この新しい購買行動に対応するために、多くの企業は買い手にとって価値のある情報を最適なタイミングで提供し、買い手に適切に自社を見つけてもらい、良好な関係を築いていく考えである「インバウンドマーケティング」の取り組みを行う売り手が増加しています。
Bristol Strategyの調査によるとグローバルで約71%の企業がインバウンドマーケティングを企業のマーケティング戦略の核としており、買い手の行動が大きく変化した今、価値のある情報を提供するインバウンドマーケティングを実施する重要性は高まっています。
このインバウンドマーケティングの考えを作ったHubSpot社は、その考えを実行するためのソフトウェアとして「Marketing Hub」を提供しています。この記事では、そのMarketing Hubの機能や価格、事例などをわかりやすく紹介していきます。
出典:HubSpot
HubSpotが提供するMarketing Hubとは、月額定額制のマーケティングソフトウェアです。まずはMarketingu Hubの特徴を理解するために、HubSpotやインバウンドマーケティングとMarketingu Hubの関係などについて見ていきましょう。
HubSpot社は、2006年に設立されたマーケティングや営業、カスタマーサポート向けのソフトウェアを提供する企業です。
同社が提供するHubSpotは、マーケティングやセールス、コンテンツ管理、カスタマーサービスをつなぐために必要な機能やリソースを備えた統合プラットフォームであり、下記5つのHubで構成されています。
上記5つのプラットフォームに加えて、顧客情報の基盤となるHubSpot CRMを提供しています。
HubSpotおよびMarketing Hubを理解するうえで欠かせないのが、同社が創業当時から提唱する「インバウンド思想」。これは顧客から価値を引き出す前に、自社が価値を提供すれば、顧客と良好な関係を築け、結果的に自社にも利益がもたらされるという考えです。
インバウンドマーケティングとは、この思想に基づいたマーケティング手法であり、価値あるコンテンツを提供して、顧客に自然とブランドに興味を持ってもらうことを目的にします。一方、企業が自社のメッセージを一方的に送り出し、顧客に対して直接アプローチする手法を「アウトバウンドマーケティング」と呼びます。
インバウンドマーケティングが普及した背景には、顧客行動の変化があります。かつての消費者の情報収集元は、営業担当やカタログなど企業から発信されるものばかりでした。しかし、インターネットやSNSの発展により、消費者はWebサイトやSNS、ウェビナー、口コミなどで能動的に情報収集するようになりました。
顧客は、自身にとって価値のない情報は受け取らないからこそ、インバウンドマーケティングの重要性が高まったのです。
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Marketing Hubとは、インバウンドマーケティングに必要なツールや機能がすべて揃ったプラットフォームです。社内にあるマーケティングデータを一元管理し、多くの訪問者を自社サイトに集客して、リード化する施策展開を行えます。
出典:HubSpot
また、Marketing Hubは単なるマーケティングツールではなく、HubSpotの統合的なCRMツールの一部という特徴があります。つまり、CRMプラットフォーム上にMarketing HubやSales Hubなどが集約されているため、マーケティングと営業、カスタマーサクセスなどが円滑に連携できるのです。
これによりファネルにおける集客から購買後までの各ステージで、最適なコンテンツを提供できるようになります。
Marketing Hubの主な機能は、大きく下記2つに分類できます。
ここからは、各機能の詳細を見ていきましょう。
ブログ記事の執筆から編集、公開まで行えます。主な特徴は以下の通り。
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(ランディングページ作成で使えるテンプレート)
専門的なHTML/CSSスキルがなくとも、簡単に魅力的なランディングページを作成できます。
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LinkedIn、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)の一元管理ができます。主な機能は以下の通りです。
