ブログ
Blog

自社に最適なMAツールの選び方を解説!選定時のポイントや注意点も紹介

自社に最適なMAツールの選び方

MA(マーケティングオートメーション)ツールは、マーケティング業務の効率化やリードナーチャリングの自動化に有効なツールです。しかし、「導入したものの使いこなせなかった」「機能が多すぎて運用が大変だった」といった失敗例も少なくありません。

実際、MAツール導入企業の51%以上が「活用しきれていない」と感じていることが、株式会社イノベーションの調査で明らかになっています。多くの企業が「導入したが、期待した効果を得られなかった」という課題を抱えているのです。

あなたも「自社に最適なMAツールはどれなのか?」と悩んだことがあるのではないでしょうか。せっかく導入しても、運用が難しくて成果につながらなければ意味がありません。後悔しないためにも、選定のポイントを押さえることが重要です。

そこで本記事では、自社に最適なMAツールを選ぶためのポイントや注意点を詳しく解説します。導入後に後悔しないためにも、適切なツールを見極める方法を学び、マーケティング業務の効率化と成果向上を実現しましょう。

MAとは

マーケティングオートメーション、略して「MA」という言葉はさまざまなシーンで語られますが、そもそも具体的に何を指しているのか、まだはっきりとイメージが湧かないかもしれません。「MAって聞いたことがあるけれど、何だか難しそう」と感じていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。

簡単に言えばMAは、マーケティング活動全体を効率化し、見込み客を育て、結果として売上や顧客満足度を高めるためのツールです。では、ここからはもう少し深掘りしてMAの正体に迫っていきましょう。

MAとは

MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動全般を効率化・自動化し、見込み客の獲得から育成、顧客化、さらに既存顧客のロイヤルティ向上までをトータルでサポートするためのツールです。

現代のマーケティングは多くのデジタルチャネルを駆使する必要があります。メール配信、SNS運用、Web広告運用、ブログ記事などはどれも重要なチャネルですが、これらをすべて手動で行うのは非効率であり、顧客にとって最適なコミュニケーションを届けるのも困難です。

マッキンゼーのレポートによれば、71%の消費者は「パーソナライズされたコミュニケーションに期待をする」と回答する一方、76%は「パーソナライズされた体験が得られない場合に不満を感じる」と回答しています。

マッキンゼーのレポート

出典:マッキンゼー

パーソナライズ体験の重要性は増しており、その実現にMAが大いに有効です。後ほど詳しく解説しますが、MAを導入すれば、特定の資料をダウンロードした顧客にはこのメールを送る、メールを3回連続で開封した顧客には無料デモの招待をするといったパーソナライズ施策の自動化を行えます。

MAを使えば誰でも手軽に顧客獲得ができるというほど単純なものではありませんが、適切に使いこなせば、ビジネスを加速させる大きな原動力になるでしょう。

【関連記事】
MA(マーケティングオートメーション)わかりやすく解説!基礎知識や機能、事例など紹介

MAの歴史

MAは2000年代に入ってから注目されるようになりましたが、前身となる考え方や技術はそれ以前から存在していたと言われています。

たとえばメールマーケティングの自動化や顧客データ管理の効率化といった考えは、インターネットが一般に普及した1990年代後半から徐々に取り入れられてきました。そこにSFA(Sales Force Automation:営業支援)やCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)などの概念が加わることで、より網羅的なマーケティング支援を行える仕組みとしてMAが確立されていきました。

なぜこうした仕組みが求められるようになったかと言えば、メールやWebサイトなどを活用したデジタルマーケティングが台頭するにつれて、膨大な数のリードや顧客データを扱う必要に迫られたためです。すでに実感されているかもしれませんが、顧客データが増えるほど、マーケティング業務の負担が大きくなります。

たとえば、Excelやスプレッドシートで顧客情報を管理し、どの顧客にアプローチするのかを判断する業務1つとっても、リード数10人と1,000人では負荷が異なります。このような結果として、「もっと効率的に見込み客を管理したい」「最適なタイミングでアプローチをしたい」というニーズが高まり、MAの必要性が急速に広がっていきました。

2000年代初頭にはアメリカのマーケティングテクノロジー企業がMAの概念をビジネスとして確立し、そこから世界各国に広まっていきました。近年ではクラウド技術の発展により、初期導入コストが抑えられるMAツールが増え、数名規模の企業から大企業に至るまで、広く導入が進んでいます。

