HubSpotツールの導入を検討中の方、またはすでに利用されている方の中には、効率良く成果につなげるために、他社事例を参考にしたい方もいらっしゃるでしょう。
実際に、多くの企業がHubSpotを自社の営業・マーケティング活動や、カスタマーサポートの課題解決に役立てており、さまざまな活用事例があります。
HubSpot Japan株式会社が実施した「日本の営業に関する意識・実態調査2023」によると、営業担当者が無駄と感じている時間の割合は「勤務時間の22.37%」となっています。無駄な時間を金額に換算すると、年間9,802億円であり、およそ1兆円にのぼります。
また、顧客に対する調査では、「どのような企業のサービスや商品を購入したいと考えますか?」との質問への回答として、1位は「信頼性(41.7%)」であり、2位の「高品質(30.5%)」、3位の「適正価格提供(28.3%)」を大きく上回っています。
企業として、営業活動の効率化など生産性を向上させると同時に、顧客との信頼関係を構築することも重要であることが明らかになっており、そのためのツールとしてHubSpotは有用です。
本記事では、HubSpotの導入事例をマーケティング・営業・カスタマーサポートの分野別に解説します。HubSpotへのシステム移行事例や、導入を成功させるためのポイントについても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
HubSpot運営会社のHubSpot社は、インバウンドマーケティング、セールス、カスタマーサービス向けの、ソフトウェアの開発・提供を行っている米国企業です。なお、日本法人はHubSpot Japan株式会社です。ここでは、HubSpotのサービス・ソリューション概要と、提供する製品群、HubSpotが提唱するインバウンド思想について解説します。
HubSpotは、顧客との信頼関係構築(顧客エンゲージメント)を軸とした、統合型のCRMプラットフォームです。
CRMとは「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略称であり、顧客情報・行動履歴・関係性を管理し、顧客関係を促進するシステムを指します。
小規模から大規模企業まで、マーケティング・営業・カスタマーサービス・コンテンツ管理・オペレーションに必要な機能を提供し、顧客体験の向上を通じたビジネス成長を支援しています。
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画像参照:HubSpot
HubSpotでは、次の5つの製品を提供しています。
機能やサポート範囲によって料金が異なり、ビジネス成長に合わせて拡張できます。すべての製品に無料版が用意されているため、CRMをはじめとする基礎ツールを無料で試すことが可能です。
一般的なインバウント思想は、「価値あるコンテンツと顧客に合わせた体験の提供によって、顧客をひきつける」という考え方です。
具体的には、広告やウェブコンテンツなどで潜在層との接点を作り、自社の商品やサービスへの興味を醸成し、見込み客を創出する手法を意味します。情報をプッシュ型で提供するアウトバウンドマーケティングとは異なり、顧客からの能動的な関心を追求する点が特徴的です。
HubSpotが提唱するインバウンド思想とは、その中でも「顧客の成功が自社の成功につながる」という点を重視した考え方です。顧客との信頼関係を築き、顧客の課題を「顧客にとって望ましい形」で解決するアプローチを採用しています。
これには、顧客に対する深いニーズ理解が必要であり、カスタマージャーニーの設計が役立つと考えられています。
カスタマージャーニーとは、商品やサービスの販売促進において、購入または利用する人物像を設定し、その行動・思考・感情を時系列で分析するアプローチです。
出典:インバウンドマーケティングとは | HubSpot(ハブスポット)
HubSpotを導入する際には、他社の成功事例を参考にすることで、自社の課題の再認識につながり、ベストプラクティスも見つけやすいでしょう。
まずは、マーケティング分野における、HubSpotの活用事例を3社ご紹介します。各社の概要、導入前の課題、取り入れたインバウンド思想、施策内容、導入後の成果について解説します。
出典:株式会社サカエ
はじめに、株式会社サカエ様のHubSpot活用事例をご紹介します。
同社は、静岡県の浜松市に拠点を置き、近隣のものづくり企業に向けて様々な課題を解決するソリューションを提供しています。具体的には、IOTソリューション、ロボット導入、自動化・FAシステム、油圧システムなど多岐に渡ります。
以前は既存の企業ネットワーク内で案件を獲得していたものの、時代の変化に伴い、企業価値の発信方法を見直す必要がありました。
具体的には、同社の拠点である静岡県浜松市だけでなく、隣接する愛知県などにも活動範囲を広げる方法を検討されていました。
