海外売上の比率が上がってくると、CRMの数字に対する経営の見方が変わります。「今期のパイプラインは何億円か」という問いに答えるには、ドル建ての商談とユーロ建ての商談を円に換算しなければなりません。このとき問題になるのは換算そのものではなく、「いつのレートで換算した数字なのか」が部門ごとに違っていることです。営業が見ている見込み額、経理が計上した売上、経営会議に出てくる着地見込み。3つの数字が合わないまま、原因が為替なのか進捗なのか分からなくなります。
HubSpotの多通貨機能は、取引ごとに通貨を持ち、会社通貨に換算した金額を別プロパティーとして保持する設計になっています。この設計を理解していれば、どの数字がどの時点のレートで固定されているのかを説明できます。逆に、設定だけ入れて運用ルールを決めないと、レポートの数字が静かにずれ続けます。
私たちはHubSpotの認定エリートパートナーとして、海外拠点を持つ企業のCRM設計を支援しています。この記事では、2026年10月23日時点の情報をもとに、会社通貨の位置づけ、為替レートの更新方法、取引の通貨と金額の保持のされ方、レポートでの換算タイミング、そして通貨が後から変えにくい設定である理由を整理します。
なぜ通貨は「後から変えにくい設定」なのか?
HubSpotの初期設定の中で、やり直しのコストが高い項目はいくつかありますが、通貨はその筆頭です。理由は単純で、会社通貨が過去の全取引の換算基準になっているためです。基準を動かすと、過去の数字の意味が変わります。
会社通貨は、新しい取引を作成するときの既定の通貨であり、取引金額の合計に使われる『Amount in company currency』プロパティーと、そのフィールドを使うレポートで使用されます。つまり会社通貨は単なる表示設定ではなく、集計の基準軸です。
会社通貨を変更すると、既存データに何が起きるのか?
変更操作自体は、設定の「アカウントデフォルト」の通貨タブから行えます。

問題は変更後に残る手作業です。会社通貨を更新した場合には、次の対応が必要になります。
無料ツールを使っているアカウントでは、会社通貨を変更しても取引の「Amount」プロパティーは自動的に換算されないため、既存の取引の値を新しい通貨での正しい金額に更新する必要があります。Starter・Professional・Enterpriseで複数通貨を使っているアカウントでは、以前に取引で使用していた通貨に会社通貨を変更した場合、影響を受ける成約済みの取引で「Exchange rate」の値を1に更新する必要があります。
数百件の取引なら一括編集で済みますが、数年分の取引履歴を持つポータルでは、どの取引が影響を受けるのかの特定から始めることになります。私たちが過去に引き継いだポータルでは、テスト段階に設定した通貨がそのまま本番に残り、数年分のレポートの基準がずれていた例がありました。通貨は、ポータルを作った初日に正しく決めるべき設定です。
私たちが初期設計で先に決めている3点とは?
私たちがグローバル展開を伴うポータルを設計する際は、オブジェクトやパイプラインの議論に入る前に、通貨について3点を確定させます。どれも後から変えると影響範囲が広いためです。
1点目は会社通貨です。連結決算の表示通貨に合わせるのが原則で、日本の親会社が連結を見るなら日本円にします。2点目は取り扱う通貨の一覧です。商流として発生し得る通貨をすべて洗い出し、必要なものだけを追加します。3点目はレートの更新主体と頻度です。自動更新にするのか、経理が定めた社内レートを手動で入れるのかで、運用の設計がまったく変わります。
HubSpotの多通貨は、どのプランで何ができるのか?