現在の国内・世界でのMAシェア

では、現在国内や世界でどのようなMAツールがシェアを獲得しているのでしょうか。

MAツール市場には多種多様なプレイヤーが存在し、世界的にはSalesforceやAdobe、Oracle、HubSpot、Marketoなどがシェアを争っています。特にSalesforce、Adobe Experience Cloud、Oracle Marketing Cloud、Welcome、HubSpotなどはガートナーやフォレスターなどのアナリスト評価でもしばしば名前が挙がるリーダー的存在として知られています。

Statiscaの調査によれば、2024年7月時点のMA世界市場のトップがHubSpotで34.72%、次いでOracle Marketing Cloud(7.31%)、Welcome(7.24%)と続きます。

Statiscaの調査

出典:Statisca

国内市場に目を向けると、アメリカ系ベンダーのMAツールが大きな存在感を示す一方で、SATORIやb→dash、List Finderといった国産MAツールも多くの企業に導入され始めています。国産ツールは日本の企業文化や商慣習に合わせた使い勝手が特徴であったり、手厚いサポート体制が整備されていたりすることから、導入ハードルが比較的低いです。

MAの基本的な機能

ここからはMAを導入すると具体的にどのような業務が変わるのかを、代表的な機能を通じてイメージしていただきたいと思います。

リードジェネレーション

リードジェネレーションとは、自社にとって価値のある見込み客を獲得する手法のことです。資料請求フォームや問い合わせフォームの設置、セミナーやウェビナーの開催、メールマガジン登録の促進など、さまざまなチャネルから見込み客情報を集める仕組みづくりが重要になります。

MAには、フォームやLP(ランディングページ)作成機能が組み込まれていることが多く、効率的にリード獲得の導線を設計することが可能です。また、見込み客がどのような経路で接触してきたのかを分析することで、「どの施策が多くの見込み客を創出しているのか」を客観的に判断できます。

新規見込み客の獲得が急務である場合、まずは適切な誘導経路を整備することと、MAを活用して集まった見込み客データを分析することが肝要です。これによって、マーケティングの予算配分が最適化しやすくなるでしょう。

リードナーチャリング

見込み客は必ずしもすぐに購買や契約に至るわけではなく、十分な情報提供や課題意識の醸成が必要なケースが多いです。あなたも商材を比較検討する際には、複数の企業の資料やウェブサイトを見比べ、時にはウェビナーに参加して知識を深めることがあるのではないでしょうか。

この長い購買期間中に、見込み客との接点を維持しながら、購買意欲を高める手法がリードナーチャリングです。MAでは、セグメント分類やコンテンツ配信のパーソナライズ化、メールの自動配信などでナーチャリングを効率化します。たとえば、資料請求をしたリードに対して「1週間後に別の活用事例を送信」「2週間後に導入企業のインタビュー記事を案内」といった流れをあらかじめ設定しておけば、自動で見込み客との接点を維持できます。

さらに、売上高10億円以上の金融業にウェビナーを招待するなどのセグメント配信をすることで、パーソナライズ化したコンテンツを届けることも可能です。

リードクオリフィケーション

見込み客をただ集め、育成するだけではなく、その中から有望度の高いリードを優先的に抽出し、効率的に営業へ引き渡すことも重要です。この工程をリードクオリフィケーションと呼びます。

MAを使えば、Webサイトでの行動履歴やメールの開封・クリック歴、ダウンロード資料の内容などの行動データをもとに、各見込み客の購買意欲を判断することが可能です。顧客属性だけでなく、顧客の行動データを把握できる点にこそMAツールの強みがあります。製品ページの閲覧、メルマガの開封など顧客行動の裏にある動機を発見することで、効果的なクオリフィケーションが可能になります。

また、MAにはリード行動をもとに自動でスコアを算出するスコアリング機能があります。たとえば、料金ページの閲覧は5ポイント、メルマガ開封は2ポイントといった具合です。リードスコアリングがあれば、数百という見込み顧客がいたとしても自動で有望度の高いリードを抽出できるため、インサイドセールスや営業はより確度の高い見込み客にリソースを注力できるようになります。

