
「AIでLPを作れます」という話は増えましたが、実際に出てきた下書きが、そのまま公開できる状態で届くのかは別の問題です。2026年9月15日、HubSpotはClaudeとの公式連携(HubSpotコネクタ)を拡張し、ClaudeからLP(ランディングページ)やマーケティングメールを作れるようにしました。本記事では、このコネクタで実際にLPを1枚作り、下書きができるまでの時間、人が手直しした箇所、そして公開前に人が決めるしかない設定を整理します。結論から言えば、手直しが必要だった3点は、いずれも作る前に決めておけば発生しなかったものでした。
AIでLPを作る方法は、HubSpotに何通りあるのか?
現時点で2通りあります。どちらを選ぶかで、人が介在する場所が変わります。
1. Claude Designで作って、HubSpotへ送る
Claude Designで作ったデザインを、そのままHubSpotへ送る方法です。HubSpotのナレッジベースによると、送れる資産はLPのみで、HubSpot側には下書きとして作成されます。利用にはClaudeの有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)とHubSpotコネクタが必要で、HubSpot側はすべての製品とプランが対象です。
修正はClaude Designから送り直す流れになります。ここで注意したいのが、公開済みのページに送り直すと、上書きではなく新しい版として届く点です。公開中のLPを運用しながら改修を重ねる場合、どの版が本番なのかを人が管理する前提になります。
2. HubSpotのテンプレートに沿って、Claudeに作らせる
もう1つは、HubSpotコネクタを使い、HubSpotに登録済みのテンプレートに沿ってClaudeにLPを組み立てさせる方法です。既存のテーマやモジュールの枠内で作られるため、サイト全体の作りから外れにくいという利点があります。
ひとつ落とし穴があります。2026年9月15日より前にコネクタを接続していた場合、一度接続を切ってつなぎ直す必要があります。連携済みのつもりで試して「機能が出てこない」と感じた場合は、まず接続の状態を疑ってください。
下書き27分、手直し3点。何が人の仕事として残ったのか?
指示どおりに進んだこと、手直しが必要だった3点
今回は2つ目の方法で試しました。コネクタはClaudeのWeb版やデスクトップ版でも使えますが、今回は開発者向けのClaude Codeから操作しています。テンプレートはHubSpot標準の資料ダウンロード用テーマを使い、人が承認したのはテンプレートとフォームの選択です。
下書きができるまでは27分でした(承認の待ち時間を含みます)。文言の差し替えやフォームの埋め込みは、指示どおりに進んでいます。一方で、次の3点は人の手直しが必要でした。
- 画像:テーマの見本画像がそのまま残っていた
- 配色:HubSpotに登録したブランドの色が入らなかった
- フォームの転送先:送信後の遷移先に初期値が残っていた
注目したいのは、この3点に共通する性質です。いずれもAIの生成品質の問題ではなく、作る前に決めていなかったことが、そのまま残ったというものです。画像は用意していなかった、配色はテーマ側の作りを確認していなかった、転送先は指示に書いていなかった。つまり再現性のある失敗であり、裏を返せば事前に潰せる失敗でもあります。
コネクタが触れる範囲は、ページの内側までである
コネクタでClaudeが扱えるのは、ページとページを組み立てる設定までです。テーマの配色、フォーム、ドメインといったページの外側にある設定は、現時点ではコネクタから変更できません。手直しが必要だった3点も、すべてこの境界の外側にありました。
- 配色:テーマ設定で決まります。ブランドキット(ロゴや色を登録するHubSpotの設定)の色が反映されるのは、テーマがそれを参照する作りになっている場合だけです
- 画像:Claudeはページに画像を配置できますが、画像そのものを作ることはできません。差し替える素材は人が用意します
- 送信後の転送先:ページ側で設定できる項目のためClaudeにも指定させられますが、今回は指示に書いていなかったため初期値が残りました
導入支援の現場から見ると、ここで効いてくるのはテーマがブランドキットを参照する作りかどうかの一点です。従業員1,000名規模で事業部ごとにテーマが分かれている企業では、同じ指示でLPを量産しても、事業部によってブランドカラーが出たり出なかったりする事態が起こり得ます。AIでLPを量産する前に、使うテーマを1つに決めるか、テーマ側の参照設定を揃えておくほうが先です。生成の速さより、生成結果がばらつかない土台のほうが、結果的に工数を減らします。
公開前に、何を決めて何を確かめるか?
