私たちの生活において、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、今や当たり前のものとなっています。とりわけ企業のマーケティング活動においても、SNSの運用力が成否を分けるといっても過言ではありません。
しかし、SNSの種類は多岐に渡り、ターゲットやテーマに応じて使い分けが求められることからアカウント管理が煩雑になりがちです。とりわけ専任のSNS担当者が不在の場合、他の業務と掛け持ちせざるを得ず、少しでも効率的に管理したいと悩みを抱える方も多いでしょう。
そこで役立つのがHubSpotのSNSアカウント管理ツールです。本記事では、HubSpotのSNSアカウント管理ツールについて、基本からメリット、そして具体的な利用手順まで詳しく解説します。この機能を活用することで、複数のSNSアカウントを一元管理し、パフォーマンスの計測が可能になります。マーケティング担当者やSNS運用を任されている担当者の方はぜひ参考にしてください。
HubSpot SNS接続とは
HubSpotでは、各SNSと連携できる「SNSアカウント管理ツール」を提供しています。そもそもHubSpotとはどんなサービスなのかご存知でない方に向けて、HubSpotとSNS連携についてかんたんに解説します。
HubSpotとは
HubSpotとは、米国HubSpot社が提供するCRM(顧客関係管理)プラットフォームです。マーケティング、セールス、カスタマーサービスの業務を支援する製品群で構成されており、基盤となるCRMデータベースに接続されています。
カスタマージャーニーの各フェーズにおける全ての業務を一元管理し、ビジネスプロセスの効率化、および顧客体験の向上が可能です。
HubSpot SNS連携とは
出典:HubSpot Japan
HubSpotでは、SNSアカウント管理ツールが備わっており、X(旧Twitter)、Facebook、LinkedIn、Instagramなどの主要なSNSとの連携が可能です。これらのアカウントを1つのツールで一元管理することで、各SNSアカウントの管理や分析、リード獲得の効率化を図ることができます。
その結果、SNSマーケティング運用の効率化および、パフォーマンスの最大化をもたらします。HubSpotのSNSアカウント管理ツールを利用するには、HubSpot製品群の「Marketing Hub」のプランから、ProfessionalまたはEnterpriseの契約が必要です。
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HubSpotとSNSを接続するメリット
SNSマーケティングは、現代ビジネスにおいて欠かせない取り組みです。しかしながら、SNSの種類が多岐にわたるため、アカウント管理が煩雑になり、運用に課題を感じている方も多いでしょう。
HubSpotをSNSと接続することで、多くのメリットが得られます。これらのメリットを享受することで、SNS運用の効率化および、ビジネスの成果向上が期待できるでしょう。ここでは、HubSpotとSNSを接続する具体的なメリットを4つ解説します。
複数のSNSアカウントを一元管理できる
HubSpotのSNSアカウント管理ツールを活用することで、各SNSアカウントの一元管理が可能です。具体的には、X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、LinkedIn、YouTubeなどのアカウントを1つのプラットフォーム上で管理できます。
これにより、SNSアカウントにそれぞれアクセスしなくとも、HubSpot内で投稿するコンテンツの作成や公開まで行うことが可能です。さらに、HubSpotのスケジューリング機能を活用することで、コンテンツを最適なタイミングで配信できます。
結果として、SNS運用の手間を大きく減らすことができ、より戦略的なSNSマーケティングの実施が可能です。
レポート機能を活用して各SNSのパフォーマンスを計測することができる
HubSpotのソーシャルレポート機能を活用することで、各SNSのパフォーマンスを詳細に計測できます。パフォーマンスデータを分析することで、SNS戦略の効果を具体的に把握し、必要に応じた改善策を講じることができます。
具体的には、プラットフォーム、キャンペーン、チャネルごとのパフォーマンスの変化を可視化・計測できます。計測できる指標は次の通りです。
- 投稿数
- フォロワー数
- エンゲージメント数
- インプレッション数
- クリック数
- セッション数
これらの指標を継続的にモニタリングし、レポート化することで課題や次のアクションが明確になり、SNSマーケティングの成果改善につながります。
ちなみに、当社株式会社100(ハンドレッド)では、社員のX(旧Twitter)投稿の反響を可視化するレポートを独自で作成しています。
SNS投稿のスケジューリングができる
HubSpotのソーシャル機能を使用することで、SNSごとにスケジュール投稿が可能になります。あらかじめ設定したスケジュールのタイミングに、自動的に投稿されるため、投稿漏れのリスクや手動で投稿する負担がなくなります。
また、SNSごとの配信計画を立てられるため、いきあたりばったりの投稿ではなく、戦略的なSNS運用が可能です。ソーシャルレポート機能と組み合わせることで、投稿日時の違いによるパフォーマンスの変化を比較できるため、SNS投稿の最適なタイミングが把握でき、より効率的にSNS運用の成果向上が期待できるでしょう。