業務の効率化・自動化

リードナーチャリングやスコアリングといった機能を活用すれば、マーケティング担当者の負担を大幅に軽減できるため、より生産性の高い業務へ注力できるようになります。

たとえばメール配信の自動化ひとつとっても、人力で一人ひとりの行動タイミングを把握して最適なメッセージを送ることは容易ではありません。しかしMAの自動化ワークフローを組めば、「資料をダウンロードしたタイミングでお礼メールを即時送信する」「あるページを一定回数閲覧した見込み客に事例資料を案内する」といったきめ細やかな対応が可能です。

こうした自動化を行うことで、マーケティング担当者や営業担当者はより生産性の高い業務に注力できるようになります。

さらに、最近ではAI機能を搭載したMAツールも増えており、過去のデータをもとに自動で最適な施策を提案したり、顧客セグメントを自動生成したりできるのです。特に大規模な顧客データを扱う企業や、変化の早い市場でビジネスを展開している企業にとっては、こうしたAIの力を活用することでマーケティングのスピードと精度がさらに高められます。

MA選定時に確認するべきポイント

では、これからいざMAを導入しようと考えたときに、どんな観点からツールを選べばよいのでしょうか。ここでは、MAを選定する際に確認しておきたいポイントを順番に見ていきます。

基本機能

一般的なMAツールの機能としては、メール配信の自動化や顧客データ管理、リードスコアリング、LP作成などが挙げられます。

ただし、各ツールが独自の強みを持っているのも事実なため、特定のマーケティングチャネルに注力している場合、そのチャネルとの連携機能や管理がどの程度充実しているかを優先的に確認したほうがよいでしょう。

たとえば、購買プロセスの長いBtoBビジネスであれば、高度なメールマーケティング機能やウェビナーを効率化する機能を持つMAが相性がよいかもしれません。逆にSNSを積極的に活用しているBtoC企業であれば、SNS連携や広告管理機能が充実しているツールを選ぶことで、より高い費用対効果を得られる可能性があります。

UI(ユーザーインターフェース)

MAツールは多機能であるがゆえに、学習コストがかかります。

初めてMAツールを導入するにもかかわらず、操作画面がわかりにくい場合、実際に使う担当者は学習に大きな時間と労力を取られ、本来注力すべきマーケティング戦略の立案やクリエイティブな業務に手が回らなくなるかもしれません。よくあるケースが、複雑な操作性ゆえに現場に浸透しないというもの。

特に社内に専門エンジニアがいなかったり、マーケティングチームの人数が少なかったりする場合は、直感的でわかりやすいUIのMAを選ぶことが重要です。

HubSpot Marketing HubのEメール作成画面

(HubSpot Marketing HubのEメール作成画面。ドラッグ&ドロップ操作で作成可能)

複数MAツールの無料デモに申し込み、実際に活用するメンバーに操作性と機能性を評価してもらいましょう。また、操作性を重視する場合は、機能がシンプルなツールを導入するのも1つの手です。

サポート体制

弊社は多くの企業のMAツール導入を支援してきましたが、どの企業も必ずどこかでつまずきます。初期設定でつまずくケースがあれば、運用開始後にトラブルで困るケースもあります。これは海外製MAだけでなく、国内産のMAでも同様です。そのため、サポート体制を確認しておきましょう。

ベンダーによっては専任のコンサルタントがつくパッケージプランを用意していたり、導入支援のサービスを充実させていたりすることもあります。「自社の人材だけで高度な運用が難しい」と感じているなら、サポート体制の充実度を優先順位の高い項目に設定すると安心です。

Salesforceのコミュニティ

Salesforceのコミュニティ

HubSpotやSalesforceなどはユーザーコミュニティも活発で、導入企業同士が情報交換できるフォーラムや勉強会を開催しているため、ユーザー同士で学び合える強みがあります。さらに市場シェアが多いことから、公式パートナーの数も豊富なため、スムーズな運用に期待可能です。

MA導入実績

MAツールの有効な活用法は、業種やビジネス規模によって異なります。

SaaSのスタートアップ企業は、リソースが限られているため、確度の高い見込み客を中心にアプローチすることが重要なため、スコアリング機能が重要となるでしょう。一方、検討期間が長い不動産や建設業の場合は、資料請求やモデルハウス来場者の行動を時系列で把握し、ローンや税制優遇に関するコンテンツを段階的に送るシナリオを設定することで長期的に顧客を教育し、商談の取りこぼしを防ぐ施策が有効です。

このようにMAツールの活用法は異なるため、自社と業種やビジネス規模が近い企業での導入事例が豊富にあるベンダーを選べば、成功パターンや失敗パターンを早い段階で学べるかもしれません。

