営業活動を効率化する手段として注目されている「SFA(営業支援システム)」。2024年10月現在、多種多様なSFAツールが登場しており、どれを選べば良いか迷う方も少なくないでしょう。
株式会社Merが実施した「日米比較レポート2024 SFA定着実態調査」では、日本企業の営業担当者に現在使用中のSFAの「使いやすさ」について尋ねたところ、「非常にそう思う」が7.8%、「ややそう思う」が44.1%という結果となりました。
営業担当者の約半数がSFAを使いやすいと評価する一方で、残りの半数は課題を感じていることが明らかになっています。SFAを選定する際には、現場に定着し、利便性や成果に満足できるツールを見極めることが重要です。
本記事では、SFA(営業支援システム)を選ぶ際の検討ポイントや、無料版と有料版の違い、失敗しない選定・導入のコツ、おすすめのSFAツールについて解説します。
まずは、SFA(営業支援システム)の基礎を改めて確認しておきましょう。ここでは、SFAの概要や導入率、現在提供されているSFAの数をご紹介します。
SFAとは「Sales Force Automation(営業支援システム)」の略称であり、営業部門の情報や業務プロセスを自動化し、営業活動に関するデータを管理・蓄積・分析するためのシステムです。
SFAの主な機能として、以下が挙げられます。
これらの機能により、営業活動全体の可視化・効率化を進められ、データに基づいた戦略的な意思決定が可能になります。
昨今、営業力の向上や業務効率化を目的として、SFA(営業支線システム)やCRM(顧客関係管理)を導入する企業が増加しています。
2022年に株式会社矢野経済研究所が実施した「ERPおよびCRM・SFAの導入実態」の調査によると、SFA・CRMの利用率は、2020年の16.1%から32.1%へと増加しています。
また、IT専門調査会社のIDC Japanが2024年9月に発表した調査では、SFAが属する国内パブリッククラウド市場は、2023年に前年比27.5%増の3兆2609億円に達しました。さらに、2023年から2028年の年間平均成長率(CAGR)は17.2%と見込まれ、2028年には市場規模が2023年比で2.2倍の7兆2,227億円に達すると予測されています
これらのデータから、クラウドを活用したSFAやCRMの導入が、今後もますます重要な経営戦略の一環となることが予想されます。
現在、国内外で提供されているSFA(営業支援システム)の正確な数は明らかにはされていないものの、国内のツールを主に取り扱うレビューサイトのITreviewでは、2024年10月時点で「SFA」で絞り込むと66件のツールが表示されます。
一方、グローバルなビジネスソフトウェアやクラウドサービスを網羅するG2.comでは、1万件以上のツールが検索結果に表示されます。
SFA市場は国内外で多様なツールが展開されており、選択肢が非常に幅広いことがわかります。
多くのSFA(営業支援システム)ツールが提供されている中で、自社に最適なSFAを選定するためには、選定する際のポイントを押さえておくことが重要です。
ここでは、SFAを導入する際に検討すべきポイントについて、予算や機能、UI、セキュリティーなどの観点から詳しく解説します。
SFAの導入コストはツールによって大きく異なり、月額数千円から数十万円以上に及ぶものもあります。
SFA(営業支援システム)の導入費用の内訳は、初期費用・月額料金・カスタマイズ費用に分けられます。初期費用は0~10万円程度が一般的です。特に、クラウド型のSFAは初期費用がかからないものが多く、開発費用がかかるオンプレミス型よりもコストを抑えて導入できます。
月額料金は、クラウド型の場合はユーザー単位での料金設定が主流であり、一人当たりのライセンス料は800~5,000円程度が目安となります。オンプレミス型の場合は、月額費用は発生しないこともありますが、カスタマイズを行う場合は、カスタマイズの規模や内容によって数万円〜数百万円程度の追加費用が発生します。
SFAを選定する際には、 自社の予算と導入目的のバランスを意識することがポイントです。また、初期費用やカスタマイズ費用が別途かかる場合もあるため、総コストの正確な見積もりを算出しておきましょう。
SFAには、顧客管理・案件管理・予実管理など、多様な機能が備わっていますが、すべての機能が自社に必要とは限りません。重要なのは、自社の営業プロセスを支援するための最適な機能を見極めることです。
例えば、顧客とのやり取りを管理する「顧客管理」機能や、案件の進捗を追跡する「案件管理」は、多くの企業で重宝されますが、営業予測が不要なビジネスでは「予実管理」の重要度は下がります。
導入する前に、どの機能が自社の営業活動に不可欠なのかを整理することがポイントです。
