市場環境の変化に対応するための統合ソリューションとデータ連携の重要性

現代の企業は、急速に変化する市場で成長を続けるために、新たな課題に直面しています。特に市場参入チームは、限られた予算や顧客の行動変化に対応しつつ、ビジネス成長を支える複雑なタスクをこなさなければなりません。しかし、現在のツールやシステムが十分に統合されていないため、データやチーム間の連携がうまくいかず、ビジネスの成長を妨げています。その結果、企業はデータを効果的に活用できず、フロントオフィス全体のパフォーマンスを最大化することが難しくなっています。

マーケティングでは、従来のチャネルだけでは高品質なリードを獲得するのが難しくなり、複数のチャネルを管理する負担が増えています。また、質の高いコンテンツを作成する時間が不足しており、パーソナライズされた顧客体験を提供するためには、より正確なデータが必要です。

営業部門では、リードの質が低下し、プロセスが複雑化することで商談が進みづらくなっているという問題があります。さらに、ツールの過剰利用によって営業担当者の効率が落ちることも多く見受けられます。一方で、顧客の期待は高まっていますが、データの分断によって個別対応が難しくなっています。その結果、増加するサポートリクエストに対応できず、顧客満足度の低下につながっています。

これらの課題を解決するために、企業は市場参入戦略の見直しと部門間の連携強化が求められています。そのためには、迅速で統合されたデータ基盤を持つ新しいソリューションの導入が不可欠です。

INBOUND 2024では、HubSpot CEO Yamini Rangan氏から「EASY、FAST、UNIFIED GROWTH」をテーマに、今回の製品アップデートの背景と今後の展望について発表されました。

HubSpot Breeze: 新時代のAIソリューションでビジネスを加速

成長を目指すリーダーたちは、AIを活用して競争力を高め、迅速なビジネス展開を求めていますが、従来のAIツールはビジネスデータとの統合が不十分で、導入が複雑という課題を抱えています。これに対処するために、HubSpotは「Breeze」という新しいAIソリューションを開発しました。

Breezeは、複雑な導入プロセスを必要とせず、AIを簡単に導入でき、業務の流れを妨げることなくスムーズに進められます。さらに、どのチームでもAIの力を最大限に活用できるよう設計されており、企業全体の成長を強力にサポートします。Breezeは、AIの導入に対するハードルを下げ、ビジネスにおける日々のパフォーマンスを高める最適なツールです。

Breezeが提供する主要機能は以下のとおりです：

1. Breeze Copilot
   日常業務をサポートし、作業の効率化を促進します。マーケターや営業担当者が直感的に使えるツールで、無駄な時間を削減し、生産性を向上させます。

2. Breeze Agent
   タスクの自動化を進めることで、より多くの業務を短時間で完了できます。チーム全体が戦略的な活動に専念し、業務の効率を最大化します。

3. Breeze Intelligence
   データを賢く活用し、より精度の高い意思決定をサポートします。Breeze Intelligenceは、次世代のマーケティング戦略を支える強力な基盤となり、ビジネスの成長に貢献します。
   ※Breeze Intelligenceは「使用量ベースの請求方式」（Usage Based Billing, UBB）で販売されます。

Breeze Copilot

Breeze Copilotは、HubSpotの各機能で活用できるAI搭載のアシスタントで、業務効率を高めます。すべてのHubとプランで利用可能です。グローバル対応していますが、現在は英語のみサポートしています。将来的には、他のHubSpot対応言語も順次追加される予定です。

Copilotは、文章の作成や競合他社のリサーチ、画像の生成に加えて、CRMレコードやノートの作成、レポートの生成など、さまざまなタスクをこなすことができます。

• さらに使いやすく
  HubSpotに組み込まれ、アプリ内で直接利用可能です。画面右上のアイコンをクリックするだけで、右側のパネルから操作できます。
• コンテキストに対応
   現在表示しているHubSpotのページに合わせたインサイトやサポートを提供します。
• よりアクセスしやすく
  Copilotはモバイル対応で、HubSpotのChromeブラウザ拡張機能でも利用可能です。
• プロンプト駆動の強化機能:
  新しく改善されたプロンプトにより、データの要約、情報の伝達、コンテンツ生成、推奨事項の提供などがさらに効果的に行えるようになります。

Breeze Agent

Breeze ソーシャルメディアエージェント（Marketing Hub Pro / Enterprise）

Breeze ソーシャルメディアエージェントは、ソーシャルメディアのパフォーマンスや企業情報、オーディエンス、業界のトレンド、マーケティングのベストプラクティスを分析し、Facebook、LinkedIn、X（旧Twitter）、Instagram向けに効果的なマルチチャネルコンテンツを生成します。
※現在は英語のみ対応していますが、将来的にはHubSpotがサポートする他の言語にも対応予定です。

