.png?width=1000&height=400&name=%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0%E8%A8%98%E4%BA%8B_%E3%83%90%E3%83%8A%E3%83%BC%20(58).png)
インバウンドマーケティングとは、「ターゲットが求めている情報を率先して提供することで、ロイヤルティの高い顧客を惹きつける」マーケティング手法です。企業本位の一方的な売り込みではなく、顧客にとって価値あるコンテンツを通じて信頼関係を築いていくことがビジネス成長を促すポイントとなります。
統計によると、インバウンドマーケティングにおいて見込み客獲得にかかるコストは、従来のアウトバウンド手法と比較して平均61%低くなることがわかっています。世界中の組織の74%はマーケティングにインバウンドのアプローチを取り入れているという事実からも、現代を生き抜く企業にとっての有効性が伺えるでしょう。
本記事では、近年ますます重要性が高まっているインバウンドマーケティングについて、概念や事例、実践のステップなどを解説しています。
インバウンドマーケティングを実現するうえで有益なツール「Marketing Hub」の活用法も紹介するため、自社の業績アップを目指すマーケティング担当者の方はぜひ参考にしてください。
インバウンドマーケティングとは
インバウンドマーケティングは、ブログやSNSなどを通じて顧客の役に立つ情報を発信し、信頼関係を築いていくマーケティング活動です。
以下では、インバウンドマーケティングを理解するうえで欠かせない「インバウンド思想」について紹介したうえで、従来型のアウトバウンドマーケティングとの違いなどを解説します。
インバウンド思想とは
インバウンド思想とは、顧客にとって価値ある情報を提供することで長期的に良好な関係を築き、結果として自社に利益が還元される状態を目指す考え方のことです。
マーケティングに限った手法ではなく、営業やカスタマーサービスなど、あらゆるビジネス活動を顧客中心に設計して信頼関係を築き、組織の成長につなげていく考え方を「インバウンド」と呼びます。
インバウンドのコンセプトは「相手に必要とされる情報を提供し、まず役に立つこと」であり、企業が顧客の注意を無理に引こうとする従来の広告手法とは対になる思想です。
インバウンド思想では「顧客の成功が自社の成功に直結する」という考え方のもと、顧客が目的を達成できるようあらゆる手段を講じて支援することを重視します。
「インバウンドマーケティング」とは
インバウンドマーケティングは、世界的なCRMベンダーである米HubSpot社の共同創業者、Brian Hulligan(ブライアン・ハリガン)氏らが提唱したマーケティング手法です。インバウンド思想を根底にターゲットのニーズに寄り添うことで、ロイヤルティの高い顧客を惹きつけるコンセプトとして近年特に注目を集めています。
具体的には、Web上で公開する良質なコンテンツ(ブログ、動画、eBookなど)にSEO(検索エンジン最適化)を施すことでターゲットを惹きつけ、自社および製品・サービスが顧客の課題解決手段になり得ることを認知してもらいます。
その後も継続して顧客視点に立ったアプローチを続け、信頼関係を築いていくと、やがて顧客は「推奨者」となり新たな見込み客を呼び寄せてくれます。
こうしてひとりでに回転を続ける好循環を生むことが、インバウンドマーケティングの特徴です。
従来のマーケティング手法「アウトバウンドマーケティング」との違い
アウトバウンドマーケティングは、ダイレクトメールやテレビCMなどで企業から一方的に情報発信を行い、顧客の獲得を目指すマーケティング手法です。
インバウンドマーケティングが「情報を求めているターゲットに見つけてもらう」ことを目指しているのに対し、アウトバウンドマーケティングは「相手の意思にかかわらず売り込む」という行動を取ります。
対象者や施策の違いは以下のとおりです。

