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【100式】インバウンド手法を支える「フライホイール」を、あらためて考えてみる。

flywheel-inbound100(ハンドレッド)は、これまでに約200社にHubSpotの導入支援を行ってきました。様々な企業の支援をするなかで、今求められているインバウンド手法(インバウンドマーケティング)のあり方への気づきがありました。
今回はHubSpot社も採用するフライホイールの考え方を解説し、それに基づきインバウンド手法について考えます。

  1. フライホイールは顧客視点でビジネスを考えること
  2. インバウンド手法は「フライホイール」を踏まえた上で企業がどのような活動をするか
  3. ファネルは「インバウンド手法」の成果を見える化し、改善点を見つける

HubSpotが採用する「フライホイール」モデルとは

HubSpotをご利用の方は、「フライホイール」というHubSpotの考え方をご存知の方も多いでしょう。フライホイールは、日本語に訳すと「はずみ車」となります。しかし、フライホイールも、はずみ車もイメージが湧きにくいのではないでしょうか。

似た概念にスパイラルがあります。螺旋状にまわりながら広がっていくイメージで、「負のスパイラル」といった表現がよく使われます。負のスパイラルは、悪影響がどんどん連鎖して、状況が悪くなっていくようなことを指しますが、フライホイールが目指すのは、負のスパイラルの反対の「正のスパイラル」です。よい影響が回転しながらエネルギーを蓄え、そのエネルギーが次の回転に広がる好循環です。

HubSpot社のフライホイール

HubSpotでは、「Attract(惹きつける)」「Engage(信頼関係を築く)」「Delight(満足させる)」の3つの段階で見込み客や顧客に情報やサービスを提供し、顧客満足を推進力として成長していくことをフライホイールモデルと呼んでいます。顧客の困りごとに対して情報を提供して惹きつけ関係を築く、顧客とのコミュニケーションを通して満足度を上げていく、満足した顧客が次の新しい顧客を口コミで連れてくる、結果として利益が出て再投資できる、そしてより大きな活動ができるという循環です。

参考:フライホイール
https://www.hubspot.jp/flywheel

マーケティングファネルとフライホイールなおマーケティングでは、ファネル(漏斗)の考え方が一般的で、HubSpotでも以前はファネルを前提に考えていました。しかし、実物の漏斗は上から注いだ液体が下に落ちたら、再び上に戻ることはありませんし、下の液体が上に何らかの影響を及ぼすことはありません。そのためファネルモデルでは、一番下の顧客になった人が口コミなどを通して、上から入ろうとしている見込み客に影響を与えることを表現することができませんでした。そこで、HubSpotでは、顧客が別の顧客に影響を与えたり、顧客自身がさらに購買を繰り返したりすることを示せるように、フライホイールの考え方を取り入れたのです。

フライホイールは、マーケティングだけでなく、営業、カスタマーサービス、さらに経営までも含めて考え方のベースになります。顧客との関係を1回だけでなく、継続的に維持していくものとして捉え、何度もこのサイクルを繰り返していくという考えです。

インバウンド手法でフライホイールを実現する

フライホイールを実現しようとすると、「インバウンド手法」でマーケティング、営業、カスタマーサービスを実践していくことになります。顧客の課題に向き合い、必要とされる時に手を差し伸べられるように準備しておくこと、顧客が課題に気づく前にその課題を明確化し、解決方法をコンテンツ化し、Webサイトに掲載しておく、それがインバウンド式の手の差し伸べ方です。顧客が必要な時に、必要な情報を得られるように、コミュニケーションしやすいチャネルに事前に用意しておきます。

flywheel-inbound-bookインバウンド手法での目標は、自社のスタッフが見込み客や顧客から信頼されるアドバイザーとなることです。カスタマーサービスのスタッフが顧客に満足してもらうよう努めることは当然で、マーケティングや営業のスタッフが、顧客になる前の見込み客の満足度も高めることが求められています。見込み客や顧客の置かれている状況や課題は一人ひとり異なります。個々にパーソナライズされたコンテンツの提供やチャネルの選択をすること、社内での情報の受け渡しを確実に行い一貫したコミュニケーションをとることが期待されるでしょう。

顧客満足度を高めるポッド型体制とは

なお、フライホイールがマーケティング、営業、カスタマーサービス、経営の考え方のベースとなるように、インバウンド手法もマーケティング活動にとどまりません。営業、カスタマーサービスまで含めて連携して実践するものです。

日本の組織の場合、マーケティング、営業、カスタマーサービスがそれぞれ別の部署になっていて、コミュニケーションが分断されてしまうケースが少なくありません。顧客がマーケティングの段階で伝えた情報を営業担当者にまた伝える、カスタマーサービス担当者にまた伝えるという状況は、顧客体験としては最悪です。

ポッド型組織

組織の分断を防ぐ一つの解決策として、チームとして一人の顧客を支援していくポッド型体制があります。マーケティング、営業、カスタマーサポートまでが一つのチームになって、顧客のジャーニーに合わせて主担当が変わるものの、同じメンバーがサポートし続けることで一貫した顧客体験を提供できます。フライホイールを実践するなら、組織体制まで踏み込むことになります。

組織を根本から変えるのは難しいかもしれません。また、ポッド型組織がよいのか、The MODEL型がよいのかは業種やビジネスモデルによっても変わるでしょう。最適な組織の形は、顧客の購買行動の変化によって変わっていくでしょう。大事なことは自分たちに顧客を合わせるのではなく、自分たちを顧客に合わせていくということです。

顧客のデータを一元管理するCRMの重要性

顧客が必要な時に必要な情報を最適な手段で提供するには、顧客の情報を取得して、何に困っているのか、何を知りたいのか、あるいはこれからどういう情報を必要とするのかを想定して、その答えを用意しておくことになります。

組織で各部門で共通のCRMを利用するその実現のためには、顧客データを一元管理できるCRM(Customer Relationship Management)システムが必要です。マーケティング、営業で異なるツールを使っていて、データが分断されてしまっては、連続的な関係構築ができません。一人の人(あるいは一つの企業)として、フェーズが変わっても情報を一つにまとめ情報提供ができるようにしておきます。チーム体制を整え、同一システムでデータを活用することで、一貫した関係構築ができます。

フライホイールの概念を組織全体で実現しよう

今回は、フライホイールの概念について説明しました。フライホイールを実践するには、組織そのものの変革も含めて、部門横断で取り組む必要があります。部門で断絶せずに連携してフライホイールを回すことで、顧客満足度を上げていくことができます。

100式シリーズ:HubSpotの導入にあたって考えること

【100式】インバウンド手法を支える「フライホイール」を、あらためて考えてみる。(この記事)

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田村 慶

2005年に札幌で株式会社24-7をWeb制作会社として創業、2012年からHubSpotの販売を開始。2016年にAPAC初となるダイヤモンドパートナーに昇格し、翌年にはHubSpotパートナー・オブ・ザ・イヤー(アジア地区)を受賞。2018年に24-7社の代表取締役を退任し、新たに株式会社100を創業。2019年6月からHubSpot認定パートナーに登録し、HubSpotビジネスを再開。現在は、HubSpotダイヤモンドパートナーやHubSpotユーザーグループの主催者として、HubSpotパートナー複数社へのコンサルティングと実行支援、HubSpotの導入企業のビジネス促進を中心に『HubSpot好き』を増やすための活動をしています。 2020年:HubSpot ルーキー・オブ・ザ・イヤー受賞(APAC地区) 2021年:HubSpot パートナー・オブ・ザ・イヤー受賞(日本)

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