• 効果的なソーシャル投稿の作成
  ビジネスやオーディエンス、ブランドに合わせた投稿を作成し、コンテンツ作成のプロセスを効率化します。
• エンゲージメントを高めるサポート
  ソーシャルメディアエージェントは、オーディエンスとのエンゲージメントを維持しながら、ブランドメッセージを一貫して伝える定期的な投稿を生成します。さらに、投稿に最適なタイミングの提案も行います。
• データに基づくインサイトの活用
  過去のパフォーマンスや企業の詳細、業界のベストプラクティスに基づき、コンテンツの効果を向上させることを目指します。

Breezeには、CopilotやAgents、Breeze Intelligenceだけでなく、HubSpotの顧客プラットフォームに組み込まれたAI機能も搭載されています。これらの機能は、業務を強力にサポートします。

• ブログ記事からソーシャル投稿をAIで作成する（Marketing Hub Pro+）
• マーケティングメールをAIで作成する（Marketing Hub Free+）
• メール件名をAIで作成する（Marketing Hub Free+）
• CTAコピーをAIで作成する（Marketing Hub Free+）
  
  

Breeze コンテンツエージェント（Content Hub Pro+）

新しいコンテンツの作成はリソースの収集や公開に時間がかかり、パフォーマンスの分析や改善も難しいものです。Breeze コンテンツエージェントは、ランディングページやブログ、ケーススタディ、ポッドキャストを素早く生成し、訪問者を引きつけリードを獲得します。さらに、既存コンテンツを見直して最適化することで、より効果的な成果を生み出します。
※現在は英語のみ対応していますが、将来的にはHubSpotがサポートする他の言語にも対応予定です。

導入事例作成

導入事例の作成には、リソースの収集から下書き、公開までに多くの時間がかかり、さらにウェブサイトへの公開も複雑で手間がかかります。しかし、必要な資料をアップロードするだけで、Breezeは自動的に導入事例を生成します。また、CRMの会社レコードと連携し、重要な情報を抽出してケーススタディのテンプレートに自動的に入力することで、効率的に作成できます。

Breezeには、CopilotやAgents、Breeze Intelligenceだけでなく、HubSpotの顧客プラットフォームに組み込まれたAI機能も搭載されています。

ブランドボイス
生成AIによるコンテンツがロボットのように聞こえ、ブランド特有のトーンが表現されないという悩みを、過去のライティングサンプルを活用して簡単にブランドボイスを定義できる機能で解決します。

コンテンツリミックス
複数のチャネルやフォーマットに対応するコンテンツ作成が手間で、マーケターが対応しきれない場合でも、数クリックで1つのコンテンツをさまざまな形式に再利用できる機能でサポートします。

AIブログ記事作成
質の高いアイデアを考えるのに時間がかかり、ウェブサイトへの適切なトラフィック集めが難しい場合、シンプルなプロンプトでトピック、タイトル、キーワード、SEO最適化されたコンテンツを自動生成することで課題を解消します。

ポッドキャスト
多様なチャネルに対応するコンテンツ作成に時間がかかる場合、テキストコンテンツを簡単にポッドキャストに再利用し、AIツールで音声コンテンツ作成の手間を大幅に減らします。

ランディングページとフォーム（Free+）
リード獲得やランディングページの作成が難しい場合でも、デザイナーや開発者に頼らず、美しいページを簡単に作成・テストし、リードを効率的に集められる機能で対応します。

パーソナライズされたコンテンツ
顧客が以前ほどコンテンツに反応しないという課題を、訪問者ごとにパーソナライズされた体験を提供することで解決し、エンゲージメントを高めてコンバージョン率を向上させます。

記事ナレーション
読むよりも音声での消費を好むユーザーが増えている現状を踏まえ、数クリックでブログやウェブページを音声版に変換できる機能で対応します。

AI翻訳
多言語対応のコンテンツ作成が時間のかかる作業である場合でも、ワンクリックで複数言語に翻訳でき、リーチやコンバージョン率の向上に役立ちます。

AI画像生成（Starter+）
コンテンツに合った画像を見つけるのに時間がかかり、ライセンスの問題にも注意が必要な場合、AI画像生成機能を使ってブログやランディングページに適した画像を簡単に作成し、サイズや比率も調整できます。

Breeze プロスペクティングエージェント（Sales Hub Pro+）

ターゲットに合わせたアプローチを作成することは難しく、アウトリーチの設定、タイミングの調整、関連性の確保には時間がかかります。Breeze プロスペクティングエージェントを使用すれば、CRM内で理想的な顧客プロファイルやターゲットペルソナに合った企業やコンタクトを効率的に割り当てることができます。

