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CRM連携とは?データ連携するメリットや連携する代表的ツールを紹介!

CRM連携とは?データ連携するメリットや連携する代表的ツールを紹介!

「CRM(顧客管理システム)」は、企業にとっての重要資産である顧客情報を収集・管理するツールです。導入率は年々増加傾向にあるものの、CRMを用いてデータを有効活用できている企業は決して多くありません。

日本オラクルが行った国内企業調査によると、対象者の4割が「CRMは業務効率化や売上向上に貢献していない」と回答していることがわかりました。その理由として上位に挙げられたのは、以下のような「情報共有体制の問題」「データ利活用の問題」に関連するものです。

  • データ分析・活用ができていない:38%
  • CRMだけでは顧客の情報が把握できない:35%
  • 受発注など基幹システムとの連携ができていない:28%
  • マーケティングシステムとの連携ができていない:27%

このような課題を解決できる手段が「CRM連携」です。CRMと他のシステム・ツールを連携させることで、複数のシステムを行き来することなく、必要な情報をすぐに参照できるようになります。社内のあらゆる情報にどの部門からでもアクセス可能となるため、全社的にデータ活用が促進されるでしょう。

そこで本記事では、CRM連携の概要やメリット、連携すべき代表的なツールなどを紹介します。CRMを企業の生産性向上に役立てたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

CRM連携とは

CRMは、顧客情報を適切に管理することで、企業と顧客の良好な関係性構築を目指すツールです。単体で活用することもできますが、社内で利用している他のシステム・ツールと連携させることで効果が一層高まります。

以下では、CRMの概要や扱うデータの種類、CRM連携が必要とされる理由を解説します。

そもそもCRMとは?

CRMツールの仕組み

出典:HubSpot

CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客との関係性を管理する手法やツールのことです。日本語では「顧客関係管理」「顧客関係性マネジメント」などと訳されます。

CRMツールで顧客情報の収集・管理・分析を行うことで、顧客ニーズにマッチした高品質な対応を実現できます。顧客との良好な関係を維持し、自社の商品・サービスの継続的な利用を促進することで、長期的な収益拡大につなげることがCRMの目的です。

CRMでは、主に以下のような顧客情報を扱います。

CRMでの管理内容

このような情報をCRMで管理することにより、多角的な視点で顧客を分析できるようになります。「属性や流入経路にもとづいた購買の傾向」や、「ページ滞在時間やURLクリックにもとづいた嗜好の傾向」など、さまざまな情報を把握できるでしょう。

結果として顧客一人ひとりに最適な提案・対応ができるようになり、顧客満足度や成約率の向上につながります。

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【基礎徹底解説】CRMとは?機能やメリット、選び方など紹介

CRM連携とは

CRM連携とは、CRMと他のシステム・ツールを連携させることです。これにより、社内に散在しているデータがCRMに集約され、顧客に関するすべての情報を一元管理できます。

CRMで扱わないデータ(請求データや在庫状況など)も、顧客を主軸にするとそれぞれに関連性があることがわかります。このようなデータを顧客情報とあわせて管理することで、業務効率化やデータ活用の促進など、さまざまなメリットが生まれるのです。

CRM連携が必要とされる背景

CRM連携が必要とされる背景

出典:アシスト

CRMでは、顧客に関するさまざまな情報を管理できますが、商談履歴や請求データといった情報は扱いません。業務中にこのような情報が必要になった場合、CRMだけでは情報収集が完結しないこともあるでしょう。

このとき、複数のシステムを行き来したり、ファイル・データを統合したりといった作業が発生すると、業務効率が大きく下がります。CRMと他のシステムをバラバラに運用していては、CRM本来の能力が生かされません。

「電話対応中の顧客に関する直近の請求データが知りたい」

「MAで送付したメールの開封率からコンタクトのリストを作成したい」

このようなシーンにおいて、CRMですべての情報が一元管理されていれば、より効率的かつ高品質な顧客対応が実現します。

CRMの活用で企業の生産性向上を図るためには、CRM連携によって各部門に散在したデータを一元化することが不可欠です。

CRMデータ連携を行うメリット

社内で利用する複数のシステムをCRMに連携することで、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。