アウトバウンドマーケティングは幅広い認知が狙える一方で、情報に興味のない人々にとっては迷惑なアクションになるリスクがあります。
ただし、ターゲットや事業のフェーズによって最適な手法は変わります。どちらが優れているかという視点ではなく、両者の特徴をふまえた適切な使い分けが重要です。
インバウンドマーケティングが注目される背景
インターネットが普及する以前、消費者は企業のマス広告を受け取って意思決定をする受動的な存在でした。そのため製品・サービスのブランド価値は、企業側で比較的容易にコントロールできたのです。
しかし検索エンジンやSNSの発達により、現代の消費者は自身が求めている情報を能動的に収集し、自ら情報発信ができる立場になりました。実際、人々の購買行動の93%はオンライン検索から始まるとされています。
口コミサイトやレビューなどから、自身に有益な情報を取捨選択することが当たり前になった世の中において、企業本位なメッセージは消費者に届かなくなりました。
なお、アメリカのコーポレート・エグゼクティブ・ボードが発表したThe Digital Evolution In B2B Marketingによると「BtoBでは顧客の購買プロセスの57%が、営業担当者に会う前にすでに終わっている」ことがわかっています。
現代ではBtoC市場の顧客のみならず、BtoB市場の顧客までもが情報収集や課題の抽出を自ら行うようになっており、インターネット上で自社を見つけてもらわなければ取引のスタート地点にすら立てない時代になっているのです。
このような背景から、インバウンドはマーケティング戦略において不可欠な手法として重要視されています。
インバウンドマーケティング事例
インバウンドマーケティングを上手に活用するためには、実際の成功事例を参考にするのが効果的です。以下では、インバウンドマーケティングを活用してビジネスを成功に導いた事例を3つ紹介します。
HubSpot
出典:HubSpot
2006年にブライアン・ハリガン氏とDharmesh Shah(ダーメッシュ・シャア)氏によって設立されたHubSpotは、インバウンド マーケティング ソフトウェアの大手ベンダーです。世界 (オンライン マーケティング テクノロジー分野) では第5位にランクされており、マーケティング分野におけるリーディングカンパニーとしての地位を確立しています。
HubSpotがインバウンドマーケティングにおいて特に注力しているのが、ブログコンテンツの制作です。数千にも及ぶブログ記事が、ターゲットを検索エンジン経由で惹きつけます。
ブログコンテンツには関連するCTAやオファーが組み合わされており、見込み客が求めている情報を豊富に用意することで、個人の連絡先情報を効率的に入手しているのです。
さらに2007年には「Website Grader」という無料のウェブサイト評価ツールをリリースし、数百万もの見込み客情報を集めることに成功しました。Website Graderは、評価したいサイトのURLとメールアドレスを入力するだけで、数秒以内に1~100点のスコアと改善すべきポイントを教えてくれるツールです。
HubSpotの共同創設者であるダーメッシュ・シャア氏は、Website Graderがブランドにもたらした効果について以下のように述べています。
「シンプルで小さなツールは、何百万もの人々のWebサイトを改善し、その過程でHubSpotを1万5000人以上の顧客と16億ドル以上の市場価値を持つ上場企業に育てました。」
|
インバウンドマーケティングの原動力は「顧客にとって価値あるコンテンツを届けること」だと示した事例です。
参考:ARCS & CURVES「4 Real Life Inbound Marketing Case Studies [With Actual Data & Examples]」
バラク・オバマ

出典:国務省「Barack Obama」
2008年のアメリカ大統領選挙において、Barack Obama(バラク・オバマ)氏は、資金力のあるライバルに打ち勝つためにインバウンドマーケティングを活用しました。
ヒラリー・クリントン氏が行うメール配信やテレマーケティング、DMなどのマス広告には太刀打ちできなかったため、既存の手法にとらわれずにまったく新しいマーケティング戦略を打ち出したのです。
オバマ氏は有権者であるか否かにかかわらず、すべての市民にデジタルメディアを通じてアプローチを行いました。「ストーリーテリング」の手法で支持者を惹きつけ、説得力のあるマーケティングメッセージを発信し続けたのです。その際、彼らが作成したコンテンツは途方もない量だったといいます。
さらに、オバマ陣営はReddit(アメリカの掲示板型ソーシャルニュースサイト)へ投稿を行うことで、インバウンド戦略を加速させます。「Ask Me Anything(なにか質問ある?)」というトピックを立ち上げ、人々と双方向のコミュニケーションを図ったのです。
結果としてこれはTwitter(現X)のトレンドトピックとなり、Redditへのトラフィック量がサイトをクラッシュさせる事態にまで発展しました。
オバマ氏の事例では、多額の資金を費やさずとも、戦略的に作成された双方向性のあるコンテンツを活用することで、ターゲットの心を動かせることが証明されたといえるでしょう。
参考:Brandingmap「‘This Seat’s Taken’ – Obama’s Inbound Marketing Strategy」
株式会社サカエ

出典:株式会社サカエ
株式会社サカエは、ものづくり企業に向けた技術サービスを提供する商社です。静岡県浜松市に拠点を置く同社にとって、より多くの企業へ自社の価値を提供するうえでは「インバウンドマーケティング」が有効な一手でした。
具体的には、HubSpotを活用してコーポレートサイトのリニューアルを行うと同時に、オウンドメディアやメールマガジン、フォーム機能を活用したアンケートなどを駆使し、デジタルマーケティング経由の新規案件数の増加に努めました。
「商材との相性は良いが過去に取引がない」といった企業を20社挙げ、パーソナライズしたメールを送信することで、より幅広く同社の価値を届ける取り組みにも注力しています。
結果として、年間の問い合わせ数が240%アップ。そのうちの85%は、完全な新規の顧客でした。専門的なBtoB商社という性質上、単にセッション数を狙うのではなく、情報を必要としている見込み客にピンポイントで価値を届ける戦略が功を奏したといえます。
メールの開封率も140%ほどに上昇し、顧客一人ひとりに価値ある情報を提供する姿勢が効果的であることが証明されました。
参考:HubSpot導入事例|株式会社サカエ
インバウンドマーケティングの実践ステップ

