2026年3月12日、HubSpotは無料ツール「Make My Persona」にAI機能を追加しました。新たに加わった「Make My Persona AI」では、ターゲット顧客を自然言語で説明するだけで、AIが自動的にペルソナのすべての項目を生成します。
弊社で実際にMake My Persona AIを試したところ、いくつかの注意すべきポイントが見つかりました。BtoBビジネスで活用する際の率直な評価をお伝えします。
HubSpotの説明では「describe your ideal customer and watch AI instantly populate every field」とありますが、実際には4つの質問に順番に答える会話型フローです(①ターゲット顧客の説明 → ②最大の課題 → ③どう支援するか → ④製品・サービス名)。1回の入力で即座に完成するわけではありません。ただし、旧来のステップバイステップ(10項目以上のフォーム入力)と比べれば大幅に短縮されています。
生成されるペルソナの役職名は「Marketing Manager」「VP of Sales」「Director of Operations」など北米基準の肩書きで出力されます。国内のBtoB企業では「マーケティング部 課長」「営業推進グループ マネージャー」「DX推進室 室長」など独自の役職体系が一般的です。そのままチーム内で共有すると「これはうちの誰のことなのか」がピンと来ない可能性があります。
同様に、業種分類も「Manufacturing」「Technology」「Professional Services」などグローバル基準であり、「建設」「商社」「素材メーカー」といった国内特有の業種区分は生成されません。
ペルソナの「Information Sources」「Methods of Communication」項目では、LinkedIn・industry podcasts・webinars といった北米で一般的なチャネルが中心に出力されます。実際にBtoB購買者が情報収集に使う展示会・業界専門誌・メーカー代理店経由の情報・名刺交換ベースのネットワークといったチャネルは自動では反映されにくい傾向があります。
Make My Persona AIは、「たたき台を高速に作る」ツールとして優秀です。ゼロからExcelやPowerPointでペルソナシートを作るより圧倒的に速く、構造化された出力が得られます。ただし、国内のBtoB文脈ではそのまま使うのではなく、「AIで骨格を作り → 自社の実態に合わせて役職名・チャネル・課題を手動で修正する」というワークフローが現実的です。
2026年3月10日、HubSpotはAIアシスタント「Breeze Assistant」の機能強化を発表しました。「より良いインプット・より良いアウトプット・より良いUX」の3軸で改善されており、GTM業務を支援するAIアシスタントとして実用性が高まっています。
「Breezeは使ってみたけど、何を聞けばいいかわからない」という声をよく聞きます。今回のアップデートで特に注目すべき3つのポイントを解説します。
最も実用的な変化は「自社CRMデータに基づく回答」です。「先月のメール開封率が低い理由は?」「このリードのリードスコアが上がらないのはなぜ?」といった自社固有の質問に、汎用ベストプラクティスではなく実データを参照して答えてくれるようになります。これにより、外部コンサルタントに依頼していた分析の一部をBreezeが代替できる可能性があります。
HubSpot運用が「詳しい人ひとりに依存する」パターンは多くの企業で見られます。今回のプロンプトライブラリ刷新では、チーム内でプロンプトを作成・共有できるようになりました。「〇〇業界向けの件名案を作って」「展示会フォローアップメールの下書き」など、実績のあるプロンプトを組織知として蓄積すれば、担当者の異動・退職時のリスクを軽減できます。
Breeze Assistantは日本語での質問にも対応しています。日本語で質問すれば日本語で回答が返ります。ただし、Academy連携コンテンツは英語が中心のため、Academyベースの回答は英語で返ってくることがあります。日常的な操作ヘルプ・データ分析・コンテンツ生成については、日本語でやりとり可能です。
2026年3月3日発表のアップデートでは、HubSpotのデータエンリッチメントとバイヤーインテント機能が強化されました。CRMデータの品質と、それを支える基盤の透明性・制御性が向上しています。
率直に言うと、HubSpotのデータエンリッチメントは国内企業の情報補完精度が海外(特に北米・EU)と比べて限定的です。企業マッチ率「最大95%」はグローバル全体の数値であり、国内の中堅・中小企業では名寄せが失敗する、あるいは補完される情報が古い・不正確なケースが見られます。これはHubSpotに限らず、海外発のデータプロバイダー全般に共通する課題です。
ただし、今回の「部分情報でもエンリッチメント実行」機能は、メールアドレスしか分からない段階でも氏名を推測するなど、データの起点を増やしてくれるため、十分に恩恵があります。
CRM管理者が最も懸念していたのが「営業が手入力した正確なデータをエンリッチメントが上書きしてしまう」問題です。今回、「空のフィールドのみ補完」「既存データは上書きしない」「カスタムプロパティへのマッピング」の3モードが選べるようになったことで、エンリッチメント導入のハードルが下がりました。まずは「空フィールドのみ補完」から始めるのが安全な運用方法です。
バイヤーインテント(企業のニュース・採用活動・Web行動から購買意向を推測)は、英語圏の企業ニュースが中心です。国内企業のプレスリリースや人事異動情報は現時点ではカバー範囲が限定的です。グローバル展開企業や海外企業をターゲットとする営業チームには有効ですが、国内のみのBtoB営業では過度な期待は禁物です。
今回の3つのアップデートは、バラバラに見えますが共通したメッセージを持っています。それは「AIを、もっと日常業務の中に」という方向性です。
HubSpot Communityの「Releases and Updates」は毎月複数の発表があります。日本語ドキュメントは英語版から遅れることが多いため、英語の一次情報を素早くキャッチアップすることが、HubSpot活用の差別化につながります。
株式会社100では、こうした最新アップデートをHubSpotユーザーに役立つ形で継続的にお届けしていきます。
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貴社のHubSpot活用を最大化します。

田村 慶
2005年に札幌で株式会社24-7をWeb制作会社として創業、2012年からHubSpotの販売を開始。2016年にAPAC初となるダイヤモンドパートナーに昇格し、翌年にはHubSpotパートナー・オブ・ザ・イヤー(アジア地区)を受賞。2018年に24-7社の代表取締役を退任し、新たに株式会社100を創業。2019年6月からHubSpot認定パートナーに登録し、HubSpotビジネスを再開。現在は、HubSpotエリートパートナーやHubSpotユーザーグループの主催者として、HubSpotパートナー複数社へのコンサルティングと実行支援、HubSpotの導入企業のビジネス促進を中心に『HubSpot好き』を増やすための活動をしています。 2020年:HubSpot ルーキー・オブ・ザ・イヤー受賞(APAC地区) 2021年:HubSpot パートナー・オブ・ザ・イヤー受賞(日本) 2023年:アジアで初めてHubSpot「Elite Partner(当時)」として認定
ビジネスの成長プラットフォームとしての魅力はもちろん、
HubSpotのインバウンドマーケティングという考え方、
顧客に対する心の寄せ方、ゆるぎなく、そしてやわらかい哲学。
そのすべてに惹かれて、HubSpotのパートナー、
エキスパートとして取り組んでいます。
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