このエージェントは、各ターゲット企業やコンタクトをリサーチし、最適なパーソナライズされたアプローチ戦略を構築します。また、ランディングページ、ブログ、導入事例、ポッドキャストなど、訪問者を引きつけリードを獲得できるコンテンツを迅速に生成します。さらに、既存のコンテンツを見直し、最終成果物を最適化して、その効果を向上させます。
※現在は英語のみ対応していますが、将来的にはHubSpotがサポートする他の言語にも対応予定です。

• 理想的な見込み客にフォーカス
  CRM内で理想的な顧客プロファイルやターゲットペルソナに合致する企業やコンタクトを自動的に割り当てます。
• パーソナライズされたアプローチ戦略の構築
  ターゲット企業やコンタクトをリサーチし、ビジネスやニーズを深く理解した上で、最適な戦略を設計します。
• アウトリーチの完全自動化
  インサイトや活動のシグナルを検出し、CRMデータやリサーチを基にパーソナライズされたメールを作成して、最適なタイミングで自動的に送信します。

Breeze カスタマーエージェント（Service Hub Pro+）

Breeze カスタマーエージェントは、ナレッジベースやウェブサイト、ブログなどのアップロードされた承認済みコンテンツを使って、顧客の問題をすぐに解決するチャットボットです。承認されたコンテンツのみを使用するため、誤った情報が含まれる心配はありません。日常的な問い合わせに24時間365日対応し、複雑な問題は適切にチームへ引き継ぎます。
※現在は英語のみ対応していますが、将来的にはHubSpotがサポートする他の言語にも対応予定です。

• 簡単セットアップ
  ナレッジベースやウェブサイト、ブログのコンテンツを使って、数分でトレーニングを完了できます。
• 自然で信頼できるカスタマーサービス
  自然でパーソナルな会話体験を提供し、ブランドに合わせたカスタマイズも可能です。承認済みのコンテンツのみを使用し、誤った情報を排除します。また、出典を明示することで、顧客の信頼を高めます。
• スムーズな引き継ぎ
  日常的な問い合わせには自動で対応し、複雑な問題は適切にチームへ引き継ぎます。効率を最大化しながらも、常に状況をコントロールできます。

Breeze Inteligence

Breeze Intelligenceは、HubSpotのAIとLLM（大規模言語モデル）技術を活用して、コンタクトや企業データを自動で強化するインテリジェンス機能です。200万以上のバイヤーおよび企業プロファイルを含み、ウェブサイト訪問者の購買意図を特定し、ファネル全体のコンバージョン率向上をサポートします。また、Breeze IntelligenceはB2Bエンリッチメントおよびバイヤーインテントデータを直接HubSpot内で提供し、企業が新たな需要を創出し、ビジネスの成長を加速させます。これらのデータは常に最新の状態に保たれ、正確で信頼性の高い情報を提供します。

従来のサードパーティソフトは高価で扱いにくく、データ管理も複雑でしたが、Breeze Intelligenceはシンプルで直感的に操作でき、ファーストパーティおよびサードパーティのデータをHubSpot Smart CRMと統合し、効率的に利用できます。また、企業の記録は正確で標準化されたデータに基づいて自動的に更新されるため、常に最新の情報を活用してターゲットアカウントに対する的確なアプローチが可能となり、成長を加速させることができます。

パッケージ内容: 全ての有料サブスクリプションで購入可能
グローバル対応: ローカライズされたUIで世界中で利用可能ですが、製品で強化されるデータは現在英語のみ対応しています。将来的には、HubSpotがサポートする他の言語にも対応する予定です。

データエンリッチメント

HubSpot内で企業やコンタクトのデータを自動的に更新・補完できます。不完全なデータや古い情報に悩むことなく、リアルタイムのデータ強化によって、最適なタイミングで効果的なアクションを実行できます。ターゲット市場の企業やコンタクトに対して、技術導入状況、役職、従業員数、収益、所在地など40以上のB2Bデータポイントを追加できます。

コンタクト情報のエンリッチメント
役職、勤務先、所在地、ソーシャルメディアリンクなどの主要な属性で連絡先レコードを瞬時に強化します。手動によるデータ調査や入力の煩わしさを解消し、顧客との有意義なつながりを作ることに時間を費やすことができます。

会社情報のエンリッチメント
年間収益、業種、従業員数、住所、ソーシャルメディアリンクなどの主要な属性で企業レコードを強化します。手動によるデータ調査や入力の煩わしさを解消し、顧客との有意義なつながりを作ることに時間を費やすことができます。

企業規模に関わらず、データエンリッチメントは有効です。

• 小規模企業: Breeze Intelligenceを利用して、顧客や見込み客に関する必要な情報を瞬時に追加し、時間を節約しながら毎月のデータ更新で常に最新の情報を維持できます。
• 中規模および大企業: Breeze Intelligenceは、正確かつ最新のB2Bデータを提供し、チームやワークフローが常に信頼できる情報に基づいて運用されるようサポートします。

