HubSpotブログとはHubSpot社が提供する製品で、ブログの作成や作成した記事(コンテンツ)の管理ができるツールです。こちらの章ではそもそもHubSpotとは何か、HubSpotのブログツールについて解説します。
出典:HubSpot
HubSpot(ハブスポット)とは、企業が行うマーケティング、営業、カスタマーサクセスなどを支援するためのクラウド型のソフトウェアサービスです。2005年にアメリカのHubSpot社によって開発され、世界120ヵ国以上、167,000社の企業に使用されています。(2023年8月現在)
HubSpotは5つの製品で構成され、一連のマーケティング活動におけるリードジェネレーション(見込み顧客の発掘)、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)、セールス(営業)、カスタマーサクセスの業務をサポートしてくれます。
また、HubSpotのメリットにおける大きな特徴は、最大5ユーザーまで永久無料でCRMの多くの機能を利用できる点です。以下に、無料で利用できるCRMの機能の一部を紹介します。
完全無料で開始できるので、コストやリスクをかけずにCRMをまずは使ってみたいといった企業に非常に向いています。また、さまざまな料金プランを用意しているので、ビジネスの成長に合わせてスタートアップや中小企業から大企業まで幅広くHubSpotを活用しています。
HubSpotのブログとは、HubSpot社が提供する5製品の中の「Content Hub」の一つの機能を指します。
HubSpotのブログ機能は、ブログコンテンツの執筆や書式設定、編集が簡単であるという特長があります。テンプレートを使用してブログを作成できるカスタム性の高い機能を有することで、専門的なノウハウがなくても誰でも簡単にブログを作成できる利点があります。
良質なブログを作成し、ソーシャルメディア(SNS)やWeb検索など、多様なチャネルを通して読者の獲得へつなげていきます。
さらに、Marketing Hubや、Sales Hubなど、HubSpotが提供する他のツールや機能とも連携しやすいため効果的に情報を発信でき、マーケティング活動を効率的に行えるようになります。
<関連記事>
・【新機能解説】HubSpot Content Hubとは?CMSとコンテンツマーケティングの機能を解説
HubSpotのブログでは、主に以下のようなことを実現できます。
それぞれの機能をよく理解することで、リードに対して最適なアプローチができるようになります。
HubSpotでは、トピッククラスターの管理を可視化できるため、最適なコンテンツ管理ができるようになります。トピッククラスター(モデル)とは、サイト全体の評価を向上させるためのSEO対策です。
サイト内の記事数が多くなってくると、カテゴリーごとに記事を管理したり、内部リンクを設置したりと管理がとても煩雑になってきます。サイトのSEO効果を効率的に高めるためには、複数の記事を適切にカテゴリー分けし、最適な内部リンクを設置する必要があります。
記事をカテゴリーごとに整理すると、訪問者が欲しい情報を見つけやすくなることで、良質なサイトとして再訪を繰り返してくれるようになるのです。
適切な内部リンクを設置できるようになれば、訪問者が自サイトの他の記事へ遷移することで長く自サイトにとどまってくれるようになり、検索エンジンの評価が上がります。
ユーザーと検索エンジン双方のニーズに対応するよう、コンテンツの最適な状態に保つトピッククラスター管理はとても重要です。
HubSpotのソーシャル機能を活用すればSNS(ソーシャルメディア)との自動連携を行えます。たとえば、新しい記事をアップするごとに「X(旧Twitter)」でメッセージを自動投稿できます。
リード(見込み顧客)の獲得には、SNSマーケティングが効果的です。SNSを通して、企業とユーザーが直接コミュニケーションを取れるようになり、それまでアプローチできなかったユーザー層へも情報を発信することができます。
HubSpotのソーシャル機能には、以下のような機能が搭載されています。
これらの機能を活用することで、SNS上の膨大な情報を効率的に選別でき、ターゲットへ最適なアプローチができるようになります。
HubSpotではSEOの最適化が可能です。ユーザーの検索結果へ大きな効果を与えると考えられる、おすすめのSEO対策を提示してくれるのです。
また、更新が必要なページや、Webサイトの検索順位の改善状況を確認できます。具体的には、以下のようなSEO最適化ができるようになります。
検索エンジンは、サイトの記事がグループごとに整理されているかを評価します。HubSpotのSEO&コンテンツ戦略ツールでは、関連性、競合状況、人気度を基におすすめのトピックに基づいて、ニーズの高い記事の作成が可能となります。自社と訪問者にとって重要なトピックを見極め、そのトピックにおける検索順位を向上させられます。
また、Google Search Consoleと連携することも可能です。Google Search Consoleで取得したデータをHubSpot内で使用できるため、両ツール間を何度も往復する手間を省けます。
