多くの企業が導入しているマーケティング手法の一つに、「オウンドメディア」があります。Googleトレンドでのオウンドメディアトピックの検索数は、2016年頃から急増しており、2024年現在も注目度の高い状態が続いています。
しかし、運用してみたものの成果をあげられず、「オウンドメディアは効果がない」と感じている担当者も少なくないようです。
実際のところ、全研本社株式会社が実施した「オウンドメディアに関する調査」では、自社のオウンドメディアに対する満足度は62.7%であり、成果によって満足度が分かれていることが分かっています。適切な運用を行わなければ、どれだけ時間をかけても結果につながらないため、成果を最大化するためには計画と戦略が必要です。
この記事では、オウンドメディアの効果に疑問を抱いている方に向けて、失敗に終わってしまう理由や、オウンドメディアを立ち上げる際に重要なポイント、成功事例をご紹介します。
オウンドメディアとは
オウンドメディア(Owned Media)とは、自社で所有・運営するメディアの総称です。もともとは紙のパンフレットや自社サイトなども含めた意味で使用されていましたが、昨今のビジネスシーンでは、専門性の高いウェブコンテンツを通じてユーザーに情報を提供し、潜在顧客を獲得・育成するためのブログのようなウェブサイトを指すことが一般的です。
トリプルメディアのひとつオウンドメディアとは
オウンドメディアは、従来型の「ペイドメディア」と、SNSなどの「アーンドメディア」とをあわせた「トリプルメディア」の一つです。
ペイドメディアとは、広告料を支払って利用するメディアであり、マス広告(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の広告)やインターネット広告(リスティング広告・バナー広告など)などを含みます。
アーンドメディアは、SNSなどのプラットフォームで消費者が自ら情報発信を行い、その情報が拡散されることで信用や評判を獲得するメディアです。
トリプルメディアの中でも注目されているオウンドメディアは、自社が所有するメディアであり、適切に運用すれば大きな資産となります。24時間自動的に営業活動を行っているような状態を作れるため、人件費削減や商品・サービスの認知拡大が期待できます。
昨今、オウンドメディアは狭意で「企業が運営するブログ」と認識されることが多いのが現状です。そのため、本記事でも狭意でのオウンドメディアに関して解説をしていきます。
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コンテンツマーケティングとオウンドメディアの違い
オウンドメディアと共に注目されているのが、「コンテンツマーケティング」です。コンテンツマーケティングとは、顧客の知識や興味を引きつけるための情報提供を行う施策です。
コンテンツマーケティングとオウンドメディアの違いは、コンテンツマーケティングが「マーケティングの手法や施策」であるのに対し、オウンドメディアは、その手法や施策を実施するためのブログやSNSなどの媒体(自社メディア)の一つである点です。
両者の共通点として、顧客のニーズに応じた情報提供が重要であり、継続的な取り組みが求められることがあげられます。コンテンツマーケティングの一環としてオウンドメディアを活用することで、見込み客の獲得(リードジェネレーション)や購買意欲の醸成(リードナーチャリング)につながりやすくなります。
オウンドメディアは意味がないのか
オウンドメディアは企業のマーケティング手法として広く利用されていますが、成果をあげられずに「オウンドメディアは意味がない」と感じている担当者もいらっしゃるようです。
ここでは、オウンドメディアの歴史と、オウンドメディアで実際に成果を感じているのかどうか、また、オウンドメディアが注目される理由を見ていきましょう。
オウンドメディアの歴史
オウンドメディアの始まりは、2009年に米国で提唱された「POEM」の概念が、日本で「トリプルメディア」として広まったものとされています。オウンドメディアを含むトリプルメディアは、2010年から2014年頃に日本で浸透し、コロナ禍を経て急増しました。
2022年に実施された全研本社株式会社の調査によると、企業の85.3%がコロナ禍の3年以内にオウンドメディアを立ち上げたことが明らかになっています。
これは、感染症の影響によって対面営業や販売が難しくなり、企業がデジタルシフトを進める中で、オウンドメディアの運営に集中するようになったことが理由としてあげられます。
また、インバウンドマーケティングの浸透も背景にあると考えられます。インバウンドマーケティングとは、企業が顧客にとって価値のあるコンテンツを提供することで、顧客が自発的に企業に興味や関心を持つようになり、最終的には商品購入やサービス利用などの成約につながるという考え方です。
オウンドメディアは、新型コロナウイルスの影響やインバウンドマーケティングの浸透と共に、企業が自社のブランドストーリーをより直接的に伝える手段として重要視されるようになりました。
オウンドメディアで実際に成果を感じているのか?