*ABM(アカウント ベースド マーケティング)とは、個別の見込み客や顧客アカウントをひとつの対象市場とみなし、それに合わせたコミュニケーションを行うマーケティングアプローチです。
同社では、ABM戦略に沿ってターゲット企業を業種別にカテゴライズし、メールマーケティングを実施しました。そのほか、ウェビナーによる集客やコーポレートサイト構築、オウンドメディアの運営・内製化も行いました。
ABMを軸としたことで、ターゲット企業に対して個別に最適化されたコミュニケーションが可能になり、メール開封率が140%に向上しました。また、顧客データをHubSpot上で一元管理することで、スムーズな情報共有と効果的な戦略策定が可能になったとのことです。
HubSpotの強みである顧客関係管理機能を、メールマーケティングやコンテンツマーケティングに活用し、大きな成功につなげた事例です。
出典:ブイキューブ
株式会社ブイキューブは、映像技術を用いたビジュアル コミュニケーション ソフトウェアおよびサービスの開発・販売会社です。東京証券取引所プライム市場にて上場しています。
同社では、セミナー・展示会・SEOなどの施策によって見込み客を創出していたものの、各施策の効果を定量的に可視化できていなかったそうです。
また、見込み客の確度が低く、商談への転換率が低いことも懸念されていました。さらには、複数のマーケティングツールが統合されておらず、効率性にも課題を抱えていました。
HubSpotの導入にあたり、まずはシステムの導入に関わる担当者の人物像と、カスタマージャーニーにもとづく顧客ニーズの整理から取り組んだそうです。また、マーケティング施策の商談や受注への貢献度を可視化するため、マーケティングプロセスとKPIの更新も実施しています。
導入の最初のステップとしてブログを開設し、潜在層や比較検討している人々に対して、有益な情報をコンテンツ化して提供することを開始しました。その後、コンテンツをダウンロードした見込み客や問い合わせに対してスコアを付与し、セールス担当者が適切に対応できるようにしたとのことです。
インバウンドマーケティングの徹底により、約2年間でリード創出数とウェブサイト訪問者数が約2倍に増加しました。さらに、新規顧客の平均取引額も1.65倍に向上しています。
HubSpotの導入成功後も、社内でのインバウンドに関する学習セッションを継続的に実施しているとのことで、今後の展開にも期待したい企業事例です。
株式会社Kaizen Platformは、企業のDX推進をサポートしている会社です。ウェブサイト改善、動画広告の制作・運用、DXコンサルティングなどの領域で事業を展開しています。東京証券取引所グロース市場にて上場を果たしています。
同社は高い営業力を強みとしていた一方で、マーケティング施策が体系化されていないという課題を抱えていました。
具体的には、デジタルマーケティングのKPIが未設定で、MAツールも活用できておらず、過去の施策の振り返りは「高評価だった」といった定性的な情報でのみ行われていたそうです。
同社が施策の中で注力した点は、営業担当者から収集した情報をもとに徹底したペルソナ設定を行い、顧客理解を深めたことだったといいます。ペルソナとは、顧客の共通するニーズ・目標・行動パターンを、具体的な架空の人物像にまとめたものです。
ペルソナから得たキーワードとメッセージを、サービスや商材のタイトルや導入文に組み込み、MAツールを用いて継続的なコンテンツ検証・改善を進めていきました。
HubSpotのMarketing HubにはMAツールが含まれており、CRMデータをもとにマーケティングキャンペーンを自動化できるため、同ツールを用いてコンテンツ強化を行ったそうです。
HubSpotの導入により、マーケティングを通じたアポ獲得や、商談・受注数の増加につながっているとのことです。ペルソナを洗い出したことで自社コンテンツの品質が向上し、有望な見込み客の創出につながったと考えられます。
HubSpotが掲げるインバウンド思想の浸透とMAツールの活用により、マーケティング基盤の再構築に成功した事例といえるでしょう。
参考:HubSpot導入事例|株式会社Kaizen Platform
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つづいて、コーポレートサイトやオウンドメディアでのHubSpot活用事例を2社ご紹介します。
出典:読売新聞社
読売新聞グループ傘下の株式会社読売新聞は、読売新聞の印刷・発行事業を展開する会社です。本社を東京・大阪・福岡の3拠点に置き、読売新聞オンラインの運営も行っています。
ここでは、株式会社読売新聞東京本社のHubSpot活用事例を見ていきましょう。
同社のデジタルビジネス推進チームでは、顧客データの分散と活用に関する課題を抱えていました。特に、読者からの声やニーズを把握できておらず、顧客情報の取り扱いルールも未設定だったといいます。
同社では、顧客データの活用基盤として「yomiuri ONE」というプロジェクトを立ち上げ、HubSpotやBIツールとの連携を進めたそうです。