X(旧Twitter)で自社に関連する重要キーワードに関する投稿をモニタリングできる
HubSpotのソーシャル機能を利用すれば、X(旧Twitter)のフォロワーやリツイートなどの反応を見ることが可能です。また、特定のキーワードを追跡することで、ユーザーがどういった反応をしているかも確認できます。
例えば、新商品リリース後に商品名で検索するなど、重要なキーワードを追跡することで、自社ブランドに対する満足度や他社製品と比較してネガティブな要素を把握できます。こうしたモニタリング結果を製品やサービスのブラッシュアップに活用することで、マーケティング戦略の精度を高め、顧客体験価値の向上が期待できるでしょう。
SNSアカウントの接続方法
HubSpotとSNSアカウントを連携することで、各SNSアカウントの一元管理が可能になり、よりデジタルマーケティング戦略の強化および効率化が可能になります。
HubSpotで接続できるSNSは、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、LinkedInとなっています(HubSpot Marketing Hub EnterpriseのみYouTubeも接続可能)。また、SNSによっては個人アカウントと企業ページがそれぞれ存在する場合があり、HubSpotでは両方またはいずれかの接続が可能です。
続いては、HubSpotと各SNS(Facebook、Instagram、X、LinkedIn)を接続する手順をそれぞれ画像を交えて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
FacebookまたはInstagramを接続する方法
HubSpotでFacebookやInstagramのアカウントを接続するには以下の手順で進めます。
1.HubSpotのダッシュボードから「マーケティング」>「ソーシャル」を選択します。
2.ソーシャルの画面に遷移したら、右上の「設定」をクリックし、次に「アカウント接続」をクリックします。
3.「接続するネットワークを選択」というポップアップが表示されるので、「FacebookとInstagram」を選択します。
4.「接続するページとアカウントを選択」というポップアップが表示されるので、接続するFacebookページとInstagramアカウントを選択し、「接続」をクリックします。
5.接続が完了すると、「アカウントが接続されました」と記載されたポップアップが表示されます。
6.接続が完了すれば、HubSpot上からFacebookやInstagramの投稿が可能です。
注意点として、HubSpotに接続できるのは「ビジネスアカウント」であり、管理するFacebookページにリンクされている必要があります。したがって、Facebookページにリンクされていない個人のInstagramアカウント、Instagram Creatorアカウント、InstagramビジネスアカウントはHubSpotに接続できません。
X(旧Twitter)を接続する方法
HubSpotで、X(旧Twitter)のアカウントを接続するには以下の手順で進めます。
1.HubSpotのダッシュボードから「マーケティング」>「ソーシャル」を選択します。
2.ソーシャルの画面に遷移したら、右上の「設定」をクリックし、次に「アカウント接続」をクリックします。
3.「接続するネットワークを選択」というポップアップが表示されるので、「Twitter」を選択します。
4.「HubSpotにアカウントへのアクセスを許可しますか?」と表示されるので、「連携アプリを認証」をクリックします。
5.「レポートで表示する投稿を選択」というポップアップが表示されるので、いずれかを選択し「接続」をクリックします。
6.接続が完了すると、「アカウントが接続されました」と記載されたポップアップが表示されます。
7.接続が完了すれば、HubSpot上からXの投稿が可能です。
LinkedInを接続する方法
HubSpotで、LinkedInのアカウントを接続するには以下の手順で進めます。
1.HubSpotのダッシュボードから「マーケティング」>「ソーシャル」を選択します。
2.ソーシャルの画面に遷移したら、右上の「設定」をクリックし、次に「アカウント接続」をクリックします。
3.「接続するネットワークを選択」というポップアップが表示されるので、「LinkedIn」を選択します。
4.LinkedInのサインイン画面が表示されたら、HubSpotと連携するLinkedInアカウントにサインインしましょう。
5.「HubSpot Social v2が次へのアクセスを求めています。」と表示されるので、連携するアカウントに誤りがないか確認し、問題がなければ画面下部の「許可する」をクリックします。
6.HubSpot画面に戻り、「接続するページを選択」と表示されるので、接続するLinkedInページを選択し、「接続」をクリックします。
7.接続が完了すると、「アカウントが接続されました」と記載されたポップアップが表示されます。
8.接続が完了すれば、HubSpot上からLinkedInの投稿が可能です。
HubSpot上でSNS投稿を作成する方法