実際のところ、オウンドメディアの担当者は運用の成果を感じているのでしょうか。
全研本社株式会社が実施した調査では、「自社のオウンドメディアに対する満足度」に関する質問に対し、「満足している」と「やや満足している」と答えた人は62.7%と半数を越えたことが分かっています。
引用:Zenken株式会社のプレスリリース|PRTIMES
満足している理由としては、「効果を実感できているから」「リードの獲得やブランド認知度の向上につながっている」「運営開始後に社内外での認知度が向上し、アクセスが増加している」などの声が寄せられたようです。
一方、満足していない理由として、「興味を持ってもらえるような記事がまだまだ不足している」「費用対効果が低い。ブームが過ぎた感じがする」「閲覧数が少ない」などの声があがっていました。
「企業のオウンドメディア運営の満足度は、成果によって大きく異なる」ということが示された調査結果といえるでしょう。
オウンドメディアが注目される理由
コーポレートサイトや製品サイト、サービスサイトなどさまざまなウェブサイトの形式が存在する中で、なぜブログ型のオウンドメディアが注目されているのでしょうか。
株式会社ベーシックが実施したBtoB企業を対象とした調査によると、約4割の企業がオウンドメディアを運営し、検討中を含めると約6割の企業がオウンドメディアに積極的な関心を示す結果となっており、企業のオウンドメディアに対する関心の高さが伺えます。
理由として、広告費用の高騰やインバウンドマーケティングの注目と、常設サイトでは公開できないコンテンツを配信できることがあげられます。
HubSpotが行った「日本のマーケティング組織が抱える課題」に関する意識調査では、約7割のマーケティング従事者が「広告単価が上昇している」と回答しています。
引用:「日本のマーケティング組織が抱える課題」についての意識調査結果|HubSpot
また、広告費の高騰に伴い、「広告以外のチャネルでのリード獲得が迫られている」と感じる人は全体の57.0%にのぼりました。
このような状況下で、インバウンドマーケティングへの注目が高まっています。インバウンドマーケティングでは、広告費をかけずにウェブサイトやSNSなどを活用し、顧客の関心を引きつけてリード獲得につなげる手法が重視されます。そのため、広告費の削減と顧客の自主的な行動を促進する目的から、オウンドメディアを活用する企業が増えていると考えられます。
また、常設サイトで提供されないような情報や、より広範なトピックに関するコンテンツをオウンドメディアで発信することで、潜在的な顧客との関係を構築し、ブランドへの関心を高めることが可能になります。
常設サイトが「プル型のメディア(ユーザーが能動的に接触してくるメディア)」であるのに対し、オウンドメディアは「プッシュ型のメディア(情報をアクティブに発信するメディア)」として、新たな顧客を獲得する効果が期待されています。
オウンドメディアが失敗に終わってしまう理由
多くの企業が取り組んでいるオウンドメディアですが、成果があがらない場合、運営を停止してしまう企業も少なくありません。
ここでは、オウンドメディアが失敗に終わってしまう理由をご紹介します。自社の状況や課題と照らし合わせて参考にしてみてください。
計画・戦略なしで勢いでスタートしてしまった
オウンドメディアの運営でよくある失敗の一つが、計画・戦略なしで勢いでスタートしてしまうことです。「他社もやっているから」といった曖昧な動機で始めてしまうと、後々行き詰まる可能性が高くなります。
計画や戦略なしに、場当たり的にコンテンツを作ってしまうと、何を伝えたいのかがユーザーに伝わらず、ユーザーの理解が得られません。ユーザーからの反応がなければ、運営するモチベーションも下がってしまうでしょう。
また、目的が明確でなければ、オウンドメディアの効果も見えてきません。その結果、漫然と運営しているだけになり、コンテンツの更新が後回しになり、いつしか運営がストップしてしまうことになります。
そのため、オウンドメディアを運営する際には、最初に目的や方向性を明確に定め、事前の戦略設計を行うことが重要です。