  • 部門間でのデータ共有による連携強化
  • 業務の効率化
  • データの活用促進

それぞれの詳細を見ていきましょう。

部門間でのデータ共有による連携強化

CRMを他のシステムと連携することで、部門の垣根を超えたデータ共有が促進されます。

データ共有によってどのような効果が得られるのか、フロントオフィスにおける具体例を見てみましょう。

データ共有の効果例

顧客がどのようなニーズを持っていて、どうアプローチするのが効果的なのかを部門間で共有することで、強固な協働体制を構築できるのです。効率的な営業活動や高品質な顧客対応は、結果として収益の拡大、事業の成長につながります。

業務の効率化

CRMと他のシステムのデータ連携を行うことで、無駄なタスクが削減され、業務の効率化につながります。

社内にデータが散在しているケースにおいて、発生しがちな無駄は以下のとおりです。

  • ある情報を複数のシステムで扱う場合、システムごとに入力作業が必要になる
  • 情報を入力すべきシステムが増えるにつれて、入力ミスや入力忘れが発生しやすくなる
  • 必要なデータを参照するうえで、複数のシステムを行き来しなければならない
  • 必要なデータがどこにあるのか把握できず、探し出すのに時間がかかる
  • 各部門がそれぞれ情報を更新しなければならず、データの管理負荷が高まる

このような無駄はデータ連携によってすべて解消されるため、手間とコストの削減になり、組織全体の生産性が高まります。

データの活用促進

社内に散在していた情報がCRMに集約されることで、顧客に関するすべての情報をどの部門からでも把握できるようになります。必要な情報をリアルタイムに手に入れられることで、社内全体のデータ活用がより活発化するでしょう。

英国企業が行った調査では、データを利用した企業行動の中でも「データ分析および分析結果の共有」が、生産性と最も強く関連していることがわかりました。同時に、単なるデータ収集は生産性への影響がほとんどないことも判明しています。

つまり、単に顧客情報を収集するだけでは意味がなく、データを適切に活用できて初めてCRM本来の目的が達成されるのです。

CRM連携によってデータの活用基盤を強固にすることで、高品質な顧客対応や適切な経営判断が実現し、企業全体の生産性向上が見込めます。

CRMとデータ連携をする方法

CRMと他のシステム・ツールを連携する方法は、主に以下の2種類です。

  • CRMに搭載されている連携機能を活用
  • EAI(Enterprise Application Integration)ツールを活用

それぞれの違いや特徴を解説します。

CRMに搭載されている連携機能を活用

多くのCRMには、他のシステムとの連携機能が搭載されています。初めてCRM連携を実施する方や、これからCRMを導入する方にとっては、この機能を利用するのが最も手軽なデータ連携方法でしょう。

ただし、連携できるシステムの種類や、連携によって実現できることはCRMツールごとに異なります。事前の情報収集を徹底したうえで、自社の課題解決に適した連携機能をもつツールを選定することが大切です。

EAI(Enterprise Application Integration)ツールを活用

EAI(Enterprise Application Integration:企業アプリケーション統合)とは、社内の異なるシステム間のデータを効率よく連携するシステムのことです。EAIツールを導入することで、複数のシステムを通じてリアルタイムにデータをやり取りできるようになります。

日経BPコンサルティングの調査によると、EAIをはじめとするデータ連携ツールの導入率は24.9%で、4社に1社が導入済みであることがわかりました。さらに「データ連携ツールは必要だと思う」と回答した人は72.0%にのぼることも判明しています。

日経BPコンサルティング「データ連携に関するアンケート調査」1日経BPコンサルティング「データ連携に関するアンケート調査」2

出典:日経BPコンサルティング「データ連携に関するアンケート調査」

データ連携ツールを活用せずにシステム同士の連携を実現する場合は、スクラッチ開発のための高度な知識・技術が必要になります。

EAIを活用すれば、データ連携に必要な処理をノーコードで簡単に実現でき、運用開始までの工数やコストを大幅に削減可能です。システム間の連携処理が可視化されることで、保守管理業務も効率化するでしょう。