引用:HubSpot
インバウンドマーケティングを実践する場合、顧客へのアプローチは以下3つの段階を踏んで行います。
- Attract(惹きつける)
- Engage(信頼関係を築く)
- Delight(満足してもらう)
段階ごとの具体的な施策を詳しく見ていきましょう。
Attract(惹きつける)
「Attract(惹きつける)」段階では、価値あるコンテンツの提供を通じてターゲットを惹きつけ、企業への信頼性を高めます。価値あるコンテンツとは、相手の抱えている課題や達成したい⽬標との関連が強いコンテンツを指します。
さらに、求めている成果を「最も効率的に手に入れる方法」を、専⾨家の視点から教示することも必要です。提供すべき具体的なコンテンツや内容には、以下のようなものがあります。

施策の効果をより高めるうえでは、それぞれのコンテンツへSEO(検索エンジン最適化)の実施が欠かせません。
SEOを実施することで、検索結果で自社のコンテンツが上位表示されるようになります。結果としてターゲットは、自身にとって最適なコンテンツを「自ら」見つけることができるのです。
こうして惹きつけられた人々は自社が提供するソリューションと相性が良いため、購入確度の高い優良な見込み客となります。
Engage(信頼関係を築く)
見込み客と信頼関係を築くには、自社と「長期に渡って関係性を築きたい」と思ってもらうことが大前提です。自社になんらかの興味を持ってメールや電話をしてきた相手に対し、「Engage(信頼関係を築く)」段階では一対一の対応を行うよう努めましょう。
その際は、「製品を販売する」のではなく「相手の問題や課題を解決する」という意識で接することを忘れてはなりません。そうすることで、顧客と自社双方にとってメリットが大きい関係性を築くことができます。
Delight(満足してもらう)
「Delight(満足させる)」段階では、製品やサービスの提供後も長期に渡って支援を継続します。顧客の期待を常に上回るサービスを提供し続けることで、満足度を高く保つ工夫が大切です。
顧客満足を追求するうえでは、以下のような施策が有効に働きます。
- 顧客にとって最適なタイミングでチャットボットによる活用支援を行う
- 定期的に満足度アンケートを行いサービスの改良に生かす
- SNS上で顧客とコミュニケーションを取る
どのような状況でも常に丁寧な対応を心がけることで、顧客は自社のサービスを周囲の人に紹介してくれるようになります。こうして生み出された新たな見込み客によって、「Attract(惹きつける)」段階へつながるサイクルが構築されるのです。
インバウンドマーケティングを実現するMarketing Hub
インバウンドマーケティングを成功に導くためには、マーケティング活動を効率化する専用ツールが欠かせません。
以下では、インバウンドマーケティングを提唱したHubSpot社のマーケティングオートメーション(MA)ツールである「Marketing Hub」の概要と、実践の各段階で活用できる機能を紹介します。
HubSpotのMarketing Hubとは

出典:HubSpot
HubSpotは、マーケティング・営業・カスタマーサービス向けの支援ツールを統合したプラットフォームです。そのなかに構成されているMarketing Hubは、多くのユーザーをウェブサイトに呼び込み、マーケティング活動を促進させるソフトウェアとして機能します。
マーケティングに必要なツールとデータがすべて1つのプラットフォームに集約されるため、部門間の連携やデータの統合がスムーズになることが特徴です。
HubSpot社は、顧客の役に立ち、思いやりを大切にしながらビジネスを成長させるというミッションを実現するうえで、「インバウンド」の思想を創業時から大切にしています。
そして、彼らが提唱・実践してきたインバウンドマーケティングをあらゆる企業で実現できるよう提供されているのが、MAツールであるMarketing Hubなのです。
≪関連記事≫
・HubSpot Marketing Hubとは?インバウンドマーケティングを実現するMarketing Hubの機能や価格、事例について解説!
Attractの段階で活用できるMarketing Hub機能

出典:HubSpot
「Attract(惹きつける)」段階で呼び込むユーザーは誰でも良いわけではありません。最終的に自社の製品・サービスに満足してもらえるようなターゲットに対し、相手が求めている情報を、最適なタイミングで提供できるコンテンツを用意することが大切です。
Marketing Hubに搭載されている「SEO&コンテンツ戦略ツール」は、自社とユーザーにとって重要なトピックの見極めや検索順位・権威性の向上に役立ちます。関連性・競合状況・人気度をもとに提案されるおすすめのトピックを参考にコンテンツを作成することで、検索エンジンに評価されるウェブサイトを作成可能です。
加えて、以下のような機能がユーザーの心をつかむうえで役立ちます。