ペルソナを定めてないままコンテンツ企画
ペルソナを設定せずにオウンドメディアのコンテンツ企画を進めると、失敗しやすくなります。ペルソナとは、ターゲットとなる顧客像を具体的に設定した人物像です。
ペルソナを設定することで、誰に向けたコンテンツを作成するかを明確にし、ターゲット層のニーズや関心に合ったコンテンツを提供しやすくなります。
一方で、ペルソナを定めないままコンテンツ企画を進めると、ターゲットとなるユーザーのニーズや関心事が把握できません。その結果、求められているコンテンツが分からず、ユーザーにとって魅力的なコンテンツを提供できなくなってしまうでしょう。
自社製品やサービスに関する営業目的の情報ばかり
公開する記事がユーザーの役に立つものではなく、自社製品やサービスを売り込む記事ばかりのサイトも、成功するオウンドメディアとはいえません。
ユーザーは自社の製品やサービスに関する情報だけでなく、業界のトレンドや解決策を求めています。広告のように、明らかに営業目的の情報ばかりを掲載したサイトでは、ユーザーの関心を引くことができず、結果としてオウンドメディアの成果につながらないでしょう。
ヤフー株式会社が実施した調査では、インターネットを利用する際に表示される広告に対するストレスに関して、実に7割以上の人が「強いストレスを感じる」または「ややストレスを感じる」と回答しています。
企業がオウンドメディアを運用する目的は、顧客のニーズに応えることや役立つ情報を提供することですが、営業目的の記事ばかりではユーザーの興味を引くことが難しいということは理解しておく必要があります。
そこに検索ニーズはあるのか?
オウンドメディアの運営では、ペルソナを定めることも大切ですが、そもそもの検索ニーズが存在するのかも重要なポイントです。多くのオウンドメディアが失敗する一因として、定量的な調査を怠り、主観的な意見や仮説に基づいてコンテンツを制作してしまう傾向があります。
コンテンツの制作は、ユーザーのニーズを的確に捉えつつ、記事数を増やしていく必要がありますが、検索ニーズがないとサイトへの流入も見込めません。
ユーザーニーズを把握するためには、SEO分析ツール「Ahrefs」や、競合分析ツール「SemRush」、Googleのキーワード管理ツール「キーワードプランナー」などを活用し、ニーズを調査したうえでターゲットKWを検討する必要があります。
大きな勘違い「オウンドメディアですぐに売上アップ!」
オウンドメディアは、始めてすぐに売上が増加するということはほぼありません。公開から結果に結びつくまでに、半年から1~2年以上を要することが多く、その間に大きな成果が見えず、短期間で記事の更新を停止してしまうケースも見られます。
短期的な判断で運用を中止してしまうと、長期的な成果を得る機会を逃してしまうことになります。初期段階で目に見える効果が現れなくても、適切な運用と評価を継続することで、将来的に投資対効果を回収できる可能性があります。そのため、オウンドメディアの計画や戦略を立てる際には、長期的な視点をもつことが重要です。
社内でのオウンドメディア運用体制なしで見切り発車
社内でのオウンドメディア運用体制を整えずに、見切り発車でスタートし、結果的に更新がストップしてしまう失敗ケースもあります。
Zenken株式会社の調査では、運営停止中のオウンドメディアのうち、65.5%が開始からわずか半年以内に更新が停止している実態が明らかになりました。
また、オウンドメディアの運営停止の主な理由は、「自社の運営担当者がいなくなったため(運用リソースがなくなったため)」がもっとも多く、全体の54.3%を占めています。
引用:Zenken株式会社のプレスリリース|PRTIMES
運用体制が構築されていない状態では、長期的なオウンドメディア運用ができず、結果につながる前にプロジェクトが頓挫してしまう可能性が高くなります。まずは更新が安定するよう、運用体制を整える必要があります。
経営陣の理解がない「オウンドメディア意味あるの?」
