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HubSpotのタスク管理とタスクキュー設計|架電・フォローを日次で回す運用の作り方

HubSpotのタスク管理とタスクキュー設計、架電・フォローを日次で回す運用の作り方を示す記事サムネイル

営業会議で「今週のフォローはどうなっていますか」と聞くと、各自が自分のExcelやメモアプリを開き始める。誰が何件抱えていて、何件が期限を超えているのか、その場では誰も即答できない。マネージャーは仕方なく「来週までに全件やっておいてください」と言い、翌週また同じ会話が繰り返される。従業員1,000名を超える製造業や情報通信業のCRM再整備をご支援していると、この光景にほぼ必ず出会います。

HubSpotにはタスクとタスクキューという機能があり、架電とフォローを日次で回すための部品はひととおり揃っています。それでも回らない組織が多いのは、機能を知らないからではありません。タスクを「誰が、いつ、どの画面で、何をもって完了とするか」という運用の定義を決めないまま、機能だけを有効化してしまうからです。本記事では、HubSpotの現行仕様を踏まえたうえで、私たちがクライアントのポータルでタスク運用を設計するときに、どの順序で何を決めているかを書きます。情報は2026年10月23日時点のものです。

なぜHubSpotのタスク管理は「入れたのに回らない」のか?

タスク機能そのものは、HubSpotの全プランで使えます。タスクは、コンタクト・会社・取引などのレコードに紐づけられるリマインダーです。無料のアカウントでも作成できるため、導入のハードルは低い部類に入ります。

にもかかわらず定着しない理由は、タスクが「個人のToDoリスト」として導入され、組織の仕掛り在庫として扱われていないことにあります。個人のToDoは、その人が見なければ存在しないのと同じです。私たちが再整備のご相談をいただく際、最初に確認するのは機能の設定状況ではなく、タスクが誰から見えているかという一点です。

タスクが溜まる組織と回る組織は何が違うのか?

回っている組織には、共通する構造があります。タスクの発生源が人の記憶ではなく仕組みになっていること、担当者が今日やる分だけを切り出して見られること、そして期限を超えたタスクがマネージャーの画面に自動で現れることの3点です。この3点が欠けると、タスクは作られるが消化されない在庫になります。

逆に、溜まる組織では「タスクを作ること」が目的化しています。キックオフで全員にタスク作成を義務づけたものの、消化状況を見る人がいないため、半年後には数千件の期限超過タスクが残ります。この状態になると、担当者はタスク画面を開かなくなり、復旧には棚卸しから始めることになります。

観点 回らない運用 回る運用
発生源 担当者が気づいたときに手で作る ワークフローやシーケンスが条件に応じて生成する
可視性 作成者本人のみが見える 共有キューでチーム全員が見える
優先順位 期限順にしか並ばない 優先度・タスクタイプ・キューで切り出せる
完了の定義 各自の判断 記録すべき活動とセットで定義されている
監視 会議でのヒアリング 期限超過ビューとレポートで常時可視化

タスクはCRM上でどう扱われているのか?

設計を始める前に、タスクがHubSpotの中でどういうデータなのかを押さえておくと、後の判断が速くなります。タスクはアクティビティ(エンゲージメント)の一種で、専用のプロパティ群を持ちます。どの項目が最初から用意されているかは、既定のアクティビティプロパティの一覧で把握できます。

APIから見ると構造がさらに明確になります。タスクの作成は /crm/v3/objects/tasks へのPOSTで行い、期日を表す hs_timestamp が必須項目です。ステータスは COMPLETED と NOT_STARTED、優先度は LOW / MEDIUM / HIGH、タイプは EMAIL / CALL / TODO という値を取ります。既存システムから移行する場合や、外部の架電システムと連携する場合は、この値域に自社の区分をどう写像するかを先に決めておく必要があります。

HubSpotのタスクには何を設定できるのか?

タスクの項目は多くありません。ただし、どの項目を必須運用とし、どれを任意にするかの線引きが、そのまま後のレポートの精度になります。全項目を埋めさせる運用は現場が持ちませんし、逆に件名と期日だけでは、どのキューにも振り分けられないタスクが量産されます。

タスクの項目は何を必須にすべきか?

