見込み客を獲得するためにWeb広告やSNS広告に取り組む方が増えています。しかし、利用する広告媒体が増えるほど、その管理が煩雑になり、適切な分析や広告出稿に課題を感じる方も少なくありません。
そこで役立つのがHubSpotの「広告管理機能」です。本記事では、HubSpotの広告管理機能について、メリットから各広告アカウントの連携方法、利用時の注意点まで詳しく解説します。より効率的な広告戦略を展開したい方は、ぜひ本記事を参考の上、HubSpotを活用してみてください。
HubSpotの広告管理とは
HubSpotは、企業の営業、マーケティング、カスタマーサービス、コンテンツ管理などに必要なツールを一つにまとめたオールインワンプラットフォームです。5つの製品で構成されているHubSpotは、製品すべてが基盤となるCRMデータベースに接続されているため、顧客の状況に合わせて最適なアプローチを実現します。
中でも、HubSpot Marketing Hubは、広告管理をはじめとした企業のマーケティング活動を効率化するさまざまな機能を備えた、高性能のマーケティングソフトウェアです。ここでは、HubSpot Marketing Hubと、広告管理機能とはどのようなものなのか、かんたんに解説します。
HubSpot Marketing Hubとは
HubSpotのMarketing Hubは、企業のマーケティング活動を一元管理するための包括的なプラットフォームです。Marketing Hubを利用することで、マーケティング担当者はリード獲得から顧客関係の構築、データ分析に至るまで、マーケティング業務の効率化を実現します。
Marketing Hubでは、ランディングページ作成、SEO(検索エンジン最適化)、MA(マーケティングオートメーション)、メールマーケティング、SNS(ソーシャルメディア)管理など、多岐にわたる機能を提供しており、これらを駆使することで、マーケティング活動の効率化および、パフォーマンスの最大化が可能です。
さらに、HubSpotの他製品や外部ツールとシームレスに連携が可能なので、営業やカスタマーサービスといった他の部門とのデータ共有も容易になります。また、Marketing Hubは基本的な機能を無料で利用できるため、マーケティング活動をこれから強化したい企業やコストを抑えてマーケティング活動を効率化したい企業に最適なソリューションです。
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HubSpotの広告管理機能とは
出典:HubSpot
HubSpot Marketing Hubには「広告管理機能」が備わっています。この機能は、広告キャンペーンの作成、実行、分析をシンプルかつ効果的に行うことが可能です。例えば、Google、Facebook、Instagram、LinkedInなどの主要な広告プラットフォームと連携することで、HubSpot上から直接広告を配信したり、そのパフォーマンスをリアルタイムで追跡したりできます。
プラットフォームを個別に管理する手間が省けるほか、詳細なレポートにより、リード創出に貢献している広告を一目で把握することが可能です。したがって、マーケティング担当者は広告のROI(投資対効果)を正確に測定できるほか、より効果的な広告戦略の策定に注力できるでしょう。
HubSpot広告管理機能のメリット
HubSpotの広告管理機能には、広告のコンバージョン率とROIを向上させる多くのメリットがあります。ここでは、HubSpot広告管理機能の主なメリットを詳しく見ていきましょう。
ひとつのプラットフォームで費用対効果まで測定ができる
出典:HubSpot
HubSpotの広告管理機能を利用する最大のメリットは、広告の費用対効果を一元的に測定できることです。各広告の支出、クリック数、コンバージョン率などの重要な指標をリアルタイムで追跡し、それらのデータを基にROIを正確に計算できます。
マーケティング担当者は、各広告プラットフォームにアクセスせずとも各広告キャンペーンのパフォーマンスを把握できるため、より効果的な広告戦略策定に時間を割くことが可能です。
HubSpotで作成されたオーディエンスの活用
HubSpotの広告管理機能では、HubSpot CRMに蓄積されたデータを活用して、よりターゲットに合った広告配信を行えます。例えば、既存顧客の特徴を持つ人々や特定のアクションを行った人々、ウェビナーに参加した人々など、特定の基準にもとづいたオーディエンスを作成し、そのオーディエンスに対して最適化された広告配信が可能です。