オウンドメディアは成果が出るまでに時間がかかるものですが、社内からの理解が得られていないと、長期的な投資とその成果を待つことができず、運用が打ち切られてしまうことがあります。
オウンドメディアを立ち上げる際には、オウンドメディアの将来性やメリットを明確に示し、成果を得るまでにかかる時間や必要な予算、人員なども含めて計画を立て、経営陣の理解を得ることが重要です。
経営陣へ根拠を示す資料として、直接売上につながるような「問い合わせ数」や「申込み数」などの定量的な評価基準のほか、「ブランドイメージ」や「好感度」のアンケートなど定性的な評価基準も設けておくこともおすすめです。
とにかく量!質の低いコンテンツを量産
数年前までは、質よりも量を重視したコンテンツを大量生産することで、検索結果の上位表示を狙うことも可能な時代もありました。しかし、現在ではGoogleのアルゴリズムが改良され、このような手法は有効ではなくなっています。
無意味な長文や無意味なキーワード羅列などは、検索エンジンからのペナルティとして、検索結果からの表示が消えることや順位が大幅に下がる恐れもあります。これにより、ユーザーがサイトを見つけにくくなり、サイトへの流入数や売上に影響が出る可能性も想定されます。
ユーザーのニーズを無視したコンテンツを大量生産しても、結果的にはコンバージョンにつながらないことは、念頭に置いておく必要があります。
オウンドメディア成功事例
実際に、オウンドメディアの運営で成功している事例も多くあります。ここでは、4社のオウンドメディアの成功事例をご紹介します。自社の強化したい領域と似たケースがあれば、ぜひ参考にしてみてください。
トピッククラスターモデルに基づきSEOを強化した成功事例:HubSpot
引用:HubSpotブログ
HubSpot Japan株式会社では、オウンドメディアを重要なブランド接点と位置付け、インバウンドの思想に基づいた、ビジネスに役立つ有益なコンテンツを提供しています。
マーケティング領域における「インバウンド」の考え方は、相手に先に価値を提供し、良好な関係を築くことを目指します。このアプローチにより、新規ユーザーとの接点を増やすことが期待できます。
HubSpotでは、「トピッククラスターモデル」に基づき、SEOを意識したコンテンツ作成を行っています。トピッククラスターとは、サイト内の記事コンテンツを関連性の高いグループにまとめることで、記事やサイト全体のSEO評価を向上させる施策です。主要なトピック(ピラーコンテンツ)と、それを補完する関連トピック(クラスターコンテンツ)を内部リンクでつなぎ、より深く専門的な情報を体系的に発信することが可能です。
同社ではSEOを軸とする理由として、MarkeZineのインタビューにて、「ビジネス関連の問題を抱える人々の多くが、解決策を検索エンジンで探しているから」と回答しています。「SNSなど他のチャネルも重要だが、課題解決策を探す人々の大半が検索エンジンを利用していることを考慮した」とのことです。
トピッククラスターでSEOを意識したコンテンツ作成を行うことで、検索エンジンを通じて課題解決策を探しているユーザーと接点を持つことに成功している事例といえます。
コンサルタントが監修することで専門性や権威性を高めた成功事例:SAIRU
引用:メソッド | 才流
株式会社才流が運営するオウンドメディア「SAIRUメソッド」では、BtoBマーケティングに役立つオリジナルの手法を公開しています。
サイト内では、同社が開発したメソッド記事を一覧で確認できるようになっており、BtoBマーケティングや法人営業、新規事業など、幅広い分野のメソッドが掲載されています。すべてのコンテンツを在籍するコンサルタントが監修することで、オウンドメディアの専門性や権威性、信頼性を高めることに成功しています。
また、テキストだけでなく、YouTubeを活用した解説動画も充実しており、ユーザーが理解しやすい工夫がされています。さらに、テンプレートやフォーマットも豊富に用意されており、業務に直接活用できる実用的なコンテンツがそろっています。
実用的な内容に加え、明るく好奇心旺盛な社風も反映した成功事例:カインズ
