多くの企業が活用しているオウンドメディア。自社でコンテンツやチャネルを直接管理・運用することで、企業メッセージを顧客に直接届けることができ、ブランドと顧客の新たな関係性を築く手段として注目されています。
ミモズカンパニーの調査によると、グロース上場企業563社のうち、オウンドメディアを運用している企業は194社(約34%)に上ります。ウェブマーケティング施策を強化するために、オウンドメディアの立ち上げを検討している担当者も少なくないはずです。
一方で、Zenken株式会社の調査では、オウンドメディアの約3割が「運営停止中」となっていることが分かっており、運営停止中のオウンドメディアのうち65.5%は、開始からわずか半年以内に更新が停止しているという実態も明らかになっています。
オウンドメディアの立ち上げに失敗しないためには、その特性を理解し、成功するためのポイントを押さえて運営することが重要です。
本記事では、オウンドメディアの概要や失敗する理由、立ち上げの適切なステップ、成功のための重要なポイントを解説します。
オウンドメディアを立ち上げるにあたり、まずはオウンドメディアとはどのようなものか、基礎を理解しておくことが大切です。
マーケティング領域におけるオウンドメディアの定義は、広義と狭義の意味に分かれるため、ここでは両者の定義について解説します。また、オウンドメディアと並ぶ3つのメディアを総称した「トリプルメディア」についても説明します。
オウンドメディア(Owned Media)とは、「企業が自社で保有するメディア」を意味します。
具体的には、企業が所有し、編集権を持つメディア全般を指します。広義では、下記のような自社で運用するメディアすべてがオウンドメディアに含まれます。
なお、オウンドメディアは、トリプルメディアと呼ばれる次の3つのメディアのうちの一つです。
オウンドメディアは、トリプルメディアの中でも企業が自社のメッセージを自由に発信できるプラットフォームであり、ブランドの価値を直接顧客に伝える重要な役割を果たします。
また、アーンドメディアやペイドメディアと連携することで、マーケティング戦略全体の効果を高めることが可能です。
近年、「オウンドメディア」という言葉はブログや情報サイトのようなウェブメディアを指すことが多く、狭義では、「自社で運用するウェブマガジンやブログ」を指すケースが一般的です。
マーケティングチームが、コミュニケーション施策の一環としてオウンドメディア運営を行うケースが多くなっています。
狭義でのブログのようなオウンドメディアの場合、主にWordPressやMovable TypeなどのCMSを使用して自社サイト上で情報発信を行う形式と、一からサイトを構築する形の二つに分類されます。その他、note株式会社が提供するメディアプラットフォーム「note」を用いて、企業名義で情報発信を行う形式も見られます。
オウンドメディアの例)HubSpot日本語公式ブログ|HubSpot
オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアは、それぞれ異なる役割や特性を持ちます。
オウンドメディアの特徴は、企業が発信内容や公開のタイミングなどをコントロールできる点です。ブランドメッセージや情報を一貫して発信できるため、顧客のブランド理解を促進することが可能です。
対して、アーンドメディアは消費者や第三者によって生成されるメディアです。具体的には、ソーシャルメディアでの言及やシェア、口コミサイトでのレビュー、ブログ記事での紹介などがあげられます。
例えば、InstagramやX(旧:Twitter)などSNS上での友人やインフルエンサーによる商品の口コミの場合、企業からの発信よりも共感を得やすく、パルス型消費行動(急に購買意欲が高まり購入すること)につながることがあります。
企業が情報を操作できないというデメリットはありますが、それゆえに消費者はその情報を本音だと捉え、信頼しやすくなることがメリットです。
ペイドメディアは、オンライン広告(バナー広告、検索広告)・テレビCM・ラジオ広告・雑誌広告などの有料で掲載されるメディアです。広範なターゲット層に対して自社の商品やサービスを効果的にPRできるため、既存顧客だけでなく、潜在顧客にもアプローチできるという利点があります。
さらに、ペイドメディアでは広告主が広告内容を自由に決めることができるため、広告ポリシーを守りつつ、希望通りの情報発信が可能です。ただし、消費者はこれらを「企業が出した広告」として認識するため、情報の受け取り方には慎重になります。
