
御社のWebサイトURLを入力するだけで、AIがブランドガイドラインとキャンペーン素材を数分で作成してくれるとしたら、どうでしょうか?
Google LabsとGoogle DeepMindから発表された「Pomelli(ポメリ)」は、まさにその未来を実現する興味深いAIツールです。残念ながら日本ではまだ利用できませんが、「Webサイトさえあれば誰でも質の高いマーケティングができる」という、マーケティングの民主化が新たな段階に入ったことを示しています。
本記事では、Pomelliの革新性と、この未来に備えて日本企業が今から準備すべき3つのことを解説します。
引用:Introducing Pomelli | Google Labs
ブラウザがAIの「手足」になる日:業務効率化の最前線
Pomelliの最大の特徴は、その驚くべきシンプルさです。企業のWebサイトのURLを入力するだけで、AIがサイト全体を分析し、「Business DNA」と呼ばれるブランドプロファイルを自動生成します。
ブランドガイドライン作成の概念が変わる
トーンオブボイス、カラーパレット、フォント、画像スタイルなど、ブランドアイデンティティを構成する要素をAIが自動的に抽出します。
従来、こうしたブランドガイドラインの作成には、専門のデザイナーやコンサルタントに依頼し、数週間から数ヶ月かけて作り上げるのが一般的でした。それが、たった数分で完了するという世界が、すぐそこまで来ています。
「クリエイティブブロック」を解決するAI
「今週は何を発信しようか」と、クリエイティブな発想に悩むことは、マーケティング担当者にとって珍しくありません。Pomelliは、この「クリエイティブブロック」を解決するパートナーとなります。
Pomelliは、Business DNAを基に複数のキャンペーンアイデアを提案し、それぞれに対してソーシャルメディア用の画像やキャプション、広告素材などを自動生成します。
AIと人間の共創
もちろん、生成された素材はツール内で編集可能で、最終的な判断と調整は人間が行います。これは単なる「時短ツール」ではありません。AIが提案するアイデアから新たな発想を得て、それを自社の文脈に合わせて磨き上げていく。まさに「AIと人間の共創」の一つの形です。
日本企業が今から準備すべきこと
Pomelliはまだ英語圏の4カ国でしか利用できませんが、いずれ日本にも上陸するでしょう。その時に備えて、私たちが今からできる重要な準備が3つあります。
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Webサイトの充実
AIがブランドを理解するには、Webサイトが「企業の顔」として機能している必要があります。会社概要、製品・サービス説明、ブログなど、コンテンツが充実しているほど、AIはより正確にブランドを理解できます。
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ブランドアイデンティティの明確化
AIに任せる前に、自社のブランドアイデンティティを改めて整理してみましょう。どんなトーンで語りたいのか、どんな価値を提供したいのか。これらが明確であれば、AIが生成したコンテンツの良し悪しを判断する基準になります。
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マーケティングプロセスの見直し
現在、Canva、Adobe、Google Docs、各種SNS管理ツールなど、複数のツールを使い分けている企業が多いと思います。Pomelliのような統合型ツールが登場することで、このプロセスがどう変わるか、今から検討しておく価値があります。
HubSpotとの相乗効果を考える:次世代のマーケティング標準
私たちが提唱している「AI Agent × HubSpot」の考え方において、Pomelliのようなツールは重要なピースになる可能性があります。
例えば、Pomelliで生成したコンテンツをHubSpotのコンテンツハブで一元管理し、ワークフローで配信を自動化、そして分析機能で効果を測定する。こうした統合的なアプローチが、今後のマーケティングの標準になっていくでしょう。
重要なのは、これらのツールを「人間の仕事を奪うもの」として恐れるのではなく、「人間の創造性を増幅するパートナー」として活用することです。日本企業の強みである「おもてなしの心」や「長期的な関係構築」といった価値観は、AIには代替できません。むしろ、AIに定型的な作業を任せることで、これらの本質的な価値創造により多くの時間を割けるようになります。
【まとめ】本質的な差別化が重要になる時代
Pomelliの登場は、マーケティングの民主化が新たな段階に入ったことを示しています。
大企業でなくても、専門のクリエイティブチームがなくても、質の高いマーケティングコンテンツを作成できる時代です。
これは同時に、「何を伝えるか」という本質的な部分での差別化がより重要になることも意味します。
技術の進化を恐れず、かといって盲目的に飛びつくのでもなく、自社にとって本当に価値のある活用方法を見極める。そんな姿勢で、これからのマーケティングの変化に向き合っていきましょう。