引用:となりのカインズさん|株式会社カインズ
「となりのカインズさん」は、ホームセンターCAINZを運営する株式会社カインズによるオウンドメディアです。キャッチコピーは「ホームセンターを遊び倒すメディア」となっており、暮らしに関するさまざまなアイデアやヒントを発信しています。
同オウンドメディアの「カインズさん」とは、同社のメンバー・顧客・取引先各社・DIYを実践するユーザーなど、カインズに関わるすべての人たちを指します。実用的な内容だけでなく、「ウナギの飼い方」や「ペットフードを試食してみた」といったオリジナリティのあるコンテンツも豊富で、同社の明るく好奇心旺盛な社風が伺えます。
さまざまな分野の専門家や著名人が、カインズで取り扱う商品に関する知識やノウハウ、面白いエピソードを紹介することで、コアなファンの獲得につなげている事例の一つです。
子どもと保護者が一緒に楽しめるオウンドメディアの成功事例:ベネッセ
引用:ベネッセ教育情報|株式会社ベネッセコーポレーション
株式会社ベネッセコーポレーションが運営するオウンドメディア「ベネッセ教育情報」では、保護者向けに子育て教育コンテンツを提供し、学生向けには受験対策や定期テスト対策などの学習系コンテンツを提供しています。主なターゲットは、幼児から高校生の保護者と中学生・高校生となっており、子どもと保護者が一緒に楽しむことができます。
子どもの成長に合わせた幅広いコンテンツや、学年・科目・単元ごとに分かれたコンテンツが特徴的です。各記事には、ベネッセが提供するサービスへのリンクが設置されており、サイドバーやポップアップから登録・申し込みに進む導線が確保されている点も参考になる事例です。
失敗回避!オウンドメディアを立ち上げる際に重要なこと
オウンドメディアを立ち上げる際には、いくつかのポイントを押さえることで成果につながりやすくなり、失敗を回避できます。ここでは、オウンドメディア立ち上げの際に気をつけたい8つのポイントについて解説します。
オウンドメディアの運営体制を構築する
オウンドメディアの運用に必要なコンテンツ制作には、さまざまなスキルが求められます。また、長期的に運営していくためにも、まずは運営体制を構築してから開始することが重要です。
具体的には、編集長・エディター・ライター・ウェブマーケター、コンテンツディレクターなど、さまざまな役割が必要です。一人で行うのは難しいため、複数のスタッフでチームを組織すると良いでしょう。
また、役割分担やスケジュール管理など、コンテンツ制作を円滑に進めるためのプロセスも整備する必要があります。
社内の人材のみで体制を整えるのに不安がある場合は、代行会社に業務を委託することも一つの方法です。代行会社は必要な人材をアサインしてくれるため、自社で人材を集める手間を省くことができます。
SEOの基礎を理解する
オウンドメディアで成果を上げるためには、SEO対策が不可欠です。複雑な情報や知識は不要ですが、SEOの基礎を理解したうえで、コンテンツを最適化していくことが重要です。
記事を公開した後も、読者の反応やSEOの結果を見ながら定期的にリライトし、より質の高いコンテンツに仕上げていく必要があります。長期的にSEO対策に取り組むためにも、社内で一定の仕組みやルールを整備し、見直しと改善を行うと良いでしょう。
ペルソナ、カスタマージャーニーに沿ったコンテンツ企画を
オウンドメディアを効果的に運用するためには、正確なターゲット設定が求められます。
ターゲットを設定する際には、具体的なペルソナを設定し、カスタマージャーニーに沿ったコンテンツ企画を進める必要があります。カスタマージャーニーとは、ユーザーが購入までの過程で経験する行動や感情を可視化したものです。
カスタマージャーニーに沿ってコンテンツを作成することで、ターゲットのニーズや検索キーワードをより的確に把握し、効果的なコンテンツ戦略を展開しやすくなります。
量も大事だが、何よりも質を優先に
オウンドメディアの運営では、良質なコンテンツを持続的に提供することを優先させることがポイントです。良質なコンテンツを提供し続けることで、ユーザーに価値を提供し、Googleなどの検索エンジンの評価を高めることにつながります。