SFAの効果を最大化するためには、営業担当者が日常的に無理なく使えるUI(ユーザーインターフェース)設計が求められます。操作が直感的であることや、必要な情報に素早くアクセスできることが重要です。
実際に、株式会社TSUIDEが実施した「SFA・CRM導入実態に関する調査」によると、SFA・CRMツールを導入した企業のうち、「効率的に活用できている」と回答した割合は73%であり、一方で「活用できていない」と答えた企業は27%でした。
SFA・CRMを活用できていない理由として、「使い方や操作が難しい(22.7%)」「機能を使いこなせない(20.6%)」といった内容が挙げられており、これら2つの要因が全体の約半数を占めています。
引用:SFA、CRMツール導入に関する調査結果|TSUIDEのプレスリリース|PR TIMES
複雑で使いにくいシステムは、導入後に現場で活用されなくなるリスクがあります。特に、営業活動では必要な情報を迅速に取得することが求められるため、必要なデータにスムーズにアクセスするためにも、優れたUIのSFAを使用し業務効率を向上することが重要です。
また、営業担当者が外出先でも使えるよう、モバイル対応の有無も確認しておくと良いでしょう。スマートフォンやタブレットからアクセスできるSFAであれば、外出先などどこにいてもリアルタイムで情報共有が可能になり、営業活動の効率をさらに高められます。
SFAの導入後は、ビジネスの形態や営業ワークフローに応じてカスタマイズを行う必要があります。企業ごとに営業プロセスや管理したい項目は異なるため、自社に合わせてSFAをカスタマイズできるかが重要な選定基準となります。
標準機能だけでは機能が不足している場合、柔軟に項目を追加・変更できるシステムを選ぶことで、自社のニーズを満たしやすくなります。
各SFAのカスタマイズの柔軟性を確認するためには、実際に製品を使用し、気になる点についてカスタマイズが可能かどうかをベンダーに問い合わせることも一つの方法です。
試用期間中に気になった点をまとめ、それぞれのカスタマイズが実現できるかを確認しましょう。その際、カスタマイズの範囲や費用も事前に確認しておくと、スムーズに選定・導入を進められます。
SFAには顧客情報や商談データといった機密情報が多数含まれるため、セキュリティー対策が欠かせません。万が一、情報漏洩などが発生した場合には、自社の信用を失うだけでなく、取引先に対しても重大な損失をもたらす恐れがあります。
SFAを選ぶ際は、データ暗号化の有無やアクセス権限の細かな設定ができるかを確認しましょう。他にも、ログイン時の認証方法や、表示・利用に関する権限設定、データ管理の環境をチェックすることが大切です。
さらに、クラウド型のSFAを導入する場合は、サービス提供企業のセキュリティー基準や運用体制が整備されているかどうかも重要です。ISO 27001などのセキュリティー認証の取得実績を確認することで、情報漏洩のリスクを低減できます。
SFAの選定において、導入後のサポート体制の充実度も重要なポイントです。
SFAを導入し、社内に定着させて日常業務で活用するためには、メンバー教育やワークフローの再構築など、多くの関連作業が必要です。こうした部分は製品マニュアルだけでは対処できないため、ベンダーのサポートが欠かせません。
株式会社TSUIDEの同調査によると、「導入したツールを活用できていない」と回答した企業が求めているサポートとして、「分析支援・データのサポート」と「機能の活用方法の提案」の2つが約半数を占めています。
引用:SFA、CRMツール導入に関する調査結果|TSUIDEのプレスリリース|PR TIMES
データ分析や機能活用を支援するサポートが充実したサービスを選ぶことで、SFAツールをより効果的に活用しやすくなります。
サポート面については、SFA選定時にベンダーがどこまで対応してくれるのかを確認しておくことが大切です。
具体的な確認項目として、以下のような内容が挙げられます。
SFA運用でトラブルが発生した際に迅速に対応できる体制が整っているか、導入初期のトレーニングが提供されるかなどを確認しましょう。これらの項目を事前に確認することで、トラブルが起きたときのストレスを軽減できます。
SFAは長期にわたって使用するツールであるため、将来的な企業の成長や業務内容の変化に合わせて機能を拡張できるかどうかも選定基準の一つです。
例えば、SFAは営業の各段階で用いられるツールですが、見込み客を獲得する段階ではMA(マーケティング・オートメーション)が必要になります。他システムと連携可能なSFAであれば、MAで得た見込み客の情報をそのままSFAで管理し、営業活動に活用することができます。