事業の成長にともない、システム導入・連携の機会は増加します。状況にあわせて柔軟に対応できる環境を構築するうえで、EAIは有効な手段のひとつです。

CRMと連携する代表的なツール例

CRMと連携することの多いツールには、以下のようなものがあります。

  • MA
  • CMS
  • SFA
  • ERP
  • CTI

それぞれのツールと連携する目的やメリット、具体的な製品例を紹介します。

MA

MA(Marketing Automation)は、マーケティング活動の自動化を実現するツールです。CRMは主に既存顧客との関係性を強化するツールですが、MAは見込み客の獲得・育成を目的として活用されます。

CRMとMAを連携する目的は、リアルタイムな情報共有とデータ可視化を実現することです。これにより、顧客対応の品質向上や、マーケティング・営業活動全体の効率化が見込めます。

CRMとMAを連携するメリット

【マーケティングプロセスの可視化】
CRMに集積されている顧客情報(名刺情報やセミナー・イベントの参加情報、問い合わせ情報など)をMAと共有することで、どのようなマーケティング施策が有効だったのかを分析できるようになります。見込み客から顧客へと育成される一連のプロセスが可視化され、マーケティング活動の効率化が見込めるでしょう。

【スコアリング精度の向上】
MAでは、見込み客ごとの受注・成約確度の高さを「メルマガの開封」「URLのクリック」「資料請求」といった行動をもとにスコアリングして管理します。CRMとMAを連携し、CRMで管理している顧客データにもとづいた適切な評価基準を作り出すことで、より精度の高いスコアリングを実現可能です。

【商談化率や受注率の向上】
高精度なスコアリングが実現すれば、成約確度の高い見込み客の情報を効率的に営業部門へ引き継ぐことができます。アプローチの相手・タイミングが最適化するため、結果として商談化率や受注率の向上が見込めるでしょう。

【マーケティング成果の可視化】
CRMとMAを連携することで、マーケティング部門は引き渡した見込み客が案件化したかどうかを確認できるようになります。マーケティング活動の売上げへの貢献度を測定することで、より効果的な改善策を導き出せます。

CRMと連携可能なMAの製品例

【Adobe Marketo Engage】

Adobe Marketo Engage

出典:Adobe Marketo Engage

Adobe Marketo Engageは、世界5000社以上で採用され、日本においても名だたる大企業を中心に導入実績のあるMAツールです。顧客の行動を可視化するためのさまざまなデータを収集・分析でき、パーソナライズされた顧客体験の提供に役立ちます。

数あるMAのなかでも非常に多機能なツールであり、データを最大限に活用したい企業に最適です。

Adobe Marketo Engage|価格・推奨企業規模・連携性

【Marketing Cloud Account Engagement】

Marketing Cloud Account Engagement

出典:Marketing Cloud Account Engagement

Marketing Cloud Account Engagementは、米Salesforceが提供するCRM一体型のMAツールです。BtoBに特化した機能が充実しており、Salesforceの各種ツールとシームレスに連携できます。

CRM/SFAツールで世界トップシェアを誇るSalesforce社の製品ならではの、活発なユーザーコミュニティが特徴です。

Salesforce社|価格・規模・連携性

CMS

CMS(Contents Management System)は、専門知識不要でWebサイトの構築・運用ができるツールです。Webサイトのコンテンツ(画像や動画、ブログ記事など)を効率的に作成・管理できるため、Webサイト運用の負担が軽減されます。

CRMとCMSを連携する目的は、CRMに集積した顧客の行動データをCMSに取り入れることです。これにより、ユーザーのニーズにあわせたWebサイト運用が実現し、Webマーケティングの効率化が見込めます。

CRMとCMSを連携するメリット

【顧客ニーズにあわせたWebサイト最適化】
CMSにCRMのデータを連携させることで、顧客のニーズをより詳細に分析できるようになります。顧客に好まれるコンテンツの追加や、ニーズの高いコンテンツへの導線設計などを行えるため、直帰率の低下や回遊率の向上が見込めます。