Marketing Hubのソーシャルメディア機能を使えば、SNS上での重要なやり取りを即座に判断し、重要なユーザーとのエンゲージメントに注力できるようになります。
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Google 広告や各種SNS広告の一元管理をする場所です。広告の作成から配信、分析と改善まで一貫して行えます。主な機能は以下の通りです。
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自社に関するトピックを中心としてSEO施策を展開し、最適化のためのアドバイスを確認しながらSEO対策ができます。具体的な機能は3つです。
1つめはSEOアドバイス。Webサイトの速度やオンページSEOなどSEOランクに影響を与える要素を分析し、最適化するためのアドバイスを提案する機能です。
2つめはコンテンツ戦略ツール。これは関連性や競合、人気度合いをもとに自社に重要なトピックを提案する機能であり、コアトピックを中心に記事展開をする「トピッククラスター」を実践できます。
3つ目が詳細なレポートの確認。Googleサーチコンソールと連携することで、コンテンツごとのパフォーマンスを正確に測定し、効果的分析と改善を回せるようになります。
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マーケティングオートメーションを活用すれば、単純タスクの自動化やリアルタイムの顧客データに基づき、最適なコンテンツを届けられるようになります。また、リードのスコアリングや営業への引き渡しなどの作業の自動化にも対応。
さらに、HubSpot CRMやSalesforceと連携し、リードが起こした重要アクションの通知やアラート表示、タスク追加などもできるため、営業とマーケティングが円滑に連携できるでしょう。
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Marketing Hub内で作成したWebページやEメール、ランディングページなどのコンテンツはパーソナライズ化して配信できます。例えば、顧客の購入履歴に基づいてパーソナライズ化したメールの作成などが可能です。
コーディングの知識がなくとも、ドラッグ&ドロップエディターで簡単に高度なEメールを作成し、トリガーや条件、アクションを指定することで、各リードを次のファネルへと導くメール配信ができます。
Eメールの健全性インサイトでは、開封率やクリックスルー率など5つの測定指標において、期待通りの成果が出ているのか、それとも対策が必要なのかが表示されます。また、選択した業界との比較も可能です。
A/Bテストの実施から効果測定も簡単に行えるため、効率よくパフォーマンスの高いメールテンプレートを作成できるでしょう。
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(CTAテンプレート)
CTA作成ツールを使えば、デザインの知識がなくとも、クリック率を高めるCTAボタンやポップアップを簡単に作成できます。また、リードの業種やライフサイクルステージなどに合わせて、個別化したCTAを表示することも可能。
ProfessionalとEnterpriseでは、顧客の属性やデバイスタイプなどに合わせて、パーソナライズ化したCTAボタンを表示できます。多変量テストも備わっているため、効果の高いCTAバリエーションを特定できるでしょう。
プログラミングの知識がなくとも、目的別に用意されたテンプレートを使用して、簡単に高度なチャットボットの制作ができます。Marketing Hubのチャットボットは、CRM内に蓄積されたリード情報を活用するため、自然でパーソナライズしたチャット体験を提供する特徴があります。
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Marketing Hubを導入するメリットは以下の通りです。
ここからは、各メリットの詳細を解説します。
Marketing Hubは無料で一部のツールや機能を使えます。無料プランの詳細は後述しますが、ブログ記事やLP作成、メールマーケティングなどが可能です。無料プランで操作性や機能を確認してから、有料プランへアップグレードできるため、導入ハードルが低いでしょう。