多通貨は「Enterpriseだけの機能」ではありません。ただし、どこまでできるかはプランによって変わります。商談で要件を詰めるときは、機能の有無ではなく、どのプランから使えるかを確認してください。
通貨の管理に関して利用できるオプションは、サブスクリプションによって異なります。会社通貨はすべてのアカウントで編集でき、Starter・Professional・Enterpriseのサブスクリプションを持つアカウントは複数通貨を使用できますが、許可される通貨の数の上限はプランによって異なり、その上限はHubSpotの製品・サービスカタログで定められています。なお、2026年10月23日時点で当該カタログをブラウザーで確認した範囲では、プランごとの通貨数の上限の具体的な数値は確認できませんでした。上限が要件に関わる場合は、HubSpotの担当者に現行値を確認してください。
| 機能 |
必要なプラン・条件 |
| 会社通貨の編集 |
すべてのアカウント |
| 複数通貨の追加・取引での利用 |
Starter、Professional、Enterprise |
| 為替レートの自動更新 |
Marketing Hub・Sales Hub・Service Hub・Data Hub・Content Hubの Starter/Professional/Enterprise |
| 計算式を使う通貨プロパティー |
Professional、Enterprise |
| ラインアイテムの通貨の編集 |
Sales Hub Professional または Enterprise のサブスクリプションと、割り当て済みのシート |
操作に必要な権限も分かれています。会社通貨の編集と追加済み通貨の閲覧には、スーパー管理者または「アカウントデフォルトを編集」の権限が必要です。通貨の追加と為替レートの編集には、スーパー管理者または「請求情報を変更し、契約上の名前を変更」の権限が必要です。この2つは別の権限であり、経理担当者にレート更新だけを任せたい場合は、権限設計の時点で分けておく必要があります(HubSpot user permissions guide/Manage seats)。
為替レートは、手動と自動でどう変わるのか?
多通貨の運用設計で最初に決める論点がこれです。どちらが優れているという話ではなく、経理の換算ルールと整合する方を選ぶ、という判断になります。
既定では自動更新はオフです。複数通貨を追加したアカウントでも、為替レートは既定では自動更新されません。設定をオフのままにする場合は、アカウント通貨の為替レートを手動で更新する必要があります。
自動更新をオンにすると、具体的に何が起きるのか?
自動更新は、頻度を月次・四半期・年次から選ぶ方式です。リアルタイムで動くわけではないため、「常に最新レート」を期待していると挙動が噛み合いません。自動更新をオンにしたときの挙動は次のとおりです。
- 設定をオンにすると、既存の対応通貨は、選択した頻度に応じて当月・当四半期・当年の初日に有効だった為替レートへ自動的に更新される
- 当該期間の初日より後に追加した通貨は、次の月・四半期・年までレートが同期されない
- 為替レートは、選択した頻度から2〜5営業日以内に同期される
- 自動更新はHubSpotの第三者プロバイダーであるOpen Exchange Ratesによって提供されている
- Open Exchange Ratesが最新のレート情報を持たない通貨、またはサポートしていない通貨は自動更新されず、「Currencies requiring manual updates」のセクションに表示される
- 設定をオフにすると、直近の同期結果は保持され、以降は新しいレートが同期されない
レート提供元が外部サービスである点は、監査やガバナンスの観点で説明を求められることがあります。提供元の情報はOpen Exchange Ratesで確認できます。社内規程で為替レートの出典を定めている企業では、自動更新を使わず手動で社内レートを入れる判断になることがあります。
自動更新を採用するか、手動にするかをどう決めるか?
私たちがこの判断を支援する際に使っている基準は1つです。「CRMの数字を、経理が使う数字と一致させる必要があるか」。一致させる必要があるなら手動で社内レートを入れ、営業の進捗管理と優先順位付けのためだけなら自動更新で十分です。
日本の法人税実務では、外貨建取引の円換算について通達が定められています。国税庁の法人税基本通達では、外貨建取引の換算は原則として取引日における電信売買相場の仲値によるとされ、期末換算については国税庁の別節に定めがあります。CRMのレートは営業管理のための数字であり、会計上の換算基準とは目的が異なります。両者を無理に一致させるより、「CRMの数字は社内管理用であり、会計の計上額とは一致しない」ことを経営会議の合意事項にしておくほうが、運用は安定します。
取引の通貨と金額は、どのように保持されるのか?
ここが多通貨機能の核心です。1つの取引に対して、入力した通貨での金額と、会社通貨に換算した金額の両方が保持されます。この二重構造を理解しないまま運用すると、レポートで「金額が二重計上されている」ように見えたり、逆に「数字が合わない」と感じたりします。
取引レコードの「Currency」プロパティーで通貨を設定すると、「Amount」はその通貨で表示されます。設定した為替レートに基づいて、値は「Amount in company currency」プロパティーで会社通貨に換算されます。計算式は「Amount × 当該取引の通貨の為替レート」です。「Amount」が空欄の場合、「Amount in company currency」も空欄になります。このプロパティーは手動で編集できません(HubSpot's default deal properties)。
「Amount in company currency」はいつのレートで計算されるのか?