作る前に決める4項目
公開前のチェックでは、手直しの3点以外にも、人が決める必要のある設定が見つかりました。1つはフォームのCAPTCHA(機械による送信を防ぐ仕組み)で、フォームごとにHubSpotの画面で有効にします。もう1つは公開先のドメイン設定です。これらを含めて整理すると、作る前に決めるべきことは4つにまとまります。
- 素材:差し替える画像、SNSで共有されたときの画像(OGP)、プライバシーポリシーのURLなど
- ブランド:使うテーマで、登録したブランドの色が実際に出るかどうか
- フォーム:対象のフォーム(項目、通知先、CAPTCHA)と、送信後の動作
- 公開の方針:公開するドメイン、検索結果に載せるかどうか、セキュリティヘッダーなど
この4項目は、そのままAIへの指示書に書き込む内容になります。Claude Designから送る場合も同じで、ページ外の設定は人が先に決めておく必要があります。
作った後に確かめる4点
下書きができた後は、次の4点を人が確認します。
- デザイン:レイアウトが崩れていないか
- スマートフォン:モバイルでの見え方に問題がないか
- HTML:公開後のHTMLに本文が出ているか
- 事実確認:AIが書いた文言が、自社の事実と合っているか
3点目の「公開後のHTMLに本文が出ているか」は、見落とされがちですが重要です。本文がHTMLに含まれていなければ、検索エンジンにもAIの回答エンジンにも読まれません。AEO(AI Engine Optimization)の観点では、ここが入口になります。
工数削減の評価軸も、ここで切り替わります。「LPが27分でできた」は、単体では意味のある数字ではありません。手直しと差し戻しを含めた総時間で見るべきで、そこを決めるのは生成の速さではなく、作る前に決めた4項目の精度です。制作ガバナンスを整えるほどAIの生成が効く、という順序になります。
よくある質問
Q. AIが作ったLPは、そのまま公開できますか?
A. できません。今回の検証では、画像・配色・フォームの転送先の3点に人の手直しが必要でした。いずれもページの外側にある設定に起因するもので、コネクタからは変更できません。公開の可否を判断するのも人の役割です。
Q. Claude DesignからHubSpotへ送る場合、公開済みのページは上書きされますか?
A. 上書きされません。HubSpotのナレッジベースによれば、公開済みのページに送り直すと、新しい版として作成されます。どの版を公開するかは人が選びます。
Q. ブランドキットに色を登録すれば、AIが作るLPにも反映されますか?
A. 使っているテーマがブランドキットを参照する作りになっている場合だけです。参照しないテーマでは色が入らないため、LPを作る前にテーマ側の設定を確認してください。
まとめ
HubSpotコネクタでLPを1枚作って分かったことを整理します。
- 作り方は2通り:Claude Designから送る方法(LPのみ、下書きとして作成)と、HubSpotのテンプレートに沿ってClaudeに作らせる方法。後者は2026年9月15日より前の接続なら、つなぎ直しが必要
- 下書きまで27分:文言の差し替えとフォームの埋め込みは指示どおりに進む
- 手直しは3点:画像、配色、フォームの転送先。いずれも作る前に決めておけば発生しない
- 人の受け持ち:テーマの配色、フォーム(CAPTCHAを含む)、ドメインといったページ外の設定と、公開してよいかの判断
組み立てはAIに任せ、設定と判断は人が持つ。この切り分けを指示書の形にしておけば、AIでのLP制作は実務に乗ります。まずは本記事の「作る前に決める4項目」を自社のテンプレートに当てはめ、1枚試してみてはいかがでしょうか。