HubSpotを利用してSNS投稿を作成するには、次の手順に沿って進めていきます。
1.HubSpotのダッシュボードから「マーケティング」>「ソーシャル」の順に選択します。
2.右上の「ソーシャル投稿を作成」ボタンをクリックします。
3.「新規ソーシャル投稿を作成」と書かれた画面が表示されるので、左側のパネルから「アカウントを選択」のドロップダウンメニューをクリックします。
既に連携が完了しているアカウントのみが表示されるので、投稿先とするSNSアカウントにチェックを入れます。
4.アカウントを選択したら、下書きのタブで投稿内容を入力します。SNSごとの文字数制限に注意しながら編集してください。投稿コンテンツに、絵文字や添付ファイルを挿入することも可能です。
投稿内容が思い浮かばない場合は、「AIアシスタント」を使えば、ソーシャル投稿を自動生成してくれますので、ぜひ活用してみてください。
ソーシャル投稿に画像や動画を追加する場合は、以下の形式を使用できます。
- 画像:png、jpg、jpeg、gif(gifはTwitter、LinkedInのみ)
- 動画:mp4、mov、mpeg4、m4v
5.投稿内容が固まったら、公開オプションにて公開日を指定します。これにより、予約投稿が可能となり、タイミングを見計らって効果的なコミュニケーションを図ることができます。
- 今すぐ公開:ソーシャル投稿を直ちに公開する
- 予定としてスケジュール:ソーシャル投稿の公開日時を指定する
6.ソーシャル投稿画面右上のボタンをクリックし、投稿を完了させます。
ソーシャルモニタリングツールを活用する方法
HubSpotのソーシャルメディアモニタリングツールとは、SNS上でのブランドやサービスに対する投稿を監視するためのツールです。このツールを活用することで、企業は効率的に自社サービスの市場動向や顧客の意見を把握できます。
HubSpotのソーシャルモニタリングツールでは、あらかじめキーワードを設定することで、特定のキーワードやフレーズを含む投稿を監視できます。例えば、新商品のリリース直後に市場の反応を知りたい場合、その商品名をキーワードに設定することで、当該商品に関する投稿を追跡できます。
続いては、HubSpotのソーシャルモニタリングツールの活用方法を手順に沿って解説します。
1.HubSpotのダッシュボード上で、「マーケティング」>「ソーシャル」の順に選択します。
2.ソーシャルの画面に切り替わったら「モニタリング」タブを開きます。左側に「Twitterストリーム」という表示があるので、その下にある「ストリームを作成」をクリックします。
3.「ストリームを作成して編集」という画面が表示されるので、以下の項目を設定します。
- ストリーム名:ストリームの名称を決めます。後から見て思い出せる名称にしましょう
- 次の投稿ストリームを作成:メンション、リツイート、全てのTwitterからのキーワード、Twitterリストからのキーワード、HubSpotコンタクトリストからのキーワード のいずれから選択します
- アカウントを選択:ストリームの対象アカウントを選択します。Twitterはフォロワー数やフォロワーの内容などによって、同じ検索キーワードでも検索結果が異なるため、あらかじめ基準とするアカウントを決めておくことをおすすめします。
- 次の語を含む:監視したいキーワードを入力します。複数のキーワードを指定する場合は、カンマ「,」で区切ります。
- Eメール通知の頻度:通知のタイミングを設定します。「8:00」「8:00 & 16:00」「通知なし」のいずれかから選択できます。
- 通知ユーザー:通知するHubSpotユーザーを指定できます。
- 詳細オプション:必須キーワード、除外キーワード、ツイートを非表示にするアカウント、ツイートの言語を指定できます。
設定が完了すると、設定条件に沿ったツイートが表示されます。各ツイートをクリックすると投稿の詳細を閲覧できます。この画面上から、いいね!、リツイート、引用ツイートを行えます。さらに、HubSpot上から返信も可能です。
まとめ
本記事ではHubSpotのSNS連携について解説しました。HubSpotを利用することで、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、LinkedInなど、主要のSNSと連携し、各アカウントの一元管理が可能になります。
この機能により、SNSアカウントにアクセスすることなく、HubSpot上でシームレスに切り替えることが可能です。HubSpotのSNS投稿画面では、AIアシスタント機能も備わっているため、投稿内容が思い浮かばない場合でも、各SNSの文字数制限に合わせて最適な投稿内容を生成してくれます。
また、HubSpotのSNS連携は、単にコンテンツを投稿するだけではなく、投稿のスケジューリング、投稿後のパフォーマンスデータの計測・分析まで行えます。これによりSNS戦略の効果を具体的に把握し、必要に応じた改善策を講じることが可能です。
さらに、ソーシャルモニタリングツールを活用すれば、自社製品やサービスが市場でどれくらい受け入れられているかをチェックできるため、ビジネス戦略の洞察につなげることができます。
このように、HubSpotを活用することでSNS活用の幅が大きく広がります。SNS運用が煩雑化し、思うような成果につながっていないと感じている方は、ぜひHubSpotとの接続を検討してみてください。