換算タイミングは、取引のステージと成約日によって変わります。ここを把握しておくと、「先月見たときと数字が違う」という問い合わせに即答できます。適用される規則は次のとおりです。
| 取引の状態 |
適用される為替レート |
| オープンなステージ |
成約するまで、設定されている最新のレートを使用 |
| 成約(成立・不成立)かつ成約日あり |
指定された成約日時点で有効だったレート。該当が無ければ成約日に最も近い時点のレート |
| 成約日が未来日 |
成約日が近づくにつれて、新しいレートを反映して更新される |
| 成約済みだが成約日なし |
成約としてマークされた時点で有効だったレート。該当が無ければ最も近い時点のレート |
重要なのは、オープンな取引の換算額は毎回動くという点です。為替が動けば、商談の進捗が何も変わっていなくてもパイプライン金額が変わります。月次で「パイプラインが◯%減った」と報告する際、その内訳に為替影響が混ざることを前提に、会社通貨ベースと取引通貨ベースの両方を見る運用にしてください。
「Exchange rate」プロパティーは、いつ固定されるのか?
監査対応で問われるのがこの挙動です。成約済みの取引のレートが後から動くようでは、過去の数字が再現できません。挙動は、オープンな取引と成約済みの取引で明確に分かれています。
オープンな取引では、HubSpotが設定済みの直近のレートに基づいて「Exchange rate」の値を自動更新し、このプロパティーは手動編集できません。成約済みの取引では、設定したレート、過去のレート、通貨コードの変更、会社通貨の更新のいずれによっても自動更新されず、成約時点で有効だったレートが設定されます。その後、スーパー管理者またはmulti-currency-writeスコープを持つユーザーが、個々の取引または一括で「Exchange rate」の値を手動更新できます。ユーザーIDを確認しないワークフロー・連携・API呼び出しからも更新できます。
最後の一文は、統制設計で見落とされがちです。成約済み取引のレートは、権限を持つ人間だけでなく、API経由でも書き換えられます。外部連携を組む場合は、この書き込み経路を誰が管理するかを決めてください。設定変更の履歴を追う仕組みについては、監査ログの運用とあわせて設計します。
カスタムの通貨プロパティーは、何に使えて何に使えないのか?
手数料やコミッションなど、金額系の独自項目を持ちたい場合、取引の通貨で表示するカスタムプロパティーを作れます。ProfessionalまたはEnterpriseのサブスクリプションが必要です。ただし、便利に見えて落とし穴があります。
取引の通貨を使うプロパティーを設定した場合、プロパティーの値は為替レートに基づいて自動更新されません。取引の通貨を変更した場合は値を手動で更新する必要があり、為替レートを考慮しないためレポートでの使用は推奨されません。レコード通貨の指定は表示にのみ影響し、為替レートが自動適用されるわけではありません。
為替レートを計算式に取り込みたい場合は、カスタム計算式でexchange_rateまたはdated_exchange_rateの関数を使えます。たとえば[properties.amount] * exchange_rate('CAD')と書きます(Create calculation and rollup properties/Understand the property editor)。プロパティー設計の原則はHubSpotプロパティーとは?に整理しています。
レポートでは、いつの為替レートで換算された数字が出るのか?
経営会議に出す数字の根拠を説明できるかどうかは、この章の理解にかかっています。レポートはレコードのプロパティーを集計しているだけなので、換算のタイミングはプロパティー側の規則に従います。
取引をレポートの対象とし、アカウントに複数通貨があり、「Amount in company currency」「Closed amount in company currency」「Forecast amount in company currency」のいずれかのプロパティーを選択している場合、金額は既定で会社通貨で表示されます。通貨のドロップダウンメニューから、アカウントの他の通貨に換算して表示することもできます(Create custom single object reports)。
取引ビューのデータ指標も同様です。複数通貨のアカウントでは、データインサイトは「Amount in company currency」と「Weighted amount in company currency」のプロパティーに基づき、集計のためにすべての取引がアカウントに設定された為替レートで会社通貨に換算されます(Review data metrics on deal views)。
複数通貨をまたぐグラフで、表示が崩れるのはなぜか?