オウンドメディアとの違いとしては、ペイドメディアに記事広告を掲載する際には掲載料が発生する点があげられます。迅速かつ広範囲にリーチできる反面、費用がかかることは考慮しなければなりません。
【トリプルメディアの役割や特性まとめ】
オウンドメディアは企業が自社で運営し、ブランドメッセージや情報を一貫して発信できるメディアとして有効な手段です。しかし、その効果を十分に発揮できずに失敗してしまうケースも少なくありません。
ここでは、オウンドメディアが失敗する主な理由と、各問題点に対する具体的な対策を詳しく見ていきましょう。
オウンドメディアは全社的な取り組みであり、全社員がその価値を理解し、活用しようとする姿勢を持つことが大切です。しかし、社内でこの点が十分に理解されていないと、短期的な成果を期待してしまい、結果として失敗に終わることがあります。
オウンドメディアがユーザーに認知され、効果が現れるまでには、一定の時間が必要です。成果が出るまでには、最低でも1〜2年はかかると見込んだ方が良いでしょう。これは、SEO対策やコンテンツの質を高めるための施策を長期的に行う必要があるためです。
短期的な成果を求められると、オウンドメディア運営に対するプレッシャーが高まり、焦りから質の低いコンテンツが量産される恐れがあります。また、短期間で結果が出ないことに不満を抱いた上層部が、運営予算の削減やプロジェクト自体の中止を決定することもあり得ます。
具体的な対策として、社内でオウンドメディアの特性とその運営には時間がかかることを周知徹底し、定期的な勉強会や報告会を通じて、効果が出るまでの過程や進捗状況を共有することが重要です。
短期・中期・長期の目標を明確に設定し、それぞれの段階で達成可能なKPIを定めると良いでしょう。これにより、運用状況の進捗を確認しやすくなり、長期的な視点で評価しやすくなります。
オウンドメディア運営には、専門的な知識やスキルを持ったチームと、運用体制の整備が不可欠です。運用体制を整えずに見切り発車してしまうと、運営がうまくいかず、失敗することがあります。
Zenken株式会社の調査によると、運営停止の主な理由は「自社の運営担当者がいなくなったため(運用するリソースがなくなったため)」であり、その割合は54.3%に上ります。
引用:2022年オウンドメディアに関する調査 - Zenken株式会社|PR TIMES
オウンドメディアの運用では、更新頻度やコンテンツの質が成果に大きく影響します。社内のリソースを十分に確保しないままでは、早々に更新が途絶えてしまう可能性があります。
継続的かつ高品質なコンテンツ制作には多大な労力がかかるため、社内の理解を得て予算や人的リソースを確保することが重要です。
オウンドメディア運用に携わる職種は、編集長・編集者・ライター・デザイナー・フォトグラファーなど多岐にわたります。運営体制が整っていないと、低品質なコンテンツばかりが制作され、失敗の原因となります。コンテンツの目標更新頻度をもとに、事前にどれだけのリソースが必要かを検討しておきましょう。
また、オウンドメディアはコンテンツを制作・公開するだけではなく、戦略設計・分析・改善といった業務が発生します。このような複雑な業務をスムーズにこなすためには、適切なメンバーを配置し、しっかりとした運営体制を構築する必要があります。
失敗しないための対策として、オウンドメディア専任のチームを編成し、必要なリソースを確保するようにしましょう。
また、コンテンツ制作や更新のフローを明確にし、運用マニュアルを作成することも一つの方法です。これにより、誰が何をいつ行うべきかが明確になり、運営の効率化を図りやすくなります。
オウンドメディアを運営する際には、目的やゴールを明確にすることが重要です。目的やゴールが不透明では、コンテンツの方向性がブレやすくなり、結果としてターゲットユーザーに響くコンテンツを提供できません。
また、コンテンツ制作の際のアプローチの仕方にも迷うことになります。例えば、問い合わせの増加や売上向上を目指すのか、それともブランディングを強化するのかによって、提供すべきコンテンツや戦略はまったく異なります。
さらに、目的が不明確なままだと、オウンドメディアの成功の評価基準も曖昧になってしまいます。評価基準が定まっていない状態では、成果が出る直前で運用を停止してしまうこともあります。また、運用の成果を実感しにくく、チームのモチベーションを維持することも難しくなるでしょう。
オウンドメディアの目的やゴールとして、明確な成果を設定すべきです。「競合他社が成功しているからやる」「流行っているから」という理由だけでオウンドメディアを始める企業は、しばしば目的が不明確なまま失敗につながってしまいます。