HubSpotの事例検索

HubSpotでは業種や企業規模などで事例検索が可能)

さらに、すでにユーザー数が多いツールであれば、そのぶん製品の信頼性や改善のサイクルが早いというメリットが期待できます。具体的には、自社と近い企業の成功事例を見ることで、具体的な使い方や効果的な活用法を学べるでしょう。

マルチチャネル対応

現代の顧客は、検索エンジン、SNS、動画サイト、口コミサイトなど、複数のチャネルを横断しながら情報収集をしています。そのため、特定のチャネルに依存したマーケティングでは、接触機会を逃し、潜在顧客を取りこぼすリスクがあります。

こうした機会損失を防ぐためにも、MAツールがマルチチャネルに対応しているかどうかを必ずチェックしましょう。

たとえば、メール配信・ウェビナー運営・SNS広告の管理を一元化したい場合、それらのチャネルを統合的に運用できるMAツールを選ぶことが重要です。チャネルごとに異なるツールを使っていると、データが分散し、顧客の行動を正しく把握できなくなる可能性があります。

社内のシステムとの連携

MAツールを選定する際は、社内のシステムとの連携性を確認しましょう。

マーケティング部門だけがMAツールを活用していては、データが分断する恐れがあります。代表的なリスクが、マーケティング部門と営業部門の連携が薄れてしまうことです。

せっかくマーケティング部門が購買意欲の高い見込み客を創出しても、適切なタイミングで営業に引き渡しできなければ、成約率の低下へとつながります。フロントオフィス部門の主な目標は、見込み客の獲得ではなく、成約数を伸ばすことです。そのため、他のシステムとの連携を行えるMAツールを選定するようにしましょう。

特に営業部門がほかのSFAやCRMを利用している場合、以下3つのいずれかのアプローチをとる必要があります。

  • 既存システムと連携できるMAツールを選択
  • MAツールと連携できる新システムを営業部門が導入
  • MAツールとSFAツールの両方と連携できるCRMを導入

HubSpotとSalesforceの連携イメージ

(HubSpotとSalesforceの連携イメージ)

各システムがスムーズに連携することで、たとえば込み客のステータスが変化したタイミングで自動的にSFAへ情報が渡ったり、営業担当が商談結果を登録した瞬間にまたMA側へフィードバックされたりと、リード管理が一元化しやすくなります。

BtoBとBtoC

BtoBでは購買プロセスが長期化する傾向にあり、複数のステークホルダーが意思決定に関与することも少なくありません。一方でBtoCでは、購買までのスピードが比較的速く、顧客一人ひとりの関心や購買履歴などをどれだけ細かく把握できるかが勝負になりやすいです。

MAツールにも「BtoBに特化している」「BtoCとの相性が良い」などの特性があるため、自社のターゲットや商材に合ったMAを選定することが重要です。実際に導入事例を参照して、どんな企業が成果をあげているかを確認するとミスマッチを避けやすくなります。

価格

MAは無料から高額なエンタープライズ向けプランまで幅広く存在するため、予算や導入目的と照らし合わせて、最適な価格帯を探すことが重要になります。ただ単純に安価なMAを選んだ場合、「必要な機能が含まれていない」「サポート範囲が限定的で運用に苦労する」などのリスクが浮上し、うまく運用できない可能性があります。

反対に高機能すぎるMAを選んでしまうと、運用に必要な人材や料金などが想定以上に増大してしまうかもしれません。特に多いのが「エンタープライズプランを選択したものの機能を十分に活用できていない」というもの。自社に必要以上の機能のあるMAツールを選択するのは費用対効果悪化の原因となります。

こうしたギャップを回避するためには、まず「自社はMAをどう活用し、どんな成果を望むのか」を明確化して、最小限必要な機能と追加であれば便利な機能を切り分けて検討することが賢明です。

AI機能

生成AIの発展により、多くのMAツールがAI機能の搭載を始めています。たとえば、メールやSEOなどのコンテンツ作成機能、購買や契約に至りそうな見込み客を予測する機能など、AIが組み込まれたMAはマーケティング業務のさらなる効率化へと貢献します。

HubSpotのAI「Breeze」

HubSpotのAI「Breeze」

ただし、AIは進化しているとはいえ、まだまだ人間に及ばないのが現状です。そのため、AIは業務を自動化してくれるツールではなく、業務を大幅に効率化してくれるツールとみなすべきでしょう。