カスタムレポートビルダーで複数の指標を並べたとき、縦軸の表記が通貨記号ではなく一般的な数値になることがあります。これは不具合ではなく仕様です。
同じ書式の指標でレポートを作る場合、縦軸の書式は一貫して維持されます。複数の通貨やパーセンテージのように複数の書式がレポートに混在する場合は、表示されるすべての指標を包含するために縦軸が一般的な数値として書式設定されます(Create reports with the custom report builder)。経営報告用のダッシュボードでは、通貨をまたぐ指標を同一グラフに混在させない設計が無難です。レポート全般の考え方はHubSpotのレポートとダッシュボード解説を参照してください。
予測ツールやボードビューの表示通貨はどう決まるのか?
ボードビューの下部に表示される取引ステージごとの金額は、既定では会社通貨で表示されます。予測ツールでは、ユーザーごとの優先通貨で金額が表示されます。アカウントに複数通貨がある場合、ユーザーは自分の設定から優先通貨を選べます(Set up the forecast tool)。
この仕様は、海外拠点の営業が自国通貨で見られる点で有用ですが、会議の場で「同じ画面を見ているのに金額が違う」という混乱も生みます。レビュー会議では、誰の画面を正とするかを決めておいてください。ボードビューでは、合計と加重の金額にカーソルを合わせると、会社通貨での金額をポップアップで確認できます。
海外拠点を含む運用ルールは、どう決めればよいか?
機能の設定は半日で終わりますが、運用ルールが無いと数ヶ月で破綻します。私たちがグローバル展開のポータルで必ず文書化している項目を挙げます。どれも、誰かが判断すればよいという状態を避けるためのものです。
- レート更新の主体と頻度(経理が月初に入力するのか、自動更新に任せるのか)
- 取引作成時の通貨選択ルール(契約通貨で作るのか、拠点の通貨で作るのか)
- 成約済み取引のレートを手動修正してよい条件と、修正できる人の範囲
- 経営会議で使う数字が、会社通貨ベースなのか取引通貨ベースなのか
- 通貨を追加・アーカイブするときの承認プロセス
通貨のアーカイブについては、挙動を理解しておく必要があります。通貨をアーカイブすると、新しい取引の選択肢には表示されなくなりますが、既存の取引では引き続き使用されます。既存の取引については、Currencyプロパティーを手動で更新します。「使わなくなったから消す」という操作が、過去データの整合性に影響する点は運用担当に共有してください。
見積・ラインアイテム・決済の通貨はどう揃えるのか?
取引の通貨だけを設定しても、商談から請求までの流れは揃いません。製品を取引に関連付けている場合は、ラインアイテムの通貨を取引の通貨に合わせる必要があります。更新が必要なラインアイテムの横には「Missing currency」の警告が表示され、価格の更新パネルから通貨を選び直します。この操作にはSales Hub ProfessionalまたはEnterpriseのサブスクリプションと、割り当て済みのシートが必要です。
見積と決済にも、それぞれの通貨設定があります(見積の設定/決済で利用する通貨の設定)。取引・ラインアイテム・見積・決済の4箇所で通貨が揃っていることを、受け入れテストの項目に入れてください。レコードの作成手順はCreate recordsで確認できます。
APIで通貨とレートを扱うときの注意は何か?
ERPや経理システムから社内レートを流し込む構成は、グローバル企業では一般的です。HubSpotはSettings APIで通貨と為替レートを扱えます(Currencies API)。
設計時に押さえるべき点は3つあります。1つ目は、使用できる通貨コードがHubSpotのサポート対象に限られることです。サポートされている通貨コードの一覧は専用のエンドポイントから取得できます。2つ目は、レートに有効日時を指定できることです。effectiveAtフィールドに日時を渡せるため、月初のレートを月初の日時で登録する運用が組めます。3つ目は、複数通貨のアカウントでは会社通貨に自動生成された自己参照レートが設定され、これはAPIから変更できないことです。
また、サンドボックス環境との関係も確認してください。サンドボックス作成時にコピーされないものには、ほとんどのアカウント設定が含まれます(Production assets eligible to copy to a sandbox)。通貨設定を本番と同じ状態にしてテストしたい場合は、サンドボックス側で設定し直す前提で計画してください。検証環境の作り方はHubSpotサンドボックスの使い方で扱っています。拠点ごとにポータルを分ける構成を検討している場合はHubSpotのマルチアカウント管理、地域ブランドを分けたい場合はブランド機能(旧ビジネスユニット)も判断材料になります。
よくある質問
ここからは、私たちが海外展開を伴うプロジェクトで繰り返し受けてきた質問のうち、本文の流れには載らないものを取り上げます。
無料版でも複数通貨を使えますか?
