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HubSpotのチャットボットとは?機能、メリットから作り方や無料版と有料版の違いなど幅広く解説

HubSpotのチャットボットとは?機能、メリットから作り方や無料版と有料版の違いなど幅広く解説

チャットボットは、顧客とのコミュニケーションやトラブル対応の効率化やコスト削減につながるツールです。自社サイトへの導入を検討中という方も多いのではないでしょうか。

実際にチャットボットの普及は急速の進んでおり、世界におけるチャットボットの市場規模は、2022年で42億8,000万米ドル、2028年までに137億7,000米ドルに達すると予測がされています。年平均成長率予想はは21.5%にも及びます。

そこで、この記事では、無料で導入できるHubSpot チャットボットの基本からHubSpotでの作成手順、無料版と有料版の違いに至るまで幅広く解説していきます。HubSpotのチャットボットの活用を検討されている方はぜひ参考にしてください。

チャットボットとは

デジタルマーケティングの領域で注目を集めるチャットボット技術。そのなかでも、HubSpotのチャットボットはユーザーや企業とのコミュニケーションを円滑にしてくれるため、多くのビジネスシーンで活用されています。

ここではチャットボットの基本的な意義と、チャットボットが注目される背景について見ていきます。

チャットボットとは

チャットボットは、チャット(会話)とロボットを組み合わせた言葉で、人間のようにロボットがチャットを通じて自動的にコミュニケーションを行うプログラムです。

テキストや音声を用いて人間と同様の会話を実現し、顧客の問い合わせに自動で応答したり、簡単な情報提供を行ったりなどの機能があります。特に24時間365日の稼働が可能なため、企業の対応力向上に貢献しています。

HubSpot社のホームページに行くと右下に表示され、質問内容によって回答が自動化され、必要であれば担当者に連絡ができるようになっています。

HubSpot社ホームページ チャットボット

 

なぜチャットボットが注目されるのか

調査によると、チャットボットの世界市場は規模は2023年で54億ドル、2028年には155億ドルに到達すると予測されており、市場の平均年成長率は23.3%増と推移する見込みです。日本市場においても、今後拡大していくと言われています。

なぜチャットボットの活用が日本でも急速に進んでいるのか、その背景は何でしょうか。日本市場においては、日本特有の背景が存在しています。

日本においては働き方改革による働き方の見直し、生産性向上への取り組みなどが挙げられます。またチャットボットの活用は日本が抱える「労働人口」の減少における人材不足への解決策になると期待がされています。国立社会保障・人口問題研究所によると生産年齢人口とも称される15〜64歳の人口は2032年、2043年、2062年にはそれぞれ7,000 万人、6,000 万人、5,000 万人を割り、2070 年には 4,535 万人まで減少すると予測されています。労働人口が減少を続け高齢化社会が加速する日本においては業務を効率化し一人当たりの生産性を向上する動きが必要です。

HubSpotチャットボットとは

 HubSpotとは

HubSpotはインバウンドマーケティングやセールス、カスタマーサービスを一元管理できるCRM(Customer Relationship Management)で、アメリカのHubSpot社が開発しています。

このプラットフォームは企業のマーケティングやビジネスの成長をサポートし、効果的な顧客関係を築くために利用されています。

HubSpotの主な機能

HubSpotには、主に以下のような製品があり、それぞれの目的に合わせて選択できます。

HubSpot 製品群

これらの機能を活用することで、効率的なマーケティング活動や販売促進が期待できます。

HubSpot チャットボットとは

HubSpot チャットボットツール

出典:HubSpot

HubSpot チャットボットは、HubSpotのSales Hubで利用できる機能の一つです。

WEBサイトなどに設置したチャットボットで訪問者とのコミュニケーションを自動化し、カスタマイズできます。利用することで、事前に設定した内容に沿ってユーザーに呼びかけたり、質問に自動で答えたりすることが可能です。そのため、これまでオペレーターやコールセンターで対応していた業務をチャットボットに置き換えられます。また、HubSpotにはチャット機能も備わっているため、担当者と直接やりとりするという利用方法も選択可能です。

2024年2月現在は、単なるシナリオ型のチャットボットですが、HubSpot社は2024年に「AIエージェント」というAIによるチャットボットをService Hubの機能として提供を予定しています。