また、営業は製品の受注とも密接に関連しているため、受発注システムとの連携の可否も確認しておくと良いでしょう。拡張性が低いシステムは、将来的に再度乗り換えが必要になるリスクがあるため、長期的な視点でSFAを選ぶことが重要です。
SFAを効果的に活用するためには、活発なユーザーコミュニティーの存在もメリットとなります。導入後の疑問点や使い方の工夫など、他のユーザーと情報交換できるコミュニティーがあるかどうかも確認すると良いでしょう。
具体的には、Salesforceには「Trailblazer Community」という世界中のユーザーが参加するコミュニティーがあり、Tipsの共有や最新情報の提供が行われています。
また、HubSpotの「HubSpot Community」では、マーケティングや営業、カスタマーサポートに関する質問や成功事例が共有されています。公式スタッフも参加しているため、実務に役立つアドバイスを得ることができる点が特徴です。
このようなコミュニティーに参加することで、ツールの効果的な使い方を学べるだけでなく、自社に適した活用方法を見つけるヒントも得られます。
SFAには有料のものだけでなく、無料で利用できるサービスもあります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解しておくことで、選定する際に迷わず選びやすくなります。
ここでは、無料SFAと有料SFAの違いや、それぞれの特徴・メリット・デメリット、導入の際に考慮すべきポイントを詳しく解説します。
無料SFAは、ツールの使用料を負担せずに利用できる営業支援システムのことです。無料プランで提供されているSFAツールや、有料版の無料トライアル・デモ版を指します。
無料SFAでは、基本的な機能を無料で利用できるため、初期投資や運用コストを抑えつつ営業活動を支援することが可能になります。
ただし、無料SFAには機能制限やユーザー数の制限があることが多く、ビジネスの成長に伴い、より高度な機能が必要になった場合には、有料プランへのアップグレードが求められます。
無料SFAを提供している企業例として、HubSpotやZoho Corporationが挙げられます。
米HubSpotは、CRM(顧客関係管理)機能を軸としたSFA・MA・CMSなどのプラットフォームを運営している企業です。HubSpotのSFA「Sales Hub」では、3つの有料プランのほか、無料のSFAツールを提供しています。
引用:会社概要|HubSpot
Zoho CRMを提供するZoho Corporationは、米国に本社を、開発拠点を南インドに設置し、日本・中国・シンガポールなどでグローバルに事業を展開している企業です。Zoho CRMの無料プランでは、基本的なCRM機能に加え、営業メールの自動化やレポート作成といったSFA機能が3ユーザーまで利用できます。
引用:Zohoについて
これらの無料SFAツールは、導入ハードルが低く無料で始められるため、まずは試験的に運用したい企業におすすめです。
無料SFAを活用した場合のメリットとデメリットは、以下の通りです。
無料SFAは初期投資がかからず、導入時にかかるコストを抑えることができます。特に、小規模企業やスタートアップ企業が営業活動を始める際に有用です。
また、多くの無料SFAでは顧客管理や営業活動のトラッキングなど、営業に必要な基本機能を提供しており、活用することで営業チームが効率的に業務を進めることができます。
無料プランや無料トライアルを活用し、システムの使い勝手や機能を実際に試せることもメリットです。これにより、自社に合ったツールかどうかを判断しやすくなります。
無料SFAでは機能やユーザー数の制限があります。今後企業が成長し、より多くの機能やデータ管理の必要性が出てくると、有料プランへの移行は避けられないでしょう。
さらに、SFAの無料プランや無料トライアルでは、サポート体制が限られていることが一般的です。そのため、何か問題が発生した場合に迅速に対応してもらえないことがデメリットとなる恐れがあります。
無料SFAではデータのセキュリティー面での懸念もあります。特に顧客情報を扱う営業活動では、情報漏洩のリスクが問題視されるため、セキュリティー対策が必要です。
営業活動の効率化や営業変革を本格的に行う場合には、有料SFAの導入が推奨されます。
有料SFAは、無料SFAに比べて以下のような利点があります。
有料SFAでは、分析ツールや高度なカスタマイズ機能、API連携など、ビジネスニーズに応じた多彩な機能が利用可能です。活用することで、より効果的に営業活動を行えるようになります。
また、有料SFAは導入時や運用時のサポートも充実しているため、問題解決を迅速に行うことができます。また、トレーニングやコンサルティングなど、付加価値の高いサポートも受けられます。
