ、フロントエンド部分は開発者が自由に設計できるため、デザインやUXの最適化が容易に行えます。これにより、同じコンテンツを複数のプラットフォームに適した形で再利用し、ユーザーに一貫したブランド体験を提供できるようになります。
オープンソースCMSの強みとして、初期コストを抑えられることや豊富な拡張機能が挙げられますが、一方でヘッドレスCMSのように複数のデバイスやプラットフォームに対して柔軟な対応を行うのが難しいという側面があります。
ここで注目されるのが、オープンソースCMSとヘッドレスCMSの連携です。
例えば、WordPressはReactのフレームワークである「Next.js」と連携することでヘッドレスCMSとして運用できるようになります。
これにより、既存のオープンソースCMSを利用している企業は、ゼロから新しいシステムを導入することなく、ヘッドレスCMSのメリットを享受することが可能です
また、オープンソースCMSとヘッドレスCMSの連携により、コンテンツ管理がより効率化されます。従来、異なるデバイスやプラットフォームごとに個別のコンテンツを用意する必要があったケースでも、ヘッドレスCMSを用いることで一元的に管理・配信することが可能となり、運用負荷が大幅に軽減されるでしょう。
今後の展望として、オープンソースCMSとヘッドレスCMSの連携は、特にエンタープライズ領域で注目されると考えられます。グローバルに展開する企業や、多様なチャネルに向けてコンテンツを配信する必要のある企業にとっては、競争力の強化にもつながります。
オープンソースCMSとは、ソースコードが公開されており、誰でも自由に利用・改変・配布が可能なCMS(コンテンツ管理システム)です。
オープンソースCMSのメリットとして、ライセンス費用が無料で使用できることや拡張性の高さが挙げられますが、セキュリティーリスクやメンテナンスの負担などデメリットもあります。
そのため、コスト削減だけを理由にオープンソースCMSを選択するのではなく、デメリットについてもしっかり理解した上で、導入を検討することが重要です。
将来的には、クラウド技術やAIの進化、モバイルフレンドリーなCMSへの需要が高まることが予想されます。最新のトレンドに注目しながらオープンソースCMSを活用し、効果的なウェブサイト運営を目指しましょう。
渋谷 真生子
株式会社100(ハンドレッド)のマーケター。新卒でグローバルヘルスケア企業で営業を経験し、セールスフォースにてBDRとして地方企業の新規開拓に携わる。コロナ渦でインバウンドマーケティングの重要性を実感し、アイルランド ダブリンにあるトリニティカレッジの大学院にてデジタルマーケティングの学位取得し現在に至る。最近はかぎ針編みにハマり中。
ビジネスの成長プラットフォームとしての魅力はもちろん、
HubSpotのインバウンドマーケティングという考え方、
顧客に対する心の寄せ方、ゆるぎなく、そしてやわらかい哲学。
そのすべてに惹かれて、HubSpotのパートナー、
エキスパートとして取り組んでいます。
HubSpotのこと、マーケティング設計・運用、
組織の構築など、どんなことでもお問い合わせください。