HubSpot ウェブチャットとの違い

HubSpotにはチャットボットのみならず、「ウェブチャット」機能が存在します。チャットはリアルタイムでウェブサイトの訪問者と対話することを可能とします。これによって、訪問者は質問、疑問をすぐに解決するために、担当者とリアルタイムで対話を行うことができます。ウェブサイトに訪問した見込み客や既存顧客とタイムリーに会話を行うことで、コンバージョンの向上や顧客サポートの質向上が見込まれます。

HubSpot ウェブチャット

チャットボットは自動化されたプログラムをさし、訪問者との対話を自動化し質問や疑問に対する応答や情報提供をあらかじめ用意されたルール、スクリプトをもとに動作します。

HubSpot チャットボットのメリット

HubSpot チャットボットを利用するメリットは以下の通りです。

  • 無料でチャットボットの作成ができる
  • プログラミングやコーディングなどの特別な知識が不要
  • 蓄積した顧客情報をもとに問い合わせ対応ができる

ここからは、3つのメリットを詳しく説明します。

無料でチャットボットの作成ができる

HubSpot チャットボットは無料プランを利用することで、コストをかけずにチャットボットを作成できます。無料プランでも基本的な機能が提供されているため、初めてチャットボットを利用する企業にとって低リスク、低コストで始められる点がメリットです。

HubSpotでは、より複雑な設定をしたい場合や、特定の機能を利用する場合には有料プランへの登録が必要となります。

有料プランへアップグレードする際もビジネスの成長に合わせてスムーズに行うことが可能です。

プログラミングやコーディングなどの特別な知識が不要

HubSpot チャットボットはプログラミングやコーディングの知識がなくても、簡単な操作でチャットボットを設定できることがメリットです。

直感的なインターフェースと豊富なテンプレートが提供されており、初心者でも安心してチャットボットの設定やカスタマイズを行えます。

また、HubSpotには充実したサポートとコミュニティがあるため、困ったときにはサポートに連絡したり、コミュニティで解決策を検索したりすることができます。これは、ユーザーにとって安心への材料となるはずです。

これにより、時間とリソースを節約しながら、効果的な自動応答システムを構築できます。

蓄積した顧客情報をもとに問い合わせ対応ができる

HubSpot チャットボットの導入により、顧客からの問い合わせに対して迅速な対応を実現できます。その結果、ユーザーエンゲージメントの向上を期待できることがメリットです。

ウェブサイト訪問者の質問や要求に対してリアルタイムで対応できるため、訪問者が求める情報を迅速に提供でき、良い印象を与えられます。

また、CRMと統合して利用できるため、これまでに蓄積した顧客情報をもとに問い合わせ先の顧客に合わせた対応ができることも強みです。

自動化されたチャットボットは顧客が抱えている質問や課題解決までの効率を向上させ、顧客満足度を高める助けとなるでしょう。

HubSpot チャットボット 無料版でできること

HubSpot チャットボットの無料版でも、基本的な質問応答の自動化を利用することができます。この機能により、簡単ながらも効率的なカスタマーサービスを提供することが可能です。

無料版では、基本的な質問応答の自動化やシンプルなユーザー誘導、利用者データの収集などが可能となります。

以下にHubSpot チャットボット 無料版でできる主な機能をまとめました。

HubSpot 無料版チャットボット機能

 

基本的な質問応答の自動化

無料版のHubSpot チャットボットでは、基本的な質問応答の自動化が可能です。

訪問者からのよくある質問に対して、事前に設定された応答を提供できます。設置してからも蓄積した問い合わせ内容に合わせて改善することも可能です。

事前に設定された応答を利用することで、チャットボットは訪問者の質問に対して迅速な回答の提供が可能です。サイト訪問者にとっては、求めている情報を素早く手に入れることができる体験となります。

つまり事前に応答内容を設定しておくことは、使いやすいサービスやウェブサイトの提供につながります。

Slackとの連携機能

HubSpotには、コミュニケーションツールSlackと連携できる機能が無料で備わっています。

Slackと連携してユーザーとチャットボットやりとりや問い合わせ内容を確認できるため、担当者がモバイル端末から場所にとらわれずに迅速に対応可能です。

また、HubSpotのアプリを活用してリアルタイムでユーザーへの回答に対応することもできます。

利用者のデータを収集・分析できる

HubSpot チャットボットによって、フォームから収集された情報は、CRMに顧客情報として蓄積し、フォローアップ活動に活用可能です。

また、無料版でも基本的な利用者データの収集が可能なため、サイトの改善やマーケティング活動の参考にすることが可能です。

これにより、チャットボットの効果測定ができるほか、ユーザーとの対応履歴をCRMに蓄積することでサイトやサービスの課題や改善点を見つけるきっかけになるでしょう。

HubSpotチャットボット有料プラン

有料HubSpotチャットボット機能を提供している製品

チャットボット有料プランと提供しているのは、Marketing Hub、Sales Hub、Service Hub、CMS Hubになります。それぞれの製品の有料プランを下記表にまとめました。