そのためには、世の中のトレンドに迎合するためだけではなく、より明確な運営目的を定める必要があります。例えば、「ブランド認知度の向上」「リードジェネレーション(見込み客の創出)」「顧客とのエンゲージメント強化」「流入増加」「売上アップ」「採用促進」などがあげられます。
目的やゴールが明確になったら、具体的なKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)を設定し、定期的な成果の評価も行いましょう。これにより、運営の方向性が安定し、効果的な施策を継続的に行いやすくなります。目的が明確であれば、チーム全体が同じ方向を向き、成功へと向かうための戦略を展開することが可能です。
オウンドメディアで成果につなげるためには、ターゲットとするKW(キーワード)の選定が重要です。検索需要が高いキーワードをターゲットにしなければ、ユーザーがそのコンテンツを見つけることができません。
コンテンツのクオリティーが高くても、自然検索で見つけてもらえなければ、オウンドメディアの訪問者数が伸びず、期待する効果を得ることができないでしょう。
そのため、オウンドメディアで検索上位表示を狙うキーワードと読者のニーズを正確に把握し、見直す必要があります。
具体的な対策として、キーワード調査の徹底があげられます。Googleキーワードプランナーなどのツールを活用し、ターゲットユーザーが検索するキーワードを徹底的にリサーチしましょう。
例えば、オウンドメディアの主要キーワードが「顧客管理システム」であった場合のキーワードは、以下の画像の通りです。
この場合、「顧客 管理」「cms システム」などのキーワードは、月間検索ボリューム1000~1万のミドルキーワードであり、それ以外は100~1000ほどのロングテールキーワードであることが分かります。
オウンドメディア全体の流入数を増やすためには、検索ボリュームや競合性を確認し、検索需要が高いキーワードを選定することがポイントです。
また、記事の内容が読者の実際の検索ニーズに沿っていない場合、検索エンジンからの評価が得られません。特に、SEO(検索エンジン最適化)の観点では、ユーザーが課題解決のために検索するキーワードに対して、オウンドメディアが有益な情報を提供することが重要視されます。
タイトルや見出し、本文にキーワードを適切に配置し、ユーザーに価値ある情報を提供することで、検索エンジンでの上位表示にもつながります。
オウンドメディアを成功させるためには、適切な手順で進めることが重要です。ここでは、それぞれのステップについて、具体例を交えて解説します。
企業がオウンドメディアを立ち上げる際には、さまざまな目的やゴールがあります。具体的には、ブランディング向上や売上増加、採用活動の強化などが考えられます。
これらの目標を達成するためには、オウンドメディアの立ち上げ段階で具体的なアクションプランを策定することが不可欠です。オウンドメディアの目的とゴールを明確化することで、どのような成果を期待するのかが明確になり、運営全体の方向性を定めることができます。
例えば、会社のブランディング強化が目的であった場合、オウンドメディアを通じて専門知識を発信し、業界でのリーダーシップを確立することがゴールとなります。また、新規顧客の獲得を目指す場合、問い合わせフォームへの誘導を主なゴールとして設定することも可能です。
ゴールを決める際には、適切なKPIも設定しましょう。ただし、オウンドメディア立ち上げ直後に、「リード獲得」のようなコンバージョン地点をKPIに設定すると難易度が高く、直接的な数字としての成果が見えにくい場合もあります。そのため、初期段階でのKPIとしては、記事のビュー数(閲覧数)や公開数などを設定することをおすすめします。
次に、オウンドメディアのターゲットとなるペルソナを明確に設定しましょう。ペルソナとは、「理想的な顧客像を具体化した架空の人物像」を意味します。
ペルソナを設定することで、誰に対してコンテンツを発信するのかが明確になり、効果的なコンテンツ戦略を策定しやすくなります。これにより、ターゲットユーザーのニーズや関心事に合わせたコンテンツを提供することが可能になり、成果の最大化につながります。
また、明確なペルソナはチーム全体が共通のターゲットユーザー像に対する理解を深める際にも役立ちます。具体的なユーザー像を描くことで、全体の方向性を一貫して企画や戦略の立案をスムーズに進めることが可能になります。
ペルソナを設定する手順は、以下の通りです。
