
HubSpotのAI機能を活用して、マーケティング活動を効率的に、さらに上のレベルへと引き上げていきましょう。
今回の記事では、HubSpotのAI機能を活用した最新機能の中から、特に注目度の高い「マーケティングスタジオ(旧キャンペーン機能)」と、個別に最適化されたEメール作成を可能にするAI Eメール機能をご紹介します。
マーケティングスタジオは、AIを搭載したキャンペーン設計・運用の一元ワークスペースです。企画立案からアセット作成、スケジュール設定までを一つの画面で完結させ、チーム間の共同作業とアセット管理を大幅に効率化します。
【利用上の注意点】 本機能はまだベータ版(2025年10月現在)のため、ご利用いただくにはベータ申請をする必要があります。なお、多くの場合、Marketing Hub ProfessionalまたはEnterpriseのご契約が前提となりますのでご注意ください。ご興味のある方は、ぜひお試しください。
HubSpot AIを搭載した「マーケティングスタジオ」

従来のキャンペーン機能から大きく変わった点は、AI機能の追加です。マーケティングスタジオに内蔵されたAIが、ゼロからのキャンペーン設計を支援し、目的やターゲットに応じたアセット構成やメッセージ案を自動で提案します。企画段階での発想の幅が広がり、キャンペーン全体の立ち上げをスピーディーに進めることができます。

キャンペーン作成画面は、赤色でマーカーされている箇所に適切なワードを入れていくことで、自動的にキャンペーンに必要なアセット(メール、SNSの投稿文、ページ等)を生成してくれます。より詳細かつ高精度なコンテンツを作成したい場合は、キャンペーンで利用予定の画像やブランドアセットをファイルとして添付することで、よりブランドに合った高精度なコンテンツが作成可能になります。

【AI生成時の設定のポイント】
キャンペーン作成時、AIに「キャンペーン名、目標、オーディエンス、予算」といった重要な情報を入力することで、より目的に合ったアセットが生成されます。
すべてを一元管理!「キャンバス」機能とは
プロンプト入力後、次に表示されるのが、アセットの編集・管理を行う1枚のキャンバスです。画面中央には入力したプロンプトが表示され、その横にはAIによって生成されたアセットが一覧となって並びます。
このキャンバスでは、アセットの編集、タスク設定、カレンダーによるスケジュール確認など、キャンペーン設計に必要な作業をすべてここで完結できます。また、チームメンバー間でのタスクの割り当てや、アセットのバージョン管理なども一元的に行えるため、共同作業の効率が飛躍的に向上します。
マーケティングスタジオ導入のメリットと注意点
今回のマーケティングスタジオの登場で、従来のマーケティングキャンペーンよりもアセットの管理が格段に容易になりました。AIがひとつの情報をもとにコンテンツを生成してくれるため、担当者はメール本文やランディングページの文言に整合性が取れているかを心配する必要が少なくなるでしょう。
操作画面はこれまでと大きく変わりますので、興味がある方は、担当部署や上長の承認を得た上で、ぜひベータ版の申請をしてみてください。
利用時の前提となる設定
HubSpotのAI機能を利用するには、アカウントの管理者設定で「生成AIツールおよび機能へのアクセス権をユーザーに付与」する設定が有効になっている必要がある点もご留意ください。
さらに効率アップ!EメールもAIで作成
マーケティングスタジオでは、各キャンペーンに合わせた専用メールの作成が可能です。加えて、HubSpotにはAIを活用して目的に即したメールを自動生成できる機能も搭載されています。
「AIを利用してEメールを作成」機能では、AIに目的を伝えるだけで、ブランドイメージを反映したプロレベルのメールの下書きが数秒で作成されます。
目標を分かりやすい言葉で説明したり、WordやGoogleドキュメントなどの参考資料をアップロードしたり、ランディングページへのリンクを共有して文脈を伝えたりすることも可能です。
わずか数ステップ!AIメール作成機能の使い方
AIメール作成機能は簡単に始められます。
- 「マーケティング」>「Eメール」に移動し、「AIを利用してEメールを作成」をクリックします。
- 対象読者(オーディエンス)とメールの目的(期待するアクション)を入力します。
例えば、「以前のウェビナー参加者を秋のウェビナーに招待する」という指示から、AIは以下の点を考慮してメールを生成します。
- 前回参加してくれたことへの感謝
- 新しいウェビナーとの関連性の説明
- 参加によって得られる具体的な価値

メールの精度を上げるには、WordファイルやGoogleドキュメント、ランディングページへのリンクなどの参考資料を追加してください。そして最後にテンプレートを選択するか、既存メールをレイアウトとして選択すれば、作業はほぼ完了です。
残りの作業はAIにお任せください。ブランドアイデンティティからの入力内容とブランドガイドラインを分析し、以下の要素を含む完全なドラフトを生成します。
その後、HubSpot のメールエディターで微調整するか、準備が整ったらそのまま送信できます。
Eメール編集の簡便性
AIが生成した後も、HubSpotのEメールエディター内でスラッシュ記号(/)を入力、またはコマンド(指示)となるテキストを選択するだけで、生成されたコンテンツの編集や追加が簡単に行えます。また、送信後の開封率やリードへの転換率などの効果追跡・分析も、HubSpot CRMと連携しているため全てHubSpot内でシームレスに行える点も大きなメリットです。
究極のパーソナライゼーションを実現!動的AI Eメール
※動的AI Eメールは、現時点(2025年10月時点)ではMarketing Hub Enterpriseで利用できる機能となっています。
この機能の最大の特徴は、AIがCRM内のコンタクトレコードに保存されている情報(購入履歴、サポートチケット、ウェブサイト上のアクティビティー等)を参照して、コンタクト(受信者)ごとに固有のメール文を自動的に作成する点です。

上記の画像左側のプロンプト項目でEメールに加えたい情報を入力していきます。その際、CRM内のコンタクトや会社プロパティーを参照することができます。
従来のパーソナライゼーションとの決定的な違い
これまでのパーソナライゼーションは、「〇〇様」という名前の差し込みや、業種別のテンプレート切り替え程度が限界でした。
この動的AI機能は、「コンタクトの業種特有の課題に対して、過去の購入製品との相乗効果を含めて新製品の価値を説明する」といった非常に高度にパーソナライズされたメッセージを、AIが自動で生成します。これにより、顧客一人ひとりに合わせた、エンゲージメントの高いコミュニケーションが可能になります。
AI機能の拡張性
この機能では、AIは本文だけでなく、件名やプレビューテキストも、受信者のCRMデータに基づいて最適化して生成することが可能です。さらに、最適な送信タイミングやターゲティングをAIが予測することで、エンゲージメントを最大化に導くといった、より広範なAI活用も期待できます。
導入の容易さ
コーディングや複雑な設定の必要がなく、技術的な知識やデザインスキルがなくても、高度なパーソナライズが実現できる点も、動的AI Eメールの大きな魅力です。
まとめ:HubSpot AI機能がもたらす未来
HubSpotのAI機能は日々進化を続けています。今回ご紹介した機能を活用することで、マーケティング活動の効率化だけでなく、これまで実現できなかったより高度なパーソナライゼーションが可能です。
また、これらの機能は、チームの生産性を劇的に高め、マーケティングチーム全体の働き方を変える可能性を秘めています。例えば、経験の浅いメンバーでも高品質なコンテンツを作成でき、ベテランはより高度な戦略に注力できるようになります。
HubSpotのAI機能は、あなたのマーケティング活動を次のレベルへ引き上げる鍵となります。この機会にぜひ、AIが使用できるようになった、新しい機能を試してみてください。