シナリオ別おすすめMA

ここからは、具体的な導入シナリオを想定しながら、「こういう状況ならこのMAが合うのではないか」という形でいくつかのおすすめツールを紹介いたします。シナリオ別おすすめMA

社内に定着することを重視したい

これまで本格的にMAツールを使ってこなかったり、マーケターや営業メンバーのITリテラシーにばらつきがあったりするのであれば、操作性に優れたMAツールやシンプルで使いやすいMAツールの導入を検討しましょう。

HubSpotのMarketing HubはG2ITreviewなどの評価サイトで操作性が高く評価されています。たとえば、ドラッグ&ドロップ操作でWebページやフォーム、Eメール、シナリオなどを作成できるため、MAツールに慣れていない方でも容易に使いこなせるでしょう。また、記事が中心のナレッジベース、動画で学習できるHubSpotアカデミー、導入支援、公式パートナーなどサポート体制が充実している点も強みです。

HubSpot

出典:HubSpot

機能面に関しても、デジタルマーケティングに必要な機能が網羅されており、デフォルトでCRMと連携しているため、初めてのMAツールや中小企業におすすめのMAツールの1つです。

また、株式会社シャノンのMAツールも操作性が高く評価されています。操作性が高いのはもちろん、国産ならではの充実したサポートも心強いです。電話、チャット、メール、画面共有でのサポートのほか、専属のエンゲージメントマネージャーが業務に関するサポートを支援してくれます。マーケティング知識に自信がない方でも、安心してMAツールの運用を行えるでしょう。

株式会社シャノン

出典:株式会社シャノン

社内のITスキルに偏りがあるときには、誰もが同じツールをある程度スムーズに使えるかどうかが定着率を左右しやすいため、操作性を重視して選定をしましょう。

まずはスモールスタートで価格を抑えたい

MAツールを初めて導入する場合や、社内で使いこなせるか不安という悩みがある場合、まずはスモールスタートで価格を抑えながら始めるのがおすすめです。そのためには、ニーズに応じて選べるように複数プランのあるMAツールを比較検討しましょう。

HubSpotは永久無料のプラン、小規模向けのStarterプラン、中堅から大企業向けのProfessional・Enterprisseプランが用意されています。無料プランでもEメールマーケティング、フォーム作成、ブログ記事作成、SEOアドバイスなどの基本機能を使えるため、機能や操作性の確認に最適です。まずは無料またはStarterプランで開始し、、運用に慣れてきたり、リード数が増えたりしたらProfessionalプラン以上にアップグレードするといった運用を行えます。

List Finder

出典:List Finder

BtoB企業向けの国産MAツールList Finderもまた、無料、ライト、スタンダード、プレミアムの4つのプランを用意しているため、スモールスタートで始めて徐々にプランをアップグレードすることが可能です。機能はシンプルに抑えていながらも、最上位のプレミアムプランでも月額92,000円、ユーザーID数が無制限と比較的安価な料金体系となっているのも魅力的でしょう。

自社が小規模で「いきなり大型投資は難しい」と感じているなら、まずはシンプルな機能から試してみて、徐々に運用ノウハウを積み重ねるアプローチが良いかもしれません。

BtoBに特化したMAを活用したい

BtoBに特化したMAを活用したい企業であれば、Oracle Marketing CloudやSalesforce社のAccount Engagement(旧Pardot)にも注目してみるとよいでしょう。これらは長年BtoBマーケティングの現場で使われ続けている実績があり、特に複数のステークホルダーが関わる大規模な商談プロセスで力を発揮しやすいとされています。

Salesforce

出典:Salesforce

たとえばAccount EngagementはSalesforceのCRMと連携できるため、営業チームがリアルタイムでリードのスコアリング状況や行動履歴を参照しながら商談を進めることが可能です。

また、両ツールとも分析機能に強みを持っており、最適な相手に、最適なタイミングでアプローチできるようになるでしょう。エンタープライズ向けのツールということもあり、高価格帯であり学習コストもかかりますが、使いこなせば強力なツールとなります。

BtoCに特化したMAを活用したい

逆にBtoCに特化したマーケティングで成果を出したい場合は、Salesforce Marketing CloudやAdobe Experience Cloudが選択肢に含まれてきます。