【Webサイト訪問者に関する高精度なデータ分析】
CMSで管理しているWebサイト訪問者のデータをCRMに集約すると、Webサイトにおけるすべての行動データを含めて顧客行動を分析できます。これにより、より効果的なWebマーケティング施策の立案が可能になるでしょう。

【良質なアクセスの増加】
高精度なデータ分析にもとづき、訪問者のニーズを満たすコンテンツを制作し続けることで、コンバージョン(CV)につながりやすい良質なアクセスが増加します。そのデータはCRMに蓄積され、さらに高品質なコンテンツを制作するうえで有効活用できます。このような好循環が生まれることで、顧客の育成がよりスムーズになるでしょう。

CRMと連携可能なCMSの製品例

【ferret One】

ferret One

出典:ferret One

ferret Oneは、CMS機能を搭載しているBtoB特化型のマーケティングツールです。CMS機能のほかにはLPやMAなどの機能があり、他システムとの連携性にも優れています。

使いたい機能に絞ってプランを選択できるため、CMSツール単独でも利用可能です。ニーズや予算に応じて柔軟にシステムを構築できます。

ferret One|価格・推奨企業規模・連携性

【Content Hub】

HubSpot|Content Hub

出典:Content Hub

Content Hubは、米HubSpotが提供するコンテンツ マーケティング ソフトウェアです。CMS機能やコンテンツ制作機能に加え、SEOやレスポンシブデザインなどの機能も搭載されています。

ドラッグ&ドロップで簡単にWebサイトを構築でき、サポート体制が充実していることから、初心者でも使いやすいCMSツールだといえます。

HubSpot|価格・推奨企業規模・連携性

SFA

SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)は、営業活動の効率化を実現するツールです。

顧客情報を扱う点においてCRMとの共通部分が多いものの、SFAでは営業担当者の行動や商談の詳細など、営業活動に関する情報に特化して管理します。

CRMとSFAを連携させる目的は、営業活動で得られたデータとCRMの顧客データを統合させることです。これにより、ファーストコンタクトから現在に至るまでのプロセスが可視化され、より精度の高い顧客分析ができるようになります。

SFAとCRMの連携は特に優先度が高く、実際に「CRM/SFAツール」としてSFA機能を内包したCRMツールが数多く提供されています。

CRMとSFAを連携するメリット

【情報管理の効率化・ミスの軽減】
CRMとSFAはどちらのツールでも顧客情報を扱うため、入力するデータが重複することがあります。両者を連携させることで入力作業が1回で済み、同じ情報を二重に管理する必要もなくなります。工数や入力ミスの削減、現場の管理負荷の軽減につながるでしょう。

【連携体制の強化】
CRMとSFAの連携によって、部門間でデータをリアルタイムに共有できるようになります。「営業担当者が保有する見込み客情報をマーケティング担当者が利用する」「既存顧客からの問い合わせをサポート部門に引き継ぐ」といった活用ができるでしょう。顧客とのコミュニケーションが適正化されることで、売上げの向上につながりやすくなります。

CRMと連携可能なSFAの製品例

【Mazrica Sales】

Mazrica Sales

出典:Mazrica Sales

Mazrica Salesは「現場の使いやすさ」を最も重視して開発された純国産のSFAツールです。CRMツールの機能を兼ね備えているため、別々の製品を導入する必要がありません。

誰でもすぐに使いこなせることが特徴で、利用継続率は平均98%を誇ります。

Mazrica Sales|価格・推奨企業規模・連携性

【Sales Hub】

HubSpot|Sales Hub

出典:Sales Hub

Sales Hubは、営業活動を合理化し、チームの生産性向上や顧客との関係性強化を実現するHubSpot社のSFAツールです。営業担当者の日々の業務を効率化できるほか、マネージャーの管理業務に役立つ高度な分析機能も搭載されています。

HubSpotではCRM機能が無料で提供されているため、Sales Hubを導入することでCRMとSFA双方の機能を利用可能です。

Sales Hub|価格・推奨企業規模・連携性

ERP

ERP(Enterprise Resources Planning:企業資源計画)とは、経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報を適切に分配し、有効活用するための概念・システムを指します。企業に散在している物流・販売・営業・人事などの情報をまとめて管理することで、企業全体の業務最適化を図ることがERPツールの目的です。