会社通貨の編集はすべてのアカウントで可能ですが、複数通貨の利用にはStarter以上のサブスクリプションが必要です。無料ツールのアカウントで会社通貨を変更した場合、取引の「Amount」は自動換算されないため、既存取引の値を手動で更新する必要があります。
為替レートは何桁まで設定できますか?
APIで為替レートを登録する際のconversionRateは0より大きい値で、小数点以下6桁まで指定でき、それを超える桁数は丸められます。管理画面からの入力可能桁数についての明示的な記載は確認できませんでした。実務では、経理が定めた社内レートの桁数に合わせて運用ルールを決めてください。
過去の為替レートを確認できますか?
できます。設定のアカウントデフォルトの通貨タブで、通貨にカーソルを合わせて操作メニューから履歴を表示すると、過去の為替レートを確認できます。自動更新の設定をオンにした日時、オフにした日時、頻度を変更した履歴も確認できます。APIからは、過去の通貨とレートを含む一覧を取得するエンドポイントが用意されています。
成約済みの取引のレートを、後からまとめて直せますか?
スーパー管理者またはmulti-currency-writeスコープを持つユーザーであれば、個別または一括で「Exchange rate」の値を更新できます。ワークフローや連携、ユーザーIDを確認しないAPI呼び出しからも更新できます。ただし、過去の成約額を変更する行為は監査上の説明責任を伴うため、修正の条件と承認者を運用ルールに定めてから実施してください。
自動更新をオンにしたのに、追加した通貨のレートが同期されません。
月・四半期・年の初日より後に通貨を追加した場合、その為替レートは次の月・四半期・年まで同期されません。また、同期は選択した頻度から2〜5営業日以内に行われます。追加直後に同期されないのは仕様の範囲内です。それでも反映されない場合は、その通貨がOpen Exchange Ratesの対象外として「Currencies requiring manual updates」に表示されていないかを確認してください。
海外拠点ごとに異なるレートを使いたい場合はどうしますか?
為替レートはアカウント単位の設定であり、拠点ごとに異なるレートを持つ仕組みについての記載は確認できませんでした。拠点ごとに独立したレート運用が必須要件である場合は、ポータルを分けてマルチアカウント管理で束ねる構成が検討対象になります。ただし、マルチアカウントレポートには対象アカウント数などの制約があるため、横断レポートの要件と併せて判断してください。
通貨を変えずに、表示だけ円に統一できますか?
レポート側では、会社通貨で表示したうえで、通貨のドロップダウンからアカウント内の他の通貨に換算して表示できます。ユーザー単位では、ボードビューと予測ツールで優先通貨を設定できます。取引レコード上の「Amount」は取引の通貨のまま表示されるため、レコード画面まで含めてすべて円で統一する運用は想定されていません。
導入後に会社通貨を変えることになりました。何から始めますか?
私たちが支援する場合の順序は、影響を受ける取引の抽出、既存レポートの棚卸し、変更後に手作業で直す項目の洗い出し、そして変更の実施です。特に、以前に取引で使用していた通貨へ会社通貨を変更する場合は、影響を受ける成約済み取引の「Exchange rate」を1に更新する必要があります。変更前のデータはエクスポートして保全してから着手してください。
まとめ:換算の規則を知っている人が、数字の説明責任を果たせる
HubSpotの多通貨は、取引ごとの通貨と会社通貨への換算額を別々に保持し、オープンな取引は最新レート、成約済みの取引は成約時点のレートで固定するという規則で動いています。自動更新は月次・四半期・年次から選ぶ方式で、既定ではオフです。レポートは会社通貨で集計され、通貨のドロップダウンで他通貨に換算して表示できます。
この規則を押さえておけば、「先月と数字が違う」「経理の売上と合わない」という問いに、原因を切り分けて答えられます。そして会社通貨は、後から変えると過去データの手当てが必要になる設定です。ポータルを立ち上げる初日に、連結決算の表示通貨から逆算して決めてください。データ基盤としての整え方はSSOT(信頼できる唯一の情報源)とは、海外展開を含む製造業の活用例はHubSpotで製造業の課題を解決するを参照してください。
本記事に記載した仕様・上限は2026年10月23日時点で公式ドキュメントから取得したものであり、変更される可能性があります。導入判断の前には、必ず最新の公式情報とご契約内容をご確認ください。