また、社内メディアにてHubSpot利用方法を案内するFAQサイトを開設し、全社員が使い方を学べる環境も整備しています。
同社はHubSpotを導入したことで、イベントなどで収集した顧客データを安全に収集・管理できるようになったといいます。読者のニーズ反映にもつながり、サービス品質の向上を実現できたそうです。
また、FAQサイトを通じて社内全体でデータを共有することで、組織全体の生産性向上にも貢献しているようです。
CRM(顧客関係管理)とサイト構築の機能をもつHubSpotならではの、メタ的な視点での取り組み事例です。
参考:HubSpot導入事例 | 株式会社読売新聞東京本社様
出典:株式会社ハーモ
昭和37年創業の株式会社ハーモは、長野県を拠点とする射出成形周辺機器の総合メーカーです。主力製品は「成形品取出ロボット」と「周辺自動化機器」で、周辺機器まで扱っているのは国内で同社のみとされています。
同社がHubSpotの導入を決めた2020年は、感染症対策による顧客接点のオンライン移行が急速に進行した時期でもあります。新規案件の伸びに課題を感じており、営業改革が必要とされていたそうです。
また、以前は紙のDMを送っていたものの、紙では開封率や反応を把握しにくく、施策の効果を評価するのが難しい状況だったといいます。
同社が取り組んだ施策は、既存のコーポレートサイトとは異なる、営業活動に特化したマーケティングサイトの構築でした。その際、コンテンツはHubSpotのMarketing Hubにある、トピッククラスター機能を活用して設計したといいます。
さらに、毎月ウェブセミナーを開催し、HubSpotのCRMを活用したセミナー案内メールの送付も実施しました。見込み客との接点を増やすために、セミナー内容のダウンロード資料のサイト掲載も開始しました。
成果として、ターゲット商品の受注台数が過去最高に増加し、HubSpot導入初年度で想定売上げの3倍の成果を達成しています。資料ダウンロード数も増加し、新規見込み客も3倍に増加したとのことです。
今後は、ウェブセミナーを通じてお客様の反応やニーズを収集し、新製品開発に活かす計画も進めているといいます。
CRM・CMS・MAが一体となったHubSpotによって、マーケティングサイトの構築・運用成果を最大限に伸ばした事例のひとつです。
営業分野でもHubSpotの活用が進んでいます。具体的な活用事例を3社ご紹介します。
出典:レバレジーズ
2005年創業のレバレジーズ株式会社は、IT・医療介護を中心とした人材派遣・紹介の総合企業です。ウェブメディア事業やM&Aコンサルティングなど、国や業界を限定せず幅広く手がけています。
多角的な事業を展開する同社では、複数の部署間で顧客情報の共有ができておらず、コミュニケーションミスが発生していたといいます。
事業拡大に伴い管理工数が増加したことから、CRMとSFA(営業支援システム)の導入を検討し、コスト・機能面でHubSpotを選出したそうです。
複数の事業部で別々に管理していた顧客情報は、HubSpot CRMで統合することになりました。見込み客へのアプローチ状況を可視化するため、営業メンバーのタスクやアクティビティは、Sales Hubによる一元管理を進めました。
さらに、Marketing Hubも導入し、営業チームとマーケティングチームとの連携強化に努めたそうです。
顧客情報統合によって営業メンバーのタスク引き継ぎがスムーズになり、他事業部の営業履歴を即座に確認できるようになったそうです。
これにより、これまで以上に深い顧客コミュニケーションが可能になり、効率化と顧客関係構築の面で大きな成果につながっています。
HubSpotの導入を、単なる営業業務の効率化にとどめるのではなく、顧客満足度の向上という形で顧客へ還元した事例として、参考になるのではないでしょうか。
出典:株式会社ネクスタ
株式会社ネクスタは、製造業向けの生産管理クラウドシステム「スマートF」を提供している会社です。スマートFは、低コストかつノーコードでカスタマイズできる点が注目されています。
従来使用していたCRMツールの場合、機能拡張のためのコストが高く、必要な機能も不足していたそうです。
また、製造業の生産管理は複雑で、複数の取引先との打ち合わせが頻繁に行われるため、打ち合わせ内容の記録が課題視されていたといいます。
商談期間も長期化する傾向があり、長いと半年から1年かかることから、営業活動の見える化とデータ分析が急務となっていました。
主な取り組みは、CRMツールに各案件に関する情報を集約し、営業プロセスの進行状況や見込み売上げをリアルタイムで把握できるようにしたことでした。
また、名刺管理サービスとHubSpotの連携により、名刺データを効率的に取り込める仕組みも構築しました。
HubSpotには、メール送信後にクリックされたURLをトラッキングできる機能があります。この機能により、何千ものメーリングリストがあるケースでも、営業担当者が適切に見込み客のフォローアップを行えるようになったそうです。