タスクに設定できる項目は、タイトル、タイプ(Call / Email / To-do)、優先度、関連付けるレコード、担当者、キュー、期日、リマインダー、メモです。タイトルに call または email という語を含めると、対応するタスクタイプが自動的に設定されます。

私たちが設計する際は、タイトル・タイプ・担当者・期日・キューの5項目を必須の運用ルールに置き、優先度とメモは任意にしています。優先度を必須にすると、ほぼ全件が「高」になり情報量がゼロになるためです。代わりに、優先度はワークフローで自動設定し、人には触らせない設計にすることが多くあります。

なお、タスクは関連レコードなしでも保存できます。ただしその場合、レコードのタイムラインには表示されません。レコードに紐づかないタスクは、後から「この架電は誰に対するものだったのか」を追えなくなるため、社内作業を除いて関連付けを必須にすることをおすすめします。

既定値(デフォルト)は誰がどこまで決めるべきか?

HubSpotには、自分が作成するタスクの期日・期限時刻・リマインダーの既定値を設定する機能があります。この既定値はプロフィールと環境設定のタスクタブで設定し、タスク一覧ページまたはレコード上で作成したタスクに適用されます。

この設定はユーザー単位であり、管理者が全社に強制できるものではありません。そのため私たちは、既定値そのものを統制するのではなく、オンボーディング時に推奨値を提示し、ワークフロー側で生成するタスクの期日を組織として固定する方法を取っています。人が手で作るタスクの既定値まで管理しようとすると、運用コストが利得を上回ります。

繰り返しタスクはどこまで自動化してよいか?

定期訪問や定例レビューのように、周期が決まっている活動には繰り返しタスクが使えます。繰り返しタスクの作成・利用・割り当てには、Core、Sales、Serviceのいずれかのシートの割り当てが必要です。そして前のタスクが完了・削除・期限超過のいずれかになった時点で、次のタスクが作成されます。

ここは設計上の注意点です。期限超過でも次が生成されるため、放置されたタスクが雪だるま式に増える構造になっています。繰り返しタスクを使う場合は、必ず期限超過を監視するビューをセットで用意してください。私たちは、繰り返しタスクを使うのは「やらない月があってはならない活動」に限定し、それ以外はワークフローで条件付きに生成する方針を取っています。

タスクキューとは何か?保存済みビューと何が違うのか?

タスクキューは、HubSpotのタスク運用でもっとも誤解されやすい機能です。名前から「順番に処理される待ち行列」を想像しがちですが、タスクキューはタスクをグループ化・フィルタリング・共有するためのラベルです。順番に処理したい場合は、任意のタスクビューで連続してタスクを完了していく操作を使います。

この違いを理解しないまま「キューを作れば自動的に順番に配られる」と期待すると、運用設計を誤ります。キューは配車システムではなく、仕事の束に貼るラベルです。誰がどの束を取るかは、別途ルールで決める必要があります。

キューはいくつ作れて、誰が編集できるのか?

1ユーザーがアカウント内に作成できるタスクキューは、最大20個です。キューの作成・編集・削除は、タスク一覧ページ右上のアクションから「Manage queues」を選んで行います。共有タスクキューを編集・削除できるのは、そのキューを作成したユーザー、またはキューに追加されたスーパー管理者に限られます。

この「作成者しか編集できない」という仕様は、組織運用では地味に効いてきます。キューを作った担当者が異動すると、スーパー管理者をキューに追加していない限り、誰も名前を変えられない状態になります。私たちがキューを設計するときは、作成を特定の管理ユーザーに集約し、個々の営業には作らせない運用にしています。

共有キューと保存済みビューはどう使い分けるか?

キューとビューは役割が異なります。タスクの標準ビューにはAll、Completed、Due today、Overdue、Upcoming、Most engagedがあり、すべてのビューには自動的に「Assignee: Me」という条件が含まれます。つまりビューは原則として自分のタスクを見る道具です。

対してキューは、複数ユーザーが同じタスク群を見て消化できるようにするものです。営業マネージャーがInbound leadsという共有キューを作り、ワークフローでフォローアップタスクを自動追加しておけば、手の空いている担当者が拾って処理できます。インバウンドリードの初動のように、担当が固定されていない仕事こそキューの出番です。

整理すると、個人の仕事の切り出しはビュー、チームで取り合う仕事の置き場がキューです。両方をキューで表現しようとすると20個の上限にすぐ到達します。

キューの命名はどう設計するか?