Salesforce

出典:Salesforce

Salesforce Marketing Cloudには「Journey Builder」という機能があり、メールやLine、SNSなど多彩なチャネルを連携させながら、顧客一人ひとりの行動タイミングに応じてメッセージを配信できます。たとえば、カートに入れたまま購入していない顧客に通知を配信、誕生日の顧客にクーポンを配信といった設定が可能です。シナリオはドラッグ&ドロップ操作で設計できるため、ITに慣れていない方でも容易に使いこなせます。

Adobe

出典:Adobe

Adobe Experience Cloudもまた、膨大な数のチャネルに対応し、リアルタイムでパーソナライズしたコンテンツを届けられる点が強みです。また、AI機能搭載のDAMにより膨大なコンテンツも容易に管理できます。両ツールともBtoCに向いていますが、基本的には顧客基盤が極めて大きな大企業向けです。

MAだけでなく営業やCSともシームレスな連携がしたい

この場合、連携性の高いMAツールまたは独自エコシステムを構築しているMAツールがおすすめです。たとえば、HubSpotとSalesforceはMAツールだけではなく、SFAやカスタマサポート向のツールも提供しており、独自のエコシステムを構築しているため、複雑な設定不要で各ツールを連携できます。

また、連携性が高いのも特徴です。たとえば、HubSpotのMAツールとSalesforceのSFAを連携させられます。営業やCS部門との連携を強化したいと考えているなら、こうした総合プラットフォームを中心に検討を進めるのも合理的と言えます。

国内産のMAツールを活用したい

国内産のMAツールを活用したい場合は、b→dash、List Finder、SATORIなどが有力な選択肢となるでしょう。先ほどList Finderにも触れましたが、b→dashはカスタマーデータプラットフォーム(CDP)の機能を有していて、大規模なデータ分析に強みを持っています。

SATORIはメール配信の自動化や見込み客の行動追跡を得意としており、国内企業の商習慣に沿ったサポート体制が整っていると評判です。

SATORI

出典:SATORI

たとえば、多くのMAツールは問い合わせや展示会などで入手した氏名や連絡先などの個人情報にもとづいてアプローチをします。しかしSATORIの場合は、まだリード化していない匿名客にもアプローチできるため、顧客基盤の拡大を目指す企業におすすめです。

一方、EC事業者が「b→dash」を使うなら、購買データとWeb行動データを統合し、「カートに商品を入れたまま離脱した顧客」にリマインドメールを送る施策で売上アップを図れます。

国内産のMAツールは、比較的導入しやすい価格帯であることに加え、日本企業向けの手厚いサポート も強みです。導入後の運用に不安がある場合でも、国内ベンダーならではのきめ細かいサポートを受けながら、スムーズに運用を軌道に乗せられるでしょう。

カスタマイズ性と拡張性を重視したい

カスタマイズ性や拡張性を最優先に考える場合は、Oracle Marketing CloudやAdobe Marketo Engageが注目に値します。Oracleは大企業向けのソリューションとして豊富な拡張機能を備えており、独自の業務フローに合わせたカスタマイズ要件が多い企業にも対応しやすいです。

Adobe

出典:Adobe

Adobe Marketo Engageは、API連携や独自の拡張機能が充実しているため、大規模企業が自社のIT基盤に合わせてカスタマイズする場合に強みを発揮します。既存のシステムと深く連動させたり、大量の顧客データを柔軟に扱ったりする必要があるなら、この辺りのハイエンドMAを検討することで、自社独自の高度なマーケティング戦略を実現しやすくなるでしょう。

MA導入時に注意するべきこと

いざ導入に踏み切る際にはどんな点に気をつけるべきか、改めて確認しておくと失敗を回避しやすくなります。導入後に「こんなはずじゃなかった」「せっかくツールを入れたのに成果につながらない」という事態を避けるためにも、社内の準備や運用体制を整えておくことが大切です。

ここでは代表的な注意点について紹介していきます。

見込み客に届ける十分なコンテンツは準備できているか

MAを導入すれば自動的にリードが育ち、商談や契約につながるわけではありません。見込み客はさまざまな疑問や課題を抱えたうえで情報収集をしているため、そのタイミングや関心に合ったコンテンツを提供する必要があります。

極論を言えば、MAツールは顧客にとって最適なタイミングでコンテンツを届けるためのものであり、だからこそ良質なコンテンツがなければ効果を発揮しません。

たとえば、製品やサービスの導入事例、課題解決に役立つホワイトペーパー、あるいは利用イメージがわかりやすい動画コンテンツなど、継続的なアプローチを実現できる豊富なコンテンツが揃っているかどうかが大きなカギになるのです。