CRMとERPを連携させることで、フロントオフィスとバックオフィスの垣根を越えた情報共有が実現します。

CRMとERPを連携するメリット

【顧客対応の品質向上】
CRMとERPを連携することで、顧客と直接的に紐づかない情報も同一のプラットフォーム上で参照できるようになります。「アフターサービス訪問時に部品の在庫状況を確認したい」といった状況でも、複数のシステムを行き来することなく即座に必要な情報を把握でき、より高品質な顧客対応が実現します。

【企業全体における顧客情報の有効活用】
CRMとERPを連携すると、普段CRMを利用しないバックオフィスも顧客情報をスムーズに取得できるようになります。たとえば生産部門では、顧客の受注状況をリアルタイムに把握し迅速な部品手配が可能です。企業全体で顧客情報を有効活用することで、業務効率化や顧客満足度の向上につながります。

CRMと連携可能なERPの製品例

【SAP Business ByDesign】

SAP Business ByDesign

出典:SAP Business ByDesign

SAP Business ByDesignは、世界160カ国で活用されているERPです。財務・人事・CRM・サプライチェーン管理など、あらゆる業種に対応する機能を幅広く搭載しています。

多言語・多通貨に加え、海外の税制・法令などにも対応しています。海外へのビジネス展開を検討している企業はもちろん、世界の優良企業の業務ノウハウを取り入れたいと考えている企業にも最適です。

SAP Business ByDesign|価格・推奨企業規模・連携性

【Oracle NetSuite】

Oracle NetSuite

出典:Oracle NetSuite

NetSuiteは、世界で最初にクラウド型ERPをリリースした企業のERPツールです。2017年に米Oracle Corporationの買収が完了し、Oracle NetSuiteという名称で継続的にサービスを提供しています。

Oracle NetSuiteの特徴は、ERP機能に加え、会計システムやCRM、Eコマースなどの機能を単一のシステムで幅広くカバーできることです。柔軟なシステム設計により、ビジネスモデルの変更や事業拡大、分社化にも迅速に対応できます。

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CTI

CTI(Computer Telephony Integration)はコンピューターと電話を統合させるシステムで、主にコールセンターや電話対応の多い業種で導入実績の多いツールです。顧客と円滑なコミュニケーションを図ること、電話業務の効率化を図ることを目的として活用されます。

CRMとCTIを連携することで、電話番号に詳細な顧客情報を紐づけることができ、顧客対応の品質向上や応対時間の短縮が見込めます。

CRMとCTIを連携するメリット

【応対業務の効率化】
CRMとCTIを連携すると、着信があった電話番号から顧客情報の詳細を即座に参照できるようになります。問い合わせ履歴や購買履歴などの情報を、複数のシステムを行き来したり、顧客へ確認したりすることなくスムーズに把握できるのです。顧客からの問い合わせ内容を把握したうえでコミュニケーションが図れるため、商談率やアップセル・クロスセル率の向上にも貢献しやすいでしょう。

【データの重複や矛盾の解消】
顧客情報を複数のシステムで管理していると、データの重複や矛盾が発生しやすくなり、一気通貫した顧客対応が困難になります。営業部門とコールセンター部門がそれぞれ管理している顧客情報を統合すれば、「営業担当者とのやり取りをコールセンターのスタッフが把握していない」「問い合わせがあった顧客に一から状況説明を求めなければならない」といった事態を回避できるでしょう。

CRMと連携可能なCTIの製品例

【CT-e1/SaaS】

CT-e1/SaaS

出典:CT-e1/SaaS

CT-e1/SaaSは、大規模コールセンターから小規模電話窓口まで、さまざまな企業に採用されているクラウドCTIです。多様な業種にあわせたカスタマイズが追加費用なしで実現できるほか、他のクラウドサービスとの連携性にも優れています。

自社の運用用途にあわせて柔軟にシステムを構築したい方に最適なツールです。

CT-e1/SaaS|価格・推奨企業規模・連携性

【CallConnect】

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出典:CallConnect

CallConnectは、サポート部門やインサイドセールス部門に適したブラウザ型CTIです。インターネット環境・パソコン・ヘッドセットがあれば、工事不要で最短当日から利用を開始できます。