株式会社Innovation & CoがMAツール利用経験者を担当した調査によれば、51%が「MAツールを活用できていない」と回答し、その原因の一つに「難しくて使えなかった」と判明しています。この調査が示す通り、操作性が原因でMAツールを活用できないケースは多いです。
HubSpot Marketing Hubの場合、シンプルなインターフェースのため、CSSやHTMLなどの専門知識がなくともランディングページやEメールを作成できます。例えば、下記画像はランディングページ作成画面ですが、要素をクリックしてテキスト調整やフォームの挿入をするだけでデザイン性の高いニュースレター登録ページが完了します。
また、HubSpotは顧客満足度を測定する際にシステムや機能の「愛用(解約率や機能の使用率など)」を指標としていることもあり、サポート制度が充実しています。そのため、初めてMAツールを使う方でも安心して導入できるでしょう。
Marketing HubにはSEOからSNS、メールマーケティング、ランディングページ、CTA・チャットボットなどデジタルマーケティングに必要な機能がすべてそろっています。これからデジタルマーケティングに本格的に取り組む場合、Marketing Hubを導入すれば、他のツールを導入せずに効果的なデジタルマーケティングの推進が可能です。
HubSpotのアプリマーケットプレイスには1,340種類以上のアプリが公開されています。アプリをダウンロードすることで、既存の外部ツールとの連携が可能です。
例えば、WordPressと連携すればHubSpotのフォームとチャットを既存のサイトに実装し、データの同期もできます。Slackと連携すれば、SlackのメッセージをHubSpotのタスクやチケットに変換したり、Slack内でHubSpotの通知を受信したりして、営業・マーケティング・カスタマーサービスが円滑に連携できるようになります。
特に、Marketing Hubと相性が良いのがSalesforceです。どちらかで変更を加えれば、自動で変更内容が同期され、営業がリードに関する重要な通知を自動的に受け取れる仕組みの構築も可能。また、HubSpotからSalesforceにリードスコアの送信をすることで、営業は効率よく確度の高いリードにアプローチできます。
Marketing Hubには、無料・Starter・Professional・Enterpriseの4つのプランがあります。下記は、各プランの特徴をまとめた表です。こちらの情報は2024年4月時点での情報となります。
なお、HubSpotはSaaS製品のため、料金プランと機能は定期的に変化します。最新の料金プランは、HubSpot公式サイトを確認するか、株式会社100(ハンドレッド)までお問い合わせください。
項目 | 無料プラン | Marketing Hub Starter | Marketing Hub Professional | Marketing Hub Enterprise |
ブログ | 1件のブログ(HubSpotのロゴが含まれる) | ◎ | ◎ | ◎ |
ランディングページ | 制限付き | ◎ | ◎ | ◎ |
Eメール | 制限付き | ◎ | ◎ | ◎ |
広告管理 | 全ての広告タイプを使用可 シンプルなウェブサイトオーディエンスのみ |
◎ | ◎ | ◎ |
ウェブチャット | HubSpotのロゴ付き | ◎ | ◎ | ◎ |
ソーシャルメディア | ー | ー | 最大50件の接続済みアカウント 1か月あたり10,000件の投稿 最大3年先までの予約投稿 |
最大300件の接続済みアカウント 1か月あたり10,000件の投稿 最大3年先までの予約投稿 |
ユーザーのチーム分け | ー | ー | 最大10チーム | 最大300チーム |
オムニチャネル マーケティング自動化 |
ー | ー | 最大300件のワークフロー | 最大1,000件のワークフロ |
カスタムレポート | ー | ー | 最大100件 | 最大500件 |
キャンペーンレポート | ー | ー | ポータルあたり1,000件のキャンペーン | ポータルあたり1,000件のキャンペーン |
SEO推奨(アドバイス) | 基本的な推奨 | 基本的な推奨 | 高度な推奨 | 高度な推奨 |
Salesforceとの連携 | ー | ー | 500件のフィールドマッピング/ 10,000人のSalesforce担当者/1件のアカウント | 500件のフィールドマッピング/10,000人のSalesforce担当者/1件のアカウント |