データの保護に対する取り組みが強化されている有料SFAも多く、顧客情報の管理やデータ保護に関するポリシーが明確である程、安心して利用しやすいでしょう。
SFAは営業活動を効率化するための重要なツールですが、ツールの選定を誤ると効果が得られないだけでなく、業務にも悪影響を及ぼすこともあります。ここでは、SFA選定に失敗しないための4つのポイントを解説します。
SFAの選定時によくある失敗の一つは、「どのSFAツールを導入するか?」に焦点が当たってしまい、そもそも何のために導入するのかを見失ってしまうことです。
株式会社ハンモックが実施した「従業員数300名以上の企業におけるSFA導入実態調査」によると、「導入したものの全機能を使いこなせない理由」の第4位に「導入目的の共有不足(25.4%)」が挙げられています。
引用:従業員数300名以上の企業におけるSFA導入実態調査 | 株式会社ハンモックのプレスリリース|PR TIMES
SFAは営業活動の効率化や成約率の向上を目指して導入されるものであり、自社の目指すべきゴールを設定しなければ、導入後に効果を実感できない場合が多いです。そのため、まずは社内で目標やゴールを明確にすることが重要です。
例えば、「成約率を何%向上させるのか」「営業リードをどれだけ増やすのか」「顧客の情報管理をどのように改善するのか」など、具体的な目標を設定しましょう。これにより、SFAツール選定の基準が明確になり、適切な機能やサービスを選びやすくなります。
また、目標を明確にすることで、導入後の効果測定も容易になり、継続的な改善につなげることも可能です。
SFA選定時に、実際に使っているユーザーにインタビューしてみることも一つの方法です。ユーザーから率直な意見を聞くことで、使い勝手や機能面の詳細が把握でき、自社のニーズに合ったSFAを見つけるための参考になります。
他社の成功事例や失敗談も重要な情報源となるため、積極的に情報を収集し、自社にとっての最適な選択を行いましょう。
インタビューが難しい場合には、G2.comやITreviewなどの専門的なレビューサイトを参考にすることで、他社の評価や体験談を収集できます。
SFAの選定において、価格だけを基準にすることはおすすめできません。安価なツールが自社に適しているとは限らず、価格の安さだけで選んだ結果、後に「この機能が必要だったのに」といったことにもなりかねません。
SFA導入の目的に立ち返り、何を実現したいのかを考え、その目的を果たすために必要な機能が備わっているかどうかを重視して選定しましょう。初期投資の金額だけでなく、長期的に見た価値や機能の充実度を評価することが重要です。
SFA選定の際にもっとも効果的な方法は、実際にチームや自身でツールを使用してみることです。多くのSFAでは無料版や無料トライアルを提供しているため、活用することで、実際の使用感やUIを確かめることができます。
特に、チーム内のメンバーと一緒に試すことで複数の視点からの評価を得られ、ツールの実用性をより具体的に把握することができます。
また、トライアル期間中に発生した問題点や不満点を事前に把握しておくと、本格導入の際にスムーズな運用が可能になります。
SFAの導入は営業プロセスの効率化や生産性向上に寄与しますが、導入に失敗してしまうケースも少なくありません。特に、急激な導入や体制の整備不足、経営層の理解不足などが原因で、SFAが定着せずに放置されることがあります。
ここでは、SFAの導入を成功させるために重要な6つのポイントをご紹介します。
SFAの導入時には、全社一斉に展開するのではなく、スモールスタートで始めることが推奨されます。
特に、営業部門が大規模な企業では、多くのユーザーが一度に新システムを使い始めると、操作方法や機能への理解に個人差が生じ、混乱やミスが頻発し、業務に支障をきたす可能性があります。
まずは特定のチームや部署で試験的に導入し、運用の中で課題や問題点を洗い出しましょう。その後、小規模での運用から得たフィードバックをもとに改善を重ね、段階的に全社へ展開することで、混乱を抑えながら円滑な導入が期待できます。
SFA導入の際には、社内の運用体制を構築することが不可欠です。専任のチームを編成し、その中にSFAの効果的な活用や運用の定着を支援できる人材を配置することが理想的です。
株式会社TSUIDEの調査によると、「導入したSFAなどの営業デジタルツールが活用できていない理由」の第4位に、「人材・スキル不足(13.4%)」が挙げられています。
引用:SFA、CRMツール導入に関する調査結果|TSUIDEのプレスリリース|PR TIMES