営業プロセスの可視化のシステム構築にかかったトータルコストは、既存のCRMを使用した場合の2分の1程度に抑えられ、効率的かつ費用対効果の高い方法で実現しています。
パナソニック インダストリー株式会社は、「Your Committed Enabler」をスローガンに掲げ、デバイステクノロジー分野で社会貢献を目指す企業です。主に、コンデンサなどの電子部品を取り扱っています。
同社ではこれまで、営業担当者が継続的に顧客を訪問し、ニーズを詳しく把握して強い関係を築く営業スタイルが採用されていました。
しかし、電子部品のスペック情報の比較などは、対面での会話よりもデジタルの方が効率的であり、顧客のスピード感に対応するためにも、デジタルツールの活用が早急の課題だったそうです。
また、社内での顧客データや受発注情報管理についても、事業部ごとに分散しており、クロスセルの機会を逃すことや、情報収集に時間を費やすことが多かったといいます。
施策として、MAツールと社内データベースを統合し、顧客情報の一元管理を推進しました。これにより、デジタルでの顧客接点を強化し、カスタマージャーニーに沿った営業プロセスの構築を目指したそうです。
また、同社ではHubSpotの導入に伴い、部門内でカスタマージャーニーにもとづいた営業プロセスの構築にも取り組みました。
具体的には、顧客接点を整理し、顧客情報の収集・蓄積と成果の評価を行ったとのことです。対面で得た情報だけでなく、オンライン展示会・ウェビナー・テレビ会議など、デジタルの顧客接点に関しても情報を収集・蓄積していったといいます。
対面とデジタルの顧客情報を活用し、リアルタイムで見込み客へアプローチできるようになったそうです。
顧客とのコミュニケーション強化と営業プロセスの改善により、新たな営業戦略の実現につながった事例です。
参考:HubSpot導入事例 | パナソニック インダストリー株式会社
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・HubSpot Sales Hubとは?営業効率化に役立つSFA、Sales Hubの機能、価格、事例を解説!
カスタマーサポートの課題解決には、Service Hubとその他のHubSpotツールを併用する形式が一般的です。カスタマーサポートのHubSpot活用事例を2社見てみましょう。
出典:Anker
アンカー・ジャパン株式会社は、「Anker」「Soundcore」「Eufy」などのハードウェアブランドを展開するAnkerグループの日本法人です。
複数の製品を扱う同社では、短い新製品サイクルにより、日常的に多くのマーケティング業務が発生していたそうです。業績が順調に伸びていた一方で、営業とカスタマーサポート業務の増加と複雑化に課題を抱えていました。
Sales Hub Professionalを導入し、SFAで顧客のステータスを自動で可視化できるようにしました。カスタマーサポートでは、問い合わせ内容に合わせてフォームが自動で調整される「スマートフォーム機能」を導入しました。
HubSpot導入により、全部署の業務効率が向上したといいます。特にカスタマーサポートでは、問い合わせ回数が平均回数2.0回から1.6回へ低減し、スタッフおよそ1人分の業務効率の改善につながったそうです。
参考:HubSpot導入事例 | アンカー・ジャパン株式会社
出典:イベントレジスト株式会社
イベントレジスト株式会社は、イベントプラットフォーム「EventRegist」を運営する会社です。リアルとオンラインのイベント告知から参加者管理まで、イベントをトータルでサポートするサービスを提供しています。
導入前、同社のヘルプセンターでは限られたメンバーで問い合わせに対応しており、顧客の事前情報不足が課題でした。
体制拡充と複数人での組織的な対応を実現するためにも、ツール見直しと事前情報収集の必要性があったといいます。
既存顧客へのアプローチ強化と顧客満足度向上を目指し、ヘルプセンターの拡充に取り組むことになりました。
ヘルプセンター業務では、カスタマーサービスソフトウェアからService Hubへの乗り換えを実施し、Marketing HubとSales Hubもあわせて導入されました。
Service Hubを使ったヘルプセンターでは、顧客情報の一元管理とツールの統一により、顧客情報を事前に把握できるようになり、問い合わせ対応を効率的に行えるようになったそうです。
問い合わせ内容は、キーワード分析と記事タグ付けが自動で行われるため、組織としてのナレッジの蓄積も容易にできるようになったとのことです。
参考:HubSpot導入事例 | イベントレジスト株式会社
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・HubSpot Service Hubとは?代表的な機能、料金プラン、他社製品との違いや活用事例など分かりやすく解説!