カスタムオブジェクト | ー | ー | ー | 最大10件のオブジェクト定義と、500,000件の件のレコード |
コンテンツやデータへのアクセス制限 | ー | ー | ー | ◎ |
マーケティングコンタクト数 | ー | 1,000件 | 2,000件 | 10,000件 |
月額料金 | 無料 | 1,800円〜 | 106,800円〜 (3人分のコアシート含む) |
432,000円 (5人分のコアシート含む) |
※年次で購入したケースの月額料金になります。
ここからは、各プランの詳細を解説します。
無料プランは、中小企業やスタートアップがデジタルマーケティングを推進するのに役立つ基本的な機能を提供します。主な機能は、ブログやランディングページ、Eメールマーケティング、フォーム、チャットボット、分析などです。この無料プランは最大5名までの利用に制限されているため、まずは日々HubSpotに触れる必要のある担当者を選別し無料アカウントからお試しで初めてみると良いでしょう。
基本的なデジタルマーケティングニーズを持つユーザー向けに設計されているため、Eメールの送信件数やHubSpotのロゴ表示などの制限があります。MAツールの導入を検討している方やデジタルマーケティングを始めたばかりで高度な機能を必要としない中小企業や個人に適しているプランです。
まずは無料プランから開始し、マーケティングのニーズが高まれば、有料プランへのアップグレードを検討するとよいでしょう。
Starterプランは、デジタルマーケティング活動の拡大を目指す中小企業やスタートアップ向けのプランです。無料プランの機能に加えて、ランディングページやEメールなどからHubSpotのロゴ削除(ブログは不可)、CTAの作成などができます。
しかし、1ヶ月に送信できるメール数の上限など制限があったり、ソーシャルメディアやワークフローなど利用できない機能が多々あります。
そのため、月の獲得リード件数が100件未満の企業や本格的にデジタルマーケティングを開始したい中小企業に向いています。
Professionalプランは、Starterプランの全機能に加え、SEOアナリティクスやABMツール、会社スコアリング、コンテンツ戦略の策定、オムニチャネルのマーケティングオートメーションなどの追加機能が含まれたプランです。
例えば、オムニチャネルのマーケティングオートメーションでは、図式化された直観的なワークフロー機能やボット作成ツールを使用して、各種マーケティングキャンペーンの自動化を実現します。
また、Starterプランと比較してコンタクト数やメール送信数の上限が高く設定されているため、より多くの顧客に対応し、広範なマーケティング施策の推進ができます。Professionalプランは、月に数百件以上のリードを獲得できている成長中の企業に適しています。
Enterpriseプランは、Professionalプランで提供されるすべての機能に加え、より高度な機能が含まれた最上位プランです。
例えば、予測リードスコアリングでは機械学習のアルゴリズムを使用して、各リードが90日以内に顧客となる確率が予測されるため、成約率の高いリードから優先的にアプローチできるようになります。
カスタマージャーニーアナリティクスでは各タッチポイントの影響力を可視化し、集客効果の高い/低い施策の特定が可能です。
また、Professionalプランよりもさらに多いコンタクト数とメール送信数などの上限が設定されているため、膨大な顧客データベースを管理し、高度なマーケティングキャンペーンを実施できます。
広範なマーケティングニーズと大規模な顧客基盤を持つ大企業に適したプランです。
下記いずれかに該当する企業にMarketing Hubの活用をおすすめします。
ここからは、各企業の特徴を解説します。
MAツールに精通した人材がいない企業や初めてMAツールの導入を検討している企業にMarketing Hubはおすすめです。
Marketing Hubは、ダッシュボードのインターフェースをはじめとして、直観的に使える初心者に優しい設計となっています。
また、無料プランから開始できる、かつ、導入から運用までのサポート体制も手厚いため、「MAツールを活用できるかどうか不安」という企業に最適です。
Marketing Hubには、SEOからランディングページ、広告管理、SNS、メールマーケティングなどデジタルマーケティングに必要な機能が全てそろっています。そのため、本格的にデジタルマーケティングを推進したい企業におすすめです。