HubSpotブログでは、レスポンシブデザインにも対応しています。レスポンシブデザインとは、ユーザーのデバイスの画面サイズに合わせてページのレイアウトを最適化するデザインのことを指します。
スマートフォンやタブレットなど、パソコン以外からのネット利用が増加したことによって、ユーザーがどのデバイスを使用しても記事を読める状態であることが非常に重要です。
HubSpotでは、ブログの分析をすることが可能です。一般的にブログの分析には、GoogleアナリティクスなどのWeb解析ツールを使用し、トラフィックや獲得できたリードの状況を確認します。HubSpotでは、ブログの作成から分析まで一貫して行えるため、他のツールと横断して何度も切り替える必要がありません。
アナリティクス機能も搭載されており、コメントやPV数、インバウンドリンクを確認して分析できます。収集したデータから、どのようにすればさらに多くのユーザーにブログを読んでもらえるのか分析でき、より多くの訪問者を獲得することにつながるのです。
パーソナライズドマーケティングとは、見込み顧客一人ひとりの属性、趣味や嗜好、サイト内での行動履歴や購入した商品などの過去データから、最適な情報やサービスを提供するしくみづくりを意味します。
HubSpotブログに搭載されたパーソナライズマーケティングを活用することで、ニーズの高いターゲットに対してマーケティング活動を行えるようになります。
たとえば、すでにCRMにコンタクト情報がある場合、ブログ閲覧をトリガーとしてステップメールを送信することが可能です。Eメールのキャンペーンを使用し、エンゲージメントを増やすことにつながるのです。
全てのリードに対して一斉に情報発信をするのではなく、パーソナライズされた最適な情報を提供することで、ターゲットが求めている情報に絞って提供できるようになります。
HubSpotのブログ機能には、プロンプト(指示文)やトピックを入力すると自動でAIがブログ記事の生成を行う機能があります。
ブログ記事執筆には、記事作成のみならず、キーワードリサーチ、構成案作成といった作業を行う必要があり非常に時間のかかるプロセスです。HubSpotのAI機能を活用することで、アイデアだしから構成案の作成、ブログ記事生成まで時間を短縮して実施することが可能です。
最終的には人の目で修正、確認が必要にはなりますが、継続して運営するオウンドメディアなどにおいて非常に便利な機能と言えるでしょう。
HubSpotのブログ作成・管理システム「Content Hub」は、特別な技術的知識がなくても簡単に設定や編集を行えるメリットがあります。
さらに、Marketing HubやSales Hub、Service Hubなどと連携をすることで、効率的かつ効果的なマーケティング活動を行えるようになります。
この章では、HubSpotでブログを作成するのに最適なケースを紹介します。
HubSpotのブログ機能は、誰でも簡単にブログ記事を作成できます。HTMLやCSSの知識がなくても、ドラッグ&ドロップで非常に簡単に操作が可能です。
ブログサイトの画面デザインであるテーマ(テンプレート)も、数百種類から選ぶことが可能です。扱う商品やサービスによって、自サイトのイメージにマッチしたデザインを探すことができます。
出典:HubSpot
AMP(Accelerated Mobile Pages)が標準でサポートされているため、ページの表示を高速化し、モバイルユーザーの利便性を向上することが可能です。難しい設定や技術ノウハウを必要とせず、ブログサイトを構築できる点は大きなメリットです。
また、HubSpotブログの編集機能は、スマートフォンやパソコンなどのデバイスによってプレビューを表示でき、どのデバイスでも問題なく動作するかどうかを確認しながら編集できます。
出典:HubSpot
実際に表示されるデザインを確認しながら画面を作成できるため、コーディングなどの特別知識を必要とせずにWebサイトを構築できます。モジュールをドラッグ&ドロップで好きな位置へ移動させられるため操作も簡単です。
HubSpotのSEO機能では、トピッククラスターコンテンツを可視化して管理できるという大きな特長があります。
トピッククラスターとは、サイトの評価を上げるためのSEO対策です。
それにより、たとえば以下のようなメリットを享受できます。
サイト全体の構造が整理されることで、訪問者は自分の欲しい情報をいち早く見つけられるようになることでみつけることができ、自サイトへ長くとどまってくれるようになります。
HubSpotは、月間別の検索数や検索クエリをトピックごとに確認でき、人気度、関連性、競合性を基にしておすすめのトピックが提示される機能が備わっています。それにより、どの対策を行うことで検索の上位表示に与える影響が大きいのかを把握できるようになります。
デジタルマーケティングに力を入れたいケースにもHubSpotは活躍します。
ブログへの訪問者の行動履歴を参照し、パーソナライズされた情報をユーザーへ発信することができます。