HubSpotはデータ同期を通じて、外部システムとの連携が可能です。2023年9月時点で、HubSpot アプリ マーケットプレイスに掲載されている公式連携アプリは、1,000種類以上あります。
ここでは、HubSpot製品と他システムとの2つの連携事例をご紹介します。
商業不動産に特化した不動産ブローカーおよび投資会社である、米Stan Johnson Companyは、「Salesforce CRM」とMAツール「Marketo」の連携の難しさを解決するため、外部パートナーと協力し、MarketoからHubSpot CRMへの置き換えを行いました。
HubSpot CRMへの移行はスムーズに進み、300のランディングページと10万9,000人のマーケティング担当者を、Salesforce CRMと統合することができました。
フォームの最適化とNDA契約の電子署名プロセスを導入したことにより、ユーザーエクスペリエンスの向上につながったといいます。
参考:OBO Helps the Stan Johnson Co Implement a HubSpot-Salesforce Integration
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・HubSpotとSalesforceの連携の仕方をわかりやすく解説!ツールごとの違いや連携メリット、注意点も紹介
出典:ランスタッド株式会社
オランダ発の総合人材サービス企業のランスタッドは、求職者とのコミュニケーション強化を図るため、HubSpotとLINEとの連携を実施しました。
求職者の返信率が80%前後に向上し、案件のマッチング率も10ポイント上昇したといいます。LINEでのリアクションはHubSpot CRMに自動的に反映され、コミュニケーションの強化と業務効率化を実現しています。
出典:Marq
現状利用しているCRMやMAツールから、HubSpotへの移行をお考えの方向けに、システム移行事例をご紹介します。
デザインとブランド管理プラットフォームのMarqは、外部パートナーの支援を受け、Salesforce、Marketoなどの複数のツールから、HubSpotへの移行に踏み切りました。
移行に際して製品データベースの統合も実施し、Operations Hubを利用した新しい自動見積もりプロセスを立ち上げています。
同社ではHubSpotへの移行を90日間で完了し、ツールの管理コストは年間で7万7,000ドル(2023年現在の為替レートで約1億4,860万円)の節約につながったといいます。
また、営業・マーケティング・カスタマーサービスの統合により、全チームの可視性も向上したそうです。
直感的に利用できるHubSpotのプラットフォームによって、短期間・低コストでの移行に成功した事例です。
参考:Marq Migrates From Salesforce, Marketo, and Other Tools to the HubSpot CRM Platform
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SalesforceからHubSpotへ移行する方法とは?データ移行や移行の進め方など詳しく紹介!