また、メールマーケティングやチャットボットなど複数のツール利用が負担になっている場合、Marketing Hubの導入でその課題を解決できます。
HubSpotの大きな強みは、顧客データを一元管理し、部門間で円滑な連携ができることです。
特に成長中の企業は、顧客からの問い合わせや相談など営業・マーケティング・カスタマーサポートの業務が増加・複雑化し、各部門の負担が大きくなっているのではないでしょうか。
HubSpotを導入すれば、マーケティングオートメーションやSFAなどの機能を活用できるため、業務効率化やさらなる成果の創出を見込めます。
ここからは、Marketing Hubと他社マーケティングツールの比較をご紹介します。
※最新の状況や機能については各ベンダーのウェブサイトをご確認ください。
出典:Braze
Brazeは、ブランドと消費者をつなげるカスタマーエンゲージメントプラットフォームです。リアルタイムで顧客データを活用し、パーソナライズ化したメッセージをターゲットに届けます。また、ドラッグ&ドロップ操作でワークフローの作成も可能。
BrazeとMarketing Hubの主な違いは、モバイルに特化しているかどうかになります。Brazeはアプリ内メッセージやモバイルプッシュなどのモバイルマーケティングに特化した機能がありますが、Marketing Hubにはありません。
一方、Brazeはサイトやランディングページなどの作成機能、営業やカスタマーサポート向けの機能は備えていません。自社でモバイルアプリを展開しており、マルチチャネルマーケティングが必要な場合はBrazeが向いています。
対して、包括的なデジタルマーケティングの推進やマーケティング・営業・カスタマーサポートのオールインワンツールを求めるならHubSpotがよいでしょう。
Adobe Marketo Engageは、マーケティングオートメーションやアカウントベースドマーケティング(ABM)、リード管理、Eメールマーケティングなど高度な機能を備えたMAツールです。
HubSpotのMarketing Hubと似たツールですが、Marketing Hubがあらゆる規模の業種向けに開発されたツールであるのに対し、Marketo Engageは大企業向けのツールという違いがあります。
また、Marketo Engageは高度な機能を備えているので、適切に活用するにはMAツールに関する深い知識や経験が必要です。
出典:Salesforce
Salesforce Marketing Cloud Account Engagementは、ウェブ、Eメール、SNS、など様々なチャネルを介してパーソナライズされたマーケティングキャンペーンの実施をサポートするツールです。
スコアリングや高度な分析機能により、営業とマーケティングが円滑に連携し、優良企業、見込み客に効果的にアプローチできます。Salesforce CRMと統合されているため、HubSpotと同様にCRMに蓄積される顧客データをシームレスに管理することが可能です。
両ツールともに業界をリードするマーケティングツールですが、初心者でも活用がしやすく、包括的なマーケティングプラットフォームを求めるならば、HubSpotのMarketing Hubが良い選択肢となるでしょう。一方、すでにSalesforceを利用している企業、高度なセグメンテーションや複雑なカスタマイズが必要な大企業であれば、Salesforce Marketing Cloud ABM Engagementの方が適しているでしょう。
Marketing Hubの具体的な活用イメージや解決できる課題を理解するために、ここからは2つの成功事例をご紹介します。
ビジネスエンジニアリング株式会社は、製造業を中心に企業の情報システム企画やコンサルティングなどを提供しています。従来はセミナーや展示会でリード獲得をしていましたが、自社製品のコモディティ化が進む中、時代の変化に適応するためインバウンドマーケティングを中心としたデジタルマーケティングへシフトすることにしました。
数あるデジタルマーケティングツールの中でも、ウェブサイト作成やメール配信などデジタルマーケティングをワンストップで展開できることが決め手となり、Marketing Hubを導入しました。
紙の資料をPDF化し、ダウンロード型コンテンツとして設置することで、徐々に流入数とコンバージョン数が増加しました。また、マーケティングチームはランディングページやHTMLメールを効率的に作成できるようになり、修正に要する時間が大幅に短縮されたのです。