これらの手順でペルソナを明確に定義することで、カスタマージャーニーマップ作成の基盤となる貴重な情報を得ることができます。
引用:カスタマージャーニーとは?基本的な意味&具体的な施策を解説|HubSpot
続いて、設定したペルソナのカスタマージャーニーを定義します。カスタマージャーニー(Customer Journey)とは、顧客がある商品やサービスを購入するまでの経験やプロセスです。
具体的には、顧客が最初に商品やサービスについて知識を得る段階から、購入を決定し、最終的にその商品やサービスを利用して満足を得るまでの全体的な道のりを指します。
カスタマージャーニーは、顧客が直面する各段階での感情や行動、意思決定のプロセスを理解するために重要です。カスタマージャーニーを設定することで、見込み顧客が購買の過程でどの段階にいるのかを把握し、適切なコンテンツで効果的にコミュニケーションをとることが可能になります。
カスタマージャーニーマップの作成は、顧客の行動フェーズを設定することから始めます。一般的な行動フェーズには、以下のようなものがあります。
これらの行動フェーズを理解し、適切なタイミングで適切な情報やサポートを提供することで、顧客の満足度を高め、リピート購買を促進することが可能です。
カスタマージャーニーマップの作成手順は、次の通りです。
まずは、顧客が商品やサービスを利用する際の具体的な行動(例えば、ウェブサイト閲覧、問い合わせ、購入など)と、それらの行動が発生する場所や方法(タッチポイント)を詳細に把握する必要があります。
次に、インタビューやアンケート調査を通じて、顧客が抱く感情や特定のニーズを深く理解していきます。この時、顧客が直面する課題や問題点も把握し、それらを解決するためのアプローチを検討します。
顧客が商品やサービスを使用する状況や場所、環境を考慮します。これにより、適切なコンテキストでのサービス提供やコミュニケーションが可能になります。最後に、顧客が何を達成しようとしているのか、どのような課題や障害に直面しているのかを明確にすることで、顧客のニーズに応じたソリューションを提供することができます。
カスタマージャーニーマップは、これらの要素を包括的に捉えることで、顧客体験を最適化し、企業の競争力を強化するための貴重なツールです。
この時、「AIDMA」や「AISAS」などの有名なフレームワークを活用することもおすすめです。
AIDMAとは、「Attention(注意を引く)、Interest(興味を持たせる)、Desire(欲望を喚起する)、Memory(記憶してもらう)、Action(行動を促す)」の頭文字を取ったマーケティングフレームワークです。
消費者の購買プロセスを理解し、それに応じた戦略を展開するために使用されます。具体的には、注意を引くためのキャッチーなコンテンツ、興味を引く情報提供、欲求を喚起する魅力的な特典、最終的に購買行動を促す明確なコール・トゥ・アクション(CTA/行動呼びかけ)を検討する際に有用です。
AISASは、「Attention(注意を引く)、Interest(興味を持たせる)、Search(検索を促す)、Action(行動を促す)、Share(共有してもらう)」の略称です。
このフレームワークは、特にオンラインマーケティングにおいて、顧客のオンラインでの購買行動や情報共有を促進するために使用されます。検索や行動後の満足度を考慮に入れ、継続的な顧客ロイヤルティの構築にも役立ちます。
オウンドメディアの更新が継続しない主な理由の一つに、社内のリソース不足や運営体制の不備があります。オウンドメディアを持続的に更新し続けるためには、適切な運営体制を確立することが重要です。
初期段階では予算が限られていることや、メディアの成果が見えにくいことから、スモールスタートを検討している企業も多いでしょう。オウンドメディアの業務を既存のメンバーに兼務させるケースが多く見られますが、これではメディアの成長を妨げることになりかねません。
なぜなら、オウンドメディアの運営には専念と定期的な更新が不可欠であり、片手間では対応しきれない業務が多いためです。また、定期的な更新が求められるため、あらかじめ適切なリソースを確保する必要があります。
オウンドメディアは、特に立ち上げ初期にリソースを注力するべき施策です。そのため、オウンドメディアの運営に専念できるチームを編成することをおすすめします。
具体的には、運営チームには編集者・ライター・デザイナー・SEO担当者などを指名しましょう。それぞれの役割を明確にし、定期的なミーティングや業務フローを確立することで、効率的な運営が可能になります。運営に必要なリソースや役割分担を明確にし、チーム全体での共通認識を持つことが重要です。