導入後にシステムを使いこなせる人材が不足していると、効果的に活用することが難しくなります。そのため、SFAの運用を成功させるためには、システムの活用と定着を支援できる専門的なスキルを持った人材を確保することが重要です。
SFAの導入後に定着しない要因として、経営層やマネジメント層の理解度が低いことが挙げられます。社内全体でSFAを導入する目的や期待される効果を十分に理解してもらうためには、経営層やマネジメント層を積極的に巻き込むことが重要です。
具体的には、SFA導入の目的やメリットを明確に示し、経営層の賛同を得るためのプレゼンテーションを行うことや、実際の導入プロセスに参加してもらうことで、理解の促進につながります。
営業組織にSFAを定着させることは容易ではありません。従来のやり方を変えることへの抵抗感が予想され、新しいシステムに適応する必要があるため、社内で目的や目標をしっかりと共有し、営業組織の変革に対する覚悟が求められます。
導入時に「できるだけ簡単に、できるだけ負担を減らす」といった配慮が過剰になると、初期の目的が達成されず、SFA導入が単なる形式的なものになってしまうリスクがあります。具体的には、トレーニングやサポートが不足し、ユーザーがシステムを効果的に活用できない状況に陥るリスクがあります。
そのため、営業組織が変革に対する強い意識を持ち、全員が協力してSFAを活用する姿勢を持つことで、導入後の成果が向上しやすくなります。
SFAの導入は、全社のマネジメントを変革する大きなプロジェクトといえます。現場の声をしっかりと反映し、理解を得ながら進めていくためには、プロジェクトに現場のキーマンを参画させることもポイントです。
現場のキーマンは、日々の業務を通じて実際に課題を体験しているため、彼らの意見やフィードバックには価値があります。プロジェクトチームに参加してもらうことで、現場のニーズに即した機能の検討や、運用フローの改善提案が可能となり、導入後の定着化がスムーズになるでしょう。
SFA導入前には、十分なトレーニングを行うことが不可欠です。システムの使い方や新しいプロセスへの理解が不足していると、導入後に戸惑いや混乱が生じてしまいます。
トレーニングは、SFAを運用するユーザー全員に実施するべきで、特に営業チームには重点的に行う必要があります。
具体的なトレーニング内容としては、SFAの基本機能の説明、日常業務での利用方法、データ入力や管理のポイント、分析機能の活用法などが挙げられます。
市場には多くのSFAツールが存在し、それぞれ異なる機能や特性を持っています。ここでは、各ツールの特徴やG2.comやIT Reviewでの評価、おすすめの企業をご紹介します。
なお、以下のG2.comやIT Reviewの評価は、2024年10月時点の情報です。
引用:Sales Hub
HubSpotの「Sales Hub」は、営業チームの効率を高めるための包括的なツールです。リード管理・メール追跡・商談の進捗管理など、多彩な機能を提供しています。
HubSpot製品の特徴として、インバウンドマーケティングに特化している点が挙げられます。インバウンドマーケティングとは、ブログやランディングページを活用してユーザーを引きつけ、顧客に転換する手法です。
Sales Hubを利用することで、ウェブサイトの訪問者を追跡し、興味を示しているコンテンツを分析することでもっとも関心の高いリードを特定し、適切なタイミングで接触できます。
また、パーソナライズされたメールキャンペーンや自動フォローアップ機能を活用することで、より効率的にリードとの関係を構築し、商談を進めることができます。
Sales Hubでは無料ツールが提供されているため、はじめてSFAを導入する際にも利用しやすいでしょう。さらに、有料プランへアップグレードすることで、より高度なSFA機能やMAの機能を利用できます。
G2.comの評価では、HubSpot「Sales Hub」は4.4/5点と高評価を得ており、特に直感的なインターフェースや、マーケティング機能との統合しやすさが好評です。
IT Reviewでは3.7/5点の評価で、「柔軟性が高い」「サポート体制が威力」とのコメントが多く寄せられています。
HubSpotのSales Hubがおすすめの企業は、小規模から中規模の企業、特にマーケティングと営業の連携を強化したい企業です。無料プランから始められるため、コストを抑えつつ営業の効率化を図りたい企業に適しています。
引用:Sales Cloud
米Salesforceの「Sales Cloud」は、企業名にもあるとおりSFAで認知度の高い会社が提供するSFAツールです。
Sales Cloudの特徴は、多機能であることに加え、多くの基幹システムやマーケティングオートメーション(MA)との連携が可能な点です。見込み客の管理や案件管理、売上予測管理など、営業活動に欠かせない機能を備えています。