たとえば、ダウンロードされたホワイトペーパーの内容から類似したサービスや商品の情報をメールしたり、自社アプリよりおすすめの新製品のお知らせを通知したりすることも可能です。
デジタルマーケティングの経験がない人でも、HubSpotを使用することで仕組みや手法を理解し、自サイト独自のマーケティング手法を確立することにつながるでしょう。
会社の規模によって、オウンドメディア運営にかけられる予算は決まってきます。会社の予算によって4つの異なる料金プランが用意されているので、自社にあった料金、機能を選定することができます。
無料版でも基本的なSEO対策から、Webサイトのトラフィックの分析まで行えるため、まずは無料版を試してみましょう。
■HubSpot「Content Hub」グレード別料金・機能一覧(※2024年4月時点)
また、Starter版では無料版の全ての機能に追加して、HubSpotのロゴ削除やWebチャットとEメールによるメーカーサポートが備わっています。月額費用も1,800円~とリーズナブルなため、無料版でトライアルを実施し問題なければStarter版へアップグレードするという手法もあるのではないでしょうか。
ここまでHubSpotのブログでできること、おすすめのケースについて触れてきました。ここでは、ブログの作成ツールとしてよく知られている「WordPress」とHubSpotを比較すると、どのような違いがあるのかについて解説します。
引用:WordPress
WordPressとは、CMS(Contents Management System)、コンテンツ管理システムです。ブログ管理システムとも呼ばれ、2003年に開発が始まったオープンソースのソフトウェアです。
無料で使用できるため初心者でも扱いやすく、全世界の43%のサイトがWordPressで作成されているほどのシェアを誇っています。無料のテーマも複数用意されており、ブログを作成するには十分な機能が備わっています。本格的にブログやコラムを始めたい場合は、有料のテーマもあります。多くの企業が有料のテーマを制作し販売されています。
簡単な操作でWebページを作成できるので、ホームページの作成ツールとして多くのユーザーに利用されています。HTMLやCSSのような専門知識がなくても、MicrosoftのWordを使用しているかのような操作感でホームページの作成が可能です。
利用者が多い分、使い方を解説しているWebサイトや書籍も多いことも人気の要因となっていると言えるでしょう。
また、WordPressは開発に参加することも可能です。多くのエンジニアが開発や改修に参加しているため、不具合が発生しても比較的修正が早く、ソフトウェアのアップデートも頻繁に行われているため安心して利用できます。
HubSpotのContent Hubと、WordPressブログ機能の大きな違いは提供形態にあります。
HubSpot Content Hubは、SaaS(Software as a Service)として提供されます。つまりクラウド型のソフトウェアサービスで、ユーザーは使用したいグレードのサービスを選択し、料金は月額制で支払うサブスクリプションサービスのような製品です。
クラウド型サービスのため、サーバーを自分で用意する必要がありません。サーバーの運用や管理、最新のセキュリティ対策などは全てHubSpot社が実施します。そのため、サーバーの初期費用や保守、管理の必要がなく、導入までの期間を大幅に短縮できます。
一方のWordPressは、サーバーを自分で構築する必要があります。サーバーは、オンプレミス型とクラウド型があります。
オンプレミス型は、物理的なサーバーを自分で構築しなければならないため多くの初期費用を要します。クラウド型のレンタルサーバーを契約する場合、物理的な機器を用意する必要はありませんが、WordPressのインストールなど初期設定は自身で実施する必要があります。
SEO対策やセキュリティ対策は、プラグインと呼ばれる拡張機能を自分でWordPressへ追加する必要があります。
Webサイトの表示速度を早くするプラグインや、バックアップを取得するためのプラグインなど、必要最低限のプラグインを自分で調べてインストールしなければなりません。
サーバー構築やSEO対策、セキュリティ対策などの知識の無い初心者が準備するためには、設定方法などを調査する時間や手間が多くかかります。これらの人件費をどのように考えるかが選定の大きなポイントです。
また注目すべき点はHubSpotのContent HubにはCMS機能だけではなく、ブログ記事生成、ブランドボイスといったコンテンツマーケティングを実施する上で非常に便利な機能が搭載されている点です。
■HubSpot Content HubとWordPressの違い
HubSpotでブログを作成するには、Content Hubへ直接文字を記入する方法と、事前にMicrosoftのWordやGoogleドキュメントで作成した記事をインポートするという2通りがあります。
ここでは、HubSpot Content Hubへ直接文字を記入する方法を分かりやすく解説します。