上記の各取り組みにおいてレポート・分析が活用できるため、より予算を投入すべき要素や改善事項を把握しつつ施策を実行可能です。
Engageの段階で活用できるMarketing Hub機能

出典:HubSpot
顧客は企業に対し、自身が使いやすいチャネルでスムーズなやりとりができることを望んでいます。
HubSpotで利用できる「コミュニケーション管理ツール」では、EメールやFacebook Messenger、チャットボット、チームの共有アドレスなどを通じたコミュニケーションをひとつの受信トレイで一元管理できます。対応の抜け漏れを防ぐとともに、返信が迅速化することによって顧客体験の向上に役立つでしょう。
さらに、Marketing Hubの以下のような機能が、顧客一人ひとりのニーズにマッチしたアプローチを行う際に活用できます。

見込み客の情報を効率的に収集し、カスタマージャーニー全体のパーソナライズを実施することで、顧客ロイヤルティを高めましょう。
Delightの段階で活用できるMarketing Hub機能

出典:HubSpot
顧客の満足度を維持するためには、適切な内容を適切なタイミングで一人ひとりに届けるきめ細やかな対応が必要です。
Engageの段階でも活用した「コミュニケーション管理ツール」の受信トレイは、マーケティング、営業、カスタマーサービスの部門間で共有されます。チームメンバーで協力しながら、顧客に最適なコミュニケーションを図りましょう。
さらに、「マーケティングオートメーションツール」を活用して施策を自動化すれば、より多くの顧客に、より多くの最適なメッセージを届けられるようになります。
リマインダー機能によって製品購⼊後の顧客が望んでいた成果を得ているかどうかを確認することや、ターゲットを絞って複雑なプロセスのフォローアップを実施することも、マーケティングオートメーションを活用すれば簡単に実現可能です。

顧客が友人や家族へ自社を推奨したくなるような、パーソナライズされた対応を継続して行いましょう。
インバウンドマーケティングを学ぶおすすめリソース
インバウンドマーケティングの知識を収集する際は、体系的に学べる教材を選択することが大切です。以下では、インバウンドマーケティングを基礎からしっかり身につけたい方におすすめのリソースを紹介します。
書籍「インバウンドマーケティング」

出典:Amazon
「インバウンドマーケティング」は、HubSpotの会長兼共同創業者であるブライアン・ハリガン氏と、最高技術責任者(CTO)兼共同創業者であるダーメッシュ・シャア氏による著書です。
インバウンド思想を提唱した両名から、インバウンドマーケティングの概念や知識を1から学べます。自社でインバウンドマーケティングを実践し、成果をあげるために必要なノウハウや手法を具体的に習得可能です。
インバウンドマーケティングを体系的に学ぶことができるため、まずはこの本から知識を網羅的に収集することをおすすめします。
HubSpot社が提供する無料コース

出典:HubSpot
HubSpot社の「HubSpotアカデミー」では、キャリアアップとビジネスの成長を目指す担当者に向けたオンライントレーニングを無料で提供しています。なかでも「インバウンドマーケティング認定コース」は、インバウンドマーケティングへの理解を深めたい担当者におすすめのコースです。
24個の動画から構成される7つのレッスンで、以下の内容を体系的に学習します。
- バイヤージャーニー向けのコンテンツ作成を通じたリード醸成
- 価値あるコンテンツ作成と顧客それぞれに合わせた体験を創出
- オートメーション戦略とAIを活用したマーケティングプロセスの最適化
レッスン修了後は認定証が授与され、専門知識と学習姿勢を示す証としてキャリアアップに活用できます。
HubSpotアカデミーのオンライントレーニングは、アカデミーアカウントを作成するだけで受講可能です。クレジットカードなどの決済情報も不要なため、インバウンド手法を用いてビジネス戦略を策定したい方はぜひ活用してみてください。
まとめ
本記事では、インバウンドマーケティングの基礎から実践ステップ、HubSpot Marketing Hubの機能などを紹介しました。インバウンドマーケティングを成功させるためには、顧客がカスタマージャーニーのあらゆる段階で目的を達成できるよう支援することが重要です。
「顧客の成功=自社の成功」という方程式を常に念頭に置きつつ、最適なツールを用いて長期的な目線で施策を実行していきましょう。
ぜひ本記事で紹介した内容を参考に、自社のビジネスを加速させる基盤を整えていただけますと幸いです。