これにより、広告のリーチとエンゲージメントを高め、より効果的なリード獲得が期待できるでしょう。
広告によって創出されたリードへの自動フォローアップが可能
出典:HubSpot
HubSpotの広告管理機能を活用することで、広告から生じたリードに対するフォローアップを自動化し、効率的に購買意欲を醸成することが可能です。また、大量のリードを容易に管理でき、営業チームが手動でリードを割り当てる必要がなくなります。
また、広告シーケンスの作成ツールを使用することで、カスタマージャーニーの各段階に応じた、ターゲットに最適化された広告キャンペーンの展開が可能です。さらに、HubSpotの埋め込みワークフローやリードの同期機能を利用することで、リードが適切なタイミングで適切な担当者に自動的に割り当てられます。
5つのアトリビューションレポートの活用
HubSpotの広告管理機能では、5つのアトリビューションレポートを活用できます。アトリビューションレポートは、マーケティング活動が最終的なコンバージョンにどのように貢献しているかを明らかにするものです。
HubSpotでは、以下の5つのアトリビューションモデルを提供しています。(詳細は後述します)
- First web session(初回フォーム送信)
- Influenced first form submission(最初のウェブセッション)
- First form submission(影響を受けた最初のフォーム送信)
- All form submission(すべてのフォーム送信)
- Re-engagement(再エンゲージメント)
これらのレポートを活用することで、マーケティング担当者は広告キャンペーンのどの部分が最も効果的であるかを判断し、将来のキャンペーンの最適化に役立てることができます。結果として、より効率的で成果の高いマーケティング戦略を実行するための洞察を得ることが可能です。
HubSpot広告管機能の料金プラン
HubSpot Marketing Hubは、企業のニーズや目的にあわせて複数の料金プランを提供しています。広告管理機能は無料プランから利用できますが、有料プランにアップグレードすれば、さらに広告運用やマーケティング業務を効率化する便利な機能の利用が可能です。ここでは、無料プランと有料プランでできることについて詳しく解説します。
無料プランでできること
HubSpotの無料プランでは、Marketing Hubの基本的な機能を利用することができます。これには、広告管理機能も含まれており、広告キャンペーンの作成と追跡、基本的なレポート機能の利用が可能です。
基本的な広告活動に必要な機能が提供されていることから、特に小規模なビジネスや初めてHubSpotを使用するユーザー、MAツールや広告管理ツールを模索中の企業に適しています。
<主な機能>
- 全ての広告タイプの広告管理
- 月間2000件までのEメールマーケティング
- リターゲティング広告
- 最大3件までのレポートダッシュボード
- フォーム(制限あり)
有料プランでできること
有料プランでは、マーケティング活動を効率化する高度な機能や広告管理機能を利用できます。例えば、詳細なレポート機能、高度なオーディエンス管理、カスタマイズオプションが含まれます。
企業のニーズや規模に応じて複雑な広告戦略に対応するため、詳細なデータ分析を行いたい中規模から大規模なビジネスに最適です。以下の表では、Marketing Hubの各プラン価格と主な特徴をまとめました。価格や機能については、2024年3月時点のものですので、最新情報はHubSpotの公式ウェブサイトにて確認してください。
広告アカウントとの連携方法
HubSpotの広告管理機能では、既存の広告アカウントとの連携が可能です。具体的には、Facebook(Instagram)、Google、LinkedInなどの主要な広告プラットフォームをサポートしているため、連携することで各広告キャンペーンの管理と分析が効率的に行えるようになります。
ここでは、それぞれのプラットフォームとHubSpotを連携させる方法を見ていきましょう。
Facebook広告アカウントと連携
Facebook広告アカウントとHubSpotを連携するには、Facebook広告アカウントがアクティブであることと、HubSpot内の広告ツールの公開アクセス権が付与されていることが必要です。
上記の条件を満たした上で、以下の手順で広告アカウントの連携を進めてください。
1.HubSpotアカウントにログインし、歯車マークの設定メニューをクリックします。
2.左のサイドメニューから、 「マーケティング」>「広告」の順に選択します。