オウンドメディアを運営するにあたり、ターゲットとするキーワード(KW)やコンテンツのアイデアを検討する必要があります。社内でカスタマージャーニーに基づいた記事のテーマを検討し、実際に需要があるかどうかを調査しましょう。
適切なキーワードを選定し、ユーザーが検索する情報に対応するコンテンツを提供することで、自然検索からの流入数の増加が期待できます。
また、競合との差異化を図りながら、ユーザーの関心を引く内容を企画することもポイントです。例えば、競合分析を通じて、競合が対象とするキーワードやコンテンツの種類を把握し、自社の独自性を出せるテーマを検討すると良いでしょう。
また、SEOツールを活用して検索ボリュームやキーワードの難易度を確認し、戦略的にアプローチすることも一つの方法です。
オウンドメディアで公開する記事のタイトルは、ユーザーがコンテンツをクリックするかどうかを決定する重要な要素です。
記事タイトルにはターゲットキーワードを含めることに加え、ユーザーの関心を引く魅力的なタイトルを作成することで、クリック率(CTR)の向上につながります。
また、選定したターゲットキーワードだけでなく、関連するキーワードも組み合わせて入れる必要があります。これにより、SEO効果を高めつつ、ターゲットキーワードに対する検索可能性も向上します。
タイトルは、シンプルでユーザーが簡単に理解できるように工夫しましょう。長すぎるタイトルや複雑な言葉の使用は避けるべきです。
例えば、「会計 クラウドサービス」というキーワードの上位記事では、次のようなタイトルが設定されています。
「クラウドサービス会計ソフトおすすめ○○選」といった、具体的でわかりやすいタイトルが多く見られます。興味を引く要素を盛り込むことや、具体的な数値を盛り込んだタイトルも効果的です。
オウンドメディアのコンテンツを作成する際には、まず記事の設計書に相当する構成案を作成する必要があります。記事の構成案は、記事の内容や伝えたいメッセージを明確にし、効果的なコンテンツを提供するために重要です。
基本的な構成案では、見出しごとに対策キーワードを設定し、そのキーワードがどのような検索意図に応えるかを考慮した記事の骨子を作成していきます。
例えば、「健康食品」をテーマにした記事を書く場合、以下のような構成案が考えられます。
【導入文】
健康食品の重要性について述べる。読者に興味を持ってもらう
【問題提起】
現代人の健康問題について説明し、なぜ健康食品が必要なのかを示す
【解決策】
健康食品の選び方や摂取方法について具体的に説明する
【事例紹介】
実際の利用者の体験談や成功事例を紹介し、信頼性を高める
【まとめと呼びかけ】
最後に、健康食品の重要性を再度強調し、購入や詳細情報の提供を促す
このように記事の構成案を作成することで、読者の関心を引き、理解度を高める内容の文章を作成する準備を進められます。
さらに、コンテンツによって読者に対してどのような行動を促したいのかも検討し、記事を読んだ後に、読者へ次のステップを促す明確な行動呼びかけ(CTA)を設けることが重要です。
例えば、次のようなアクションが想定できます。
CTAは具体的で魅力的な内容であることが重要であり、読者が自発的に行動に移しやすいように設計しましょう。
記事の執筆はオウンドメディア運営の中心的な作業です。執筆する際には、設定したペルソナやカスタマージャーニーに基づいて的確な情報を提供し、効果的なコンテンツを作成することが重要です。
執筆の仕方は、社内で内製化する方法と外注する方法に分けられ、それぞれメリットがあります。
【社内で内製化する場合のメリット】
社内の従業員は企業の製品や業界に関する深い知識を持っているため、ブランドメッセージや専門的な情報を正確に伝えることができます。また、企業のスケジュールやニーズに合わせて柔軟に対応できるため、急なニュースやイベントに対応した記事執筆の際などに迅速に対応しやすいという利点があります。
内製化する場合、外注に比べてコストを抑えることができる場合があります。特に、定期的なコンテンツ更新が必要な場合には、長期的なコスト効率が良くなることがあります。
ブランドコンシステンシーは、企業と消費者・ユーザーの間でブランドイメージが常に一致している状態を意味します。社内で執筆することで、ブランドのコンセプトやトーンを一貫して維持することができます。これはブランドイメージの統一性を保つために重要です。
【外注する場合のメリット】