キュー名は後から変えにくい(作成者かスーパー管理者しか編集できない)ため、最初の命名が重要です。私たちは、キュー名に「対象×アクション×SLA」の3要素を入れる形を標準にしています。たとえば「インバウンド_初回架電_当日」「展示会_フォローメール_3営業日」のような形です。

この形にしておくと、キュー名を見ただけで期待される対応速度が分かり、マネージャーが期限超過を見たときに「どのSLAが守られていないのか」を即座に判断できます。逆に「鈴木チーム」「重要」のような属人的・曖昧な命名にすると、担当者が変わった瞬間に意味を失います。

タスクはどう自動生成するのが正解か?

手でタスクを作る運用は、どれだけ教育しても漏れます。日次で回る仕組みにするには、発生源を自動化するしかありません。HubSpotには、ワークフロー、シーケンス、キャンペーンという3つの自動生成経路があり、それぞれ必要なサブスクリプションと使いどころが異なります。

ワークフローからキューに入れるには何が必要か?

ワークフローのアクションには「Create task」が用意されています。ただしワークフロー経由でタスクをキューに追加するには、Sales HubまたはService HubのProfessional以上のサブスクリプションが必要です。

ここは稟議の論点になります。タスクを作るだけならワークフローの基本機能ですが、共有キューに入れて「チームで取り合う」運用にするにはProfessional以上が要ります。私たちが見積の内訳を作るときは、この要件を最初に確認し、Starterのままで始めるなら「個人割り当て+保存済みビュー」で代替する設計を提示しています。

ワークフローを作る操作自体は数ステップで終わります。実務では、登録条件の設計のほうが難所になります。条件が広すぎると大量のタスクが一斉生成され、現場が最初の1週間で心を折られます。除外条件と目標の設計については、HubSpotワークフローの除外と目標の設計で詳しく整理しています。

シーケンスのタスクステップとどう棲み分けるか?

シーケンスにはタスクステップを追加でき、そのタスクをキューに入れられます。シーケンス経由でキューに追加する場合も、Sales HubまたはService HubのProfessional以上が必要です。

両者の棲み分けの基準は、トリガーが「レコードの状態変化」か「人の判断」かです。フォーム送信やライフサイクルステージの変化のように、条件で機械的に判定できるものはワークフロー。商談後のフォロー文面のように、営業が相手を見て開始を決めるものはシーケンス。この線引きをしないと、同じコンタクトに両方からタスクが降ってきます。シーケンス機能の全体像はHubSpotのシーケンスとはで解説しています。

マーケティング側のタスクはどこで作るのか?

営業のフォロータスクとは別に、キャンペーン運営のタスクがあります。Marketing HubのProfessional以上では、キャンペーンツールからタスクを作成・割り当てでき、作成したタスクはタスク一覧ページとマーケティングカレンダーの両方に表示されます。

ここで注意すべきは、営業のタスク一覧にマーケティングの制作タスクが混ざることです。「バナー入稿」と「初回架電」が同じ画面に並ぶと、営業は画面を信用しなくなります。私たちは、キャンペーンタスクには専用のキューまたはタスクタイプの運用ルールを割り当て、営業の既定ビューからはフィルタで除外する設計を標準にしています。

営業ワークスペースはタスク運用の何を変えるのか?

タスク一覧ページは汎用の管理画面であり、1日の架電を回し切るための画面ではありません。HubSpotはこの用途に営業ワークスペースを用意しており、ここが日次運用の実働画面になります。

営業ワークスペースでタスクを扱う条件は何か?

営業ワークスペースでタスクを管理できるのはSales HubのProfessionalおよびEnterpriseで、Salesシートの割り当てが必要です。また、タスクの作成・編集にはタスクの編集権限が必要です。

シートと権限は、導入初期にもっとも見落とされる前提条件です。シートはユーザーがどのツールを使えるかを決め、権限は表示・編集・削除といった操作の範囲を決めます。権限セットの設計についてはHubSpot権限とはも参照してください。

プロスペクティングキューとガイド付き実行はどう違うのか?