そのため、オウンドメディアの立ち上げ期は、記事の量よりも質に重点を置くことが重要です。
ただし、定期的な更新ももちろん必要であり、特に新しい情報を提供するオウンドメディアでは、頻繁な更新が求められます。焦って質の低いコンテンツを大量に作成するのではなく、ユーザーのニーズに応える質の高いコンテンツを提供することを心がけましょう。
トピッククラスターでコンテンツの整理を行う
引用:トピッククラスターを活用したブログの最適化|HubSpot
オウンドメディアのコンテンツを検索エンジンに認識・評価してもらうためには、トピックとサブトピックによってコンテンツ全体を構造化することが有効です。
トピッククラスターは、関連した記事をグループ化し、内部リンクで結びつけることで、記事群全体のSEO評価を向上させる戦略です。トピッククラスターでコンテンツの整理を行うことで、検索結果でのパフォーマンスが向上します。
また、トピッククラスターは、検索エンジンに対しての有効性だけでなく、バラバラに存在する記事をトピックごとにまとめることで、ユーザーの利便性向上にも寄与します。
KGI・KPIの成果指標を設定する
企業がオウンドメディアを運営する目的は、自社商品の認知度向上や新規顧客獲得、採用活動の支援などさまざまです。それぞれの目的の達成度合いを正確に把握するためにも、具体的な数値目標を設定すると良いでしょう。
指標として、「KGI」や「KPI」を設定することがポイントです。KGI(Key Goal Indicator)とは、組織が達成したい具体的な目標を示す指標であり、ビジネスの戦略的目標や大局的な成果を測定するために用いられます。
KPI(Key Performance Indicator)は、KGIを達成するための具体的な行動やプロセスの効果を測定する指標です。組織がKGIに向かって進捗しているかどうかを定量的に評価するのに役立ちます。
例えば、オウンドメディアの認知度向上を目指す場合、KGIとして「月間のメディア訪問者数の増加率」を設定し、これを達成するためのKPIとして「月間の記事閲覧数」「月間のソーシャルメディアフォロワーの増加数」などを定めることが考えられます。このように、KGIとKPIを設定することで、オウンドメディアの運営効果を定量的に評価し、目標達成に向けた戦略の修正や改善を行いやすくなります。
オウンドメディアに対する社内啓蒙を行う
オウンドメディアに対する社内の理解は、運営の安定性に大きく関わります。経営者や事業責任者の理解が得られているかどうかが重要であり、理解を深めるためには、適切な啓蒙活動が必要です。
オウンドメディアの目的や目標、成果・運用計画・予算などを詳細に説明し、特に経営層には解決策となる経営課題を提示することが重要です。さらに、社内全体にオウンドメディアの意義を啓蒙することで、社員全体の協力を得やすくなります。
継続的にPDCAを回して運用する
オウンドメディアを運用する上で、最初に立てた仮説がすべて正しいとは限りません。重要なのは、間違いに気付き改善することです。そのためには、継続的にPDCAを回し、常に仮説検証を繰り返す必要があります。
また、経営計画や事業計画に大きな変更があれば、オウンドメディアの計画も見直す必要があります。効果分析や改善を行う体制を整え、PDCAサイクルを回しながら、オウンドメディアをより良いものに近づけていくことが大切です。
まとめ
オウンドメディアは、戦略的に実行することで徐々に成果をあげられる施策です。しかし、運営の目的や体制を定めずに立ち上げてしまい、目的を明確にせずに運営を行うと、失敗に終わるケースもあります。
オウンドメディアの運営において失敗する理由はさまざまですが、計画や戦略がないままスタートすることや、ペルソナを定めずにコンテンツを企画することなどがあげられます。
オウンドメディアは即座に売上アップをもたらすものではなく、継続的な取り組みが必要です。立ち上げる際には、運営体制を構築し、SEOの基礎を理解したうえで、質の高いコンテンツの提供を目指しましょう。