3.「広告アカウント」タブから、「アカウントを接続」をクリックします。
4.ダイアログで「Facebook」を選択し、アカウント認証を行います。
出典:HubSpot
このプロセスを完了すると、Facebook広告のパフォーマンスデータがHubSpotに表示され、広告キャンペーンの効果をより詳細に分析できるようになります。
エラーになった場合やその他詳細については、HubSpotナレッジベースをご覧ください
参考:HubSpotナレッジベース|Facebook広告アカウントをHubSpotに接続する
Google広告アカウントと連携
HubSpotでは、個々のGoogle広告アカウントを連携できます。注意点としては、Google広告マネージャーアカウントは連携できません。したがって、Google広告アカウントが複数存在する場合は、それぞれ個別にHubSpotと連携する必要があります。
1.HubSpotアカウントにログインし、歯車マークの設定メニューをクリックします
2.左のサイドメニューから、 「マーケティング」>「広告」の順に選択します
3.「広告アカウント」タブから、「アカウントを接続」をクリックします
4.ダイアログで「Google広告」を選択します
5.ポップアップが表示されるので、Google広告アカウントと紐づいているメールアドレスでGoogleアカウントにログインします
6.Google広告アカウントの一覧が表示されるので、HubSpotと連携するアカウントを選択し、「接続」をクリックします
連携が完了すると、Google広告の成果をHubSpot内で追跡し、広告キャンペーンの最適化に役立てることができます。もし、一覧画面にGoogle広告アカウントが表示されない場合、Google広告の接続要件を満たしていない可能性があります。
詳しくは、HubSpotナレッジベースをご覧ください。
参考:HubSpotナレッジベース|Google 広告アカウントをHubSpotに接続する
LinkedIn広告アカウントと連携
LinkedIn広告アカウントとHubSpotを連携する場合、以下の手順で進めます。
1.HubSpotアカウントにログインし、歯車マークの設定メニューをクリックします
2.左のサイドメニューから、 「マーケティング」>「広告」の順に選択します
3.「広告アカウント」タブから、「アカウントを接続」をクリックします
4.ダイアログで「LinkedIn」を選択します
5.ポップアップが表示されるので、接続するLinkedInアカウントにログインします。権限を確認後、「許可」をクリックしてください。
LinkedIn広告アカウントの連携方法に詳しく知りたい方は、HubSpotナレッジベースをご覧ください。
参考:HubSpotナレッジべース|LinkedIn広告アカウントをHubSpotに接続する
リード獲得広告のフォームとHubSpotを同期する方法
HubSpotに、Facebook(Instagram)、LinkedIn、Google広告などの広告アカウントを連携すると、リード広告キャンペーンをHubSpotの広告ダッシュボードに自動的に同期することが可能です。これにより、リードの管理が効率的に行えるようになります。
ただし、Google広告に関しては、過去の見込み客のデータは同期されないため注意が必要です。ここではリード獲得広告フォームとHubSpotを同期する方法を解説します。
1.HubSpotアカウントにログインし、歯車マークの設定メニューをクリックします
2.左のサイドメニューから、 「マーケティング」>「広告」の順に選択します
3.「リードの同期」タブから、「接続」をクリックします
4.ダイアログボックスで同期する広告ネットワークを選択し、リードを同期させます
リード同期が上手くできない場合は、各広告アカウントのアクセス権限やフォーム上の問題が考えられます。詳細はHubSpotナレッジベースをご覧ください。
参考:HubSpotナレッジベース|リード獲得広告フォームからHubSpotにリードを同期する
5つのアトリビューションレポート
出典:HubSpot
HubSpotのアトリビューションレポートとは、マーケティング活動がリード獲得や顧客獲得にどのように貢献しているかを理解するためのツールです。HubSpotでは、異なるアトリビューションモデルを用いて、マーケティングのタッチポイントが最終的なコンバージョンに与える影響を分析します。ここでは、5つの主要なアトリビューションレポートについて詳しく見ていきましょう。
初回のフォーム送信