営業ワークスペースには、タスクを連続処理するための仕組みが2系統あります。プロスペクティングキューは、サマリータブからタスク・営業活動・ガイド付きアクションを同じページで処理する仕組みです。アクションの設定パネルを自動で開く切り替えがあり、架電タスクをクリックすると通話のポップアップが自動表示されます。

ガイド付き実行はベータ機能で、スーパー管理者がアカウント単位でオプトインします。キューパネル・アクティビティパネル・プレビューパネルの3ペイン構成で、メール送信・架電・ミーティング準備といった次の操作まで画面内で完結します。

私たちがクライアントのポータルで検証した範囲では、日次の架電量が多いインサイドセールスほど、この連続処理画面を使えるかどうかで1日の処理件数が変わります。導入時は、まず標準のプロスペクティングキューで運用を固め、ベータ機能は検証用のユーザーで試してから広げる順序をおすすめしています。

営業ワークスペースの版の違いに注意が必要なのはなぜか?

更新版の営業ワークスペースに関する内容は、2026年4月27日以降すべてのアカウントに適用されます。新旧の切り替えはスーパー管理者が設定から行い、その選択はアカウント内の全ユーザーに適用されます。

さらに、更新版では「View as [user]」機能が現時点ではサポートされていません。マネージャーは代わりに保存済みビューを作成し、特定ユーザーのデータを見ることになります。マネージャーのモニタリング手順を旧版の操作で文書化している組織は、ここで手順書が一度壊れます。切り替えのタイミングは、マニュアル改訂とセットで計画してください。

営業側には営業活動のレビュー画面が、カスタマーサクセス側にはカスタマーサクセスワークスペースという同等の画面が用意されています。営業とCSでタスクの置き場が分かれる組織では、両方の画面設計を同時に決める必要があります。Sales Hub全体の使い方はHubSpot Sales Hubの使い方で整理しています。

リマインドと完了条件はどう決めるべきか?

タスクが回らない原因の半分は、通知設計にあります。通知が多すぎれば無視され、少なすぎれば忘れられます。HubSpotには個別リマインダーと日次ダイジェストという2系統があり、役割が違います。

個別リマインダーと日次ダイジェストはどう使い分けるか?

個別リマインダーはタスク単位で設定し、設定されたタスクごとに個別のメールがタスク所有者に送られます。期限時刻、1時間前、カスタム日時などが選べます。

日次ダイジェストは平日ごとの期限タスクをまとめたメールです。オプトインの条件は、過去17日間に3件以上のタスクを完了していることです。メールは平日の午前6時までに生成され、午前8時に送信されます(ユーザー設定のタイムゾーン基準)。午前6時から午前8時の間に作成されたタスクは、その日のダイジェストには含まれません。期限のタスクがない日はメール自体が送られません。

私たちの設計方針は明快です。個別リマインダーは、期日を外すと商談が消える性質のタスク(初回架電、見積提出期限)だけに限定し、それ以外は日次ダイジェストに寄せます。全タスクにリマインダーを付けると、1人あたり1日数十通のメールが届き、結果としてすべてが無視されます。

なお、既定のリマインダー時刻をオンにしている場合、作成するタスクに自動でリマインダーが付きます。通知を絞る設計にするなら、既定値を「リマインダーなし」に変更しておく必要があります。通知チャネル全体はユーザー通知の設定でまとめて管理でき、タスクの通知としては割り当て時・期限時・自分が割り当てたタスクの完了時・期限超過時・メモでのメンション時が選べます。

「完了」の定義を曖昧にすると何が壊れるか?

タスクはタスク一覧ページ、レコード上、Gmail上で完了にでき、一括で完了にする操作もあります。操作としては、チェックを入れるだけです。

問題は、このチェックが何を意味するかを組織が決めていないことです。架電タスクで「かけたがつながらなかった」場合に完了にするのか、未完了のまま翌日に送るのか。ここが人によって違うと、タスクの完了件数も活動量レポートも比較不能になります。

私たちが完了条件を定義するときは、「タスクを完了にしてよいのは、対応する活動(通話・メール・ミーティング)がレコードに記録されたときだけ」という形にそろえます。つながらなかった架電も通話ログとして記録し、結果プロパティに不在と残したうえで完了にする。そのうえで、フォローアップタスクの自動作成プロンプトを使って次のタスクを起こします。この定義にしておくと、完了件数が活動記録数と一致し、レポートが信用できるようになります。

繰り返しタスクを削除する場合は「このタスクと以降のすべてのタスク」を選ぶ操作があり、単発の削除と区別されています。

属人化を防ぐ運用設計はどう作るか?