HubSpot導入時には、押さえておきたいポイントがあります。HubSpotの導入を成功させるためのポイントを3点解説します。
1つ目のポイントとして、HubSpotの導入目的と必要とする機能を明確にしておくことが大切です。
HubSpotの導入によって達成したい目的や、解決したい課題を明確にすることで、導入スケジュールやリソースの配分に役立つでしょう。
また、CRM・SFA・MAツールには多様な機能があるため、ビジネスの状況に応じて必要なツールのみを選択することで、不要なコストを避けることにもつながります。
HubSpotの導入に際して、プロジェクトリーダーなど導入推進者を指名することもおすすめです。
プロジェクトリーダーの主な役割は、プロジェクトの進行と期限を守ることです。マネジメントやコンサルティング経験のある人材や、インバウンドマーケティングに精通した人材が適任といえます。
なお、社内で適した人材がいない場合は、HubSpotの導入支援パートナーへ委託することも検討するとよいでしょう。
HubSpotなど新しいシステムを導入する際には、現場担当者の声を取り入れることが重要です。
特定の担当者だけで導入を進めることもありますが、実際にシステムを利用する人物の意見を参考にすることで自社の状況を客観的に評価でき、課題点も見えてくるはずです。
導入後の展開をスムーズに行うためにも、現場の担当者をプロジェクトメンバーに加えるなどして、自社に最適な設計を目指しましょう。
「システムを導入して終わり」では、社内に定着させ、100%活用することは難しいでしょう。セコムグループのTMJが行った調査によると、社内システムの定着化に向けた施策について、「実施していない」「状況を把握していない」と回答した人が82.5%にのぼることが明らかになっています。
ここでは、HubSpotの定着のために社内で意識すべきことや、実施していただきたいことを4点解説します。
HubSpotの導入において、経営層や管理職からの強いサポートとコミットメントは不可欠です。
経営陣がプロジェクトに全面的な支持を示すことで、組織全体にHubSpotの重要性や導入するメリットを伝えられます。このような経営アプローチを、「トップダウン」といいます。経営層がHubSpotの導入のメリット、目的を言語化し社内で伝えていくことがプロジェクトを成功させるには非常に重要です。
また、組織全体での一体感や共感が生まれ、成功の確率が高まると考えられます。
HubSpot導入後の、社内の運用体制を整えることも重要です。
株式会社TSUIDEが実施した調査では、「SFA、CRM導入に関するサポートがあると嬉しい要望」について、約半数の回答者が「分析支援・データのサポート」と「機能の活用方法の提案」の2つをあげています。
この結果から、システムに関する疑問や質問を解決できる窓口の設置や、社内向けの学習プログラムを用意することで、システムの活用度の向上が期待できます。
具体的には、運用データを業務に活用する方法などを質問するための、社内フォーラムやチャットシステムの整備、動画による使い方の指導などを検討するとよいでしょう。
HubSpotの導入が完了した後も、定期的なフィードバック収集と改善が必要です。現場の声を通じて、システムの使い勝手や業務への適用方法に関する改善点を特定し、対処しましょう。
運用方法の変更内容をマニュアル化して社内で共有することで、新しいシステムに対する社員の疑念や不安の解消にもつながるはずです。
HubSpotのようなCRMやSFAの定着が進まない理由のひとつとして、営業担当者がデータを適切に入力しないことや、データの品質が一貫していないことがあげられます。
余分な情報まで入力を求めると、担当者の負担を増やしてしまうため、入力項目を最低限に抑える必要があります。
また、データの品質を維持するために、入力ルールやガイドラインを設け、正確な情報が収集できるような体制を構築することが重要です。
HubSpotはインバウンド思想を軸とした、統合型のCRMプラットフォームです。マーケティング分野、コーポレートサイトやオウンドメディアの制作・運用、営業分野、カスタマーサポートと、幅広い分野で活用されており、成功事例も多くあります。
本記事でご紹介した他社事例を参考にしながら、自社の課題や方針を明確にし、HubSpotを充分に活用していただけると幸いです。
なお、HubSpotの導入時は、導入目的や必要機能を明確にすることと、導入推進者を決めておくこと、現場担当者の声を取り入れることが重要です。
HubSpotのポテンシャルを最大限に活かすためにも、定期的にHubSpotの最新活用事例はチェックしていきましょう!
渋谷 真生子
株式会社100(ハンドレッド)のマーケター。新卒でグローバルヘルスケア企業で営業を経験し、セールスフォースにてBDRとして地方企業の新規開拓に携わる。コロナ渦でインバウンドマーケティングの重要性を実感し、アイルランド ダブリンにあるトリニティカレッジの大学院にてデジタルマーケティングの学位取得し現在に至る。最近はかぎ針編みにハマり中。
ビジネスの成長プラットフォームとしての魅力はもちろん、
HubSpotのインバウンドマーケティングという考え方、
顧客に対する心の寄せ方、ゆるぎなく、そしてやわらかい哲学。
そのすべてに惹かれて、HubSpotのパートナー、
エキスパートとして取り組んでいます。
HubSpotのこと、マーケティング設計・運用、
組織の構築など、どんなことでもお問い合わせください。