
今回は、HubSpotの最新アップデートから、フォームから収集した顧客データの正確性を高める「リセットリンク」機能と、コンタクトがEメールの購読解除(配信停止)した原因を分析する「配信停止フィードバックアンケート」機能の2点をご紹介します。これらの機能は、地道ながらも顧客データ管理とエンゲージメント戦略に役立ちます。
CRMのデータ品質向上とメール購読の解除の可視化
リセットリンクに対応した、新しいフォーム
新しいエディターを使って作成されたフォームに、新しい「リセットリンク」オプションが導入されました。有効にすると、「あなたではありませんか? リセットするにはここをクリック」というリンクがフォームに追加されます。

設定方法
設定はすぐにできます。新しいフォームエディターの編集画面から[設定]>[全般]に移動し、「フォームをリセットするためのリンクを追加」にチェックを入れるだけで利用可能になります。

データ品質向上への貢献
医療機関、教育機関、図書館などのデバイスを共有することの多い環境では、ブラウザの「セッション情報」やフォームフィールドの自動入力設定により、前の利用者の情報が自動入力されることで、誤った顧客データの収集や個人情報の混在といった問題が発生することがあります。
リセットリンク機能は、そうした課題を利用者が簡単にフォームの入力内容をクリアして正確な情報を入力できる環境を提供することで解決します。これにより、CRMに収集されるデータの正確性が向上します。
共有環境でのフォーム運用を行っている組織から送信されるデータ品質向上と利用者体験改善を同時に実現する機能です。
マーケティングEメールの配信停止理由を尋ねる、フィードバックアンケート
コンタクトが全てのEメールコミュニケーションを配信登録解除した際に、登録解除の理由を尋ねるアンケートが確認ページに表示できるようになっています。

設定方法
設定は[ツール]>[マーケティング]>[Eメール]にある、[配信登録]タブにて行います。こちらの「配信停止のフィードバックアンケート」をオンにすることで、登録解除の理由を尋ねるアンケートが自動的に表示されるようになります。

アンケート内容
アンケートには、次の5つの選択肢が設定されています。
- もう興味がありません。
- 貴社のメーリングリストに申し込んでいない。
- 受信するEメールが多すぎる
- Eメールが自分に関係がない。
- その他(50文字の自由テキストフィールド)
アンケート結果の活用と今後の展望
受信した回答は全てHubSpot内に保存され、分析に利用できます。結果は以下の場所で確認可能です。
- コンタクトのレコード詳細ページにてタイムラインで確認
- カスタムレポートビルダーで新たに作成
- マーケティングEメールのパフォーマンスページ
カスタムレポートビルダーは、HubSpotのProfessional/Enterpriseエディションを契約している必要があります。 HubSpotは、近い将来、全ての配信停止アンケートの結果を一元的なダッシュボードにまとめることを検討しているそうなので、数ヶ月後にはより見やすい分析環境が用意されていることでしょう。
具体的な活用例
このアンケート結果は、Eメール戦略を見直すための貴重な手がかりになります。例えば、「受信メールが多すぎる」という回答が多ければ配信頻度を見直す、「Eメールが関係がない」が多ければセグメント設定を見直す、といった具体的なアクションプランの策定に役立ちます。
法的・倫理的側面
配信停止理由の収集は、プライバシー保護や法令遵守の観点からもメリットがあります。ユーザーに「なぜ尋ねるのか」の正当性を示すことで、ツールの信頼性が高まります。
注意点
この機能は、ユーザーの登録解除をブロックまたは禁止するものではありません。アンケートへの回答は任意であり、必須ではありません。また、アンケートの質問のカスタマイズも現時点では行えない点にご注意ください。
【まとめ】地道な改善がエンゲージメント戦略を支える
今回ご紹介した2つの機能は、派手さはないものの、HubSpotの基盤となる「データの品質」と「顧客とのエンゲージメントの健全性」を支える役立つアップデートです。
リセットリンクによって収集データの正確性を確保し、配信停止フィードバックアンケートによって離脱の原因をデータで把握できるようになります。
これらの地道な改善とデータ収集こそが、Eメール戦略を見直し、顧客との関係を維持・強化するための確かな基盤となります。ぜひ設定を有効化し、顧客の生の声(フィードバック)を今後のマーケティング活動に活かしてください。