「初回のフォーム送信」のアトリビューションレポートは、広告をクリックし、初めてフォームを送信したコンタクトを表示します。このレポートでは、リードが最初に関心を示したコンテンツやキャンペーンを特定するのに役立ちます。
これにより、リード獲得の初期段階で最も効果的なマーケティング活動を理解し、そのような活動にリソースを集中させることが可能です。
最初のウェブセッション
「最初のウェブセッション」のアトリビューションレポートは、広告をクリックし、ウェブサイト上で最初のセッションを行ったコンタクトを表示します。このレポートは、リードが最初に訪れた際にどのマーケティングチャネルやコンテンツによって引き寄せられたかを明らかにします。
これにより、ウェブサイトへのトラフィックを増やすための効果的な戦略を策定するのに役立ちます。
影響を受けた最初のフォーム送信
「影響を受けた最初のフォーム送信」のレポートは、広告をクリックしたコンタクトが、後日初めてフォームを送信したことを明らかにします。
初回のフォーム送信と似ていますが、クリックした広告と最初のフォーム送信が異なる場合があるため、どの広告が影響を与えたか正確に理解することが可能です。
すべてのフォーム送信
「すべてのフォーム送信」のアトリビューションレポートは、広告をクリックしてからコンバージョンに至った全てのコンタクトを表示します。このレポートは、ウェブサイト全体でどの広告がコンバージョンに貢献したかを理解するのに役立ちます。
再エンゲージメント
「再エンゲージメント」のアトリビューションレポートは、HubSpotアカウントでコンタクトになった後、広告をクリックした既存のコンタクトを明らかにします。このレポートは、既存のリードや顧客を再度活性化させるのに効果的なマーケティング活動を特定するのに役立ちます。
HubSpotで広告管理機能を利用する際の注意点
出典:HubSpot
HubSpotの広告管理機能は多くのメリットがある一方、利用する際にはいくつかの注意点もあります。ここでは、広告管理機能を利用する際の注意点を2つ解説します。
Googleのディスプレイ広告はトラッキングのみ可能
HubSpotでは、Google検索広告キャンペーンの作成と管理が可能ですが、Googleのディスプレイ広告に関しては、トラッキングのみとなります。パフォーマンスの追跡と分析はHubSpotを通じて行うことができます。
このため、ディスプレイ広告のキャンペーンをHubSpotで効果的に追跡するためには、Google広告プラットフォームで広告を設定し、HubSpotでトラッキングしてレポートを作成する必要があります。詳細は、HubSpotナレッジベースをご覧ください。
参考:HubSpotナレッジベース|HubSpotでGoogle広告をトラッキングしてレポートを作成する
自動トラッキング
HubSpotで広告のトラッキングを行うためには、自動トラッキングを有効にする必要があります。これにより、広告のクリックやコンバージョンなどの重要なデータが自動的にHubSpotに転送され、広告のパフォーマンスをリアルタイムで追跡し分析することが可能です。
自動トラッキングを有効にすることで、広告キャンペーンの効果を正確に測定し、より効果的な広告戦略を策定することができます。自動トラッキングの方法は、HubSpotナレッジベースをご覧ください。
参考:HubSpotナレッジベース|HubSpotでの広告のトラッキング
Yahoo!広告は連携が提供されていない
Yahoo!広告は、Google広告と並び、国内で多くの企業や個人に利用されていますが、残念ながら現在(2023年12月時点)では、Yahoo!広告の連携機能は提供されていません。
しかし、Yahoo!広告のパフォーマンスを追跡し分析する方法があります。HubSpotコミュニティで、Yahoo!広告からのコンバージョンを計測するためのヒントやアイデアが共有されています。詳細な方法については、下記のHubSpotコミュニティページを参照してください。
参考:HubSpotコミュニティ
本記事では、HubSpotの広告管理機能について解説しました。広告管理機能を活用することで、広告キャンペーンの作成から実行、分析までを一元的に行うことが可能になり、マーケティング活動の質を大幅に向上させることができるでしょう。
特に、HubSpotの提供する豊富なアトリビューションレポートでは、広告クリックがコンバージョンに至ったかを正確に理解することが可能です。ただし、Googleのディスプレイ広告やYahoo!広告との直接的な連携は提供されていないため、利用時には自社が利用している広告に適合しているか確認しましょう。