コンテンツ制作に十分なリソースを割けない場合は、「MAの導入によってフォローアップや配信は自動化できても、その肝心の配信内容が乏しくなってしまう」という課題が出てくるかもしれません。導入前に最低限押さえておきたいコンテンツをリストアップし、どんなストーリーやシナリオで見込み客とコミュニケーションを重ねたいのかを整理しておくことが大切です。

マーケティングチームと営業チームが上手く連携できるか

MAがカバーする領域は、見込み客の獲得から育成、そして営業への引き渡しという流れが中心ですが、実際にはマーケティング部門と営業部門が別々に動いているケースが少なくありません。このふたつの部門がまったく異なるKPIを追いかけており、コミュニケーション不足で足並みが揃っていなければ、MAの導入効果は半減する可能性があります。

「商談数を増やすのが営業チームの役割」「リードを増やすのがマーケティングチームの役割」と完全に切り分けてしまっているなら、MAを導入する前に両チームの連携ルールや情報共有の仕組みを見直すのが先決でしょう。

具体的な例として「リードの優先順位や引き渡し条件を明確に設定しておく」「定期的なミーティングやレポート共有を仕組み化する」などの施策が推奨されています。MAを導入する前にこうした連携手段を準備しておくことで、運用開始後の成果を最大化しやすくなります。

MAを運用する社内リソースがあるか

MAはある程度の自動化を実現してくれる一方で、導入や運用の初期段階では設定や検証などに時間を要することが多いです。

たとえば、見込み客をどんな条件でセグメント分けするのか、どのタイミングでどのコンテンツを配信するのかなど、設定作業は決して少なくありません。MAに精通した担当者がおらず、かつ外部リソースに予算を割けないようであれば、実運用に乗せるまでに時間がかかるかもしれません。

特に高度なスコアリングやAI機能を活用するには、過去のデータ分析やシナリオ設計など、専門的な知識やノウハウが必要になることもあります。そういった意味では、導入時に外部コンサルを活用したり、ベンダーのサポートプランを積極的に利用したりして、社内に運用ノウハウを取り込む仕組みを作っておくとスムーズでしょう。

MAの運用を継続的に改善する体制を作れるか

MAを導入して終わりではなく、運用を続けるなかで得られるデータをもとにPDCAを回し、メール配信のタイミングやコンテンツ内容、スコアリングの基準などを繰り返し見直すことで、成果をさらに高められます。

逆に言えば、MAの導入をしても、改善サイクルが回せないまま放置してしまうと、最初に作ったルールやシナリオが形骸化し、MAが持つ力を活かしきれない事態に陥るかもしれません。

スピード感のあるマーケティング施策を頻繁に打ち出す意識を醸成し、MAのデータを積極的に活用して、小さなトライアルと改善を繰り返すことで大きな成果を狙いやすくなるのです。

まとめ

MAツールは、マーケティング業務の効率化を図り、顧客に最適なタイミングでコンテンツを届けるための強力な支援ツールです。しかし、市場には多種多様なMAツールが存在するため、適切な選定基準を持つことが不可欠です。

選定の際に重視すべきポイントは、機能、操作性、拡張性、他ツールとの連携性の4つです。自社のマーケティング戦略に適したツールを見極めるために、複数のMAツールの無料デモを活用し、実際に運用する社員の評価を参考にしましょう。

渋谷 真生子

株式会社100(ハンドレッド)のマーケター。新卒でグローバルヘルスケア企業で営業を経験し、セールスフォースにてBDRとして地方企業の新規開拓に携わる。コロナ渦でインバウンドマーケティングの重要性を実感し、アイルランド ダブリンにあるトリニティカレッジの大学院にてデジタルマーケティングの学位取得し現在に至る。最近はかぎ針編みにハマり中。

We are HubSpot LOVERS

ビジネスの成長プラットフォームとしての魅力はもちろん、
HubSpotのインバウンドマーケティングという考え方、
顧客に対する心の寄せ方、ゆるぎなく、そしてやわらかい哲学。
そのすべてに惹かれて、HubSpotのパートナー、
エキスパートとして取り組んでいます。
HubSpotのこと、マーケティング設計・運用、
組織の構築など、どんなことでもお問い合わせください。

HubSpotのことならお任せください

お問い合わせフォーム