HubSpotアカウントにてログインし、画面上部のメニューの「マーケティング」から「ウェブサイト」へ進み、「ブログ」をクリックします。
右上の「作成」をクリックします。
すると以下の画面が表示されるので、「ブログ記事を作成」をクリックします。
次のコンテンツの画面で「設定」をクリックし、設定画面へ進んだ後に以下を設定します。
■タイトル:
ネットで検索した際に複数の検索結果が表示され、どの記事を読もうかと悩んだとき、特に惹かれるタイトルの記事を選ぶことも多いのではないでしょうか。
よってタイトルは読者が記事を選ぶ際の重要な基準となります。訪問者が読みたくなるような魅力的なタイトルを作成しましょう。
■ブログのURL:
画面右上の「設定」をクリックします。
すると以下の画面がポップアップされるので、左サイドメニューの「全般」を選択します。
「記事URL」の欄にブログのURLを設定します。
ブログのURLは、取得する「.com」や「.jp」などのドメインを含めたその記事(ページ)を表すためのものです。たとえば、https://xxx.jp/yyy/zzz のようになります。
https://xxx.jp/の部分は、新たにドメインを取得する際に社名を使用するのか、ブログ名にするのかを決定します。
yyy/zzzの部分は、たとえば「/blog/how-to-use-hubspot」とします。意味は、「/ブログ/HubSpotの使い方」となります。
ここでの注意点は、日本語で記載しないことです。日本語で記載すると、GoogleクローラーがブログのURLを認識できなく、何のブログかを分かってもらえないからです。
■メタディスクリプション:
メタディスクリプションとは、検索結果が表示された際、ブログタイトルの下に表示される100文字程度の記事の概要です。訪問者は、タイトルの次にメタディスクリプションを読むことで、自分の知りたいことを解決してくれる記事かを判断します。
タイトル同様、ユーザーがクリックしてくれるかどうかの重要な役割を果たします。記事の全体像が分かり、読みたくなるような文章を作成します。
同じく「設定」画面から、左サイドメニューの「メタデータ」をクリックし、「メタディスクリプション」へ文章を記入します。
■本文の作成:
本文は、MicrosoftのWordのような感覚で記入できます。
「大見出し」「中見出し」「小見出し」の設定は、画面左上の「▼」をクリックするとプルダウンが表示されます。
「フォント」「文字サイズ」その他文字の装飾などは、こちらから設定できます。
ここまでHubSpotでブログを作成する方法について触れてきましたが、ブログを作成する際にはいくつかの注意点があります。自社にとって問題のない範囲であるかを確認しましょう。
HubSpotでブログを作成する際、無料プランでは、LPとフォーム、ブログページのフッターにHubSpotのロゴが表示されます。ブランディングのため、ロゴを表示させたくない場合は「Starter」以上の契約が必要です。
SNSへのシェアは、有料プランのみ利用が可能です。Professional、またはEnterpriseを契約する必要があります。
より広いユーザー層へ情報を発信するためには、SNSマーケティングが効果的です。費用対効果を十分に考慮した上で、必要あれば有料プランを選択することもアイデアのひとつです。
HubSpotのブログ機能は、ブログの作成から編集・管理を行えるクラウド型のソフトウェアサービスです。SEOの最適化やブログの分析、SNSとの自動連携もできるため、リードに対して最適な情報を最適なタイミングで発信できます。MAツールや営業支援システムなど、他のHubSpot製品との連携も可能なため、一連のマーケティング活動をサポートしてくれます。
ブログを作成してオウンドメディアを運用する際は、HubSpotのブログ管理システムを試してみてはいかがでしょうか。
HubSpotのブログ機能をもっと詳しく知りたい方は、多くの企業のHubSpot導入・活用支援経験がある弊社が執筆した『HubSpot大百科』がおすすめです。HubSpotの設定やノウハウが詰まっており、これからブログ機能の活用を始める、より使いこなしたいと考えているご担当者さまに最良の一冊です。ぜひ、お手に取ってみてください。
渋谷 真生子
株式会社100(ハンドレッド)のマーケター。新卒でグローバルヘルスケア企業で営業を経験し、セールスフォースにてBDRとして地方企業の新規開拓に携わる。コロナ渦でインバウンドマーケティングの重要性を実感し、アイルランド ダブリンにあるトリニティカレッジの大学院にてデジタルマーケティングの学位取得し現在に至る。最近はかぎ針編みにハマり中。
ビジネスの成長プラットフォームとしての魅力はもちろん、
HubSpotのインバウンドマーケティングという考え方、
顧客に対する心の寄せ方、ゆるぎなく、そしてやわらかい哲学。
そのすべてに惹かれて、HubSpotのパートナー、
エキスパートとして取り組んでいます。
HubSpotのこと、マーケティング設計・運用、
組織の構築など、どんなことでもお問い合わせください。