CRMやチャットツールなど多数の外部サービスと連携できるため、既存システムとのかけ合わせで業務効率化を実現可能です。

CallConnect|価格・推奨企業規模・連携性

CRMとデータ連携する際の注意点

SaaS(インターネット上で使用できるインストール不要のソフトウェア)の利用企業を対象にしたアンケート調査では、86.9%が「システム間のデータ連携に課題を抱えている」と回答しています。

データ連携は業務効率化や生産性向上に有効な手段であるものの、十分な成果を得るためには入念な事前準備が必要です。

そこで以下では、CRMと他システムのデータを連携させる際の注意点を解説します。

データの整合性を確保する

部門ごとにデータの取り扱い方法や定義が異なる場合、データ連携が複雑化する可能性があります。CRM連携を行う際は、以下のポイントに注力してデータの整合性を保つことが重要です。

  • データクレンジング
  • 入力ルールの統一
  • 定期的な確認作業

データクレンジング

異なるシステム間のデータを統合する際には重複・矛盾が生じる可能性があるため、事前にデータのクレンジングが必要です。表記方法やフォーマットが異なるデータは、同一の情報にもかかわらず別のデータと判定されてしまい、分析時に有効活用できなくなります。

たとえば以下のようなデータは、あらかじめ不揃いや誤りを修正しておきましょう。

  • (株)と株式会社の不揃い、前株・後株の誤り
  • 字体(漢字・平仮名・アルファベットなど)の不揃い、スペースの有無
  • 全角・半角の混在

これらを事前に解消することで、信頼性の低いデータ(ダーティデータ)の発生が防止され、手間やコストの削減につながります。

入力ルールの統一

連携前にデータクレンジングをしても、入力ルールを定めていなければ再びダーティデータが蓄積してしまいます。データの入力方法や更新タイミングなど、社内統一の運用ルールを設定することが重要です。

あわせてアクセス権限も詳細に設定しておくと、セキュリティ面でも安心してデータを共有できるでしょう。

定期的な確認作業

データの整合性を保つためには、データを監視・評価するプロセスも欠かせません。システム連携が正常に行われているか、データの品質が維持できているかを定期的に確認し、問題発生時には迅速に対応できる運用体制を整える必要があります。

このように、データ連携にはデータクレンジングやデータサイエンスの知識・技術が必要になります。CRMベンダーが提供するトレーニングを活用するなど、担当者のスキル向上を同時に図ることが重要です。

システム間の互換性の確認を行う

データ連携を検討する際は、システム間の互換性を事前に確認しておきましょう。互換性を無視した手動のデータ移行はヒューマンエラー発生率を高め、最悪の場合、顧客からの信頼を失う事態を招きかねません。

利用したいシステム間に互換性がない場合には、自社で独自のプログラムを開発することもひとつの方法です。自社特有の要件を反映した柔軟な対応を実現できますが、開発工数や費用がかかります。

既存のシステムと互換性のあるシステムを採用すれば、専任人材や追加予算確保の必要がなくなります。今後のシステム変更やビジネス展開を見越し、幅広い製品と連携できるツールを選ぶことが望ましいでしょう。

まとめ

CRMの効果を最大限に得るためには、CRMと他システムの連携が欠かせません。CRM連携を行うことで、業務効率化や部門間の連携強化、全社的なデータ活用促進など、多くのメリットが生まれます。

CRM連携を実施する際には、自社にマッチしたツールを選定すること、事前準備を十分に行うことが重要です。本記事で紹介したツール例や注意点などを参考に、自社の課題解決を促すデータ連携を実現していただけますと幸いです。

渋谷 真生子

株式会社100(ハンドレッド)のマーケター。新卒でグローバルヘルスケア企業で営業を経験し、セールスフォースにてBDRとして地方企業の新規開拓に携わる。コロナ渦でインバウンドマーケティングの重要性を実感し、アイルランド ダブリンにあるトリニティカレッジの大学院にてデジタルマーケティングの学位取得し現在に至る。最近はかぎ針編みにハマり中。

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