Buyer Intent（購買意図）

HubSpot内でバイヤーインテントのシグナルを簡単に把握できます。毎日、多くのオンライン訪問者がホームページや価格ページを閲覧していますが、フォームに記入しない限り、彼らと接触する手段がありません。ウェブサイト訪問者を追跡するツールを使用することもできますが、従来のツールではデータの品質が低かったり、ページビューの情報が不足していたり、フィルタリング機能が制限されているため、潜在的なリードや商談機会を逃してしまい、最終的には成長の妨げとなります。

そこで、Breeze Intelligenceのバイヤーインテント機能が登場します。この機能は、HubSpotのリバースIPやデータエンリッチメント機能、HubSpot Smart CRMのデータを活用し、ターゲット市場内のどの企業が購買意欲を持っているかを特定できます。これにより、すでにCRMに登録されている企業だけでなく、新規の見込み顧客も発見できます。

主な活用例

1. ウェブサイト訪問履歴を基に、購買意欲が高い企業を簡単に特定。
2. ウェブサイトでインテントを示している新しい企業をHubSpot Smart CRMに追加し、データを強化。

ターゲット市場の設定
企業の所在地、従業員数、使用している技術、年間収益などの属性を選んでターゲット市場を定義できます。さらに、企業キーワードを使ってより詳細な検索が可能です。ターゲット市場内の企業数や市場浸透率を確認し、戦略に合わせてターゲット市場を編集、保存、複製、または削除できます。

企業キーワード
1,500以上のキーワードを使って、特定の業界や企業を絞り込むことができます。例えば、「農業製品」業界の中の「豆の栽培」など。また、「B2G」や「3Dプリンティング」などの特定のキーワードで、関連する企業を探すことも可能です。

インテント基準の設定
サイト上で購買意図のシグナルとなる最も重要なページを選びます。たとえば、価格ページ、ユースケースライブラリ、デモリクエストページなどです。訪問回数、ドメインからの訪問者数、訪問の新しさ（最近の訪問）などを基準に設定できます。

インテントのオーケストレーション
ターゲット市場とインテントシグナルを設定したら、インテントを示している企業リストを確認し、すぐにアクションを実行できます。ターゲット市場に該当し、インテントを示しているがまだHubSpot Smart CRMに登録されていない企業をフィルタリングしたり、訪問の期間、トラフィックソース、ページビュー、ライフサイクルステージ、商談ステージなどで絞り込みが可能です。新規企業のデータをCRMに素早く追加したり、フィルタや並べ替えたビューを保存し、その結果を基にワークフローを構築することもできます。

購買インテントに基づくアクションの自動化
ターゲット市場やバイヤーインテントのデータに基づき、ワークフローを作成します。たとえば、インテントを示しているターゲット市場に適した新規企業リードを営業チームにラウンドロビン形式で割り当てることができます。また、新たな商機を逃さないよう通知やアラートを設定することも可能です。

フォーム短縮機能

フォームはリード獲得の重要なポイントであり、その設計によってコンバージョン率やリードの質が大きく左右されます。質問が多すぎると訪問者が入力をためらい、逆に少なすぎると営業チームはリードについて十分な情報を得られず、リードのルーティングや報告が複雑になる場合があります。

そこで、HubSpotはBreeze Intelligenceを利用したフォーム短縮機能を提供します。Breeze Intelligenceのデータベースをもとにフォームを動的に短縮しつつ、リードの理解、スコアリング、ルーティングに必要なデータを的確に収集することが可能です。

HubSpot内でデータ強化を有効にすると、設定タブにフォーム短縮機能が追加され、この機能をオンにするとBreeze Intelligenceが自動的にフォームを強化し、必要な情報を確保しながら最適な長さに調整されます。訪問者にとってスムーズな体験を提供し、フォームのコンバージョン率を向上させることで、結果としてより多くのリードを獲得することが可能です。

2024年 Fall Spotlight（HubSpotの新機能）の詳細ページへ

まとめ

急速に変化する市場環境では、企業が持続的に成長するために、データの有効活用とチーム間の連携強化が欠かせません。特に、マーケティングと営業チームが直面する課題を解決するには、これまでの方法では限界があります。

HubSpotの新しいAIソリューション「Breeze」は、誰でも簡単に使える革新的なツールで、業務の効率を飛躍的に向上させます。シームレスな統合で、すべてのデータをフル活用しながら、AIの力を活かして成長戦略を次のステージへと引き上げます。

ただし、日本の企業データがまだ十分ではない部分や、日本語対応が進んでいない機能もあるため、国内ユーザーとしてはさらなる改善とアップデートに期待が高まります。これからのアップデートによって、より使いやすく、さらに多くの日本の企業が恩恵を受けられる日を楽しみにしています。