ここまでの設定がすべて正しくても、運用の持ち主が決まっていなければ半年で崩れます。属人化を防ぐというのは、担当者を増やすことではなく、仕組みが人の交代に耐える状態を作ることです。

期限超過タスクをどうモニタリングするか?

標準ビューのOverdueは「自分の」期限超過タスクしか表示しません。マネージャーが組織全体を見るには、Assigneeの条件を変更した保存済みビューが必要です。保存済みビューの共有範囲は、非公開・チーム・全ユーザーから選べます。

私たちが標準で用意するのは、チーム単位の期限超過ビュー、キュー別の未着手ビュー、そして「担当者が無効ユーザーになっているタスク」のビューの3種です。3つ目は退職・異動の検出に効きます。

異動・退職時にタスクをどう引き継ぐか?

複数タスクを選択して担当者を一括変更する操作は、タスク一覧ページでも営業ワークスペースでも使えます。引き継ぎ自体は難しくありません。難しいのは、引き継ぐべきタスクを漏れなく特定することです。

そこで有効なのが、キューを担当者ではなく役割で切っておくことです。「インバウンド_初回架電_当日」というキューがあれば、担当者が誰であれキューの中身が仕掛りになります。担当者名でキューを作っていると、異動のたびにキューごと作り直すことになります(しかも作成者しか編集できません)。

タスクのデータをどうレポートに載せるか?

活動量を見るには、タスクをレポートに載せる必要があります。カスタムレポートでは、アクティビティを対象にしたレポートを組めます。

加えて、タスクのエクスポートを使えば、ビュー単位でタスクをCSVやXLSXとして取り出せます。四半期ごとの棚卸しや、BIツール側での分析には、このエクスポートを定期運用に組み込む方法が現実的です。

現場がPCの前にいない時間帯の消化を見込む場合は、モバイルアプリの対応状況も確認してください。モバイルアプリでも、タスクの作成・表示・完了ができます。

導入の順序はどう組み立てるか?

機能の解説は以上です。最後に、私たちがタスク運用を立ち上げるときの順序を示します。ポイントは、キューを作る前に完了条件を決めることです。逆順にすると、作ったキューを作り直すことになります。

以下の表は、私たちがクライアントのポータルでタスク運用を立ち上げる際の標準的な順序です。フェーズの長さは組織規模と既存データの状態で変わるため、ここでは順序のみを示します。

順序 決めること 決め方の基準 先送りしたときの損失
1 対象とする活動の種類 売上に直結するフォローに絞る タスク画面が雑務で埋まり、信用されなくなる
2 完了の定義 対応する活動記録の有無で判定する 完了件数とレポートが一致せず、評価に使えない
3 SLA(対応速度) リードソース別に当日/翌営業日などを定める キュー名が付けられず、監視指標も決まらない
4 キュー構成と命名 対象×アクション×SLAで命名する 属人的なキューが増え、上限に到達する
5 自動生成の条件 ワークフローとシーケンスを棲み分ける 同一コンタクトに重複タスクが発生する
6 通知方針 個別リマインダーは限定し、残りは日次ダイジェスト 通知過多で全通知が無視される
7 監視ビューとレポート 期限超過・未着手・無効ユーザーの3種を常設 崩れ始めたことに気づけない

この順序は、ライフサイクルステージやリードステータスの定義とも連動します。どの段階に来たリードに、どのタスクを何時間以内に起こすのかを決める作業だからです。前提の整理にはHubSpotのライフサイクルステージとHubSpotのリードステータス、プロパティ設計にはHubSpotプロパティーとはを併せてご覧ください。ワークフロー自体の基礎はHubSpotワークフローとはにまとめています。

よくある質問(FAQ)

タスクキューの設計についてクライアントからいただく質問のうち、本文の流れには乗らないものをまとめました。

タスクキューはチーム単位で自動的に配分されますか?

自動配分の機能ではありません。タスクキューはタスクをグループ化・フィルタリング・共有するためのラベルです。共有キューに入れたタスクは、アクセス権のある複数ユーザーが閲覧して完了できますが、誰が取るかはルールまたは担当者の判断で決まります。ラウンドロビンのような自動割り当てが必要な場合は、ワークフローの担当者割り当てアクションを組み合わせてください。

Starterプランしかありませんが、キュー運用はできますか?