その結果、メールマガジンのクリック率は1%から2%弱へアップ、クリック数は2倍増加、メールの回帰率は40%まで上昇しました。
今後、ビジネスエンジニアリングでは、Webサイトに動画を取り入れてコンテンツの理解を深めることで、リード獲得をさらに改善する計画です。また、HubSpotと連動したSurvey Monkeyを活用することで、顧客に対するより深い洞察を得たいと考えておられます。
参考:HubSpot導入事例|ビジネスエンジニアリング株式会社
多様なデジタル製品を開発・製造・販売する大手企業であるアンカー・ジャパン株式会社は、製品数が多く、定期的に新製品を発売するため、マーケティング業務負担が大きいという課題に直面していました。
また、業績が右肩上がりで成長する中、営業やカスタマーサポートチームは、購入前の相談や顧客からの問い合わせなどの増加するタスクに頭を悩ませていたのです。
各部門の業務効率を高めるため、CRMを中心にMAやSFA、カスタマーサポート機能をオールインワンで提供するHubSpotの導入を決定しました。
マーケティング部は、様々なツールが単一のプラットフォームに統合されたことで、管理工数を大幅に削減し、施策を高速で回せるようになりました。HubSpotの優れたインターフェース、特に使いやすいランディングページやメールマガジン作成機能は、マーケティングキャンペーンの実施を迅速化しました。
また、マーケティング部は直感的な操作性を高く評価し、担当者の交代や役割の転換の際に、スムーズに引き継ぎができるようになったとのこと。
さらに、営業チームは問い合わせ漏れの防止と進捗管理の改善に成功し、カスタマーサポートは平均問い合わせ件数が減少し、業務効率が向上したのです。
参考:HubSpot導入事例|アンカー・ジャパン株式会社
Marketing Hubの導入を成功させるためには、以下4つのポイントを確認しましょう。
ここからは、各ポイントの詳細を解説します。
最初の重要なステップは、マーケティング活動で直面している課題の整理です。既存のマーケティングプロセスと解決したい問題を明確にしなければ、Marketing Hubを導入しても定着せず、導入の失敗につながる可能性があります。
まずはマーケティング部や関係者で協議をし、リードジェネレーションの改善やマーケティング業務の効率化などMarketing Hubで達成したい具体的な目標を明確にしましょう。
Marketing Hubには、4つのプランがあり、それぞれ提供する機能が異なります。導入の目的やマーケティング戦略をもとに、必要な機能を特定することで、自社に最適なプランが判明します。
例えば、リードジェネレーションとナーチャリングが目的であれば、リードスコアリングやEメールマーケティングオートメーション、CRM・SFA連携などができるProfessional・Enterpriseプランが向いています。
一方、コンテンツの作成と配信をして、リード獲得できる仕組みの構築を優先するのであれば、Starterプランで十分でしょう。
Marketing Hubの導入を成功させるためには、社内体制を整えることが欠かせません。まずは以下3つのポイントを考慮してください。
導入・活用支援を利用すれば、機能の使い方を効率的に習得し、迅速に成果につなげられます。
HubSpotは、無料e-Bookやウェビナー、トレーニングリソースなど充実したカスタマーサポートを提供しています。これらのリソースを活用すれば、初めての方でも使いこなせるようになるでしょう。
また、HubSpotのパートナー企業が提供するサポートも有益です。パートナー企業はMarketing Hubの導入・活用に関する専門知識を有しており、ウェブサイトの構築や組織の整備、コンテンツ作成などのサービスを提供します。
HubSpotが提供するMarketing Hubは、デジタルマーケティングに必要な機能をすべて備えたオールインワンツールです。他のMAツールとは異なり、HubSpot CRMの一部として機能するため、営業やカスタマーサポートとの円滑な連携を実現できます。
Marketing Hubに興味がある方は、まずは無料プランから開始して、現場の声をヒアリングしてください。実際に活用するメンバーの評価が良ければ、プランのアップグレードを検討し少しづつ活用の幅を広げていきましょう。インバウンドマーケティングを実現する上で、Marketing Hubは非常に強力な味方となるでしょう。