プランは有料版のみですが、無料トライアルが利用できます。
G2では4.4/5点の評価、IT Reviewでは3.7/5点の評価を獲得しており、特に「豊富なカスタマイズ機能」や「アプリとの連携」が評価されています。
ただし、多くの部署で共通して利用できる柔軟性がある」という意見がある一方で「一般ユーザーには使いづらい」「上級者向け」といった声も寄せられていました。
そのため、SalesforceのSales Hubは、中規模から大規模企業におすすめのSFAといえます。多機能でカスタマイズ性が高いため、複雑な営業プロセスや独自のニーズを持つ企業に適しています。
引用:eセールスマネージャー
ソフトブレーン株式会社の「eセールスマネージャー」は、国内での導入実績が豊富なSFAツールです。
特徴として、クラウド型に加えて、オンプレミス型での提供も行っている点が挙げられます。また、専門のアドバイザーによるシステム定着の支援も受けられます。
料金は有料プランのみで、無料トライアルが利用できます。
2024年10月時点でG2.comでの評価は無く、IT Reviewでは3.2/5点の評価でした。「カスタマイズ性が高い」「スマートフォンやPCで手軽に入力できる」といったコメントが目立ちます。
eセールスマネージャーは、日本市場に特化したビジネスを展開している企業におすすめのSFAです。営業チームが日本国内にいる企業や、海外製品の導入はハードルが高いと感じている企業でも導入しやすいでしょう。
引用:Zoho CRM
Zoho CRMは、Zoho Corporationが提供しているシステムです。CRM(顧客関係管理)に特化していますが、SFA機能やレポート作成機能、営業メールの自動送信機能など豊富な機能を備えています。
料金は有料プランのみで、15日間の無料トライアルが提供されています。
G2.comでは4.1/5点、IT Reviewでは3.9/5点と高い評価を得ています。
基本的にはCRMとして利用しているユーザーが多い傾向がありますが、SFAとして利用しているユーザーからは、「自動アラート機能やレポート機能によって機会損失を減らせる」とのコメントが寄せられていました。
Zoho CRMがおすすめの企業は、コストを抑えつつ高機能なSFAツールを求める中小企業です。特に、限られた予算内で効果的に営業管理を行いたい企業におすすめです。
米Microsoftの「Dynamics 365 Sales」は、AI搭載のSFAツールです。Microsoft Office 365との互換性が高く、例えば、ExcelやWordで作成したデータや請求書、発注書などを一元管理できます。また、Microsoft Officeで作成したデータを別途保存する手間が省けるため、業務の効率化が期待できます。
Dynamics 365 Salesでは、無料試用版が提供されています。
G2.comでの評価は3.8/5点、IT Reviewでは3.2/5点の評価を得ています。特に、「Microsoft製品との統合がスムーズ」とのコメントが多く見られました。
Dynamics 365 Salesは、すでにMicrosoft製品を利用している企業におすすめのSFAです。Office 365やAzureを利用している企業が導入することで、スムーズな導入と運用が期待できます。
SFA(営業支援システム)を導入することで営業活動の属人化を解消し、成約率の向上が期待されますが、現状多くの種類があるため、自社に適したツールを選定することが重要です。
SFAを選ぶ際に考慮すべきポイントは、以下の通りです。
自社の課題を明確にした上で、目的や予算、サポート体制を十分に検討して選定しましょう。
また、各SFAツールには無料トライアルが用意されている場合が多いため、実際に使ってみて操作感を確認することもおすすめです。これにより、自社に合った使い勝手や機能の理解が深まり、導入後の定着率も向上します。
渋谷 真生子
株式会社100(ハンドレッド)のマーケター。新卒でグローバルヘルスケア企業で営業を経験し、セールスフォースにてBDRとして地方企業の新規開拓に携わる。コロナ渦でインバウンドマーケティングの重要性を実感し、アイルランド ダブリンにあるトリニティカレッジの大学院にてデジタルマーケティングの学位取得し現在に至る。最近はかぎ針編みにハマり中。
ビジネスの成長プラットフォームとしての魅力はもちろん、
HubSpotのインバウンドマーケティングという考え方、
顧客に対する心の寄せ方、ゆるぎなく、そしてやわらかい哲学。
そのすべてに惹かれて、HubSpotのパートナー、
エキスパートとして取り組んでいます。
HubSpotのこと、マーケティング設計・運用、
組織の構築など、どんなことでもお問い合わせください。