キューの作成と手動でのタスク追加は、Sales HubまたはService HubのStarter以上で可能です。ただし、ワークフローやシーケンスから自動でキューに追加する機能はProfessional以上が必要です。Starterで始める場合は、キューへの追加を手動運用にするか、タスクの自動生成を担当者への直接割り当てにとどめ、保存済みビューで代替する設計になります。

期限超過タスクが数千件あります。どこから手をつけるべきですか?

一括削除は推奨しません。まず、期限超過タスクを作成元(手動/ワークフロー/シーケンス)とレコードのライフサイクルステージで分解してください。多くの場合、失注済み・解約済みのレコードに紐づくタスクが大半を占めます。それらを一括編集で完了にしたうえで、残ったタスクだけを担当者に再割り当てします。同時に、発生源のワークフローの登録条件を直さなければ、同じ状態が再発します。

タスクの件数は、営業の評価指標に使ってよいですか?

完了件数を単独の評価指標にすることはおすすめしません。完了の定義が「チェックを入れる操作」である以上、件数は操作量であって成果ではありません。私たちは、タスク完了件数は運用の健全性を見るモニタリング指標として扱い、評価には商談化率や次アクション設定率のような、顧客側の反応を含む指標を使うようご提案しています。

繰り返しタスクと、ワークフローによる定期生成はどちらがよいですか?

条件が「前回の完了」に依存するなら繰り返しタスク、条件がレコードの状態に依存するならワークフローです。繰り返しタスクは、前のタスクが完了・削除・期限超過になった時点で次が作成されます。つまり対象レコードの状況が変わっても生成が止まりません。解約済みの顧客に定期訪問タスクが生成され続ける事故は、この仕様を知らずに使ったときに起きます。

キューの上限20個に達しました。どう整理すべきですか?

上限は1ユーザーあたりの作成数です。まず、キューで表現すべきものとビューで表現すべきものを分離してください。個人の仕事の切り出しはビューで足ります。そのうえで、SLAが同じで対象だけが違うキューは統合し、対象の違いはタスクのプロパティやレコードのプロパティでフィルタする設計に寄せます。

タスクの運用を始めるのに、データの整備はどこまで必要ですか?

最低限、タスクを紐づけるレコードの所有者(担当者)が正しいことが前提になります。所有者が空欄または退職者のままのレコードが多いポータルでは、タスクを自動生成しても宛先が定まりません。タスク設計の前に、コンタクトと会社の所有者の充足率を確認し、所有者が空のレコードの扱いを決めてください。この整備を飛ばすと、自動生成したタスクが誰のビューにも現れない状態になります。

営業ワークスペースと従来のタスク一覧ページは、併用してよいですか?

併用自体に制約はありませんが、運用上は役割を分けることをおすすめします。日次の消化は営業ワークスペース、棚卸しや一括編集はタスク一覧ページ、という分担です。両方を「今日やる仕事を見る画面」として案内すると、担当者ごとに見ている画面が変わり、マネージャーの指示が通らなくなります。

 

本記事に記載したHubSpotの仕様・上限値・サブスクリプション要件は、2026年10月23日時点のHubSpotナレッジベースおよび開発者ドキュメントの内容に基づいています。これらは変更される可能性があるため、設計・稟議の根拠として用いる際は、必ず公式ドキュメントで最新の値をご確認ください。

田村 慶

2005年に札幌で株式会社24-7をWeb制作会社として創業、2012年からHubSpotの販売を開始。2016年にAPAC初となるダイヤモンドパートナーに昇格し、翌年にはHubSpotパートナー・オブ・ザ・イヤー(アジア地区)を受賞。2018年に24-7社の代表取締役を退任し、新たに株式会社100を創業。2019年6月からHubSpot認定パートナーに登録し、HubSpotビジネスを再開。現在は、HubSpotエリートパートナーやHubSpotユーザーグループの主催者として、HubSpotパートナー複数社へのコンサルティングと実行支援、HubSpotの導入企業のビジネス促進を中心に『HubSpot好き』を増やすための活動をしています。 2020年:HubSpot ルーキー・オブ・ザ・イヤー受賞(APAC地区) 2021年:HubSpot パートナー・オブ・ザ・イヤー受賞(日本) 2023年:アジアで初めてHubSpot「Elite Partner(当時)」として認定

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そのすべてに惹かれて、HubSpotのパートナー、
エキスパートとして取り組んでいます。
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