HubSpot チャットボット 料金プラン

 

hubspotチャットボット有料プランで行えること

HubSpotチャットボットの有料プランでは、無料プランでは利用できない高度な設定が可能です。この高度な設定により、より洗練されたユーザーエンゲージメントと効率的な業務運営が期待できます。また、有料プランでは「条件分岐(if/then分岐)」や「ナレッジベース検索」など、高度な機能を利用することができます。

以下の表に、有料プランでしかできない代表的な機能と必要なプランをまとめました。

HubSpot チャットボット有料プラン 機能表

上記の表を確認しながら、利用したい機能にはどのプランが必要になるかを確認しておきましょう。

HubSpot チャットボットの作り方

HubSpot チャットボットは顧客とのコミュニケーションを自動化し、ビジネスの効率化を図るツールです。以下に、HubSpot チャットボットの基本的な作り方を10ステップで紹介します。

Step1:ボットテンプレートの種類を確認する

HubSpotには7種類のボットテンプレートが用意されており、それぞれが特定の目的に合わせて設計されています。

まずは、それぞれのテンプレートの概要を以下の表にまとめました。

それぞれのテンプレートの違いが理解できたら、次のステップに進んでいきましょう。

Step2:目的に合うテンプレートを選択する

続いて、HubSpot内のテンプレートライブラリから利用目的に合ったテンプレートを選択するステップです。

今回は、「ゼロから始める」テンプレートを使ってチャットボットを作成する場合のステップを解説します。

具体例として、オンラインソフトウェアを販売する企業が、顧客からの問い合わせやトラブル対応の負担を減らすことを目的に、ウェブサイトにチャットボットを設置する場合の手順を仮定して進めていきましょう。

HubSpotのチャットフロー画面から「チャットフローを作成」をクリックします。

 

今回はホームページ内へのチャットボット設置が目的なので「ウェブサイト」をクリックして進めます。

左側にテンプレート一覧が表示されるので、目的に合ったものをクリックします。今回は「ゼロから始める」をクリックして進めます。

上記のように、各テンプレートの簡単な説明も併せて表示されており、わかりやすい仕様になっています。これを参考に最適なテンプレートを選択しましょう。

Step3:チャットボットのアクションを追加する

テンプレートを選んだら、チャットボットのアクションや質問内容を追加するステップです。

アクションとは、ユーザーの入力に対するボットの反応や、質問をする際のスクリプト(文言)などを指します。

まずはチャットボットがユーザーのメッセージを受信した際に、どの受信トレイにそのメッセージを格納するかを選択します。デフォルトでは「Inbox」となっているため、任意の受信トレイを選択しましょう。

続いて、実際にチャットボットの画面に表示されるメッセージやチャットフローを作成していきます。デフォルトでは歓迎メッセージが表示されるため変更したい方は業務内容に合わせて内容を編集しましょう。

続いて、歓迎メッセージ下部の「+」ボタンをクリックして新規アクションを追加する手順です。

クリックすると、アクションを新規作成して追加・編集ができる画面が右側に表示されます。どのようにユーザーの入力に対してボットが反応するかを設定ができます。

今回は、歓迎メッセージに加えてユーザーが選択しやすいように、新たな質問を追加していきます。

 

Step4:チャットボットのアクションを編集する

続いて、問い合わせの内容をわかりやすくするために、チャットボットのアクションを編集して質問項目を事前に設定していきます。

今回は、ユーザーからのよくある質問を厳選して、以下のように機能面、料金面、ログイントラブルの3つの項目を設定しました。

事前に設定した文言は以下のようにボタンとして表示されます。この設定によってユーザーがわざわざ文章を打ち込む手間を減らして必要な情報を質問できるようになりました。

 