外部のライターやコンテンツ制作会社は、特定の分野やコンテンツの形式に精通していることが多く、そのため質の高い専門的なコンテンツを提供できる可能性があります。
社内に執筆担当者を置いたり、専門のライターを雇用したりするよりも、外部委託先を利用することで人的・時間的リソースを節約できます。これにより、社員の業務時間を節約することができ、他のコア業務に集中できるようになります。
また、外注することで外部の客観的な視点が加わり、企業内では気づきにくい新しいアイデアやアプローチを取り入れることが期待できます。
ただし、外注先の選定は慎重に行わなければなりません。信頼できるパートナーを選ぶことで、コンテンツの質の安定や納期の遵守につながります。また、外注先としっかりとコミュニケーションを取り、自社の目的やゴールを明確に伝えることが重要です。これにより、企業の意図に沿ったコンテンツ作成ができ、期待通りの成果が得られるでしょう。
完成した記事は、公開する前に最終的なチェックと編集を行いましょう。誤字や脱字がないかを確認し、読者にとって有益な要素が含まれているかどうかも検討する必要があります。文章のチェックには、文章校正ツールを使用することもおすすめです。
また、画像・表・動画などを追加することで、読みやすく理解しやすいコンテンツに仕上げられます。画像や動画などを活用した記事は「リッチコンテンツ」と呼ばれ、ユーザーの視認性や利便性が高まることから、Googleはこのようなコンテンツを好む傾向があると考えられており、SEO対策としての効果も期待できます。
実際に、Googleは、ウェブ上の画像を検索できる「テキスト検索結果」「Google Discover」「Google画像検索」などの機能やサービスを提供しており、画像を検索結果に効果的に表示するための一般的な推奨事項も公開しています。
引用:画像の SEO ベスト プラクティス | Google 検索セントラル
他にも、SEO対策として、タイトルタグやHeadタグに適切なキーワードを含めることや、画像のalt属性を適切に設定することも忘れずに行いましょう。
記事の準備が整ったら、オウンドメディア上で公開します。ただし、オウンドメディアを公開したら完了というわけではなく、オウンドメディアの成果を上げるためには、継続的な更新と改善が不可欠です。
立ち上げ時には、最初の1記事ができてすぐに公開するのではなく、一定量の記事を準備してから公開をスタートすることをおすすめします。
継続的な改善方法としては、
公開タイミングやプラットフォームの選定を通じて、ターゲットユーザーに最大限アプローチする方法を検討しましょう。例えば、特定の時間帯やSNSプラットフォームでの投稿は、ターゲットユーザーの利用時間帯に合わせて最適化すると効果的です。
SEO対策は、記事公開時に適切なキーワードの使用やメタデータの最適化を行うことなどに加え、トレンドや季節性のあるコンテンツをタイミング良く公開することで、検索トラフィックを増やすことが期待できます。
記事公開直後のリーチとエンゲージメントを最大化するためには、ソーシャルメディアでのプロモーションやメールマーケティングを活用することも一つの方法です。具体的な例としては、メールニュースレターで新記事の告知を行い、購読者にダイレクトにリンクを提供することなどがあげられます。
公開後は必ず成果を定量的に測定し、KPIに基づいてパフォーマンスを評価しましょう。もっとも効果的だったコンテンツを分析し、今後の公開戦略に活かしていくことが大切です。
オウンドメディアの立ち上げを成功に導くためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。ここでは、6つのポイントについて解説します。
オウンドメディアの主要な流入経路の一つは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンからの流入である自然流入(オーガニック検索)です。自然流入は検索結果に表示されたサイトからの訪問のみを指し、検索結果画面に表示されるリスティング広告などは含まれません。
この自然流入を増やすためには、Googleによって評価され、検索結果で上位に表示される必要があります。
具体的には、ユーザーが持つ疑問や課題を解決するための、有益で役立つコンテンツを積極的に提供することが求められます。自社製品の押し売りや質の低い量産型のコンテンツは、検索エンジンによって評価が低くなる可能性があることには注意が必要です。
