アプリのインストール状況が不透明になったり、ワークフローの権限設定がもう少しできればと思ったことはありませんか？

この記事では、HubSpotの管理者（アドミニストレーター）向けの利便性とセキュリティを向上させるアップデートと、未来のマーケティング戦略のヒントとなるAEO（Answer Engine Optimization）関連の重要な買収情報をお届けします。

組織のデジタル環境を健全に保ち、AI検索時代に備えるための最新情報を解説します。

アプリ接続状況の把握で管理者の負担を軽減

GmailやSalesforce、Microsoft Clarityなど、外部サービスとHubSpotを接続するためのアプリについて、それぞれのアプリが正常に稼働しているか、また誰が利用しているかを把握しやすくなりました。

このアップデートにより、アプリの管理における不透明さが解消されます。

組織全体でのユーザーレベルのアプリの把握

個人でインストールしたアプリだけでなく、組織全体のユーザーがインストールした全てのアプリを確認できます。アプリを気軽にインストールしたものの、誰がどのアプリを使い始めたのか分からなくなるといった状況を解消し、チーム全体で利用されている新しいアプリを確認し、情報共有や統制が容易になりました。

【補足：管理権限の強化】 この機能はスーパー管理者などが利用可能であり、HubSpotの「統合の健全性スコア」など既存の管理機能と合わせて活用することで、アプリの棚卸しとセキュリティ管理を強化できます。

アプリログの強化

データ同期アプリの連携の変更を正確に追跡するために利用できるデータが増えました。アプリログには、誰がいつアプリの同期設定を変更したかが残されるため、設定更新のトラブルシューティング、追跡、および調整が容易になります。

「前回のアクティビティー日」が追加

アプリの前回有効になった（使われた）時期をモニタリングし、今も価値を高めているアプリや、予期せず不使用状態になっているアプリを理解できます。

この機能により、最後にアクションがあったのがいつなのか、いつから連携が止まってしまっているのかなどが把握しやすくなり、アプリの棚卸しとセキュリティリスクの軽減に役立ちます。

ワークフローの権限に「公開」が追加

ワークフローの権限に、新たに「公開」権限が追加されました。この権限を有効にされたユーザーは、ワークフローの稼働（オン/オフ）のみを行うことができます。

これまでの権限設定では、ワークフローを編集できる人は公開もできる状態でした。しかし、このアップデートによって、担当者が作成・編集まで行い、公開は承認権限を持つ上長などの管理者に依頼することが可能になりました。

ワークフローの権限設定は、Professional以上などの有料エディションで利用可能です。

リスクの軽減

この権限を設定することで、ワークフローが知らないところで増えていくことはもちろん、作業者が意図せぬ、あるいは誤った認識のままワークフローを公開してしまうといったリスクを軽減できます。管理者にとって、自分の意図しない自動化が実行される不安を解消し、クリーンな自動化環境を実現できます。

セキュリティ強化

例として、誤ったトリガーによる一斉メール送信や、意図しないデータ更新といった、意図しないヒューマンエラーを防ぐことができます。

HubSpot×AI検索戦略の未来

10月末にHubSpotが、AEO（Answer Engine Optimization：AI検索最適化）に関連する事業を行っていたXFunnelを買収しました。

XFunnelが持つ主な機能

XFunnelは、以下の機能を有しています。

• AI検索エンジン（ChatGPT、Gemini、Perplexityなど）で自社ブランドや競合他社がどのように表示されているかを追跡・測定

• ユーザーがAIに対してどのような質問をしているかを把握するためのクエリ分析機能

この買収により、XFunnelはHubSpot（主にMarketing Hub）にネイティブに統合される予定です。統合後は、ChatGPTやPerplexityなどのAI検索エンジンで自社ブランドがどう表示されているかをHubSpot上で確認でき、改善のための明確なアクションが取れるようになるでしょう。実装には数ヶ月を要すると思われますが、Marketing Hubの大きな進化として注目です。

AEO Graderについて

HubSpotが現在AEO関連で出しているツール「AEO Grader」は、WebサイトのコンテンツがAI回答で引用されやすいかを診断する機能です。

HubSpot×AIの今後に期待

個人的には、AEOもSEOの延長線上にあると考えており、今すぐ特別な対応が必要とは考えていません。ただ、これまでSEO関連の機能があまり目立たなかったHubSpotが、AEOという新しい領域でどのような進化を見せるのかは、今後のマーケティング戦略を考える上で、継続的に注目していきたいポイントです。

まとめ

今回ご紹介したアップデートは、一見関係しないものに見えますが、「リスクの統制」と「未来への戦略的な準備」という二つの軸で、日々の運用に影響が出やすい部分です。

アプリ管理の改善やワークフロー権限の追加は、HubSpotの利用が拡大する中で、管理者がセキュリティと自動化を適切にコントロールするための基盤を強化します。

そして、XFunnelの買収は、HubSpotがAI検索時代において、マーケティング担当者に新たな分析ツールと競争優位性を提供しようとする明確な意思を示しています。

この最新情報を活かし、CRM管理をクリーンに保ちつつ、未来のAIマーケティング戦略に備えていきましょう。