Step5:質問別に表示されるメッセージを変更する

ここまで、ユーザーからの質問パターンを設定してきました。しかし、質問内容に適した内容を返信できなければユーザーの利便性は向上しません。

そこで、次に質問内容に適した返信メッセージやアクションを設定していきます。

右側に表示される「レスポンスに基づいてアクションに移動」を選択すると、顧客がクリックした内容に合わせた返信メッセージをif/then分岐を活用してカスタマイズすることが可能です。

上記のif/then分岐を利用することで、ユーザーの入力に応じて異なるアクションを実行できますが、この機能を利用するにはProfessionalまたはEnterpriseの契約が必要となります。

「ログインできない」と質問したユーザーに対しては、ログインに関するよくある質問ページへのリンクを返信。

「料金について知りたい」と質問したユーザーに対しては、料金一覧表やページを返信するなどの設定をしていきます。

Step6:「対象」を設定する

続いて、「対象」タブの画面からチャットボットがウェブサイトのどのページに表示されるのかを設定していきます。

ウェブサイトのURLでの指定や訪問者の条件や属性を指定することも可能です。

訪問者の条件や属性には、ログインの有無やリスト登録の有無、アクセスしている国などを設定できます。

Step7:「表示」でロゴや動作を設定する

続いて、「表示」タブの画面からチャットボットで表示されるロゴや画像、動作をカスタマイズしていきます。会社のロゴやキャラクターを設定したい場合は「チャットアバターを選択」から変更可能です。

「チャット画面の動作」では、チャットボットの表示形式や動作を設定できます。歓迎メッセージを隠したい場合や、一定の滞在時間が経過してから設定するなども可能です。

また、デスクトップやモバイルなどアクセスするデバイスによっても表示方法を変更できます。

Step8:「オプション」でその他の設定を完了する

「オプション」タブでは、ユーザーが入力した回答や返答など一連のセッションをどのタイミングでリセットするのかを決める「セッションタイムアウト」を設定できます。

また、エラーが発生した場合に表示させるメッセージや言語なども事前に設定できるため、デフォルトの内容から業種や設置箇所に合わせて設定しておきましょう。

 

Step9:チャットボットのテスト

公開前に作成したチャットボットをテストして、問題なく動作するか確認するステップです。

ここで発見された問題点を修正し、ボットの質を向上させましょう。

以下のように「プレビュー」から実際に表示されるチャットボットを確認できます。メッセージを送信して返信内容の精度を確かめることも可能です。

ボットテスト画面でボットの反応を確認しながら、必要に応じてアクションの修正や追加を行いましょう。

Step10:チャットボットの公開と分析

最後のステップとして、テストが完了したらチャットボットを公開します。

公開後も再度、テストと同様にチャットボットが動作しているのかを必ず確認しましょう。

また、公開して終わりではなく、チャットボットの動作やユーザーからのフィードバックを分析し、必要に応じて改善しましょう。

以下はチャットボットのアクセスデータを確認できる画面です。

 

チャットボットの効果を測定し、さらなる改善のためにデータを分析します。

効果測定はチャットボットのパフォーマンスを確認した上で、ビジネスの成果を最大化するためにも重要です。

まとめ

この記事ではHubSpotのチャットボットの概要から作成方法まで、幅広く解説しました。

HubSpotは初心者でも簡単にチャットボットを作成・運用できるプラットフォームを提供しています。

無料版では、基本的な質問応答の自動化から利用者データの収集まで可能です。さらに有料版を利用すれば、高度な対話設定やCRM連携など、ビジネスの成長に合わせた機能を利用可能です。

導入を進める場合は、当記事の内容とHubSpotの公式サイトを参照しながら、実際に自社のビジネスに合ったチャットボットの設計をしてみることをおすすめします。

また、実際のボット作成プロセスに慣れることで、高度なカスタマイズやナレッジベースの活用などにも挑戦してみてください。

HubSpotのチャットボットを活用し、効果的な顧客エンゲージメントと効率的なオペレーションを実現しましょう。

渋谷 真生子

株式会社100(ハンドレッド)のマーケター。新卒でグローバルヘルスケア企業で営業を経験し、セールスフォースにてBDRとして地方企業の新規開拓に携わる。コロナ渦でインバウンドマーケティングの重要性を実感し、アイルランド ダブリンにあるトリニティカレッジの大学院にてデジタルマーケティングの学位取得し現在に至る。最近はかぎ針編みにハマり中。

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