例えば、Googleのアルゴリズムは、ユーザーが有益と感じるコンテンツであるかを評価する際に、多くの要素を考慮しているとされています。具体的には、コンテンツの質・情報の正確性・読みやすさ・ページの速度・モバイル対応性などです。
特に、検索意図に応じた適切な解答を提供することが重要視されます。ユーザーが検索したキーワードやフレーズに関連した内容であり、その問題を解決するための具体的な情報やアドバイスが含まれているかどうかが評価の対象となる傾向があります。
オウンドメディアの最大の目的は、「ユーザーにとって有益な情報を提供すること」であるため、ユーザーが求める情報やニーズを正確に把握し、そのニーズに応えるコンテンツを提供することが重要です。これにより、ユーザーはオウンドメディアを訪れる意欲が高まり、定期的な訪問が期待できます。
オウンドメディアの立ち上げを成功させるためには、長期的な視野と社内での共通認識が不可欠です。すべての関係者がオウンドメディアの重要性を理解し、持続的な成長を目指すことが求められます。
共通の目標を持つことで、チーム全体が一丸となってコンテンツの質と量を向上させ、オウンドメディアを持続的に発展させることが可能になります。
オウンドメディアでどれだけ価値のあるコンテンツを作成しても、適切な配信方法を選定できなければ効果を最大限に引き出すことは難しいでしょう。配信方法は、ターゲットオーディエンスの嗜好や利用するプラットフォームに合わせて、柔軟に選定する必要があります。
SEO対策によってウェブ検索からのアクセスを増やすほか、SNSの活用や広告キャンペーン、メールマーケティングなど、多岐にわたる施策を実施し、コンテンツの露出と認知度を高めましょう。
オウンドメディアの立ち上げでは、適切なCMS(コンテンツ管理システム)を選定することも重要な要素となります。
CMSとは、コンテンツの作成から管理、配信、分析までを効率的に行うためのツールです。選ぶ際には、使いやすさや拡張性、セキュリティ、SEO対策の機能などを考慮して選定すると良いでしょう。
代表的なCMSとして、WordPress、Drupal、Content Hubなどがありますが、企業のニーズや規模に合わせて最適なCMSを選ぶことがポイントです。
CMSの例)WordPress
引用:WordPress
成果につながるオウンドメディアを目指すためには、コンバージョンにつながる導線を設計することもポイントの一つです。
例えば、特定のコンテンツを読んだ後に「資料ダウンロード」や「問い合わせフォーム」への誘導を行うなど、読者に次のステップを促す仕組みを作ると効果的です。
導線の設計には、CTA(Call to Action)の適切な配置と、内容やフォームの最適化などが含まれます。読者が自然に行動に移りやすいような導線を設計し、コンバージョン率の向上を図りましょう。
オウンドメディアの成果を高めていくためには、データ分析と改善が欠かせません。設定したKPIに基づき、コンテンツのパフォーマンスや読者の行動を定期的に分析し、必要に応じて改善策を講じることが重要です。
例えば、Google Analyticsを用いて訪問者の動きやページの離脱ポイントを把握し、コンテンツの改善やユーザーエクスペリエンスの向上を目指すことも一つの方法です。
オウンドメディアは、自社のメッセージを直接顧客に届け、ブランドと顧客の関係を築くための手段として注目されています。
オウンドメディアの立ち上げで失敗しないためには、その特性を理解し、適切な戦略を実行することが重要です。ユーザーにとって有益なコンテンツかどうかを検討し、長期的なオウンドメディアの成長を目指して全社で取り組みましょう。
本記事でご紹介した成功のためのステップやポイントを参考に、オウンドメディアの立ち上げの戦略を立てる際の指針としていただけると幸いです。
渋谷 真生子
株式会社100(ハンドレッド)のマーケター。新卒でグローバルヘルスケア企業で営業を経験し、セールスフォースにてBDRとして地方企業の新規開拓に携わる。コロナ渦でインバウンドマーケティングの重要性を実感し、アイルランド ダブリンにあるトリニティカレッジの大学院にてデジタルマーケティングの学位取得し現在に至る。最近はかぎ針編みにハマり中。
ビジネスの成長プラットフォームとしての魅力はもちろん、
HubSpotのインバウンドマーケティングという考え方、
顧客に対する心の寄せ方、ゆるぎなく、そしてやわらかい哲学。
そのすべてに惹かれて、HubSpotのパートナー、
エキスパートとして取り組んでいます。
HubSpotのこと、マーケティング設計・運用、
組織の構築など、どんなことでもお問い合わせください。